芝(しば)とは、1種類あるいは数種類の芝草を人工的に群生させ、適宜刈り込みなどの管理を行い、地表面を緻密に被覆するような生育を維持させ、ある程度の広がりをもち、運動や休養や鑑賞や保安の目的に利用されるイネ科の多年草の総称である。芝草とも呼ぶ。複数の種類がある。シバ属のシバ("Zoysia japonica" Steud.)という和名の植物もあり、これも芝として利用されるが、シバ属以外の植物にも芝として使われるものは多い。また、芝草が密集して生えていて、絨毯のように一面に生えている状態を指して芝生(しばふ)と呼ぶ場合がある。日本においては、大きく分けて日本芝と西洋芝に分けられ、そこからさらに夏型芝や冬型芝に分けられる。日本芝は夏型芝のみであるが、西洋芝は夏型と冬型の両方の種類がある。万葉集や日本書紀の和歌に「芝」の記述が見られるものが、日本の歴史上確認されているなかでもっとも古い。ここでの芝は、おそらく自生する日本芝の一種の野芝である。一方で、平安時代に書かれた日本最古の造園書「作庭記」には、「芝をふせる」という記述が見られるために、芝が造園植物材料としてこの時代には認識されていたものと思われる。また、明治時代に入り諸外国との交流が活発化すると、各地で西洋芝が導入された。日本芝は、日本に自生している植物である。高温多湿に適応した芝で、生育適温が23 - 35と高い。そのため、通常の管理をしていれば、日本の夏でも耐えることができる。しかし、気温が23以下になる11月から3月の冬季には、生育が停止し、葉に黄変が見られるようになる。日本芝は、栄養体繁殖(張芝)により繁殖させることも特徴で、その成育形態はランナーが伸びることによる節間伸張である。西洋芝は、日本芝より多くの刈り込みを必要とすることが特徴で、3 - 11月(成長が止まる7月と8月の夏場をのぞく)に刈り込みを必要とする。西洋芝は、病害に対する抵抗力も弱いために、農薬の散布を必要とする。このことが、西洋芝を使用したゴルフ場による環境破壊へつながっている側面もある。冬型芝は、夏の暑さを乗り切ることも難しく、病害虫の発生にも充分に気を遣わなければならない。夏型芝は、日本芝の性質とほぼ同じである。西洋芝(冬型芝)は、生育適温が16 - 24で1 - 7の低温まで耐えることができる。冷涼な気候を好み、日本での生育適地は北海道である。日本には明治以降に芝生の植栽材料として輸入された。もともとは牧草から転葉したイネ科植物である。繁殖は播種(種まき)により行う。生育は分蘖(株分け)で増殖する。マット状である切芝の大きさは、生産地で異なる。鳥取県では、37.1cm×30cmの切芝を9枚で1束としている。静岡県では、36cm×28cmの切芝を10枚で1束としている。また、屋上緑化用に、育成基盤と芝が一体となったターフマットでは、50cm×50cmの切芝を4枚で1束としているものや、50cm×2mの細長い芝を巻き取りロール状としているものもある。マット状に裁断された芝には、いくつかの張り方がある。単純に隙間なく詰める張り方はもっとも一般的であるが日本の伝統的な張り方もある。芝生の管理には、いくつかの作業があるが、いずれも短期・長期にわたって芝生の品質に影響を与える。公園や運動場で、見栄えのために植えたり、運動をしやすくするためのクッションとして植えられることが多い。しかし、芝へ立ち入ると芝が荒れる可能性があるので、立ち入り禁止がたびたび行われる矛盾について、しばしば議論を呼ぶ。最近では、校庭(運動場)に芝生を植えた小学校が増えつつある。はだし教育として裸足で運動しても痛くないなどのメリットがあり、また緑化として効果があるとされる。野球場のフィールドには、選手の膝や足にかかる負担を軽減できるため、芝が敷き詰められる。とくにメジャーリーグベースボールで使用される球場は、内外野総天然芝であることが多く、人工芝の球場は2015年現在で全30本拠地中2球場のみ、内野が土のみの球場はメジャー及びトリプルAでは皆無である。一方、日本では、球場が屋根付きであるために天然芝を育てられないこと、さらには野球以外のコンサートなどに貸し出しされたあとの芝の保守・管理コストが安いという理由により、日本野球機構管轄のプロ野球の一軍公式戦で使用される球場では、圧倒的に人工芝が利用されていることが多い。二軍や独立リーグ、アマチュア野球を主たる利用とする地方球場は外野こそ天然芝であるも内野が土のみであることがほとんどであり、軟式野球やソフトボール専用の球場では外野すら芝が敷かれていない、あるいは常緑でないこともままある。2016年現在、天然芝を利用するプロ野球一軍本拠地球場はわずか3球場、準本拠地球場を含めても4球場であり、さらに内外野とも天然芝を維持している球場に至っては、MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島、ほっともっとフィールド神戸、楽天Koboスタジアム宮城のみ、地方球場を含めても6球場のみである。またメジャーリーグの球場が、ケンタッキーブルーグラスに代表される冬芝により1年を通じて常緑の状態を維持しているのに対し、日本では冬芝を夏季に維持することは気候上困難であるため、MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島と阪神甲子園球場では、夏芝ティフトン419と冬芝ペレニアル・ライグラスのオーバーシード(二毛作方式)を採用している。日本サッカー協会では、開催試合に応じて競技場を5クラス(S・1・2・3・4)に分けられ、Jリーグの公式試合が開催可能なクラス2以上の競技場は常緑の天然芝が義務づけられており、そのために多くの競技場でウインターオーバーシーディングが盛んに行われている。1994年に設けられたスポーツターフ研究会は、芝生管理技術の向上に後援したり、財団法人都市緑化技術開発機構主催の「スポーツターフ管理者のための研修会」に後援したり、校庭の芝生化支援に取り組むなど、何かと芝生に対する関わりの深い組織である。アメリカンフットボールの場合、シーズンの気候及び競技の性質から天然芝ではフィールドが傷みやすいことと、プレーのスピードが出やすいとの理由から人工芝の球技場も目立つ。特に日本では、ノエビアスタジアム神戸のように芝の維持を理由にアメリカンフットボールへの貸し出しを中止する球技場もある。しかし、野球同様選手への負担面からNFLでは球技場を新装する際に天然芝に変える球団も少なくない。NFLにおける天然芝球技場のうち、フェニックス大学スタジアムは芝に対する負担を軽減するための施策として、年間350日ほどフィールドを球技場外に出し、試合時のみ球技場内に戻して使用する可動式システムを採用している。その一方、近年はデッソ・グラスマスターに代表される天然芝と人工繊維を編み込んだ、強固で水捌けも良い強化天然芝(ハイブリッド芝とも)を採用する球技場も増えつつある。競馬場のコースには、芝コースとダートコース、オールウェザーコースなどがあるが、ヨーロッパの競馬場は芝コースが主体で、かつ、芝コースだけを持つところがほとんどである。日本、アメリカなどでは芝コース、ダートコースの両方が用いられる。芝のコースはダートのコースに比べ傷みやすく、馬場の状態は天候に左右されやすい。日本のように雨が多く、かつ、ヨーロッパに比べて競馬場あたりの施行レース数が多い環境では、芝コースを保護するためにダートコースとの併用が行われることとなった。また、かつては日本の競馬場は野芝のみで冬は黄色くなってしまうことから、1992年に阪神競馬場で採用されたのを皮切りに、順次各競馬場でオーバーシードを用いて夏は野芝、冬は洋芝を生やすことによって一年中芝コースは緑色を保つようになった。(夏に高温にならない北海道の札幌競馬場・函館競馬場は洋芝のみ。また、冬季に開催が行われない新潟競馬場は野芝のみを使用する)また、21世紀初頭から、高麗芝をベースとして、より根付きの丈夫な「エクイターフ」という品種が開発され、順次採用されている。日本の中央競馬ではダートのコースより芝のコースの方がよく用いられるが、地方競馬ではそもそも芝コースを持つのが盛岡競馬場のみであり、圧倒的多数のレースはダートのコースで行われる。ゴルフ場のコースには、グリーンやフェアウェイやティーグラウンドやラフと呼ばれる場所がある。これらには、それぞれ違った種類の芝が植えられる。日本では1980年代後半、芝の維持のために使われる農薬が含まれたゴルフ場排水が社会問題化した。それに伴い、千葉県では、1990年以降建設されるゴルフ場では農薬の散布が禁止され、既存のゴルフ場では農薬散布を少なくするなど指導要項を制定し、国としては環境省が1990年に「ゴルフ場で使用される農薬による水質汚濁の防止に係る暫定指導指針」を定めるなどした。アメリカ合衆国では、一軒家の軒先から道路(歩道の)、隣接地の境界まで芝生を引き詰め、地域の景観として管理を義務づけている地域がある。散水、刈り込みといった管理を怠ると地域のコミュニティから非難される、州や自治体が罰金を科すといったペナルティが生じることがある。芝生は、こまめに草刈りをしてその背丈を抑制することで維持される。これは、植物から見ると、上に伸び上がるたびに切り取られることで、大きな攪乱である。芝生を構成するものはこれに耐えられる性質を持つわけであるが、同様にそれに耐えられる雑草が侵入することもある。それらは芝生と同様に、背丈数cmで花や果実をつける姿で見られる。普通に見かける芝生は、上記のように人工的な物であるが、自然のままで芝生が成立している例もある。日本では琉球列島の海岸線で、石灰岩の上で天然の芝生が成立している。植物社会学ではこれをイソフサギクラスの下にソナレムグラ - コウライシバ群落として認めている。より岩の多い場所ではナハエボシグサやハリツルマサキが混じる。このような物の代表的な物が万座毛で見られる。また、牧畜によって生じる二次植生としても類似の群落が見られる場合がある。
出典:wikipedia
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