コンテナ船(コンテナせん、container ship)とは、45フィート(約13.7m)や40フィート(約12m)、20フィート(約6m)の長さの標準化された鋼鉄製の貨物用コンテナを輸送する貨物船である。タンカーなどと並んで、国際間の海上貨物輸送の主流を占めている。コンテナ船は国際間の貨物輸送の主要な輸送手段として、日用品、工業製品、精密機器、加工済み食品、製材済みの木材や金属インゴットのような原材料などドライカーゴと呼ばれる物のほとんどを運んでいる。冷凍食品も冷凍コンテナによって運搬される。コンテナ船には、設備が整った世界各地の基幹港湾(ハブ港)だけを結び深い海路を進む大型船と、ハブ港から地方港湾を結ぶフィーダー路線を進む小型船とがある。世界の大型ハブ港湾にはロッテルダム、コペンハーゲン、シアトル、オークランド、ロサンゼルス、シンガポール、香港、上海、高雄、釜山などがあり、日本の地方港湾は釜山や上海からの支線が延びるフィーダー港湾に当たる。世界各国の代表的な港湾や、横浜港や神戸港など日本のスーパー中枢港湾は、超大型コンテナ船が立ち寄るハブ港から外されないよう、大型投資や制度改善、国内外の集荷力強化などを進めている。大型コンテナ船の設計においては以下の点が留意される。ほとんどのフル・コンテナ船や多くのセミ・コンテナ船では、貨物コンテナの搭載にセル構造をとっており、船体の動揺時のコンテナ保持と荷役作業の効率化のために、コンテナ四隅の位置にセル・ガイトと呼ばれる垂直レールを備えてコンテナを横方向に動かないよう固定する構造がとられている。レールの最上部にはエントリー・ガイドと呼ばれる斜体が付いていてガントリークレーンなどを使った搭載時に容易にはめ込めるようになっている。この構造全体がセル(Cell)構造やセルラー(Cellular)構造と呼ばれ、セル構造を持つ船倉はセルラー・ホールド(Cellar Hold)と呼ばれる。貨物コンテナと共に他の一般貨物を混載する混載貨物船の中には、セル構造を持たないものもあるが、貨物コンテナを頻繁に積む船はセル構造に改造されるものがある。また、セル構造の有無にかかわらず、貨物コンテナと共に他の一般貨物を混載する混載貨物船の中で、貨物コンテナの搭載専用船艙を持つものを「分載型」と呼び、専用の船艙を持たずに同一スペースを必要に応じて一般貨物とコンテナで共用して搭載する「混載型」の2つに分類される。冷凍コンテナへの給電設備が多くの船に備わっており、一部の船では水冷の配管設備を船艙深部にまで備えている。また、冷凍ユニットの運転状況を監視する装置が備わっている船もある(全て後述)。比較的大きなコンテナ船やフル・コンテナ船では、場所や重量の節約のために船上に荷役機器(クレーンなど)を備えない船が多く、コンテナの積み卸しは、埠頭に設置されているコンテナ専用のガントリー・クレーンで行う場合が多い。しかし、2,900 TEU以下の比較的小さなコンテナ船では、揚荷施設の未整備な港での積み下ろしなどのために自らクレーンを備えている傾向がある。大型セルコン船では、ハッチを閉じるハッチカバーは、旧型船では油圧駆動のヒンジ式等が使われていたが、21世紀の現在はポンツーン型で岸壁のクレーンによって開閉するようになっている。鋼製のポンツーン型ハッチカバーも最初はゴムガスケットで水密が考慮されていたが、貨物がコンテナだけなので現在では船首の1番ハッチ以外は特にガスケットは付けられない場合が多い。また、ハッチの固定締め付けも、その上に積載されるコンテナ重量とコンテナの固縛で押さえられるためにほとんどの船で省かれている。ギャングと呼ばれるコンテナの固縛作業やその解除を行う専門作業チームがラッシング作業を安全・迅速に行えるように上甲板上のコンテナ間に足場となるラッシング・ブリッジを持つ大型フルコンテナ船が登場している。また、ラッシングに加えて、従来船艙内だけだったセルガイドを上甲板上にまで伸ばしたセルガイド延長コンテナ船が登場している。このような設計ではハッチカバーそのものが無いため、海水や雨水が直接船倉内に侵入するので、排水装置が必要になり、消火設備も特に備えなければならない。船尾甲板上の係留作業用デッキの上にまで固定セル構造を備えた船もある。ほとんどのコンテナ船はディーゼルエンジンでスクリュー・プロペラを回して推進力を得ている。また乗組員は20人から40人である。船橋、居住区画、機関室は小型船ではほとんどが船尾に配置されているアフト・エンジン形式であるが、1,000 TEUを越えるフルコン船では船尾に近い船長の1/4-1/3程の位置に配置したセミアフト・エンジン形式が多くなる。オイルショック以後、21世紀初頭の現在でも燃費優先の推進機関が選択されており、大きな船ほどより大きく低速で回転するディーゼル・エンジンを1軸直結の1軸推進器で駆動している。口径1m近いシリンダーを100回転/分程度で回転させて、12気筒そろえて合計10万馬力程度のターボ過給のディーゼル・エンジンが大型コンテナ船で標準的に採用されている。船体が大型であると同時に、一般に船速が25ノット程度と一般商船の中では最速の部類であり、そのためタンカーなどと比べても大型の主機を搭載している。二重反転プロペラの使用によってさらに燃費改善を計画しているが、まだ一般化はされていない。横揺れによるコンテナの荷崩れを防止するために、アクティブな減揺装置としてフィン・スタビライザーが、パッシブな減揺装置として減揺水槽(アンチローリング・タンク)を持つ船が現れている。以下は一般的な荷役を時系列に並べたものであるが、港によって多少異なる。コンテナ船の中にはRO-RO船(Roll on Roll off Ship、RORO船、ローローせん、ロールオン・ロールオフ船)というものもあり、フェリーのようなランプウェイ(斜路)を備えている。ここから貨物コンテナを積んだセミ・トレーラーが岸壁から直接 船内に入り、トレーラーヘッド(トラクタ)を切り離して後部のセミトレーラー部をそのまま積載する方法(ROトレーラ式)か、フォークリフトなどで積み替える方法(ROコンテナ式)になっている。RO-RO船は普通、コンテナ用クレーンを備えていない小規模港湾を結ぶ航路に投入されており、荷役の簡単さと早さからコンテナの末端輸送手段として頻繁に使われている。荷役を行う荷役作業員はチームを組んで作業を行い、このチームは「ギャング」と呼ばれる。従来型の荷役作業では1ギャングが15名前後で組まれていたが、コンテナ化によって1ギャングは8名程度になり、1名のクレーン操作員を加えても9名で1台のガントリー・クレーンごとでの荷役を行っている。この9名程のチームで1時間に30-35個のコンテナを荷役できる。従来型の荷役に比べて作業員あたりの荷役効率は40倍前後になる。大型コンテナ船では1度に複数台のガントリー・クレーンを使って荷役を行うのでさらに荷役効率は高まり、このことがコンテナ船の大型化を可能にした。21世紀初頭現在、海上輸送で流通している貨物コンテナにはすべてに固有の記号が与えられており、コンテナ外面に表示されている。コンピューターはこの番号によって個別のコンテナを把握して、セルへの積付けや配送の順番を決めている。2004年末で世界中の貨物コンテナは1,900万個程あるがその約96%が以下で説明する国際標準化機構(ISO)の規格であり業界標準でもある20フィートか40フィートの貨物コンテナである。コンテナ船に積載される貨物コンテナはその多くが一般貨物コンテナと呼ばれる最も標準的なものであるが。これとは別に、運ぶ荷物に応じた特殊なコンテナがいくつか存在する。いずれのコンテナも21世紀初頭の現在では、ISOで長さ20フイートと40フィート、高さは8フィート6インチのものと長さ40フィートで高さが9フィート6インチのものが国際航路の貨物コンテナとして主流であり、これ以外のものとしては45フィート・コンテナが主に太平洋航路で使用されているが、道路交通法の規定で、日本への45フィートの乗り入れはできない。これら以外のものは日本のJR貨物のように各国の国内での流通に残るものが多い。これら海上輸送に使用される標準化された貨物コンテナを決定的に業界標準として利用されるようになった特長は、隅金具とトンネルレセスである。このほかにもISOでは「シリーズ1」のコンテナ規格として10フィートと30フィートのものがあるが、海上輸送の現場では普及していない。また、米国が強くISOでの標準化の採択を働きかけていながら審議が凍結中の49フィートのコンテナ規格も存在する。21世紀初頭の現在では、大型フルコン船でコンテナを固定する場合で甲板に相当するポンツーンカバー(ハッチカバー)上の固定は、個々の貨物コンテナ間の上下の四隅を国際規格のツイストロックを挿入・固定した上で、1段-3段をまとめてX型に掛けたラッシング・ロッドによって甲板上に固定される。20フィート・コンテナと40フィート・コンテナの数でいえばほぼ同数であるが、40フィート・コンテナの方が場所としては多くなる。また、今後も40フィートのものが増えることが予想されるためもあり、全ての船倉を40フィート・コンテナの搭載に設定しているフルコン船が増えている。これらの船で、20フィート・コンテナと40フィート・コンテナを同じ船倉に積付ける場合は、2個分の20フィート・コンテナの上に40フィート・コンテナを積んでいく。ただ積んだのでは、40フィート・コンテナの下の2個の20フィート・コンテナがジャックナイフのようにくの字にずれる恐れがあるため工夫が必要になる。船倉の底に取り外し可能な「スタッキングコーン」を20フィート・コンテナの位置に取り付けてその上に20フィート・コンテナを積んでいく。何段かの20フィート・コンテナすべての間は脱着式下向きスタッキングコーンでずれを防いでいる。その上の40フィート・コンテナはセルのレールで固定される。こういった工夫によって20の上に40を積む方法は、「ロッシアンストウェージ」と呼ばれる。貨物輸送におけるコンテナの登場は、パレット輸送を経由して発展してきた。海上輸送では長年その荷物の積み下ろしに個々の貨物をデリックやクレーンで扱ってきたが、昔からパレットに積みつけることで貨物の取り扱いを簡便にする工夫が行われていた。第二次世界大戦後に一定サイズのパレットによって貨物船の船艙への積み下ろしを能率的に行えるように工夫された船が登場した。これらの船では荷物を固縛した一定のパレットを陸上のフォークリフトによって舷側の開口ハッチから取り入れ、船内のエレベーターやローラーコンベヤーで扱い、所定位置へ搭載するものであった。この後、パレットの利便性のままに互いに積み上げることも出来る貨物コンテナが登場して、パレット船は姿を消して貨物コンテナが主流となっていく。当初、貨物コンテナを扱う専用船、つまりコンテナ船はあまり存在せず、様々な貨物船で貨物コンテナを輸送していた。バルクキャリアの空荷時に甲板上や船艙内にコンテナを固縛して輸送していた。こういった元々バルクキャリアで貨物コンテナの輸送も行うようになった船は「コンバルカー」と呼ばれた。現在のセミコン船の先祖であるが、コンテナ搭載の専用設備をほぼ備えないため、分類上はセミコン船ではない。1960年代末から、コンテナ船とは少し異なった「バージキャリア」という船が登場した。バージキャリアは元々米英海軍の上陸用舟艇の舟艇母艦から生まれてきたもので、1隻のバージキャリアで数十艇のバージ(はしけ)を搭載するというものである。バージキャリアではバージを搭載する方法によって「LASH」(ラッシュ船)や「Seabee」といった形式があり、いずれも船尾部でバージを引き上げて取り込むという点は共通である。バージには貨物コンテナが積まれている場合もあった。貨物コンテナによって貨物をユニット化して扱うのに対して、バージという浮力体まで含めたユニットを扱うバージキャリアは、重量・体積的に貨物コンテナに劣っており陸上輸送との連携も悪いため、海上貨物輸送の主流にはなれなかった。1970年代になると、それまで世界中で不定期貨物船として活躍してきた米国製「リバティ船」が大量に引退を始めたため、これに代わる新たな「多用途貨物船」が世界の造船メーカーで作られた。幅広の甲板ハッチを持ち、性能の良い荷役装置を備え、スクラップメタルやドライバルクと共に貨物コンテナも積める多くの多用途貨物船が建造された。貨物コンテナの利用が増えていく過程では、世界各地で独自の大きさ、規格の貨物コンテナが使用され互いの運用に支障が発生していた長い期間があり、ISOの場を中心とする標準化の努力によって徐々に規格が絞られ、21世紀初頭現在では国際的な海上物流で扱う貨物コンテナではほぼ標準化が済んだといえるが、今でも少ないながら独自規格のコンテナが外航貨物船で扱われている。世界最初のコンテナ船は、第二次世界大戦後に余った軍用タンカー(アメリカで戦時大量生産されたT-2 タンカー)を改造して建造された。全米有数の陸運業者の経営者で、船にもトラックに積めて海陸一貫輸送ができる「コンテナ」というアイデアの発案者だったマルコム・マクリーン()は、アイデアを実現すべく自らのマクリーン・トラッキング社を売って船会社パンアトランティック・スチームシップ社を買収し、T-2タンカーを買ってコンテナ船「Ideal-X」に改造し、1956年の4月に58個の金属製コンテナを積んでニュージャージー州ニューアークからテキサス州ヒューストンまでの区間を航行させた。マクリーンは1960年、パンアトランティック社を「シーランド()」と改名してコンテナ船の運航やコンテナ専用埠頭の運営に乗り出し、海外にも進出した。やがて各国の船会社が追従し(日本では日本郵船が1968年に建造した「箱根丸」が初)、1970年代には港運のコンテナ化が急速に進んだ。ユニット化されたコンテナをガントリークレーンで積み下ろすことは、作業員や小型クレーンがバラ積み貨物を積み下ろしするよりも早く済むため、在来貨物船に比べ定時運航や速達性に優れたコンテナ船が貨物船の主流となっていった。第二次世界大戦後、コンテナ船を初めとする多くの貨物船では世界的な高速物流の時代に入り多くの高速・大出力の船を建造してきたが、1973年10月に始まった第四次中東戦争以後のオイルショックによって、燃料単価が高く燃料消費量の多いガスタービン船は数を減らし、ディーゼル船も主流はより低出力・低燃費なものに変わって行き、低速回転で駆動軸数も少なく船速の遅いものになっていった。日本郵船の「黒部丸」では34,800馬力のディーゼル2基で2軸推進だったものを26,320馬力ディーゼル1基で1軸推進に大きく改造することで、船速は25.6ノットから20.5ノットに下がり燃費は220トン/日から71トン/日に向上した例や、同じく日本郵船の「春日丸」での40,000馬力2基2軸推進を26,800馬力2基2軸推進へ換装することで船速は26.5ノットから23.95ノットへ少し遅くになったものの、燃費は366.3トンから165.6トンへと半減以下へと改善された例がある。貨物船は大型化によって運送効率が向上するが、定期貨物船は大型化によって荷役に何日も掛かるようになり効率が悪化するため、規模拡大に制限があった。1960年代では、油槽船が20万トンを越える大型船が登場するようになっても、定期貨物船は1万数千トンどまりであった。コンテナの使用によって定期貨物船の荷役が迅速化されたため、定期貨物船も規模の経済を追求できるようになり、コンテナを多数搭載する超大型の貨物船が登場した。初期には従来型の定期貨物船の船倉や甲板にコンテナを並べるだけであったが、やがて、一般貨物の船倉とは別に、コンテナを並べる専用の区画を備えるセミ・コンテナ船が現れた。主要な港での荷役設備もコンテナ専用のガントリークレーンが備えられ、それに伴って一般貨物を扱わず、コンテナだけを専門に運搬するコンテナ船、フル・コンテナ船(フルコン船)が登場した。船会社はコンテナ1個あたりの運送コストを減らして運賃を抑え競争に勝つために、荷役効率の限度内で極力多くのコンテナを積める大型船を導入しようとしている。1980年代以後、パナマ運河を通過できるサイズ(パナマックス)より大きなオーバー・パナマックス船が登場したが、その後も巨大化が進み、2000年代には水深16mのスエズ運河を通れるぎりぎりの大きさ(スエズマックス:これまではタンカーの大きさの限度だった)に近いコンテナ船も現れた。スエズマックスは、コンテナ積載数14,000 TEU、最大積載量137,000 DWT(載貨重量トン)、船の全長400m、幅50m、喫水15m以内、速度25.5ノットの時に出力は85MW以上という基準だが、2006年に進水した世界最大のコンテナ船エマ・マースクはこのスペックにほぼ達している。21世紀初頭の現在では、港にガントリークレーンが複数備えられて、これら3~5基のクレーンが同時に1隻のコンテナ船への荷役に使用できるようになると、大型コンテナ船での荷役効率が飛躍的に向上し、10万トンに達するような大型フルコン船も登場した。コンテナ船は様々な貨物を運ぶ目的で建造され、その大きさは、貨物船の中では原油を輸送するための超大型タンカーに次ぐものとなっている。21世紀初頭、フルコン船が大きくなり船腹が広がって搭載貨物コンテナが横22列のものが登場したが、港でコンテナ荷役を行うクレーンが未整備であるため港での制約が生まれている。スエズマックスの先には、一番浅いところで水深25mとなるマラッカ海峡を通ることのできるマラッカマックスという基準がある。マラッカマックスは、コンテナ積載量18,000TEU、最大積載量200,000 DWT、船の全長470m、幅60m、喫水20m以内、速度25.5ノットの時に出力は100MW以上となる。これ以上の大きさになると、スエズ運河もマラッカ海峡も通れないため世界のコンテナ航路の大規模再編が必要となる。この規模を実現する大きな制約の1つだったエンジン出力は、デンマークの重機械企業 MAN B&W が製造した2サイクルのディーゼル・エンジン、MAN B&W K108ME-C の登場によってクリアされようとしている。最大の問題はこの出力を伝達することのできる直径10m、重さ130トンのプロペラを作ることのできる会社がないことである。また港での荷役に掛かる時間が長くなる、通ることのできる航路が限られるなど、スーパータンカーの大きさを制限しているのと同じ問題にコンテナ船も直面しようとしている。大きなフルコン船での、甲板上に高く積まれたコンテナによる視界不良と前からの波浪を防ぐために、船橋は船首部に配置が検討される。これにより、船首船橋直後から後部までコンテナ・クレーンのジブの上げ下げなしで動けることになる。またハッチレス船の導入がますます進むほか、事故発生時の環境に与える影響に配慮して、二重船殻の内側に燃料タンクを備えるようになる可能性もある。21世紀初頭近年の燃料高騰が今後も続けば、巨大化するフルコン船に搭載されるエンジンは、ますます低燃費な物が求められ、おそらく高馬力での高速航行へは戻らないと思われる。船体構造としては上部甲板を含めて甲板と呼べる部分をほとんど持たないセル構造の大型フルコン船では、元々構造的な弱さを持っている。高波浪下で満載航行時には強い縦曲げモーメントを受けるため、十分な縦強度が求められるが、船艙内コンテナ積付け横列数を増やすためにハッチ間の縦通材を廃止したり、舷側二重構造の幅を狭めたりと年を経るに従い、強度面からは厳しい設計を行っている。もちろん、両舷にほんの少し残された甲板やハッチコーミング部とその周囲の部材、最上部の舷側板には5,000 TEUを越えるポストパナマックス船で50mm前後の高張力鋼を使い、10,000 TEUクラスの船では70mm程度にする、両舷上端をボックスガーダーとするなどの縦強度不足を補う設計が行われているが、強度面からは厳しいものとなっている。21世紀初頭現在の巨大なフルコン船は船艙内に搭載するものとほぼ同数の貨物コンテナを甲板上に並べており、重心が高く(パナマックス船で復原性能B/D比:1.35)、風を受ける面積が大きい。船艙ハッチレス・フルコン船は船艙が完全に上に対して開放されており、船体上部からの雨水以外の水の浸入に対して全く考慮されていない。最新のコンテナ船は、14,000 TEUという桁外れに大きなものが登場してきているが、この場合一隻の積む貨物の総額は3億USドルにも達することがある。こうした大型船が絶えず世界の海を航行しているため(常時、500万から600万個のコンテナが海を行き交っている)それに伴うリスクも非常に大きい。リスクの中には荷役に関わるものもある。コンテナ積載時に税関へ提出するマニフェスト(積荷目録)以外に、コンテナの中身を知る手段はない。それぞれの船が非常に大量に、行き先の違うコンテナを積んでいるため、コンテナの荷役の際は紛失や積み間違いが起こらないよう細心の注意を要する。またコンテナを積みおろしするガントリークレーンは中身を守るためにできるだけコンテナを揺らさないようにしなければならない。安全に、しかも効率的に積み下ろしをするためには、クレーンのオペレーターには熟練した作業員を当てる必要がある。またコンテナ埠頭やコンテナ船の甲板上で働く作業員は、トレーラーやコンテナ荷役機械などの大型車や、コンテナを積む際のバランスや転落、コンテナの下敷きなどに注意しなければならない。海上では暴風雨がコンテナ船を襲い、甲板上のコンテナを波で奪い去ってしまう危険がある。1個でも流されれば大きな損失となる。またコンテナ内の高価な商品は海賊たちの標的になりうる。マラッカ海峡やインドネシアなどでは海賊が脅威となっている。コンテナは禁制品(武器、麻薬など)の密輸や密航者の入国に使われることもある。7,000TEU以上の大型コンテナ船は、以下の造船所で建造されてきた。世界中のコンテナ船の総可載容量 14,092,321TEU を隻数 4,905隻 で割れば、世界中のコンテナ船の平均コンテナ搭載容量は 2,873 TEU となる。
出典:wikipedia
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