カルテル(、)は、企業・事業者が独占目的で行う、価格・生産計画・販売地域等の協定である。「企業連合」とも。特に官公庁などが行う売買・請負契約などの入札制度における事前協定は談合という。シャーマン法第1条はシンジケートや紳士協定もカルテルとみなすことがある。同法がウェッブ・ポメリン法により修正を受けた結果、1904年にできた板ガラスカルテルに米輸出組合が参加してしまった。2014年、全地球規模ともいえる高圧電線の国際カルテルが摘発された。2007年1月に欧州委員会が総額で7億5千万ユーロの制裁金支払命令を出した送電線スイッチカルテルも、同様にABBグループを中心とする。どちらのカルテルにも日本勢が多数参加しているが、中身は多少違っている。スイッチカルテルのフランス勢にアルストム、アレヴァ、ソシエテ・ジェネラル系の同族企業であるシュナイダーエレクトリックがいる。ジーメンスは唯一のドイツ勢である。この記事では生産活動に関する本来のカルテルについて説明する。なお、俗に甲州選挙のような事前申し合わせのある選挙戦も比喩的にカルテルと呼ぶ。麻薬カルテルも通謀に着目してカルテルと呼んでいる。中世のカルテルは座、株仲間、ギルドのように呼び方がまちまちだった。法律で規制する観点から似たような協定をカルテルと総称するのは近現代からである。カルテルの寿命は契約上まちまちである。戦間期に乱立した事情もあいまって、時系列に並べるのは容易でない。世界経済に影響する程度もそれぞれ態様が異なる。この点、有名すぎるカルテルについて考え方によりその影響力が限定的となる場合を指摘できる。デビアスのダイヤモンドカルテルは奢侈品としてのものである。工業用ダイヤモンドは製造できる。石油輸出国機構の力は専ら石油ショックで記憶される。これは古参の赤線協定と競争になった。石油自体も戦前から注目されてきたオイルシェールその他いくつもの代替エネルギーと競合した。猛威を振るった国際カルテルをいくつか紹介する。錫カルテル、、銀カルテル、海運アライアンス、ポイボス・カルテル、無線カルテル、通信社カルテルなどは、各国の政治・法律と私的自治の論理によって規制を免れてきた。合成窒素カルテルには遅まきながら日本も参加した。キニーネカルテルは農産物が対象である点で興味深い。いわゆる鉄鋼カルテルは時代・地域・製品により区別されたものが国連などから多数報告されている。リヒャルト・クーデンホーフ=カレルギーの汎ヨーロッパ主義提唱から3年後、1926年にドイツ、フランス、ベルギー、ルクセンブルク、ザール間で"Entente internationale de l'acier" が結ばれた(ルクセンブルクの歴史#経済問題を参照)。これは欧州石炭鉄鋼共同体の礎となった。国際カルテルは必ずしも国益を考えず利益本位で動く。シャーマン法規制に活躍したウェンデル・バージは、国際カルテルを「私的政府」と呼び糾弾した。戦後、日本の財閥解体は「トップのいない企業結合体」を存置する方針となり、財閥が再結集するという結果となった。逆コースをつき進む日本は、1953年に独占禁止法を改正してカルテルを一部容認した。1958年、西ドイツで競争制限禁止法が公布され、日本の公正取引委員会にあたる連邦カルテル庁が発足した。カルテルは原則禁止されたが、多数の例外規定が設けられていた。ドイツには戦前から多様な独占形態が存在した(具体例)。西ドイツ競争制限禁止法の原則規定は1条で、2条から8条が例外規定であった。そのうち4条で定める適用除外対象が不況カルテルであり、5条の対象は合理化カルテルであった。1965年と1973年の法改正により新たに専門化カルテルが適用除外となった。5条2項から分離して各年に5a条と5b条が新設されたのである。西ドイツ競争制限禁止法は日本の独占禁止法に影響を与えた。まず西ドイツ競争制限禁止法4条の下地となった草案2条が独禁法旧24条の3へ伝播し不況カルテルを容認した。そして西ドイツ競争制限禁止法5条が独禁法旧24条の4となり合理化カルテルを許容した。不況カルテルとは、字のごとく不況を耐え抜くためのカルテルである。不況カルテルの「不況」とは、景気循環で訪れる不況をいうのか、それとも構造的不況をいうのか問題になる。この点西ドイツ競争制限禁止法草案2条が削除されたのは、両方の不況、特に循環不況においてカルテルを認めていたことが批判されたからである。この意味で日本独禁法の不況カルテル規制は緩く、ニクソン・ショックによる円高不況とオイルショックによるコスト高不況の1970年代に造船業やステンレス業界などから多くの申請があり、認可された。西ドイツでは、欧州石炭鉄鋼共同体の緩さを除けば1957年以降、申請数がわずか、認可は皆無であった。1978年3月31日に連邦カルテル庁が判断原則を公表してからは認可されやすくなっていた。西ドイツで不況カルテルが認可される前提要件は4点あった。まず、カルテルの主体が生産・製造・加工または組立部門(限定列挙)であること。製品の有体物であることまで必要とするかどうかについては、電気その他エネルギーもふくむと解釈された。次に、構造不況のため需要回復の見通しが立たないこと。不況を判断する地域については従来からの販売態様を基準とした。そして、カルテルによる競争制限が、生産能力を需要に計画的に適合させていくのに必要な限度であること。最後に、比較衡量に適っていること。4条で義務となっている設備廃棄計画が、当事者間で合意に達するためにカルテルを必要とする場合などは許される。以上4点に加え、特に産業部門不況カルテルについては8条2項でLRA 並みの厳格な基準を設けていた。合理化カルテルとは、字のごとく事業を合理化するためのカルテルである。合理化内容いかんは独禁法で4種類を限定列挙していたので専ら西ドイツの問題であった。第一には経営合理化、つまり費用対効果の改善である。しかし量産化であえて品質を下げるなどというのは駄目で、一応イノベーションが志向された。国民経済は二義的要素であった。そして、合理化カルテルは独禁法で生産業に限定していたが、西ドイツではサービス業に適用できた。かかる合理化カルテルは西ドイツ競争制限禁止法準備段階当初からの基本構想であって、ルール地方のゲオルクなどの取扱いと関係して立法に向けて草案が修正された。そして5条1項の規格統一カルテルは届出さえすれば認可されたから、欧州石炭鉄鋼共同体と同様に輸出先には遠慮がなかった。規格統一カルテルの最初は19世紀にさかのぼる。メートル条約がその後の発展を基礎づけた。1896年に欧州で国際材料試験協会"International Association for Testing and Materials" が発足して国際標準化時代が到来した。2年後設立のアメリカ支部はASTMインターナショナルである。このブームに乗って1926年に万国規格統一協会ができた。やがてこれを国際標準化機構が承継した。20世紀初頭には国際電気標準会議と国際無線電信連合が並行して発展をとげた。2001年からはが、国際標準化機構、国際電気標準会議、そして国際電気通信連合のITU-Tから、会長・副会長・事務局長等を集めて一層緊密に連携している。最近で国際標準化の俎上に上がっている構想はスマートグリッドとブロックチェーンである。欧州石炭鉄鋼共同体から不況・合理化カルテルまでは系譜としての関係ができている。そして、鉄鋼カルテルの前にリンクを列挙した国際カルテルの中には鉄鋼カルテルと出身地の近いものが幾つか存在している。日本法の「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」(以下「法」)は、これを不当な取引制限として禁止している(法第3条後段)。日本では、公正取引委員会が独占禁止法に抵触するカルテルを結んだ事業者等に対して課す金銭的不利益のことを課徴金と呼び、刑事罰の罰金と区別している(結果的に両方が科せられるケースもある)。日本における課徴金の最高額は、2010年に発覚した光ファイバーケーブルの納入をめぐるカルテルで、住友電気工業、古河電気工業、フジクラらに約160億円の納付が命じられたもの。住友電気工業と古河電気工業は、直近に公正取引委員会から別の課徴金納付命令を受けていた経緯があり、課徴金の割増制度が適用され極めて高額なものとなった。アメリカ合衆国や中華人民共和国など多くの国では、国益を損ねるカルテルを防止する法律を運用しており、反トラスト法または独占禁止法といった訳が当てられている。アメリカでは、アメリカ合衆国司法省が反トラスト法を所管している。アメリカにおける反トラスト法違反の罰金の最高額は、2011年に発表された5億4,800万ドルで、アメリカ向けの自動車用ワイヤーハーネスの価格カルテルを続けていた、日本の矢崎総業とデンソーに対して申し渡されたもの。なお同時に矢崎総業の日本人幹部4人が、1年3カ月から2年の禁錮刑を受けることも司法取引で同意されている。著作権法、特許法、実用新案法、意匠法、商標法の権利の行使に関しては、1947年当初から、法第21条に基づき適用が除外されている。いわゆる「パテント・プール」などがこれにあたる。法律に基づいて設立された組合のうち一定の条件を満たす組合の行為については、1947年より法第22条に基づき適用除外となっている。ただし不公正な取引方法が行われる場合や、一定の取引分野の競争を実質的に制限し価格を引き上げるような場合は適用の対象となる。法令により独占禁止法の適用が除外されている団体は次のとおり。1953年(昭和28年)に、法改正により再販売価格維持制度が設置され、法第23条に基づき、公正取引委員会が指定した商品については、再販売価格が維持できることとなった。ただし、一般消費者の利益を不当に害する場合や、生産者の意に反して契約が行われた場合などは、独禁法の適用対象となる。なお、価格を決定し契約を行った事業者は、再販売価格維持契約の届出に関する規則に基づき、契約成立日から30日以内に公正取引委員会に届出をして認定を受ける。指定商品は次のとおり。かつては、化粧品にも再販制度が適用されていた。法の適用除外として不況カルテルや合理化カルテルが認められ、カルテル価格が公認されることもあったが、適用除外制度の見直しとして、不況カルテル制度及び合理化カルテル制度の廃止(平成11年7月23日施行)並びに商工組合の経営安定カルテル制度及び合理化カルテル制度の廃止(平成12年3月2日施行)が行われた。現存するカルテルは次のとおり(2014年現在)。公共事業などにおける競争入札の際、複数の入札参加者が前もって相談し入札価格や落札者などを協定しておく談合()と呼ばれる商慣習もカルテルないし「不当な取引制限」であり、独占禁止法違反に該当する。刑法の談合罪(刑法96条の6第2項)で処罰され、また官製談合防止法による規制対象となる。入札は官公庁の発注工事などで見積最低価格の業者に発注するべく行われるものであるが、指名された業者が示し合わせ、特定の業者を受注させるべく談合し、それ以外の業者が特定の業者の価格を上回る札を入れる行為が入札妨害の談合といわれる。結果的に発注価格が高止まりするとされるが、そもそも、指名競争にさせる段階で、安く施工させようという姿勢に欠ける発注者の問題がある。一般競争で技術力を評価できない発注者が、工事の内容や品質保証を行うこと自体当事者能力に欠けていると考えられる。不当に安い見積もりであっても、工事の正当性を管理監督したうえで、品質保証(安全も工期も)を確保するべく一般競争入札を実行すれば、談合行為は行えなくなる。2003年以降、電子入札が普及し入札業者が増えてくる傾向にあるので、発注者は当事者能力と技術力を高めて行く必要がある。公共事業などで競争入札が義務づけられているにもかかわらず発注者が受注者を指名するなど、発注者側(行政などの「官」)がカルテルを主導する汚職を官製談合という。通常は天下り先の提供や金品など、贈収賄や便宜供与を伴う。新潟市では2001年、下水道工事をめぐる発注で不正と思われる入札があり、その後の調査で過去から幾度にも渡って官製談合があったことが発覚し、2003年9月に大手ゼネコンや地元業者、市役所などが立ち入り検査された。また、2004年には113社の業者に対し排除勧告をし、職員や業者が数名逮捕された。2005年には、日本道路公団と天下りOBによる橋梁談合事件が発覚。談合組織「かずら会」が明るみになり現役の公団副総裁が逮捕され、計12人・26社が起訴された。2006年には、福島県と和歌山県と宮崎県で相次いで官製談合事件が発覚した。各県とも知事が特定業者に落札させる入札妨害を行い、10月に福島県:佐藤栄佐久、11月に和歌山県:木村良樹、12月に宮崎県:安藤忠恕と、3か月の間に3人の知事が逮捕されるという異例の事態となった。これを受け、談合に関与した公務員への罰則などを新たに設けた『官製談合防止法改正案』が予定よりも早く2006年12月8日に成立し、公布後3か月である2007年3月14日に施行された。2010年3月には、防衛省航空自衛隊第1補給処において4年間にわたり事務用品発注を巡る官製談合が常態化していたことが発覚。制服組トップである航空幕僚長が辞任することとなった(詳細は航空自衛隊事務用品発注官製談合事件を参照)。談合を題材とした作品には次のようなものがある。
出典:wikipedia
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