フレッチャー級駆逐艦(フレッチャーきゅうくちくかん )は、アメリカ海軍の駆逐艦の艦級。最も多く発注された駆逐艦の艦級であり、1942年から1944年にかけて175隻が建造された。フレッチャー級は従来のアメリカ海軍駆逐艦より大幅に大型化しており、航洋性・武装ともに強化されたことから大きな成功を収め、駆逐艦の標準とも言える艦級となった。また、続いて建造されたアレン・M・サムナー級、ギアリング級のベースともなった。フレッチャー級の設計にあたっては、基本的な要求は従来と変わっておらず1939年に設計を開始した時には基準排水量1,600t前後、速力36ノットの計画であった。しかし船体強度を増すため船型を従来の長船首楼型から平甲板型に変更し、また同時期の大型艦比で5ノットの優速を目標に主機関を増強したことから、条約の制約がなかったこともあって大型化し、アメリカ駆逐艦としては初めて基準排水量が2,000tを超える、空前の大型駆逐艦となった。溶接範囲の拡大に伴って、船体構造は縦肋骨方式の部分が拡大された。弾片防御を重視したこともあり、船体の材料としては特殊処理鋼()が多く採用された。また、戦時急造期であったこともあり、艤装などあらゆる面に標準化が推進されている。フレッチャー級の設計は、以後チャールズ・F・アダムズ級ミサイル駆逐艦に至るまでのアメリカ駆逐艦の基本線となった。上記の通り速力増強の要請に伴い、主機出力は従来艦の50,000馬力から60,000馬力に増強されている。機関配置としては、ベンソン級以来の分離配置が踏襲され、ボイラーを2基ずつ収容した缶室と、蒸気タービン・減速機・復水器等を収容した機械室がセットになり、前部缶室・前部機械室・後部缶室・後部機械室の順に直列のシフト配置とされている。主ボイラーはバブコック・アンド・ウィルコックス(B&W)社製の重油専焼式水管ボイラーを4缶搭載しており、蒸気性状は圧力、温度454℃。主機はゼネラル・エレクトリック(GE)社製のオール・ギヤード蒸気タービンであるが、DD-649,662〜665ではフォスター・ホイーラー社製とされている。減速機としては初めて2段減速歯車装置が採用されており、タービンは高速回転とされた。主砲としては、初代ファラガット級以来のMk.12 38口径5インチ緩射砲5門装備が踏襲された。砲射撃指揮システム(GFCS)としても、同様にMk.37 砲射撃指揮装置が艦橋上に搭載されている。当初は射撃指揮レーダーをもたなかったが、のちにUHF帯のMk.12、さらにXバンドのMk.25が装備された。一方、高角機銃に関しては大規模な換装・増設が重ねられたことから、各艦ごとの差異が大きい。初期建造艦では、当初、3・4番砲間に75口径28mm機銃の4連装マウントが搭載されていた。しかし第二次世界大戦中の戦訓から防空強化の必要性が痛感されたことから、これを撤去するかわりに、ボフォース 40mm機銃とエリコン 20mm機銃が増備された。多くの場合、2番砲の後方両舷、後部煙突脇両舷と28mm機銃の撤去跡に40mm連装機銃が設置されていたほか、上掲の一般配置図に示す通り、一部艦では5連装魚雷発射管のうち1基を撤去して、さらに40mm連装機銃が搭載された。また各所に20mm機銃多数が装備された。20mm機銃はしばしばジャイロスコープ内蔵のMk.14照準器を備えており、また40mm機銃はこれにFCSとしての機能を付加したMk.51 射撃指揮装置による射撃指揮を受けていた。水雷装備に関しては、ベンソン級以来の5連装魚雷発射管2基装備が踏襲されたが、爆雷投射機は6基に増強された。後に対潜戦能力強化のため、多くの艦で艦橋前両舷01甲板レベルの40mm連装機銃がヘッジホッグ対潜迫撃砲の固定マウントに換装されたほか、1952年度計画でフレッチャー級のうち39隻に対し、すべての魚雷発射管を陸揚げしてかわって短魚雷落射機を搭載するなどの改装が行われている。また1948年度計画より、18隻が対潜護衛艦(DDE)に種別変更され、改修を受けた。これによってレーダーやソナー、FCSが更新されたほか、2・3・4番砲は撤去され、かわって旋回式のMk.15 ヘッジホッグ対潜迫撃砲とMk.33 3インチ連装速射砲が搭載された。さらに1960年代には、3隻(ラドフォード、ジェンキンス、ニコラス)が、さらにFRAM-II改修を受けて、Mk.108 324mm対潜ロケット砲やMk 32 短魚雷発射管、QH-50 DASHを搭載している。なお、6隻に対して航空機用カタパルトの装備が計画され、そのうち3隻(プリングル、スティーヴンス、ハルフォード)が実際に装備された。しかしこの計画は成功せず、以後の改装は中止され、これら3隻の装備も後に撤去された。また、ヘイゼルウッドはQH-50 DASHの試験艦としてその格納庫・発着甲板などの航空艤装を設置しているが、この実績は上記のFRAM-II改修の際に生かされることとなった。1941年・1942年度計画で175隻が建造され、うち17隻が第二次世界大戦で戦没している。1950年に朝鮮戦争が勃発すると多くの艦が現役復帰したが、同時期に現役復帰が為されないまま解体されたり標的艦とされたりした艦も多い。本級のうち49隻が外国海軍に売却・供与・貸与された。その中には日本、ドイツ、イタリアと言った以前の敵国も含まれており、アメリカ海軍での経歴よりも長い経歴を積んだ。残りの艦は1970年代に解体された。最後まで現役に留まった艦はメキシコ海軍の「クィトラワク」(元「ジョン・ロジャース」)であり、2002年に退役した。4隻が博物館船として保存された。:
出典:wikipedia
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