幻想郷(げんそうきょう)とは、同人サークル上海アリス幻樂団制作の作品群「東方Project」の舞台となっている架空の世界、架空の土地である。東方Projectでは、この幻想郷の中で起こる事件や怪現象を題材としたストーリーが展開される。「幻想郷」という単語が初めて東方Projectに登場したのは東方Project第4弾『東方幻想郷 〜 Lotus Land Story.』だが、地名として初めて使用されたのは第6弾『東方紅魔郷 〜 the Embodiment of Scarlet Devil.』および『紅魔郷』と同時販売の音楽CD『蓬莱人形 〜 Dolls in Pseudo Paradise』であり、第6弾より前では「とある東の国の山の中」などと表現されている。本記事では幻想郷を中心に、東方Projectにおける世界全般について解説する。本記事では、必要に応じて東方Projectの各作品名を略称で記す。詳細は、東方Project#凡例を参照。幻想郷は、日本の人里離れた山奥の辺境の地に存在するとされる。ここには妖怪などの人外のものが多く住んでいるが、僅かながら人間も住んでいる。幻想郷は博麗大結界によって幻想郷外部と遮断されているため、外部から幻想郷の存在を確認することは不可能であり、幻想郷内に入ることもできない。同様に幻想郷内部からも外部の様子を確認することはできず、幻想郷から外へ出ることもできない。ただし、幻想郷には外の世界で失われ「幻想になった」ものが集まるとされ外の世界で減少した生物(トキなど)が幻想郷で増加したり、外の世界で消えつつある道具などが幻想郷に現れることもある。このように特殊な環境にある幻想郷では、外の世界とは異なる独自の文明が妖怪たちによって築き上げられている。なお、幻想郷は結界で隔離されてはいるものの、異次元や別世界といったものではなく、幻想郷も外の世界も同じ空間に存在する陸続きの世界である。幻想郷は内陸の山奥に位置するため、幻想郷内に海は存在しない。以下の説明は、主に稗田阿求著「幻想郷縁起」(『求聞史紀』)での記述による。幻想郷の周りには、幻想郷と外の世界とを分ける2種類の結界が張られている。1つは「幻と実体の境界」であり、もう1つは「博麗大結界」である。博麗大結界があるため、外の世界の人間が幻想郷の内部に入り込む事は基本的に無い。しかし、何らかの理由によって外の人間が幻想郷に迷い込む事があり、これを神隠しという。一度幻想郷に入り込んでしまった者が再び外の世界に戻る事は簡単ではないが、神社まで辿り着ければ戻ることができる場合もあるとされる。戻らずに幻想郷に定住してしまう者も僅かにいて、サッカーなど外の文化が持ち込まれることもあり、新しい文化は幻想郷で一時的な流行になることが多い。幻想郷への神隠しの主な原因は、八雲紫が結界に揺らぎを生じさせているためである。また再思の道から無縁塚にかけては外の世界に繋がりやすくなっており、外の世界の自殺志願者が迷い込む事が多いとされる。幻想郷と無関係の神隠しもあり、量子力学的な現象により遠く離れた場所に迷い込むことがある。月の民である綿月豊姫はこの原理を深く理解して、地上へ繋がる穴を作ったりできる能力を修得している。『儚月抄 小説版』第3話で語られる、水江浦嶋子が月に迷い込んだ事件も、水面に満月が映っている海に飛び込んだところ、水面に地球が映っている月の海に出てしまった神隠しである。外の世界で使われる暦が旧暦から太陽暦の新暦に変わったのに合わせて、幻想郷でも新暦が使われている。一部の妖怪は、月を基準とした「妖怪太陰暦」という特殊な暦を使用している。幻想郷では「季」という紀年法が用いられている。『文花帖(書籍)』によれば、『紅魔郷』は第百十八季、『妖々夢』『萃夢想』『永夜抄』は第百十九季、『花映塚』は第百二十季の出来事である。『求聞史紀』p.162 によれば、9作目の「幻想郷縁起」公開は第百二十一季の出来事である。幻想郷では、「異変」と呼ばれる怪事件や怪現象などの騒動がしばしば発生する。異変とは、幻想郷規模の広範囲に渡る事件のうち発生時点で原因不明とされたものである。東方Projectの作品群は基本的にこの「異変」を題材としたストーリーが展開されるが、『風神録』のように異変以外の出来事が題材となっている作品も存在する。異変の原因は妖怪の気まぐれや興味本位によるものである事が多く、博麗神社の巫女である博麗霊夢が調査に向かい、犯人を見つけて懲らしめるという流れが基本である。異変の解決は博麗神社の巫女が行うのが基本であるが、霧雨魔理沙などの模倣者が異変を解決してしまう場合もある。ゲームやその他作品の題材にはなっていないが、人間の里にも妖怪退治を仕事とする者がいる。以下は、『紅魔郷』以降の作品で発生した異変や出来事である。以下は作中で発生したものではなく、設定上存在するのみの異変や出来事である。以下は、PC-98版ゲーム作品中で発生した出来事である。森近霖之助によれば、「幻想郷に歴史はない」という。これは、幻想郷の歴史とはほとんど妖怪の歴史であり、妖怪は長命で当事者がまだ生きているので、事件が歴史らしい歴史に成りにくいためだという。それでも日々の出来事や歴史を綴った書物や出版物は幻想郷にもある。幻想郷の地図は公表されていない。ゲームや漫画、小説、設定資料集などにおいて、個々の場所が僅かに関連付けられているのみである。博麗神社(はくれいじんじゃ)は、幻想郷に存在する神社。幻想郷唯一の有人神社とされていたが、『風神録』以降は守矢神社が存在するため唯一ではなくなっている。現在は巫女である博麗霊夢が1人で住んでいる。『封魔録』ステージ1は博麗神社を、『紅魔郷』ステージ1は夜の境内裏を舞台にしている。幻想郷で「里」と言えば通常は「人間の里」を指す。里に住む多くの者は、博麗大結界が出来た際に幻想郷に閉じ込められた人間たちの末裔。幻想郷の人間のほとんどは人間の里に住んでいる。妖怪の賢者が保護していて、妖怪退治を仕事とする者も住んでいるため、人間の里の中にいれば妖怪に襲われることはほとんど無い。里の中には妖怪向けの店も数多く有り、人間だけでなく、妖怪も買い物に訪れることがあるという。上白沢慧音はこの里に住んでいて寺子屋を開いており、稗田阿求や本居小鈴もこの里に住んでいる。また、霧雨魔理沙の実家である大手道具屋「霧雨店」もこの人間の里に存在する。『永夜抄』ステージ3は、上白沢慧音によって隠蔽された人間の里が舞台となっている。紅魔館(こうまかん)は、幻想郷の「妖怪の山」の麓、「霧の湖」の畔に建つ洋館。全体的に紅い色調をしている。元々は外の世界の建物だった。この館の主人は吸血鬼のレミリア・スカーレットであるが、主人が「子供」なので、館を実質取り仕切っているのは人間のメイド長の十六夜咲夜である。門番として紅美鈴がいる。レミリアの妹であるフランドール・スカーレットも館内におり、他にも多数の妖精がメイドとして在住している。『茨歌仙』第14話以降はホブゴブリンも働いている。『東方紅魔郷 〜 the Embodiment of Scarlet Devil.』ステージ3以降、およびExtraは、紅魔館が舞台になっている。冥界は、閻魔から転生や成仏を命じられた幽霊が駐留する場所。虫の霊なども居るが鳴くことはなく、生きた植物に混じって植物の霊も植えられている。天界が満員になったため成仏を待つ幽霊が溢れかえり、現世の外の世界に移住する騒ぎがあったため、拡張されて現在は広大な敷地を有する。冥界の管理は、亡霊の西行寺幽々子が閻魔から任されている。顕界とは結界で隔てられていたが「春雪異変」の後は結界が薄くなり、幻想郷との行き来が容易になった。『東方妖々夢 〜 Perfect Cherry Blossom.』のステージ5以降とExtra・Phantasmステージは冥界を舞台にしている。『萃夢想』では、冥界にある墓地が妖夢のステージになっている。迷いの竹林は、竹が生い茂る幻想郷の竹林。深い霧が立ち込め、竹の早い成長により日々変化して目印がなく、緩やかな傾斜によって方向感覚も狂うため、非常に迷いやすい。竹林の中には永遠亭がある。かつては高草郡と呼ばれていて、伝承では大津波によって幻想郷に流れ着いたとされている。因幡てゐはこの竹林の持ち主を自称していて、八意永琳との取引により永遠亭に誰も近付けないようにしていた。また『永夜抄』以降、藤原妹紅が永遠亭へ向かう人間の案内をしている。『東方永夜抄 〜 Imperishable Night.』ステージ4、およびExtraステージ、『東方輝針城 〜 Double Dealing Character.』ステージ3は、迷いの竹林が舞台になっている。無縁塚(むえんづか)とは、魔法の森を抜け、「再思の道(さいしのみち)」を進んだ先にある木々に囲まれた小さな行き止まりの空間にある、無縁仏のための墓地。再思の道から無縁塚にかけては、結界の綻びがある結界の交点になっており、冥界や三途の川とも繋がることがある。また外の世界の物が落ちてきたりすることがある。。妖怪桜である「紫の桜」があるのもここである。『東方花映塚 〜 Phantasmagoria of Flower View.』では、「再思の道」が小野塚小町の、「無縁塚」が四季映姫・ヤマザナドゥのステージになっている。三途の川は、彼岸と現世の境となる川。幻想郷から歩いて河岸に行くことが可能で、「妖怪の山」の裏側にあるのだが、「中有の道(ちゅううのみち)」と呼ばれる道を通らなければ辿り着くことが出来ない。渡し舟担当の死神が船頭をしている。この川は何故か体が浮かないため泳ぐことはできず、死神の船以外の船も沈んでしまう。死者の生前の業に応じて川の長さが変化し、生前罪深かった者は渡るのに時間がかかり疲労する。幻想郷の幽霊の渡し担当の死神に小野塚小町がいる。彼岸は、三途の川を渡った先にある死後の世界。三途の川を渡って彼岸につくと完全に死亡したことになり、顕界に戻ることはできないとされる。十王が統括する是非曲直庁が治めていて、十王と配下の多くの裁判官(閻魔)たちが二交代制で幽霊を裁き続けている。幻想郷の担当には四季映姫・ヤマザナドゥなどがいる。裁かれた幽霊の行先には天界、冥界、地獄などがある。閻魔や死神など彼岸に住む種族もおり、閻魔の四季映姫や死神の小野塚小町は幻想郷と彼岸を行き来している。幻想郷で「山」と言えば通常は「妖怪の山」を指す。多くの古参妖怪や神々が住み、人間や他の妖怪たちとは異なった独自の文化や社会を築いている。特に天狗や河童は、外の世界を模した高度な技術力を持っている。幻想郷にまだ鬼が居た頃、天狗を従えた鬼神が築いた社会が基盤となっており、妖怪には珍しく組織的な社会となっている。仲間意識が強い反面、排他的で、山に入り込む余所者は追い返そうとする。木花咲耶姫に砕かれる前の富士山よりも高かった頃の本来の八ヶ岳であり、大昔は荒らぶる火山であった。百年程前に外の世界の八ヶ岳から石長姫が移り住み、不尽の煙が上がるようになったが、人間の里ではこの煙は河童の工場の煙と考えられている。「幻想郷縁起」には妖怪の山についての様々な噂が掲載されている。山の裏側には「三途の川」へと至る「中有の道」がある。また妖怪の山から流れ出した川が「霧の湖」に注ぎ込んでいる。『東方風神録 〜 Mountain of Faith.』の1・2面は妖怪の山の麓が、3面以降とExtraは妖怪の山が舞台になっている。『緋想天』では妖怪の山が射命丸文のステージに、頂上付近が永江衣玖のステージになっている。天界は、成仏した幽霊や修行して欲を捨てた人間が行くとされる、天人や天女が住む世界。大地が宙に浮かんでいる。比那名居天子や八意永琳によれば、天界はかつては地上に挿されていた巨大な要石が浮上したものである。稗田阿求著の「幻想郷縁起」には、冥界の中に存在して、冥界の遥か上空にあると書かれている。西行寺幽々子によれば、冥界よりも広く、いくつもの世界に分かれている。食べ物は桃と丹くらいしかないが、天界の桃には体を鍛える効果がある。現在は天界が飽和状態になってしまい成仏が規制中とされている。しかし八雲紫は、それは大嘘で本当は土地が狭くなるのが嫌なだけと述べている。地下の世界は地底界と呼ばれる。幻想郷と行き来可能。『東方地霊殿 〜 Subterranean Animism.』はExtraステージ以外は全て地底が舞台となっている。魔界は、無限の広さを持つ異世界。人間の体にとって厳しい瘴気が漂っていて、ほとんどの生き物にとって住むのに適さない世界になっている。しかし、この瘴気には魔法の力を高める効果がある。聖白蓮は妖怪を支援するために魔界の力を使ったという。また一部の妖怪が修行をしたり人間が訪れて魔法を修得することもある。「聖輦船」などにより幻想郷と行き来が可能。『東方星蓮船 〜 Undefined Fantastic Object.』のステージ5以降の舞台になっている。PC-98版作品では『怪綺談』ステージ2以降の舞台として登場したほか、『靈異伝』では「魔界ルート」として名称が登場している。悪魔や魔界人などが住む世界で、魔法のメッカ。魔界の神である神綺が言うには、自分が魔界の全てを創ったという。『怪綺談』スタート時点では魔界と行き来するルートは限られたものしか存在しなかったが、『怪綺談』のエンディングでは魔界人が、魔界と靈夢たちの住む世界とを自由に結ぶ技術を開発している。東方Projectにおける月には、月の民と月の兎が住んでおり、穢れのない世界で非常に高度な文明を発展させている。『儚月抄』では、月の民が結界に守られた「月の裏側」に都を築いていることが明らかにされている。「月の裏側」には、本物の水を湛えた海が存在する。なお「月の表側」とは荒涼とした世界が広がっているように見える偽りの世界を指し、地上から見た月の裏表とは関係ない。月人は、幻想郷のある側の大地を「地上」と呼んでいる。満月の晩には月と地上が繋がり、行き来が可能になるとされる。幻想郷勢力とは千年以上前に「幻想月面戦争騒動」(第一次月面戦争)が発生し月勢力が勝利、『儚月抄』で発生した「第二次月面戦争」では幻想郷勢力が勝利している。『東方儚月抄』中盤から終盤にかけての主な舞台である。『永夜抄』『紺珠伝』においても重要な意味を持つ。このほか、以下の地名が作中や「幻想郷縁起」などで述べられている。ここではPC-98版ゲームにのみ登場する場所を解説する。博麗大結界の外にある世界。幻想郷の土地は結界で隔離されているものの日本にあるため、結界から出れば当然そこは日本である。『妖々夢』や『永夜抄』の「キャラ設定.txt」では、外の世界は幻想郷に対して「人間界」とされている。音楽CD『ZUN's Music Collection』シリーズの2作目以降の作品に付随する冊子には、近未来の日本が舞台のショートストーリーが掲載されている。このショートストーリーでは、日本は京都に遷都しており、東京は荒廃している。食材は合成で作られた物が主となり、天然の食材は貴重品である。2作目『蓮台野夜行』では、宇佐見蓮子が博麗神社の地名をあげている。特記がない限り、主に「幻想郷縁起」(『求聞史紀』)に基づく設定である。妖怪よりも非力な者が見られる。人口は少なく、里の規模も小さい。閉鎖空間である幻想郷においても、食器類や紙など外の世界から流れ着く道具の恩恵を受けて生活している。「幻想郷縁起」では、人間と妖怪のハーフである森近霖之助や、不老不死の人間である藤原妹紅、元月人の蓬莱山輝夜と八意永琳も「人間」に含めている。さらに、外の世界からまれに幻想郷に迷い込む人間を「外来人」として区別している。幻想郷における「妖怪」について、作中で明確な定義は存在しない。「幻想郷縁起」では、数多くの例外はあるものの妖怪の特徴的な傾向として以下のように挙げている。(概ね人間と同じような食性だが、それに加えて人間も食う)。幻想郷の人間と妖怪の関係性において、妖怪は人間を襲うといったものである。しかし現在の幻想郷では人間と妖怪の距離は近くなり、妖怪が人間を取って喰うようなこともほとんどない。妖怪は人間を襲い人間が妖怪を退治するという関係も擬似的なものになっている。妖怪には人間の肉を食べるものや人間の心を食べるものが居るが、内部の人間を食用とすることはない模様。定義次第で妖怪に含まれたり含まれなかったりする。こちらも、定義次第で妖怪に含まれたり含まれなかったりする。
出典:wikipedia
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