ア・カペラ(イタリア語 : ")は、簡素化された教会音楽の様式のこと。また、そこから転じて、教会音楽に限らず無伴奏で合唱・重唱を行うこと、またはそのための楽曲全般を指す。意味は「聖堂で」「礼拝堂で」の訳があげられる。起源として、グレゴリアン・チャントがある。日本語では「アカペラ」、あるいはイタリア語の発音に近い「ア・カペッラ」、英語発音に近い「アーカペラ」と表記されることもある。ルネサンス音楽では、音楽家が教会を舞台にして、複雑で豪華な曲作りを競い合っていた。このため、宗教儀式なのか音楽会なのか分からない状態となり、また肝心な歌詞が聞き取りにくくなっていた。これを問題視したバチカンは、さまざまな教会改革(対抗改革・トリエント公会議)の一環として、教会音楽の簡素化にとりくんだ。こうして生まれたのがア・カペラ様式であり、それを担った代表的な音楽家がジョヴァンニ・ダ・パレストリーナである。事実、パレストリーナの曲は、それ以前の曲よりも平易で歌いやすいものが多い。イタリア語の'(ア・カペラ)は、英語の'に相当し、「聖堂で」「聖堂において」という意味の副詞句である。これが形容詞句・名詞句化して、教会音楽の1つの様式を指すようになった。ア・カペラ様式の特徴は、というものである。広義のア・カペラは1と3、あるいは、単に3を満たす教会音楽を指す。以上の定義から、必ずしも「ア・カペラ=無伴奏」とは限らない。しかしながら、ルネサンス合唱曲は、伴奏がつけられるとしても、楽譜は無伴奏の形で書かれているものが多い。ダウランドの作品のようにタブラチュアの形で伴奏譜がついている楽曲もあるものの、世俗曲は伴奏を即興的につけるのが普通であり、宗教曲は上記3の理由から、なおさら楽譜に伴奏パートを記す必要がなかった。こうした事情から、いつしか「ア・カペラ様式=無伴奏合唱」というイメージが一般に浸透し、さらには教会音楽以外の無伴奏合唱や無伴奏ボーカルアンサンブルを指す言葉として「ア・カペラ」が広く使われるようになった。近年では無伴奏での独唱をア・カペラと呼ぶ場合もあるが、それは無伴奏ソロと呼ぶべきものであって、本来のア・カペラの意味からすれば誤用である。正教会においては、基本的に聖歌に伴奏をつけることが禁じられており、無伴奏合唱の形態をとる。そのため、チャイコフスキーやラフマニノフ、フリストフといった、器楽曲の面でも才能を発揮した作曲家達も、無伴奏合唱で正教会の聖歌を作曲した。無伴奏声合唱という意味ではこれもア・カペラと言えるが、正教会内では「ア・カペラ」の語を使うことはまれである。ピッチの調節には音叉が広く用いられるが、もっぱら神品の声に合わせてピッチの基準とすることも多い。そのため、楽譜に指示された調を移調して歌うこともしばしば行われる。ポピュラー音楽におけるア・カペラは、リズムやメロディが一時的に停止したブレイクの空白部分に歌唱部分を挿入したり、小人数グループでの無伴奏合唱のことを指す。クラシックの和声的、対位法的な構成だけでなく、ジャズ・ハーモニーによる構成を伴うことも多い。楽曲は聖歌や黒人霊歌に限らず、ドゥーワップ、ゴスペル、R&B、ジャズ、ロック、ポップスなどさまざまなジャンルの音楽が取り入れられる。またクラシックの合唱とは異なり、マイクの使用を前提とするため、声でパーカッション効果を出したり(ボイスパーカッション、ヒューマンビートボックス)、トランペットやギターなどの楽器の音を真似るなど、さまざまな表現手法を用いることができる。1950年代のドゥーワップ・ブームが、アカペラへの関心を高めるきっかけにもなった。ドゥーワップ・グループは、ピアノなどの少ない楽器の伴奏で、アカペラに近いヴォーカルを聞かせた。ヴォーカル・パートはバリトン、テナー、ベースなどに分かれ、ゴスペルのカルテット・スタイルを想起させるものだった。ベース・ヴォーカルがいる場合、グループの表現に深みが増す。現在の録音技術では、山下達郎のように自分の声を多重録音することによって、1人でア・カペラの作品を作ることも可能となっている。トーケンズは61年に「ライオンは寝ている」を、タイムズは63年に「ソー・マッチ・イン・ラブ」を発表し、ともにビルボード1位の大ヒットとなった。「ライオンは寝ている」は72年にロバート・ジョンとトーケンズが、「ソー・マッチ・イン・ラブ」は80年代にティモシー・B・シュミットが、90年代にオール・フォー・ワンが、それぞれリバイバル・ヒットさせている。両曲とも現在では、アカペラのスタンダード・ナンバーになっている。1960~90年代にかけて、欧米のミュージシャン達がアカペラに注目するようになった。ジョージ・クリントンやルー・リードは、ドゥーワップ、アカペラの大ファンだった。特に有名なのは前衛ロックのフランク・ザッパである。ザッパはドゥーワップの大ファンであり、それが高じてドゥーワップ・アルバムを発表した。さらに自身のレーベルからアカペラのパースエイジョンズのアルバムを70年に発表している。パースエイジョンズは、現在ではアカペラの大御所グループとなり、知名度が高い。さらに80年代以降には、[やロッカペラなどのコーラス・グループが人気を得た。1990年にはスパイク・リー監督が、Spike&Co名義で「ドゥ・イット・アカペラ」の映画とアルバムを制作した。同作品には、パースエイジョンズやロッカペラらが出演している。アメリカNBCにおいて2009年から4シーズンにわたり、ア・カペラグループのコンテスト番組『』が放送された。日本では、キングトーンズや山下達郎、シャネルズ、ラッツ&スターなどが早くからア・カペラやドゥーワップを自らの音楽に取り入れていた。2000年頃にはア・カペラサークル出身のゴスペラーズが人気を得て、ア・カペラが一般に知れ渡るようになった。また、2001年からフジテレビの番組『力の限りゴーゴゴー!!』で、学生によるア・カペラのコンテストを行う「ハモネプ」が放送され、出演したRAG FAIRなどのいくつかのグループはプロ・デビューを果たした。近年では、各地にア・カペラサークルが誕生しており、特に大学のア・カペラサークルでは100人を超えるものも珍しくない。その中からclearance、KOBE BOYSなどの大学サークル出身のプログループも誕生している。ア・カペラを歌唱する際には、伴奏がある場合とは異なりピッチの調節が大きな課題となる。事前にピッチパイプや音叉などで音を合わせるが、それ以降のピッチのずれは蓄積していくため、歌唱者には正確な音感が求められる。
出典:wikipedia
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