県民性(けんみんせい)とは、日本の各都道府県ごとの、県民の性質や行動についての、なんらかの傾向を指す言葉である。県民性という言葉が指しているのは、考え方や気質だけでなく、摂食するものの傾向、住宅や自動車などの購買金額の差、預貯金の金額の差などの、きわめて具体的で統計的・科学的にも正確に把握しやすいものまで含んでいる概念である。要素ごとに、それがはっきりと現れる県と、漠然としてあまり明確には現れない県がある。地域ごとの気質や文化の違いは古くから人々の関心を集め、調査の対象とされてきた(調査の節を参照)。各県ごとに歴史背景は大きく異なるが、県民性を作り出しているものとしては歴史や風土が挙げられる。あるいはもっと具体的に、地形や気候、人口、産業といったものを原因として挙げる人もいる。地域ごとに流布状況の異なる宗派(宗教)の影響も挙げられる。例えば、富山県などの北陸地方では、親鸞の創始した浄土真宗の影響が強く残っていて、人々のものの考え方、価値観に影響を及ぼしている(それが勤勉で忍耐強い県民性につながり、富山県が持ち家比率が全国一、福井県や石川県もそれに続く数字である、という分析もある)。そもそも「県民性」というのは比較的新しい言葉である。もともとは「お国柄(おくにがら)」などの言葉で呼ばれていた。現在でも年配の人の中には「県民性」という言葉よりむしろ「お国柄」という言葉を好んで使う人も存在する。明治時代になって廃藩置県が行われるまでは、地方政治は「藩」によって支配されていた。藩の領域(領分)は、多くの場合現在の県よりも細かく分かれており、現在の方言や食文化などは、県や令制国よりも藩の領分で理解した方が理解しやすいことが多い。この名残は今にも尾を引いており、薩摩藩に一円支配された鹿児島県や、土佐藩に一円支配された高知県には独自の気風が今でも色濃く残っている一方、中小の藩が分立し幕府直轄領・旗本領・寺社領が細かく入り組んでいた青森県や千葉県や埼玉県や長野県には、明確な県民性が見出し難い一因にもなっている。現代でも、小学校などでは、各県の教育委員会などが作成した、地元の歴史的英雄の話を織り込んだ冊子などを小学生などに配布して読ませていたりする。そういったもので地域ごとに異なった価値観も形成されている。例えば、会津で育った子供は白虎隊側の視点で見た歴史の話を繰り返し繰り返し聞いて育つ(それに対して、山口県の子供たちは(会津の子供に比べると)白虎隊の視点に立った話はほとんど聞かされない)。愛知県の東部(三河地方)で育った人は徳川家康の側から見た歴史を、同県の西部地域(尾張地方)で育った人は織田信長や豊臣秀吉の側から見た歴史を、鹿児島県で育った子供は西郷隆盛の側から見た歴史の話を繰り返し聞かされて育ち、それが歴史観や価値観になんらかの影響を及ぼしている。戦国時代に成立したとされる『人国記』には、当時の各地の風俗・気質の違いを律令制に基づく国ごとに記している。武田信玄はその内容を参考にして戦いを有利に進めていたともいわれている。江戸時代初期には、この『人国記』の改訂版『新人国記』も書かれた。近年では、日本放送協会による調査などが行われている。また、県別の統計データを集めたデータブック集なども複数出版されており、ビジネスマンたちはそれを活用して、ある商品が売れやすい県、売れにくい県などを考慮しつつ、県ごとの出店計画立案などに役立てている。(ステレオタイプ的なものや既に過去のものとなったもの、県内の一部にしか該当しないものも含む)出典:各都道府県の県民性の概要(茨城県)(栃木県)(群馬県)(埼玉県)(千葉県)(東京都)(神奈川県)(新潟県)(富山県)(石川県)(福井県)(山梨県)(長野県)(岐阜県)(静岡県)(愛知県)(三重県)(滋賀県)(京都府)(大阪府)(兵庫県)(奈良県)(和歌山県)(鳥取県)(島根県)(岡山県)(広島県)(山口県)(徳島県)(香川県)(愛媛県)【東予】【中予】【南予】(高知県)(福岡県)(佐賀県)(長崎県)(熊本県)(大分県)(宮崎県)(鹿児島県)(沖縄県)文化人類学者の祖父江孝男は、「個人差の存在を忘れて県民性を結論付けするとしたら、人種偏見の場合と同じ危険をおかすことになってしまう。しかし現実にはこのような結論に飛びつく場合が多いと思う。滋賀県や大阪府の県民性に関するイメージは近江商人や大阪商人に関する固定観念(ステレオタイプ)から生み出された部分が大きいので、平均的な県民性を考える場合にはよほど慎重にする必要がある。」との指摘を行なっている。統計的データというものは、県民性に関する説明に限らず、数字のままで表現されているうち(~県人の~%は...である)は正確である。だが、それを統計も知らない人に説明するために平易な言葉に置き換えて、「~県人は~の傾向がある」などと表現しはじめた段階から、(統計を知らない)受け手の側の一部に誤解が生じ始める。統計というものの性質を理解せず、「-県人の全員がその性質を持っている」と思い込む人がいるためである。時間とともに県民の性質が変化し、イメージが実態と乖離してしまうことがある。すなわち、ある段階では実像であったものが、時代の変化とともに虚像になってしまっていることがある。例えば江戸っ子気質というものは、かつては確かにあったが、昭和30年代から40年代にかけての東京への著しい人口流入と地価高騰による人々の周辺地域への移動で「江戸っ子気質」はほとんど見られなくなった。あるいは「愛知県人は結婚式に非常にお金をかける」というイメージは数十年前までは統計的に見て正しかったが、現在では統計的に見て愛知県人の結婚式の費用は特に突出してはいない。人の性質の変化する境界線が、必ずしも現在の県の区切りではなくて、もっと細分化された地域区分であることがあり、現在の県ごとに統計をとると数字でははっきりと現れず、歴史を考慮して地域を限定するとはっきりと現れることがある。例えば、滋賀県という単位で統計をとっても「近江商人」の性質は統計上はっきりとは現れないが、歴史的に近江商人が住んでいた地域に限定して(たとえば彦根市で)統計をとると「堅実」「勤勉、倹約」といったことを重んじる「近江商人」の態度が、全国でも最高ランクで、統計的にはっきりと現れる。そもそも、百数十年の歴史しか持たない府県が、千数百年の歴史を持つ令制国や郡を超越した風土を形成する括りとなるに至ったのかという大前提となる問題がある。前節の通り、「お国柄」を言い換えているに過ぎなかったり、国や郡の他にも多種多様に存在する地域性を無理やり府県という括りに当てはめたものが非常に多い。例えば、兵庫県は旧国で区分すれば摂津・但馬・丹波・播磨・淡路の5国となり(厳密には備前・美作も含まれる)、旧藩で区分すればもっと多くなる。県民性は、TBSテレビの『決定!全国47都道府県超ランキングバトル!!出身県で性格診断!?ニッポン県民性発表SP』や読売テレビ(日本テレビ)の『秘密のケンミンSHOW』など民放のバラエティ番組のテーマとして扱われることがある。
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