ヘラシギ（箆鷸、"Eurynorhynchus pygmeus"）は、チドリ目シギ科ヘラシギ属に分類される鳥類。本種のみでヘラシギ属を構成する。インド、シンガポール、タイ、大韓民国、中華人民共和国、朝鮮民主主義人民共和国、日本、ベトナム、マレーシア、ミャンマー、ロシア東部シベリア東部やカムチャッカ半島で繁殖し、冬季になるとインド北東部やシンガポール、中華人民共和国南東部などへ南下し越冬する。日本には渡りの途中に飛来（旅鳥）する。全長14-16cm。胸部から腹部にかけて白い羽毛で被われる。嘴は短く、先端が扁平で丸く広がり箆状になる。この嘴が和名や英名（spoon-billed=スプーンのような嘴の）の由来になっている。嘴や後肢の色彩は黒。夏羽は頭部から胸部にかけて赤褐色の羽毛で被われ、暗色斑が入る。上面が羽毛の外縁（羽縁）が赤褐色の黒い羽毛で被われる。冬羽は上面が羽縁の白い灰色、頭部から胸部にかけてが白い羽毛で被われる。卵を覆う殻は淡黄色で、褐色の斑紋が入る。幼鳥は上面が羽縁の白い黒褐色の羽毛で被われる。干潟や湿原などに生息する。食性は動物食傾向の強い雑食で、甲殻類（カニ、端脚類）、昆虫、種子などを食べる。嘴を左右に振って泥や砂の中にいる獲物を捕らえる。繁殖形態は卵生。海岸にある砂丘やステップの地面に浅い窪みを掘った巣（植物を敷くこともある）に、1回に4個の卵を産む。主にオスが抱卵し、抱卵期間は18-20日。主にオスが育雛を行う。雛は孵化してから15-20日で巣立つ。オスは生後2年、メスは生後1年で性成熟すると考えられている。開発による生息地の破壊などにより生息数は減少している。1997年における生息数は少なくとも4,000羽と推定されている。

出典:wikipedia