オルベテッロ（）は、イタリア共和国トスカーナ州グロッセート県にある、人口約1万5000人の基礎自治体（コムーネ）。ローマの北西約120kmに位置するオルベテッロの潟湖は、戦間期のイタリアにおいて水上飛行場として利用され、大西洋横断飛行の出発地などイタリア空軍の航空イベントの舞台となった。オルベテッロの集落は、潟湖中央の砂州上に立地する。グロッセート県南部、地方に属するコムーネである。オルベテッロの集落は、県都グロッセートから南南東へ約37km、州都フィレンツェから南へ約148km、首都ローマから北西へ約120kmの距離にある。コムーネの領域はティレニア海に面しており、南西部にはが広がっている。潟湖の対岸（プロモントリオ）はモンテ・アルジェンターリオである。隣接するコムーネは以下の通り。本土側から、プロモントリオに向かって3本の砂州が伸びる。西北側（Giannella砂州）と東南側（Feniglia砂州）の2本によってプロモントリオと本土が結ばれており、もともとは島であったプロモントリオを陸繋島にしている。中央の砂州と堤防（土手道）によってオルベテッロ潟は2つに分けられており、西側の潟湖を Laguna di Ponente、東側の潟湖を Laguna di Levante と言う。潟湖一帯は、重要な自然保護区である。オルベテッロの中心集落はコムーネの南部、潟湖に突き出した中央の砂州の上に位置している。コムーネ中部、アルベーニャ川河口にはアルビニアの集落がある。このほか、コムーネ北部の沿岸部にフォンテブランダとタラモネがある。コムーネ南部のアンセドニアは、ローマ共和政初期の植民市コーサに起源を持つ。また、コムーネ西部のプロモントリオ側にはジャンネッラがある。オルベテッロはエトルリア人の居住地であった。植民市コーサを築いたローマ人は、紀元前280年頃にオルベテッロ一帯をその支配下に収めた。紀元前225年には、現在のタラモーネ付近で、ローマ人とガリア人のが行われている。中世、オルベテッロはアルドブランデスキ家の所領であり、14世紀にオルヴィエートに代わった。ピティリアーノのオルシーニ家とオルヴィエートとの間に紛争が繰り返されたのち、シエーナ共和国の支配下に入った。16世紀の半ば、スペインの傀儡国家であるプレシディ領の一部となり、その首都がおかれた。1646年には、西仏戦争中の戦闘であるオルベテッロの戦いが、オルベテッロ潟周囲で行われた。その後トスカーナ大公国領となり、以後1860年のイタリア統一までその支配下にあった。ファシスト政権下、オルベテッロ潟はイタリア空軍の重要な航空イベントの舞台となった。イタロ・バルボ空軍大臣自ら率いるサヴォイア・マルケッティ S.55の編隊は、1930年にはブラジルへの大西洋横断飛行に、1933年にはアメリカ合衆国への大西洋横断飛行に、いずれもオルベテッロ潟から出発している。ピサとローマを結ぶ鉄道幹線で、欧州自動車道路としても指定されているSS1（国道1号線アウレリア街道）が市域を南北に縦貫する。ティレニア海の海岸沿いに南下したSS1は、潟湖東岸を走り、アンセドニア北方に至る。市域北部のアルビニアではSS1からSS74とSS323が分かれている。SS440はSS1から西へ分岐して砂洲上にあるオルベテッロの集落を貫き、ポルト・サント・ステーファノに至る。ピサとローマを結ぶ鉄道幹線であるピサ＝リヴォルノ＝ローマ線が市域を南北に縦貫している。かつて、オルベテッロ＝モンテ・アルジェンタリーオ駅からは、モンテ・アルジェンターリオのポルト・サント・ステーファノやポルト・エルコーレとを結ぶ鉄道路線があったが、第二次世界大戦で破壊され、その後再建されなかった。

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