フランス語の疑問文（ﾌﾗﾝｽごのぎもんぶん）では、現代標準フランス語における疑問文について記述する。フランス語は多様な疑問文の形式があり、それぞれ文体やニュアンスに違いがある。なお、フランス語では疑問文の文末に疑問符()を書くが、他のラテン文字使用言語と異なり、疑問符の前に空白を置く。主に文語で使われる。主語が接語の人称代名詞である時、定動詞（助動詞、無ければ動詞）の後に主語を置いてトレデュニオン（ハイフン）でつなぐ。疑問詞がある場合は文頭に置く。強勢は主語に置くが、一人称単数の に限り、強勢を動詞末尾に置く。疑問詞が無い場合は尻上がりの発音になる。動詞と三人称代名詞との間には を挟む。書く時は、動詞が t または d で終われば間に何も書かず、そうでないときは を書く。元々はリエゾンだが、現在は全ての動詞で義務的である。一人称単数 の接語倒置は文語のみであり、それも稀である。文語で使われる。主語が名詞句である時、定動詞の後に と主語に対応する三人称代名詞とを置いて接語倒置のようにする。疑問詞がある場合は文頭に置く。疑問詞が無い場合は尻上がりの発音になる。 は使われない。文語、口語で使われる。語順は、疑問詞、助動詞（あれば）、動詞、主語になる。主語が名詞句であり、疑問詞があり、動詞の後に目的語が無く、動詞と疑問詞の意味的結びつきが強い時に使える。特に、疑問詞が属詞（コピュラ の補語）なら必ず文体的倒置を使い、複合倒置は使わない。文語、口語で使われる。語順を変えず、文頭に を置く。疑問詞がある場合は文頭に疑問詞を置き、次に を置く。母音または無音の h で始まる語が続くときはエリジオンで になる。元々は の倒置であるが、現在は疑問を表す複合語である。疑問詞が主語の時は、 を用いる。強調の の接語倒置も になるが、複合語の とはイントネーションで区別され、回答も異なる。倒置をせず、疑問詞を単に文頭に置く。「何を」を意味する は元々 + であるが、現在は前置でのみ使われる複合語と見なされる。母音または無音の h で始まる語の前ではエリジオンで になる。主語の「何が」を表すのは である。疑問詞前置は口語で最も一般的に使われる疑問文の形式である。疑問詞 (主語の時), は文語、口語どちらでも前置で使われるが、他の疑問詞を前置で使うのは口語のみである。 （いつ）は前置だと「～する時/した時」の意味と紛らわしいので、 のほうが好まれる。 （イン・サイチュー、「その場」）では、語順を変えず、疑問詞を元の位置（一般に文末）に置く。疑問詞があっても無くても尻上がりの発音になる。口語でのみ使われる。「何」を表すのは ではなく である。疑問詞が無いものは、口語で最も一般的な形式である。疑問詞があるものは、上述の疑問文の形式と異なり、文脈に強く依存する。 は使われない。強調構文 の強調される部分に疑問詞を置く。 は使われない。さらに疑問詞を前置しても良い。ただし は前置できない。疑問を表す または を動詞の後に置く。口語でのみ使われる。フランスを含むヨーロッパではほぼ廃れ、ケベック州でのみ がしばしば使われる。複合倒置の "-t-il" の末尾 が脱落したものに由来する。主に口語で使われる。疑問詞が無い場合、通常の文の後に を加えると疑問文になる。英語と異なり、一種類しかない。聞き手に質問するのではなく、疑問文を別の文に埋め込んだものを間接疑問文と呼ぶ。文語、口語で使われる。間接疑問文の構造は基本的に疑問詞前置と同じだが、以下の点が異なる。口語では を用いることもあるが、一般的ではない。フランス語の主な疑問詞には以下のものがある。「何」を表す疑問詞は、疑問文の形式により使い分ける。「どんな」を表す疑問詞は、後続の名詞にしたがって を書き分けるが、複数形でリエゾンがある時以外は同じ発音である。疑問詞を文頭に移動する時、疑問詞が句に含まれているなら、句全体を移動する。英語のように前置詞を文末に残すことはできない。ただし疑問詞に続く で始まる句は切り離して良い。一般疑問文の返答に用いる語には、 がある。肯定疑問文の返答には、肯定 と否定 を用いる。否定疑問文の返答には、肯定（否定の否定） と否定 を用いる。これらの語の選択は、英語、ドイツ語などと同様に、返答が肯定文か否定文かで決まり、日本語のように質問者への同意を表すのではない。疑問詞疑問文では、疑問詞に対する返答部分が焦点になる。焦点は強勢を持たねばならないが、通常のフランス語の人称代名詞は接語であり強勢を持てないので、必ず + 強勢形を使う。主語の名詞句も強勢を持てず、主題と見なされやすいので、同様に を使う。主語以外の名詞句および副詞句は焦点になれるので、 を使わなくて良い。ただし文頭の副詞句は主題と見なされるので、それを焦点にすることはできない。

出典:wikipedia