アトリエシリーズは、錬金術を題材とするRPGのシリーズ。従来のファンタジーRPGに多く見られた世界を救うといった主題を避け、架空世界での日常生活に焦点をあてたことを特徴としている。発売元はガスト。本項目ではこのアトリエシリーズの中でも『ザールブルグの錬金術士』と題された初期作品および関連作について解説する。第1作は『マリーのアトリエ 〜ザールブルグの錬金術士〜』。プレイヤーは錬金術を学ぶ魔術学校の落ちこぼれマリーとなり、卒業をめざして錬金術を究めていく。ゲーム中は、依頼に応じてアイテムを作成したり、アイテムの材料を採取するために護衛を雇い危険な地を探索したりする。卒業という大目標以外に、盗賊団の出現や、親友の病気といった難題への対処をせまられることもあるが、シナリオによる強制はほとんどなく、エンディングまでの過程はプレイヤーの自由に委ねられる。以後の作品も、ほぼ同様の自由度、システムを持つ。アトリエシリーズにおいて、「ザールブルグシリーズ」として分類されるのは以下の3作品である。「ザールブルグシリーズ」では、新作がリリースされるごとにグラフィック、イベントの強化やアイテム数の増加が図られていったほか、システム面では調合方法にバリエーションが設けられるなど、いわゆる「やりこみ要素」が強化されていった。こうして、作品を重ねるごとに深くプレイすることができるようになっていった反面、「やりこみ要素」の強化は、その複雑さゆえにシリーズ初心者が手を出しにくくなることにも繋がった。以降のシリーズではこの点を解消すべく様々な試みがなされている。なお、『ヘルミーナとクルス』は『リリーのアトリエ』の外伝的位置づけの作品である。キャラクターとの対話イベントが中心のアドベンチャーゲームであり、シリーズの特徴的なシステムは持っていない。『マリーのアトリエ 〜ザールブルグの錬金術士〜』(マリーのアトリエ ザールブルグのれんきんじゅつし)は1997年5月23日に発売されたPlayStation用ソフトで、シリーズ第1作目。キャラクターデザインは桜瀬琥姫。桜瀬になった理由は、ディレクターの吉池真一が殺伐としたものを苦手とし、逆に“ほわほわ”した世界が好きであるなか、桜瀬が作品をガストへ持ち込み、牧歌的な絵が多く、吉池の持つイメージに近かったため。開発は1996年2月にスタートした。本作が生まれた背景として、もともと開発チームはシミュレーションRPGを考えていたが、1996年当時、RPGは既に大作シリーズ傾向化しており、独特のアイディアや売りがない・先がなさそう・つまらない・他作品と変わらないということになった。そのためかねてから吉池が暖めていた「調合」を題材にしていくことになった。キャッチコピーである「世界を救うのはもうやめた」という言葉からも、「世界を救う」ことを目的とした大作にはまだないオリジナルなものを打ち出そうとしたことが伺える。また、劣等生を主人公にした理由は、本作は物を作ることによってプレイの幅を広げていくゲームであり、主人公が伝説の○○などと選ばれた存在であると、力技で何とかしてしまいそうであるため。なお、本作は『エリーのアトリエ』および『リリーのアトリエ』のような主人公絡みの恋愛要素は殆どなく、恋愛イベントや恋愛EDは用意されていないが、これは吉池が恋愛要素を入れないことを押し通したため。マルローネはシグザール王国の都市「ザールブルグ」にある王立魔術学校(通称「アカデミー」)の生徒。彼女はそこで錬金術士を目指して勉強をしているのだが、アカデミー過去最悪の成績を残してしまう程の劣等生だった。このままでは卒業することができない彼女に、アカデミーの先生・イングリドはある試験を課した。それは、「5年間錬金術の店を経営しながら勉強をし、何か一つ高レベルのアイテムを作成できれば、卒業を認める」というものだった。こうして、マルローネは自分のために与えられたアトリエで店を経営することになったのだった。なお、年齢/身長/体重は、から引用。普通のRPG同様、強大なボスキャラが出現するが、必ずしも倒さなくてもよく、それなりにストーリーは進んでいく。『エリーのアトリエ 〜ザールブルグの錬金術士2〜』(エリーのアトリエ ザールブルグのれんきんじゅつし2)は1998年12月17日に発売されたPlayStation用ソフト。アトリエシリーズでは初のコンビニエンスストア(デジキューブ提携)併売タイトルである。キャラクターデザインは山形伊佐衛門。前作『マリーのアトリエ』の調合システムを強化し、アイテム毎に品質・効力のパラメータを設け、作成できるアイテムの増強や街の外の行動範囲を広げ、妖精の育成および恋愛要素を盛り込むなど、様々な要素に追加をしている。新たに追加された調合は「ブレンド調合」と「オリジナル調合」で、条件を満たすと使用できるようになる。毎年8月1日にアカデミーで試験が行われる(下記主なイベント欄を参照)。採取地の数は前作の倍近くに増えており、往復日数が20日を超える場所もある。殊にカスターニェはそこから更に複数の採取地を抱えており、到達は高位エンディングの必要最低条件。エンディングパターンも前作の倍近くあり、隠しパラメーターとなるフラグが設定されているため一度や二度のプレイではそれらすべてを網羅することは事実上不可能。また、本筋にまったく関係のない調合アイテムが存在するためアイテム図鑑を埋めることも難しい。プレイ期間は基本が4年。留年による最大5年の延長と、マイスターランク進学による2年延長がある。前作から引き続き出演しているキャラが圧倒的多数を占め、特に前作の主人公マルローネに再会することがゲームの目的となっている。『マリーのアトリエ』の後の話。流行病に倒れた少女エルフィール・トラウム(エリー)は旅の錬金術師のマルローネに命を救われる。エリーがお礼を言う前にマルローネは去って行った。ゲームは、マルローネに憧れたエリーが錬金術士になるためにザールブルグを訪れ、アカデミーに入学するところから始まる。入試の成績が悪かったエリーは寮に入ることができず、自力で生活することを余儀なくされる。エリーは工房を与えられ、錬金術の仕事をしながら卒業を目指す。前作同様に多くの人物と交流を深めることでそれぞれの人物のエピソードが進展していくが、その中で選択を迫られる場面がたびたび出てくる。その時々の選択で錬金術に対する情熱を持ち続けるような選択を選ぶことで、エリー自身の物語が進んでいく。その物語は、プレイヤーの行動により細部や順序がかわるが、おおむね次のような構成である。普通のRPG同様、強大なボスキャラが出現するが、倒さないと先に進めないボスキャラと、倒さなくてもかまわないボスキャラに分けられる。『リリーのアトリエ 〜ザールブルグの錬金術士3〜』(リリーのアトリエ ザールブルグのれんきんじゅつし3)は2001年6月21日に発売されたPlayStation 2用ソフト。アトリエシリーズで初のEPSONのカラープリンター『カラリオシリーズ』対応ソフト。コンビニエンスストア(デジキューブ提携)限定プレミアムボックスも同時に発売されている。キャラクターデザインは山形伊佐衛門。2002年4月4日には通信対戦機能やイベントを追加したリリーのアトリエプラス 〜ザールブルグの錬金術士3〜がPlayStation 2用ソフトで発売された。2005年5月6日には、フィギュアが付属したリリーのアトリエプラス〜リミテッドエディション〜が発売された。尚、これは2005年10月27日のアトリエ マリー+エリー〜ザールブルグの錬金術士1・2の発売に合わせて、数量限定で発売されている。前2作が「アカデミーから卒業する」というのが基本的な目的なのに対し、本作は時代を遡り「アカデミーを建設する」というのが目的となる。前2作では教師であった二人が主人公の生徒(兼手伝い)として登場する。本作品ではゲームとしてのエンディングの他、男性キャラクターとリリーとの「恋愛エンディング」が特徴となっている。普通のRPG同様、強大なボスキャラが出現し、倒さないとストーリーが先に進まない。『ヘルミーナとクルス 〜リリーのアトリエ もう一つの物語〜』(ヘルミーナとクルス リリーのアトリエ もうひとつのものがたり)は2001年12月20日に発売されたPlayStation 2用ソフト。キャラクターとの対話を主とするアドベンチャーゲームであり、シリーズで唯一ロールプレイングゲームではないタイトルである。したがって、シリーズ共通の特徴である採集、調合、冒険の行動を含まない。ヘルミーナは人工生命体のホムンクルスとして主人公クルスを作り出した。しかし生まれたばかりのクルスは言葉や感情がなかった。クルスはザールブルグの街を歩き回って住人と会話をし、「言葉」を集めていく。そうして獲得したボキャブラリを使い、ヘルミーナと仲良くなってゆく。やがてヘルミーナの中にも何か重大な感情が芽生えてゆくのであった。『マリーのアトリエGB』ならびに『エリーのアトリエGB』は2000年1月8日に発売されたゲームボーイ、ゲームボーイカラー両対応のソフト。販売はイマジニア。主人公のフィギュアが付属した限定デラックスパッケージも販売された。『マリーのアトリエGB』と『エリーのアトリエGB』は、主人公や一部の登場キャラの名前は異なるものの、ストーリーやシステムはほぼ同一である。新システムの「エージング調合」が導入され、手に入れたおまけ画像やアイテムは通信によって両ソフト間の交換が可能であるが、一部のアイテムを通信もしくはパスワードによって入手しなければアイテム図鑑はコンプリートしない。なお、本作品はPlayStation版からの移植ではなく、ストーリー、システム共にアレンジされた別視点のオリジナル作品である。また、越智善彦による漫画作品「マリーとエリーのアトリエ ザールブルグの錬金術士」(掲載誌:ファミ通ブロス)は本作品をベースにしている。無事にアカデミーを卒業し、錬金術のお店を開いたマリー(エリー)のところに妖精族の長老が現れる。というのも、見習いの妖精を錬金術士にして欲しいというのだ。果たしてマリー(エリー)はこの見習い妖精を立派に育てる事ができるのだろうか。『マリー&エリー 〜ふたりのアトリエ〜』(マリー アンド エリー ふたりのアトリエ)は2001年10月25日に発売されたワンダースワンカラー専用ソフト。販売はイースリースタッフ(後のハピネット)。本作品より導入された新システム「ふたりで調合」は次作の『マリー・エリー&アニスのアトリエ 〜そよ風からの伝言〜』にも引き継がれている。『エリーのアトリエ』のスピンオフ作品。ケントニスでマリーと出会ったエリーがザールブルグに帰ってくると、その間に泥棒に入られ何もかも盗まれてしまった。悲嘆に暮れるエリーにアカデミーから「原初の炎を3年以内に作ってくれるならお金その他を援助しよう」との提案を持ちかけられる。迷うエリーは一緒に工房をやろうというマリーからの申し出を受け、二人はひとつの工房でその幻のアイテム作りを行うこととなる。『マリー・エリー&アニスのアトリエ 〜そよ風からの伝言〜』(マリー・エリー アンド アニスのアトリエ そよかぜからのでんごん)は2003年1月24日に発売されたゲームボーイアドバンス用ソフト。開発は初めてガストとバンプレスト(後のバンダイナムコゲームス)が共同で行った。次作はアルトネリコ。販売はバンプレスト(後のバンダイナムコゲームス)。前作『マリー&エリー 〜ふたりのアトリエ〜』にもあった「ふたりで調合」以外にも「イメージ調合」が加わった。また、イベントグラフィックはアニメーション制作スタジオであるGONZOに依頼した。執筆の締め切りが各年度の8月30日と決まっており、期間が5年に設定されている以外は各年度の9月1日以降ならいつでも依頼を受けて執筆できるなど、極めて自由度が高く制約は少ない。基本的にはなにをしていても(なにをしなくても)良く、本の執筆という主要目的ですら放棄することが出来る。新システムの「イメージ調合」は特定レシピの材料を入れ替えることで行うものだが、入れ替えられる素材は既に決まっている。最初から主人公二人を完全に別行動させられ、日単位で自動的に切り替わり、調合期間中は自動的にスキップされる。また評価の高さは一部イベントの発生条件だがエンディングとは無関係。2年目以降は新キャラのアニスと入れ替えることが出来るようになるが、すべての能力において著しく劣る彼女を育てる必要はない。上位エンディングを迎える為の条件アイテムも多めに設定されており、すべてのアイテムを調合しなくてもよい。また、調合に専念している期間中も冒険者たちは独自に行動しているため自動的にレベルアップし成長する。自由度が高い反面、MPや疲労度の回復は前作までと比べてシビア。疲労回復の主要な手段だったワインは店で売っておらず、採取による外出やキャラの入れ替えでも一切回復しない。このため自前で作成した回復アイテムを頻繁に利用することになる。前作でお馴染みの特定日のイベント(6月18日の日食と、8月15日の夏祭り)は健在だが、暮れの武闘大会は周辺諸国との関係上中止になっている。また、国王即位により1月1日に発生していた王子のお忍びイベントも勿論ない。前作に登場した人物でゲーム中未登場の者たちも随所で名前や存在が仄めかされており、とあるエンディングではリリーも意外な形で登場する。前作『マリー&エリー』後のお話。ある日工房を経営する二人の元にかつての師であるイングリドが「5年後に完成する大図書館にアカデミー卒業生である貴方達の書いた本が欲しい」という話を持ちかけてくる。新システム「イメージ調合」を利用して今まで誰も作らなかったアイテムを調合し、本にしようと決める2人にアカデミーの先生になるために留学してきたアニスを加えた3人で未来に残す本を作るための執筆活動が始まるのだった。プレイヤーが操作する本作品の3人の主人公。アイテムを調合する人によってアイテム図鑑のコメントが違うので、これにより各キャラクターの好みなどがわかる。また、冒険者たちとの友好度も個別に設定されており、他の二人に対する信頼度も設定されている。3人には得意な属性が設定されており、その属性のアイテムを調合する時は成功率が上昇する。今作では、事前に四人まで雇う事ができ、街から出る際に二人までを選んで出発する。冒険者達にも採取材料を持たせる事が可能で、戦闘力の高いキャラは少なく、低いキャラは多く設定されている。インディソフトウェアとGMOモバイルにより「GREE」から2012年2月20日配信開始。ソーシャルゲーム。2012年12月17日配信停止。プレイヤーはスカウトされて錬金術士を目指し、マリーやエリーら先輩錬金術師のサポートを受けながら、マリーらのほか、城の騎士や冒険者、武器屋の親父などからの依頼を受け、物質を生成したり、モンスターを退治したりしながら、錬金術師としての修行を続け、人々と交流をはぐくんでいく。服やアクセサリをつけることによって、見た目が変化するほか能力地にも影響が出ることがある。「友達」になった他のプレイヤーを用心棒に雇うこともできる。キャラクターデザインを務めた山形伊佐衛門による同名ゲームのサイドストーリー、エンターブレイン(ビームコミックス)刊。南の国から来た留学生サライが主人公。一年間の留学期間中にエリーたちと出会い、彼女たちを通して、アカデミーだけでなく、ザールブルグという街の独特な雰囲気、そして錬金術とは何かという命題を得て、それぞれが少しずつ成長していく物語。ゲームのストーリーをなぞりながら、空白部分を埋めていく構成になっている。下巻の後半には、『電撃PlayStation』に連載されていた紹介イラストが掲載されている。サライはこの漫画のオリジナルキャラクターだったが、第3作『リリーのアトリエ』にてある条件を満たすとエンディングに出演しているのが見られる(条件を満たしても本編には一切登場しない)。越智善彦によるコミカライズ、エンターブレイン刊。舞台設定としては、『エリー』のノーマルエンディングから始まり、ザールブルグに帰ってきたマリーと二人で新しい工房を開く『ふたりのアトリエ』をベースとし、そこで起こるドタバタ劇を扱うという物。また、GB版『マリー』と『エリー』の両方の要素が取り入れられており、「パセック」と「プルシャ」という妖精が登場する。ルーウェン、ロマージュを除くマリーとエリーの登場キャラがほぼ全員登場し、そのほか『リリー』からはウルリッヒとリリー、そして名前だけではあるが『ユーディー』からユーディーが登場する。GB版『エリー』のボス「シュトラーフェ」と「ウーナ」と、名前は若干違うもののGB版『マリー』から「黒騎士」が登場する。第2巻中盤以降から、話は魔王ファーレンと関係した話へとなっていく。また、ゲーム中には登場しないオリジナルアイテムが多数登場する。連載終了後も作者の作成する同人誌内で外伝的エピソードが作り続けられており、「マリーとエリーのアトリエ ザールブルグの錬金術士 Second Season」というタイトルでエンターブレインより発売される。また、作者ロングインタビューと販促用原稿を収録した新装版が上下巻で発売された。
出典:wikipedia
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