ストロンチウム()は原子番号38の元素で、元素記号は Sr である。軟らかく銀白色のアルカリ土類金属で、化学反応性が高い。空気にさらされると、表面が黄味を帯びてくる。天然には天青石やストロンチアン石などの鉱物中に存在する。放射性同位体のストロンチウム90 (Sr) は放射性降下物に含まれ、その半減期は28.90年である。ストロンチウムやストロンティーアン石といった名は、最初に発見された場所である(、)というスコットランドの村にちなむ。常温、常圧で安定な結晶構造は面心立方格子構造 (FCC, α-Sr)。銀白色の金属で、比重は2.63、融点は777 、沸点は1382 。炎色反応で赤色を呈する。空気中では灰白色の酸化物被膜を生じる。水とは激しく反応し水酸化ストロンチウムを生成する。生理的にはカルシウムに良く似た挙動を示し、骨格に含まれる。酸化ストロンチウムのアルミニウムによる還元、および塩化ストロンチウムなどの溶融塩電解により金属単体が製造され、蒸留により精製される。炎色反応が赤であるため、花火や発炎筒の炎の赤い色の発生には塩化ストロンチウムなどが用いられる。そのほか、高温超伝導体の材料として使われる。炭酸ストロンチウムは、ブラウン管などの陰極線管のガラスに添加される。また、フェライトなどの磁性材料の原料としても用いられる。単体のストロンチウムは酸素などとの反応性が高いため、真空装置中のガスを吸着するゲッターとして用いられる。ウランの核分裂生成物など、人工的に作られる代表的な物質放射性同位体としてヨウ素131、セシウム137と共にストロンチウム90 (Sr) がある。ストロンチウム90は、半減期が28.8年でベータ崩壊を起こして、イットリウム90に変わる。原子力電池の放射線エネルギー源として使われる。体内に入ると電子配置・半径が似ているため、骨の中のカルシウムと置き換わって体内に蓄積し長期間にわたって放射線を出し続ける。このため大変危険であるが、揮発性化合物を作りにくく原発事故で放出される量はセシウム137と比較すると少ない。骨に吸収されやすいという性質を生かして、別の放射性同位体であるストロンチウム89は骨腫瘍の治療に用いられる。ストロンチウム89の半減期は50.52日と短く比較的短期間で崩壊するため、短期間に強力な放射線を患部に直接照射させることができる。ストロンチウム90は骨に蓄積されることで生物学的半減期が長くなる(長年、体内にとどまる)ため、ストロンチウム90は、ベータ線を放出する放射性物質のなかでも人体に対する危険が大きいとされている。1957年から北海道で行われた調査では、1960年代から1970年代に北海道のウシやウマの骨に蓄積されていた放射性ストロンチウム (Sr) は2,000-4,000 mBq/gを記録していたが、大気圏内核実験の禁止後は次第に減少し、現在では100 mBq以下程度まで減少している。また、ウシとウマではウマの方がより高濃度で蓄積をしていて加齢と蓄積量には相関関係があるとしている。屋外の牧草を直接食べるウシとウマは、放射能汚染をトレースするための良い生物指標となる。1960年代、米ソを中心に大気圏内の核実験が盛んに行われた。これに伴い、体内に取り込まれた放射性物質の除去剤や排泄促進法に関する研究も数多く行われている。放射性ストロンチウムは生体内ではカルシウムと同じような挙動をとる。IAEA(国際原子力機関)は放射性ストロンチウムを大量に摂取した場合、アルギン酸の投与を考慮するように勧告している。アルギン酸は褐藻類の細胞間を充填する粘質多糖で、カルシウムよりもストロンチウムに対する親和性が高いことが知られている。ヒトにアルギン酸を経口投与してから放射性ストロンチウムを投与すると、投与していない場合と比べて体内残留量が約1/8になることが報告されている。また動物実験でも同様の効果があることが確かめられている。元素名は、1787年に発見されたストロンチアン石(ストロンチウムを含む鉱物)の産出地、スコットランドのストロンチアン (strontian) に由来する。単体金属は1808年、英国のハンフリー・デービーにより、電解法を用いて単離される。
出典:wikipedia
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