ヒョウモンチョウ族(Argynnini、豹紋蝶)は、チョウ目タテハチョウ科ドクチョウ亜科内のひとつの分類単位。本族に分類されるチョウは、和名の通り黄色の地に黒い斑点が並んだヒョウ柄模様の翅を持つものがほとんどである。日本では本族内の一種 "Brenthis daphne" (Denis et Schiffermüller, 1775) に「ヒョウモンチョウ」(別名ナミヒョウモン)の和名が充てられるが、「ヒョウモンチョウ」という言葉は本族のチョウの総称としても使われることが多い。熱帯性のウラベニヒョウモン、ヒメウラベニヒョウモン、ウスイロネッタイヒョウモンなどは近縁の Vagrantini 族とし、ヒョウモンチョウ族とは普通区別される。寒帯から熱帯まで全世界の陸上に分布し、分類法にもよるが14属・100種ほどが知られる。分布の中心は北半球の温帯・寒帯地域で、チョウとしては北方系の分類群として位置づけられる。このうち日本では8属・14種が見られる。成虫の前翅長は20mm-45mmほどで、種類によってかなり異なる。暖地性の種類は大型だが、寒帯産や亜寒帯産の種類はシジミチョウ類とあまり変わらない大きさのものもいる。翅は丸みを帯びた三角形で、尾状突起などの極端な凹凸は無い。翅の表側はどの種類も黄色-茶色の地に黒い斑点が点在し、ヒョウの毛皮の模様に似ることから「豹紋蝶」の和名がある。ツマグロヒョウモンやメスグロヒョウモンのメスなど判別しやすい種類もいるが、どれも似たような模様で、さらにオスメスの区別も困難な種類が多い。野外で飛びまわる個体を同定するのも難しく、採集もしくは注意深い観察が必要である。同定には斑紋の配置が手がかりとなるが、前翅より後翅、翅の表側より裏側に特徴が現れやすい。また、成虫の前脚が短くたたまれること、幼虫に棘や毛が多いこと、蛹が尾部だけで逆さ吊りになる垂蛹型であることなどは他のタテハチョウと共通する特徴である。おもに日当たりの良い森林の周辺、草原、湿原、岩場などに生息し、寒冷地を好む種類ではアサヒヒョウモンなど高原性のものも多い。ほとんどの種類が年1回だけ発生する。温暖な地方では成虫の期間は比較的長く、晩春に羽化して夏の暑い時期に一時的に活動を停止して「夏眠」、秋になると再び活動するものが多い。ただし暖地性・多化性で夏眠もしないツマグロヒョウモンのような例外もある。幼虫の食草はスミレ類が多いが、ワレモコウ類、キバナシャクナゲなどを食べる種類もある。どちらにせよ草原性草本に強く依存した分類群といえる。成虫は食草に直接産卵せず、周囲の岩や樹木に産卵する性質がある。冬は卵または若齢幼虫で越冬し、春になると食草に幼虫が現れる。成虫は日当たりの良い所を好んで飛び、各種の花に訪れる。ヒョウモンチョウ類は古くからタテハチョウ科に組みこまれていたが、研究が進んだ結果、かつて独立した科として扱われていたドクチョウ類に近縁とされ、21世紀初頭の時点ではドクチョウ亜科に組みこまれる。ヒョウモンモドキ族(Melitaeini)とは成虫の色彩が似るが、ヒョウモンモドキ族は狭義タテハチョウ科のタテハチョウ亜科(Nymphalinae)に属するため、さほど近縁ではない。日本には8属・14種のヒョウモンチョウ類が分布する。北日本には種類・個体数とも多いが、西日本では種類数が減り、冷涼な山地に分布するようになる。小型種は北海道や本州各地、大型種も四国山地や九州山地に分布南限がある。このうちアサヒヒョウモンは1965年に国の天然記念物に指定され、採集が禁止されているが、他の種類も20世紀後半頃から個体数を減らしている。この原因は詳しくわかっていないが、地球温暖化、外来種の侵入、人里付近の草原が利用されなくなったことによる遷移の進行などで草原の環境が変化したためと考えられている。2000年に公表された昆虫類の環境省レッドリストには以下の3種(2亜種)がリストアップされている。他にも都道府県・各市町村レベルでの指定も多く、動向が注目される。ただし暖地性・多化性のツマグロヒョウモンは個体数が安定していて、さらに関東地方付近では分布域の北上も報告されており、他のヒョウモンチョウ類とは違った傾向が見られる。
出典:wikipedia
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