国立天文台4次元デジタル宇宙プロジェクト（こくりつてんもんだい4じげんデジタルうちゅうプロジェクト）とは日本の国立天文台によるプロジェクトのひとつ。宇宙や天文現象の様子を、空間3次元と時間の1次元、合計4つの次元のもとで可視化する事を目的とする。宇宙の構造を立体的（3次元）に表現するほか、137億年に及ぶ宇宙の姿を可視化することになるため、時間の1次元を加えたところにその名前の由来がある。可視化においては立体視用の特殊なめがねを用いるなどするが、あくまでも立体視が必要な際だけである。「4次元デジタル宇宙」を英訳するととなるので、その頭文字をとった上でDDをD2と記載して4D2Uプロジェクトと呼称される。またこの略称は英語のに通じ、「4次元宇宙を貴方のために」という意味も込めている。デジタル化された天体観測データやコンピュータの性能の高度化を活かして、これまで天文シミュレーションソフトでは表現の出来なかった、銀河の構造や天体の精密かつリアルなグラフィックスが描けるようになったことを背景に、137億年に及ぶ宇宙の姿をよりリアルに、手軽に再現することを目的に開発されたものである。そのため、出来る限り生の観測データが用いられている。特に太陽系に関しては観測によって求められた値から計算された、コンピュータのシミュレーションに極力依らない実際に観測された宇宙を再現している。ただし銀河系については、1000億～2000億の恒星からなるため、科学的根拠に基づく概略を表現することにした。銀河系近傍に関しては、観測所で得られたデータによって、銀河系の縮尺にあわせて表現することにした。また、SDSS計画などによって観測の行われた、宇宙の大規模構造については、その生データをそのまま生かした。また、惑星の形成や銀河系の形成については、パーソナルコンピュータでの演算は不可能なため、専用計算機で計算したデジタルデータを下にした、デジタルシネマの形で表現することにした。ただし、質点だけでは何のことか分からないので、微惑星をデジタルペイントで製作したりして工夫を施した。現在、インターネットを通じて配布されているコンテンツには、専用計算機を用いた大規模天文シミュレーションを可視化したムービー（「渦巻銀河の形成」「連星系の形成」など）と、リアルタイム宇宙データビューワー"Mitaka"がある。これは、地球から出発して137億光年の観測可能な宇宙の果てまでの宇宙の構造をインタラクティブに探索できるように開発したソフトウエアである。データ量が大きいことと、3D表示を行うため、ある程度の性能を持ったPCでないと実行ができない難点はあるが、パーソナルコンピュータ上のデスクトップで最新の天体観測データに基づく宇宙探査が出来るように開発したものである。以上の施設では、大型のスクリーン上で"Zindaiji"または"Mitaka"による、宇宙のシミュレーションが楽しめる。なお、国立天文台三鷹キャンパスでは、本ソフトウエアを用いた見学者への解説も実施中。なお、この解説は参加希望者が多数になり、収容できる人数に限りがあるためWebまたは往復葉書による予約制である。なお、このソフトを用いた解説が、NHK教育テレビ高校講座「理科総合」においても用いられているため、そちらを御覧いただくのも良いかも知れない。放送日時は、日本放送協会のお客様センターなどにお問い合わせいただきたい。"Mitaka"は、NASAが配布しているNASA版の"Celestia"や、アストロアーツが販売している"Stella Navigator"や、カナダの"Starry Night"や、LinuxのKDEデスクトップに搭載されている、KStarsと同様のソフトウエアに位置づけられているようである。これらのソフトウエアでは、デジタルデータ化された星表をプログラムデータとして使用しているため、精度の高いプラネタリウムソフトとして評価が高いものである。また、天体観測機器の開発販売を行っているメーカ製の望遠鏡でも、これらのソフトウエアと連動する形で、天体の自動導入が可能な機種も有る。4D2Uで開発された"Mitaka"は、実際に天体観測によって得られたデータを取り込んだものである。しかし、上に挙げた製品群とは異なり、望遠鏡のコントロール等は考慮していない。あくまでも、3D表示とインタラクティブ性を開発の主眼として、デジタルシアターとして宇宙及び宇宙の大規模構造の探索が可能なソフトウエアとして開発したものである。「渦巻き銀河の形成」や「連星系の形成」の作成にあたっては、東京大学理学部及び教養学部にて行われてきたGRAPEプロジェクトの研究成果に基づき数値シミュレーションによって、得られた計算結果を画像として表示したものである。

出典:wikipedia