精神障害の診断と統計マニュアル(せいしんしょうがいのしんだんととうけいマニュアル、)は、のための共通言語と標準的な基準を提示するものであり、アメリカ精神医学会によって出版された書籍である。DSMは当初、統計調査のために作成された。DSMの第3版より、明確な診断基準を設けることで、精神科医間で精神障害の診断が異なるという診断の信頼性の問題に対応した。DSMは、世界保健機関による疾病及び関連保健問題の国際統計分類(ICD)とともに、国際的に広く用いられている。いずれも記述精神医学であり、「特定の状態が特定の期間に存在する」という具体的な診断基準を設けた操作的診断基準に属する。疾病の解明に加え、各々の医師等の間における結果の比較を可能とし、また、疫学的調査に有用である。「したがって、極言すれば、診断基準は元々、個々の患者での診断を正確に行うために作られたものではない」と言うことも出来る。明示的な診断基準がないため、以前の診断基準では、アメリカと欧州、また日本での東西によって診断の不一致が見られた。このような診断の信頼性の問題により、明示的な診断基準を含む操作的診断基準が1980年のDSM-IIIから採用され、操作主義の精神医学への導入であり画期的ではあった。一方で、恣意的に適用されてはならないといった弱点はいまだ存在する。依然として、どの基準が最も妥当性があるかという問題の解決法を持たず、他の診断基準体系との間で診断の不一致が存在するため、原理的に信頼性の問題から逃れられないという指摘が存在する。DSMは、その日本語訳書において「精神障害/疾患の診断・統計マニュアル」と訳されている。「精神障害/疾患の分類と診断の手引」の訳は、DSMの早見表のものである。最新のDSMは第5版で、2013年5月18日に出版された。日本語訳は2014年6月30日に「DSM-5 精神疾患の分類と診断の手引」は同10月23日に出版された。DSMは精神医学上の診断カテゴリーと基準の標準化に貢献したとして称賛されてきたが、一方で論争と批判も生み出した。批判者には、アメリカ国立精神衛生研究所()も含まれ、DSMは非科学的で主観的なシステムを叙述するものだと主張している。診断カテゴリのと、外面的な症状に依存すること、カテゴリー間および正常とのあいだの人為的な境界線の使用、文化的バイアスの可能性、人としての苦悩を医療の対象としてしまうこと--これらに関する諸問題が、現在も存在しつづけている。DSMの出版には厳格な著作権管理が行われ、アメリカ精神医学会は年間500万ドル以上、通算1億ドル以上をもたらしている多くの精神福祉の専門家は、患者を評定した後、確定と患者の診断を伝える手助けにこのマニュアルを用いる;一般的にアメリカにおける病院やクリニック、保険会社は患者を治療するためにDSMの診断を要求する。DSMはこのように臨床的に広く用いられ、また患者のカテゴリーとして研究目的で診断基準が用いられる。特定の障害における研究は、障害のためのDSMの基準の一覧に一致する症状を有する患者を募集する。66か国での精神科医の国際的調査が、とDSM-IVの使用を比較し前者が臨床診断に、後者は研究での評価により頻繁に用いられていた。DSM-5と、以前の版は、アメリカ精神医学会(APA)の登録商標である。DSMは単なる診断基準であり、さらに客観的な指標として得点化する場合には評価尺度が用いられることがある。うつ病におけるハミルトンうつ病評価尺度のような特定の診断に対応したものが存在する。なお、日本国内には、診断基準にDSMではなく、ICD-10を採用している病院もある。日本の行政においてはICD-10が用いられている。DSMはICD-10における「」にほぼ相当する。DSMの「Mental Disorder(精神障害)」は非常に幅広い概念である。DSM-IVでは374種類の障害が含まれる。したがって、DSMに記載されたあらゆる精神障害の有病率を合計すると、著しく高い数値となってしまう。また、精神障害の有病率を調査する場合、特定の障害に絞り込んで調査することが一般的である。2005年、WHO世界精神保健調査は、DSM-IVの4つの診断カテゴリに含まれる19種類の(軽症例を含めた)障害について、米国人の生涯有病率を46.4%、12ヶ月有病率を26.2%と報告している。アメリカ合衆国における精神障害の分類を発達させる初期の推進力は、統計情報の収集の必要性であった。最初の公的な試みはであり、「白痴および狂気」のただ1つのカテゴリーが用いられた。3年後には、アメリカ統計学会がアメリカ合衆国下院に対して公に抗議し、多くの町で黒人の全員が精神異常とされているなどの誤りが指摘されるようなシロモノであった。1844年には、精神異常のためのアメリカ施設医療管理協会()が組織され、1892年にアメリカ医学心理学会(American Medico-Psychological Association)に改名し、1921年に現在のアメリカ精神医学会(American Psychiatric Association)となる。エドワード・ジャービスと後には、人口調査を1870年の2巻から、1880年の25巻にまで拡大した。フレデリック・H・ワインが指名され書いた582ページの巻書は、「第10回人口調査を反映したアメリカ合衆国人口の不全者、依存症と非行者分類の報告」("Report on the Defective, Dependent, and Delinquent Classes of the Population of the United States, As Returned at the Tenth Census
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