体育会系(たいいくかいけい)とは、大学などの課外活動の分類の一つ。転じて、それらに属する人々やその性格・気質の総称。反対語は文化系。アメリカなどではジョック(jock)とも呼ばれ、学校内階層では最上位に位置づけられる。精神論や根性論、上下関係、体力の重視を特徴とする。日本では大学運動部(いわゆる「体育会」に属する)やスポーツ選手養成組織で育まれることが多いことから「体育会系」と呼ばれるが、素地は少年野球などの学童向けスポーツや中学校・高等学校の段階で既に養われている。そうした風潮は欧米社会でもみられ、日本特有のものではない。日本の部活動やスポーツ界は、年齢主義的で年功序列・上意下達型の縦社会を形成する場合が多い。例えば大学の運動部を表わす表現に「4年神様、3年貴族、2年平民、1年奴隷」というものや、相撲界を表わす表現に「無理偏に拳骨と書いて兄弟子と読ませる」などといったものがある。ただし、いわゆる「文化系」のクラブ活動と位置づけられている「演劇」、「吹奏楽」、「合唱」といった公演系のクラブやサークルについても、基本的にチームワークで活動することとそれ相応の体力も要求されるので、体育会系的な部分があるとされている。欧米ではホモフォビアとミソジニーを基礎とした男性優位主義的な気質も見られることから、ホモソーシャルの典型とする考えもある一方、上意下達型の命令系統を重視する女性の組織においても見られる。こうした学生生活における体育会系的な文化は日本の企業社会においても顕著である。日本の企業もやはり年功序列を基礎としているため、体育会系的な価値観の者は「礼儀正しい」、「強い精神力がある」、「目上の者を立てる」などの好印象を持たれることが多く、古くから企業の構成員として好まれ、採用されてきた。近年は“体育会系である”という要素がプラスに働く傾向が70年代~80年代に比べて弱まってきているという見方がある一方、まだまだ体育会系学生は企業から根強い人気がある。各大学の応援団が変わりつつある。かつては厳しい上下関係、飲酒の強要などが多くあったが、近年の学生の気質や価値観の変化などもあり、部員の確保に困難なことなどから「未成年者に酒を飲ませない」「授業を優先させ、アルバイトを許可制にする」など厳しさを保ちつつ、時代の変化に応じた改革を行う応援団が相次いでいる。またパワーハラスメントなどの認識が社会に広まったことで、先輩部員による度が過ぎた厳しい指導などは「鍛錬の名を借りたイジメ」と取られ、見直されるようにもなっている。私企業だけでなく、警察官や自衛官、消防吏員や海上保安官や刑務官などの公務員(公安職)も体育会系的な上意下達社会と言われる。但し、前述の職種が命令系統の一元化と意思決定のスピードが重要視される組織である以上、必ずしも否定される要素ではないが、その反面で指示を下す側に懸かる責任は非常に重く、自らが下した指示や決断の誤りによる不幸な結果(下された指示を遂行した部下の人命が失われる等。最悪の事態)にも最後まで責任を負う為、民間企業や学生のクラブ活動におけるそれとは根本から意図が異なる。スポーツライターの相沢光一は、古来に中華帝国(隋・唐他)から伝来した儒教の教えが背景にあるとしている。親や年長者など目上の者は立て、従うという考え方が日本の組織の秩序を維持する上でスタンダードになっており、そうした考え方は中世・近世の若衆宿や武家社会などから近代の軍隊へと受け継がれ、体育会系運動部に根付いたという。また、スポーツは球技系を中心にチーム競技が多いことから、結果的に全体の秩序を守ることにも繋がり、運動部には好都合の価値観だったとも述べている。やはりスポーツライターの玉木正之は、日本ではスポーツを「体育」として捉え実践し続けてきた背景があり、学校で行うスポーツの目的がそれを通じた体力養成、人格形成、社会的ルールの体得、協調性ある良き社会人の育成に重点を置いているからで、その「体育的教育観」とスポーツとを混同させ、現在においてもスポーツの場で同様の考えを最優先している指導者が少なからず存在するという。玉木は、スポーツに様々な教育的効果があるのは認めつつも、それを一般社会とは切り離して扱うべきと説いている。また相沢と玉木は、先輩後輩を軸にした体育会系という特殊な縦関係はフィールドの外にも広がり、学校の卒業及び退職後も先輩が社会でも優位に立つ、厳密な縦社会が形成されているとしている。保守・右派思想との関連性を指摘する見方もある。1960年代の学生運動・大学闘争全盛期には、左翼学生運動の勃興に対する危機感から、「民族派」と呼ばれる保守系学生組織が次々と結成された。彼らは“学園生活の正常化”の名のもとに左派学生グループと衝突することになるが、彼らの多くが体育会系学生であった。これを表す出来事として、元明治大学硬式野球部監督の島岡吉郎が安保反対のデモ活動に参加している学生を見つけると、教え子で当時野球部主将だった星野仙一に対し「おい、あれは赤か?」と聞き、星野が「そのようですね」と返事すると、島岡は星野にその学生を殴るよう命じ、それを遂行したという。この他、2013年には、女子柔道強化選手による暴力告発問題が表面化している。
出典:wikipedia
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