低炭水化物ダイエット(ていたんすいかぶつ-、ローカーボダイエット、low-carbohydrate diets)とは、肥満や糖尿病の治療を目的として炭水化物の摂取比率や摂取量を制限する食餌療法である。低糖質食、糖質制限食、糖質制限ダイエットとも呼ばれるが、単に炭水化物摂取制限によるカロリーコントロールでは無く、本質的には炭水化物で摂取していたエネルギーを蛋白質と脂肪に置き換えるダイエット方法である。炭水化物摂取量の基準は手法により異なり、1日あたり糖質50グラム以下または60グラム以下(アトキンスダイエット)とする厳しいものから、炭水化物質由来エネルギーが全エネルギーの40%未満、1日あたり糖質130グラム以下()とするものがある。低炭水化物ダイエットでは糖質以外の栄養素を含む食品には制限をもうけない。体重をコントロールする目的での炭水化物摂取制限には人気があるが、その長期的な健康上の利点やリスクについては論争があるが、長期的には死亡率を上げる結果が出ている。。は、米国の生化学者であるが提唱した手法で、飽和脂肪酸の少ないタンパク質源を推奨し、炭水化物40%、タンパク質30%、脂質30%の割合で摂取するというものである。アトキンスダイエットは1日糖質50グラム以下という極端な糖質制限を課す。は肥満をひきおこすのは炭水化物だと1972年に著書 "Diet Revolution" で提唱し、ステーキ、卵、バターなどを望むまま食べながら体重を減らすことができると説いた。この著書の販売数は数百万部を超えた。アトキンスダイエットは1970年代に流行し、2013年時点で再び流行している。2003年のイギリスのアンケートによれば300万人が、米国では11人に1人がアトキンスダイエットを試したことがあると推定される。江部康二は自らが経営する病院で生活習慣病患者にアトキンスダイエットに近い手法を推奨している。は1972年にアトキンスが著書で推奨した手法を飽和脂肪酸やコレステロールの多い食品を無制限に摂取することを推奨するひどい療法だと非難し、アトキンスが議会で証言するまでに至った。炭水化物の危険性を訴える点で共通する、らをパネリストとして招いて2000年2月24日にアメリカ合衆国農務省が "Great Nutrition Debate" と呼ばれるシンポジウムを主催した。シンポジウムでは、彼らの人気ある手法の科学的妥当性についての懸念が栄養学者らから示された。2013年のの声明では、過体重の患者の体重減少の方法のひとつとして2年までの短期間に全エネルギーの40%未満を炭水化物とする穏やかな低炭水化物食が推奨されたが、腎機能、脂質の特徴、タンパク質摂取量の監視と、適切な低血糖治療が必要であるとされた。2014年のアメリカ糖尿病学会の糖尿病患者の栄養摂取に関する勧告では、血糖値コントロールには炭水化物カウント法などが重要だとされたが、カロリー源としての炭水化物・タンパク質・脂肪の最適なバランスは存在せず個人個人の食生活や好みに合わせるべきだとされた。糖質制限食の流行を受けて日本糖尿病学会は2013年の提言で、日本人の肥満の是正と糖尿病予防に関しては「運動療法とともに積極的な食事療法」と「総エネルギー摂取量の制限」(カロリー制限)がもっとも重要であり、カロリー制限なしの炭水化物摂取制限は長期的な食事療法としての科学的根拠が不足しているため現時点では薦められないと呼びかけた。同学会は、炭水化物摂取は日本人の平均摂取比率と同様の50〜60%(150g/日以上)程度の比率を目安とし、どのような糖尿病合併症を持っているかによって増減させてもよいとした。1日当たり炭水化物50グラム以下とするアトキンスダイエットなど極端な制限法をこの提言は否定したものと考えられる。イギリスのは1型糖尿病患者には低炭水化物食の有効性を示すエビデンスが不十分だとして薦められないとした。2型糖尿病には1年未満の短期間に体重減少効果がある場合があるが、長期的な効果やリスクについてはエビデンスが不足しており、低血糖症・頭痛・集中力低下・便秘等の副作用の可能性に注意が必要だと勧告した。によれば、アトキンスダイエットなどの高タンパク質・炭水化物制限の手法には、動物性の食事に起因する健康リスクへの考慮が不足している。低炭水化物食による体重減少の効果が低脂肪食やなど他のダイエットより優れているかどうかについては相反する臨床試験の結果が報告されており、2014年のメタアナリシスの結果によれば総カロリーが同じであれば効果に差はないと見られる。6ヶ月の短期間ではと比較して体重が減少しているが1年後では差がないなどの報告があり、便秘や頭痛、口臭、筋けいれん、下痢、脱力感、発疹がより頻繁に見られる。糖尿病患者対象では、より高い炭水化物量の食事と比較して、脂質およびリポタンパク質に差があった研究とない研究があり、多くの研究で体重減少との交絡が生じていると指摘され、研究にバイアスが生じている可能性がある。2003年、低脂肪食と低炭水化物食をランダムに割り振ったランダム化比較試験では、最初の6ヶ月間は低炭水化物のほうが体重を減少させたが、1年間では有意な差が見られなかった。2004年の研究では、6ヶ月の短期間に限り、体重が減少しているうちは、低糖質食を患者にすすめても安全だろうと提言されている。ただし6ヶ月以内であっても、低炭水化物ダイエットでは便秘や頭痛が経験されることが多い(ある3ヶ月の実験で16人中2人以上、ある6ヶ月の実験で51%以上、)。6ヶ月間の比較で、低脂肪食のダイエットと比較して低炭水化物ダイエットは口臭、筋けいれん、下痢、脱力感、発疹がより頻繁に見られた。低脂肪食よりも低炭水化物食の方が、より体重減少やHDLコレステロール・血清トリグリセリドの改善がみられた。糖尿病患者に対しての2年間の比較では低炭水化物ダイエットと高炭水化物ダイエットでの体重減少、HbA1cに差がなかったとの報告もある。。4週間の実験で低炭水化物ダイエットは低脂肪ダイエットや低GIダイエットと比べて血清中に増えるタンパク質CRP値と尿中コルチゾールが高くなり心血管疾患のリスクが高まった、炭水化物より脂肪から多くカロリーを摂取するとアンケートに答えた人は乳がんのリスクが高い、などの報告がある。10年以上の長期的な影響では、低炭水化物では死亡リスクが高いという2007年の調査結果がある。低糖質食が死亡率、心血管障害にどう影響するかを調べた2012年発表のメタアナリシスによれば、低糖質食は死亡率を増加させることが示された。幼少期より10年以上にわたってインスリン治療を受けてきた1型糖尿病患者が、低炭水化物食開始と共に急速なインスリン減量を行ったところ、糖尿病性ケトアシドーシスを発症した例が報告されている。低炭水化物ダイエットでは、炭水化物の比率を減らすことからタンパク質の摂取量が多くなる。2011年に6週間の高穀類繊維 (high cereal-fiber)の食事より高タンパク質の食事のほうがインスリン抵抗性を高くし、糖尿病リスクを上げることが示された。2007年の世界保健機関による報告書では、高タンパク質食は腎臓疾患患者の腎機能を悪化させるため、糖尿病、高血圧、多嚢胞性腎疾患によって腎不全の可能性がある場合には適切にタンパク質制限が行われるべきだとしている。また、高タンパク質食では特に動物性タンパク質による腎結石のリスク増加がありうるので、リスクのある患者では安全な量でかつ植物性タンパク質が望ましいとされる。
出典:wikipedia
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