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捕手

捕手(ほしゅ)または、キャッチャー (英:"catcher") とは、野球やソフトボールにおいて投手の投球を受ける役割の選手である。守備番号は2。英略字はC(catcherから)。常にスターティングメンバー入りする捕手は特に正捕手(せいほしゅ)と呼ばれる。慣用句的に投手を支えるという意味から「女房役」、その連想から正捕手のことは「正妻」、または守備位置から「扇の要」と表現される事もある。なお、捕手が野手に含まれるのは広義の場合に限られている。クリケットではウィケットの前を陣取ることからウィケットキーパーまたはキーパーと呼ばれる。捕手以外の野手は投手が投げるまではフェアグラウンド上に守備位置を取ることと定められているが、捕手は野手の中で唯一ファウルグラウンドに守備位置が定められており、投手や野手とは逆の方向を向いて守備する。投手が投球動作を始め、その手からボールが離れるまで、捕手はファウルグラウンドに設けられたキャッチャーボックスに位置している必要がある。捕手が他の野手と比較して大きく異なる点の一つに、マスクやチェストプロテクター、レガースなど防具を身に付け、投球を受けるために専用のキャッチャーミットを着用する点が挙げられる。これは、投球(ときとして投手の暴投)やファウルチップなどが身体に当たった際の怪我を防ぐためである。また慣用句的に「捕手として試合に出場すること」を「マスクを被る」、ないしは単に「マスク」と呼ぶこともある。防具を装備しているとはいえ、ファウルチップやクロスプレーで故障する可能性が高いポジションである。また、「投手の的」としての役割があることから、大柄でがっちりとした体形の選手が務めることが多い。通常は右投げの選手が起用されるポジションであり、左投げの捕手は非常に稀である。これは、野球は競技人口に右打者が多いため左投げでは二塁や三塁への送球時に打者が邪魔になり送球しにくく特に三塁送球時は体をひねる無理な体勢となるため送球に支障がでる、本塁へ帰ってくる走者との交錯時に利き腕である左腕側から走者が突入してくるためタッチが遅れる上に故障の危険を伴う、送球のために半身になると一塁側が見づらいなどの理由に加え、そもそも肩が強い・ピッチングが組み立てられるなどの資質がある左投げの選手はまずは投手として育成されるのがほとんどであり、小中学校の段階で左投げ捕手の道はほぼ断たれるのが現状であるからである。用具面でも、左投げ用のキャッチャーミットに既製品が無く特注になる、チェストプロテクターの多くが右肩部分は可動だが左肩部分は固定されている、など障壁となっている。ただし、左打者が増えた環境下では、肩が強ければ左投げ捕手も務まりうる、という見方もある。(スローピッチ)ソフトボールでは、クロスプレーや盗塁が禁止されているため左投げの捕手でも支障は無い。ベンチ入りする捕手の数は少なく、一般に2人から3人である。ただし、どの試合でもベンチ入り捕手を全て使うようなことは稀である。前述の通り、専門的な技術を要するために他の野手にはなかなか務まるものではなく、負傷退場などの最悪の事態に備えて最低1人は交代要員を残しておくためである。一方で、控え捕手までもが負傷退場するなどして守備につける捕手がいなくなった場合に備えて、本来は捕手ではないが過去に捕手の経験のある選手が、試合前などに捕手としての練習をするケースもある。また、ブルペンで投手の投球練習を補佐する専門の捕手をブルペン捕手という。捕手は投手の投球を捕球する以外にも、リード、送球、牽制、ブロックおよびチームの守備全体を指揮する役割など、多岐にわたる様々な役割を要求されるポジションである。以下分野ごとに詳述する。捕手にとって最も重要な役割は投手の投球を捕球することである。プロの投手の高速のボールや変化球をミスなく捕球するためには各種の捕球技術が必要とされている。投手の投じる速球や変化球、時にはワンバウンドするものや暴投を正確に捕球できず、後逸することが多いと投手や監督から信頼されにくく、走者がいる場合には、捕逸してしまうと相手に進塁や得点の機会を容易に与えてしまうからである。ワンバウンドなどの難しい球を捕球できない時にも、捕手は自分の体にボールを当ててでもボールを止め、後方へそらさないことが求められる。このため特に捕球が難しいナックルボール投手が在籍するチームではこれを捕球する能力に長けた専属捕手が存在する場合もある。例えばボストン・レッドソックスではティム・ウェイクフィールドの先発登板する試合では、打撃に優れる正捕手のジェイソン・バリテックではなく、捕球に優れる控え捕手(ダグ・ミラベリ、ケビン・キャッシュ、ジョージ・コッタラス)が必ず先発出場していた。また、投球をミットで捕球した時の音(捕球音)を大きく響かせた方が投手は気分が良くなり、また捕球音が大きく響くと打者へ与える心理効果もあるため、できるだけ大きな「いい音」を立てて捕球することも、捕手に必要な捕球技術の一つとされている。捕手の捕球に必要とされている身体的条件は、俊敏性と下半身の柔らかさなどである。低い投球を後逸しないように低く構えるためには下半身の柔らかさが必要であり、投手の投球がそれても捕手が構えた姿勢から左右や上下に動いて捕球したり、打者がファウルチップした打球を後方へ逸らさず直接捕球するには、俊敏なフットワークが必要である。プロ野球の捕手に求められる「下半身の柔らかさ」とは、身体的には、筋力、筋肉の伸縮性、および、腰・膝・足首の関節の柔軟性(関節の可動範囲の広さ)を指している。梨田昌孝は、「うまいキャッチングは投手の力を引き出し、球審も味方につけられる」と自著に記している。
捕手に最も必要とされる能力はこれらの捕球の能力・技術とされており、その他の能力(リード、肩、打撃など)が良くても、捕球に難がある捕手は、正捕手としては起用されないことが多い。捕球技術と関連して、捕球体勢やミットの挙動によって際どいコースの投球をストライクとコールさせる技術をフレーミングと呼ぶ。従来は定量的な計測が困難で評価が難しかったが、PITCH f/x等の映像解析技術の進歩によってフレーミング能力は捕手ごとに大きな差が出る事が判明した。フレーミングが巧みな捕手は年間100個以上ものストライクを増やすため、高い失点抑止能力を持つ。近年はフレーミング能力を考慮した捕手の守備能力の再評価が進んでいる。捕球の際に捕手が露骨にミットを動かした場合、暗黙の了解でボール判定される事が多く、フレーミングには高い技術が要求される。リードとは、捕手が一球ごとに投手にサインを送り、打者が打ちにくい(≒打たれても内野ゴロに終わる)コースと球種を指示し、投手の力を引き出すことである。守備における司令塔となる。次に来る球を読まれると投手がメッタ打ちを受けやすく、ビッグイニングに繋がりかねない。どんな球を投げても打者に打たれないような優れた投手は少ない。日本プロ野球 (NPB) の場合は、チームの年間試合数144試合の半数以上はエース級ではなくチームの4番目以下の多数の投手が登板しているため、力量の比較的劣る投手が投げる試合(全試合数の半数以上)や投手が調子の悪い日に試合に勝つためには、捕手が投手の力量・調子や試合の状況等を判断して投手をリードすることが重要とされている。これは投手との共同作業であるため、捕手は投手から信頼されることが重要であり、捕手と投手(バッテリー)は互いに信頼関係を構築することが必要とされる。なおNPBでは最も息の合ったバッテリーを表彰する賞として最優秀バッテリー賞が制定されている。複数の捕手を併用するということが少ないのはこの点が関わっている。逆にこの信頼関係の面から、特定の投手が先発するときに限り専属捕手として正捕手以外の捕手を先発出場させたり、投手交代の際に捕手をも交代する場合がある。そのように試合途中から出場する捕手を「リリーフキャッチャー」、「抑え捕手」と呼ぶこともある。捕手の頭脳的な投手リードが日本で初めてファンから認識されたのは、日本初の外国人プロ野球選手であるバッキー・ハリス捕手(1936年名古屋軍、37年後楽園イーグルス)が始まりである。また、ハワイ出身の田中義雄(1937-44年の大阪タイガースの正捕手。通称「カイザー田中」)は、日本よりも野球のレベルが高かったハワイで身に付けた頭脳的なインサイドワークで高く評価された。1950年代には、同じくハワイ出身の広田順(1952-56年の読売巨人軍の正捕手)も巧みなリードが評価された。対戦チームのデータを生かして捕手が投手の配球をリードする現在の形が確立されたのは、鶴岡一人が監督を務めた時代の南海ホークスである。鶴岡(当時の姓名は山本一人)は1954年、プロ野球で初の先乗りスコアラーとして尾張久次を採用し、当時はメジャーリーグにも無かった世界初の「データ野球」を導入したことで知られている。1956年から南海ホークスの正捕手となった野村克也および1960年からヘッドコーチとなった蔭山和夫らが、尾張スコアラーが持ち帰った対戦相手のデータを、投手のリード、野手の守備および攻撃(打撃)に活用して大きな効果を上げた。この当時、読売ジャイアンツ(巨人)の藤尾茂(1955〜1959年の正捕手)も、そのリードが当時の巨人の投手の多くから高く評価されていたが、捕手がチーム全体の守備を指揮・統率する現在の捕手の形を日本に導入し浸透させたのは、1961年に巨人の監督に就任した川上哲治および1973年まで巨人の正捕手であった森昌彦である。(後述)南海と巨人が先駆となってプロ野球チームの作戦・戦法および捕手の機能と役割が確立され、1960年代以降、これらの方式が他のプロ球団へも広まり、定着していった。捕手のリードの役割や具体的な内容が一般のファンにも広く知られるようになったきっかけは、1970年代の人気野球漫画『ドカベン』(連載1972-1981年、作・水島新司)の影響が大きいとされている。当時の野球漫画としては珍しく捕手を主人公とした同作品は、1973年から、捕手が投手を巧みにリードするシーンを作品中に多数描き、主として少年ファンに捕手の役割やリードの重要性を紹介し、捕手のリードに対して一般の野球ファンの関心が広がるきっかけとなった。日本で初めて捕手のリードの重要性を一般に報道したのは報知新聞記者の宇佐美徹也であるとされている。宇佐美は1979〜80年に野村克也のリードに着目して過去の記録を調べなおし、王貞治がオールスターゲームで野村克也が捕手を務めているときに限り、30打席連続無安打であったことに気付いて捕手のリードの重要性を再認識し、これを紙上で発表した。NPBでは、捕手による投手リードにおいて、通常、以下の3つの要素が重視されている。捕手は、これらの諸要素を総合的に判断して打者への攻め方(投球)を組み立て、一球ごとの配球を考え、その配球を投手へ指示すると共に、味方の野手に守備位置やサインプレー等を指示する。捕手はこれらの役割を負っているため、プロレベルの捕手は、などが重要とされている。捕手によるリードは、中学校野球部の捕手が共通して監督から指導されるようなセオリーがあり、プロにおいてもリードのセオリーと考えられているものがある。捕手は、そのセオリーに個々の状況に応じて上記の様々な要素を加味して投手の投げる球種やコースを決めて投手に指示する。プロにおいては、名捕手と呼ばれる捕手のリードは必ずしもセオリー通りではない場合もあり個々の捕手によって独自のノウハウや個性もあるため「リードに絶対はない」とも言われているが、梨田昌孝は、「リードに絶対はないが、絶対に限りなく近いものはある」とし、それを追及していくためには、捕手は上記の様々な要素を常に観察して見抜く観察眼が重要であると自著に記している。このように、捕手は野球の守備において投手および守備陣をリードしチームの失点を防ぐ重要な役割を担っているが、捕手に必要な能力の第一はキャッチングの能力・技術とされ、日本のプロ野球チームにおいては、まず第一に投手のどんな投球でも捕球でき後逸しないことが捕手の必須の条件とされ、それに次いでリードの能力が重要であるとされている。捕手のリードの良否を客観的な数値で判定するのは簡単ではない。指標としては、その捕手がマスクをかぶっている時の防御率、特に自軍のチーム防御率と比較することでリードの良し悪しを判定する捕手防御率(「CERA」、Catcher's ERA: Catcher's Earned Run Average)がある。投手が同じでも、捕手が変わるとリードが変わり投手の投げる球種やコースが変わるため打たれ方が変わる。どんな球を投げても打者に打たれないような優れた投手が投げる場合には、捕手がきちんと捕球さえできれば、どんなリードをしても打者をアウトにできる可能性があるが、一方、エース級ではない投手(チームの投手の大多数)が投げる場合は、捕手が要求した通りのコース・球種・球速のボールを投手が投げたとしても、捕手が相手打者の狙いを読み誤り、或いは、捕手のリード(配球)が相手に読まれており、投球が打者の狙い通りの球であった場合、プロの打者は狙っている球が来た場合は打てる ため、安打や本塁打を打たれる確率が上がり、失点や防御率へ影響する。このため、捕手としての防御率であるCERAは主に同一チームの複数の捕手のリードの良否の比較に用いられるが、同一捕手でもシーズンごとの上下動が大きい場合もある。「そもそも(暴投や捕逸、盗塁阻止数に比べれば)リードが投手のパフォーマンスに与える影響などごく些細なものに過ぎない」と断じるアナリストも中にはおり、見方が分かれているが、アメリカのスポーツメディアや三大放送局ネットワークのNBC、ABC/ESPNなどは、メジャーリーグの捕手の守備成績としてCERAの数値を一般的に公表している。(参照)メジャーリーグベースボール (MLB) では投手の配球を投手自身または監督・コーチが判断して決めることが多いのに対して、NPBでは前述のように捕手が投球の球種やコースを判断して投手をリードするのが通常であり、特にプロ野球チームでは、打たれる責任は投手ではなく捕手の配球の責任としている監督やコーチが多いため、捕手のリードの必要性や重要度はアメリカよりも日本の方が高い傾向がある。捕手のリードの良し悪しを数値で示す客観的な指標はまだ確立されていないため、前述のCERAがある程度の目安として用いられており、チームの正捕手のリードを評価する場合には、チーム防御率などで代用される場合もある。CERAおよびチーム防御率は、チームの投手陣の良否に左右されるが、一方、前述のように投手陣の防御成績も、捕手のリードの良否によって左右される。野球チームは、失点をできるだけ少なく抑えて試合に勝つことがチームの目的であり、投手陣が弱体であるため失点が多くても許されるとは言えないため、投手陣の良否や守備力の良否がどうであれ、現有の投手陣を用いて結果的に失点を抑えることがバッテリーの役割とされている。失点を抑えたか否かの防御成績であるCERA(またはチーム防御率)の数値は、バッテリーの「能力」を示すものではなく、バッテリーを組む捕手のリードと投手の投球の共同作業の「結果」(成績)を示している。CERAは主に以下の用途の目安として用いられる。捕手の守備は、ただ座っているだけではなく、バントの処理やキャッチャーフライの捕球などがある。主に軟式野球の場合の捕手が飛球に対して、(軽い軟式球をはじかぬよう)上半身の前にミットを構えボールを抱え込むように捕球する方法を「ポケットキャッチ」という。役割は他に、走者がいない状況で相手打者が打った時は、味方の野手がエラーした場合に備えて一塁へベースカバー(バックアップ)に走らなければならない。相手打者が打った時に味方野手のバックアップに走る回数は捕手が最も多い。1試合に10本前後から多い場合には15本以上の内野ゴロがあり、その度に捕手は一塁へバックアップに走る。また、状況に応じて三塁のベースカバーもあり、特に、打者がバントしたゴロを三塁手が処理する場合は、空いた三塁のベースカバーに捕手が走ることが多い。これらの他に、走者を挟んで挟殺するランダウンプレイにも捕手は参加する。このため捕手は、1試合に走る総距離が内野手を上回ることも多い。捕手は、投手の全ての投球をリードして捕球するなど、チームの全選手の中でプレイへの関与数が最も多く、俊敏な動きを要求される頻度が選手の中で最も多いため、肉体面でもヘッドワークでも負担と責任の重い重労働のポジションと呼ばれている。走者が出た状況では、捕手は盗塁の阻止や走者の牽制などで素早い送球と送球技術が必要である。捕手の盗塁阻止の成績を示す指標として盗塁阻止率があるが、盗塁の阻止には捕手の肩の強さよりも、投手の球を捕球してから二塁などへ送球する動作の素早さの方が重要であり、またプロ野球チームでは、盗塁の阻止には捕手よりも投手が投球動作を素早くするクイックモーションの方が重要視されている。盗塁阻止の送球が内野手へ届く所要タイムの短縮には、捕手の送球そのものの球速(捕手の肩の強さ)や捕手の送球動作の素早さよりも、投手の投球動作を素早くする方がタイム短縮に効果があるためである。「投手 → 捕手 → 二塁」への送球に要する時間は通常3.2秒〜3.4秒であるのに対し、走者が一・二塁間27.43mを走るタイムは通常3.6秒〜3.8秒前後かかるため、投手・捕手・内野手が動作のタイムロスを無くせば、通常は、捕手の肩が平均レベルでも盗塁は阻止される。また、盗塁時に、走者は投手の投球動作の癖を盗んでスタートを切るため、投手が癖を盗まれないようにすることが極めて重要である。このように、盗塁阻止は投手と捕手の共同作業であり、盗塁された場合には捕手よりも投手の責任の方が大きいとされている。盗塁阻止での捕手の役割は、などである。バッテリーが盗塁を阻止する能力が高い場合は、相手走者が警戒するため、盗塁を企図される回数が減少する傾向がある。但し、以下のように、野球においては盗塁されることによる失点数よりも、リードの拙さによって打者に打たれる失点数の方が多いため、チームの失点を防ぐためには、盗塁阻止を過度に意識するよりも、打者をアウトにすることに集中する方が失点の防止には効果が高い傾向がある。上記の例1は、盗塁されることによる平均的な失点数である。プロ野球の正捕手の場合、許盗塁80は極めて多い水準であり、許盗塁20は極めて少ない水準である。仮に80盗塁されても、走者が二塁(得点圏)にいる状況で打者が安打を打つ確率は平均3割前後であるため、失点は多くとも年間24点程度にとどまり、少ないケースで20盗塁された場合は10点未満(6点前後)であることがわかる。従って、許盗塁を80から20へ減らしても、失点を減らす効果は年間18点未満にとどまることがわかる。上記の例2は、許盗塁を減らすことによる失点の差を表にしたものである。縦軸の失点数から横軸の失点数を引いた差が「失点の差(減らせた失点数)」である。24失点(縦軸1行目)-6失点(横軸)=18点 であり、18失点(縦軸3行目)-12失点(横軸)=6点 である。上記のように、許盗塁を減らすことによって失点を減らす効果は多くとも年間20点未満であり、平均的にはおよそ年間10点前後にとどまることがわかる。これに対して、捕手のリードの拙さによって打者に打たれることの方が、チームの失点は増加する傾向がある。前述のようにチームの投手陣は捕手のリードに従って投球するため、捕手からの指示によってチームの投手陣の投げる球種・コースが変わる (#リード を参照)。このため、捕手のリードが拙い場合は、打者に打たれる安打や本塁打が増加し、打たれる安打や本塁打が1試合当たり1〜2本増えるとチームの失点数や勝敗へ影響を与える。一例として1試合当たりの失点が0.5点(2試合に1点)増えた場合は年間144試合で失点数は72点増加することになり、許盗塁による失点数(年間20点未満)を大幅に上回る。捕手のリードの拙さによって打者に打たれる場合では、チームの年間失点が数十点〜100点前後増加してチーム防御率が0.50〜0.80以上悪化し、プロ野球の平均値である1試合平均4点を超えてしまう場合がある。プロ野球は年間144試合での勝率を競うリーグ戦方式であるため、プロ野球チームが勝率を上げてリーグ上位を狙い優勝を目指すためには、守りの面では、1試合の平均失点をリーグの平均以下(4点未満:3点台)へ抑えることが重要な要素となる。これらの数字により、盗塁阻止は、失点を防止する効果は低く、失点を少なく抑えるためには、盗塁阻止を過度に意識するよりも、打者をアウトにすることに集中する方がチームの失点を防止する効果が高いことがわかる。また、アメリカ野球学会(SABR)によるセイバーメトリクス(統計分析手法)は、盗塁は失敗するリスクが高く成功しても得点できる確率が低いため、得点期待値を下げる行為と定義しており、統計上、盗塁の成功確率が7割以上(失敗の確率3割未満)でなければ盗塁は試みない方がよく、打者に打たせた方が得点期待値が上がると結論付けている。日本においても、プロ野球の実際の試合データを検証した調査(2005年)で、無死走者一塁のケースにおいて、盗塁を試みたケースよりも盗塁を試みなかったケースの方が得点確率および獲得した平均得点ともに高いという統計結果が出ており、アメリカのセイバーメトリクス手法の結論と同様に、盗塁は成功確率が7割を超える高い確率のとき以外はしてはならないと結論されている。日本のプロ野球の盗塁阻止率(盗塁失敗の確率)は平均3割を上回るため、上記の統計分析に基づくと、攻撃側は、盗塁は成功する確率が極めて高くない限り、試みない方が得点の可能性は上がることとなる。この統計結果を守備側にあてはめると、走者の盗塁をアウトにすることは有益であるが、盗塁阻止能力が上がり相手チームが盗塁を試みなくなると、むしろ相手チームの得点期待値は上がることになるため、相手走者が盗塁を試みなくなることが失点の防止に有効とは言い切れないこととなり、統計上は、盗塁阻止を過度に意識するよりも、打者を打ち取ることに集中する方が失点を防ぐ効果が高いことになる。但し、上記のセイバーメトリクス手法の分析結果は、野球の従来の戦法・戦術を真っ向から否定している形であるためメジャーリーグ関係者からの反発もあり、盗塁および盗塁阻止の有効性については見方が分かれている。プロ野球では、走者が、盗塁の意志が無いが盗塁を狙っている振りを演じ、バッテリーの注意を走者へそらして打者を有利にするプレイ(偽装盗塁)もしばしば行われている。バッテリーが走者の盗塁阻止を意識すると、打者の内角への投球は捕手が二塁へ送球しにくいため外角球が多くなったり、球速の遅い変化球を避けてストレートを多くしたり、捕手が後逸する恐れのある低めの球や落ちる変化球は使いづらくなるなど、バッテリーの配球の選択肢が減るため打者が配球を読みやすくなり、長打の確率が増す可能性もあるためである。稀なケースとしては、バッテリーがわざと油断している振りをし、走者に盗塁を試みさせて二塁でアウトにするというトリックプレイもある。なお、野球の守備における送球は、捕手よりも外野手の方が強肩の必要度が高い傾向がある。盗塁は許しても直ちに失点に直結するわけではないのに対して、外野手はバックホームや内野への返球で相手走者のホームインや進塁を直接防ぐ必要があり、プロ野球では年間144試合を行うなかに、外野から好送球を必要とする場面が多いためである。相手走者が三塁からホームインしようとする時は、捕手は本塁をブロックする技術が要求される。この時、走者が捕手へ激しく体当たりすることも多く、捕手が負傷する原因の多くがこの本塁上のクロスプレイである。本塁のブロックでは、捕手には俊敏性と体の柔らかさが必要とされている。クロスプレイでは、走者に素早くタッチする俊敏性、走者との衝突による怪我を防ぐために、激しい衝突に耐える丈夫な肉体、衝突の衝撃を和らげる身体の柔らかさが重要である。ブロックを行う場合であっても、ボールを保持しているか、まさに送球を捕ろうとしているなどの状況でなければ、塁線に立って走者の進路を塞ぐことは許されない(公認野球規則 7・06(a)【付記】)。これに違反した場合は走塁妨害(オブストラクション)となる。なお、日本の高校野球においては、ボールを保持しているときしか塁線に位置することはできない。時に行われるトリックプレーの一種として、三塁走者が本塁へ疾走して来る時に捕手が本塁上で構えず、立ち上がって外野からまだ返球が来ないような振りをして走者を油断させ、返球が来たと同時にタッグアウトにするプレーがある。これは、走者には外野からの返球が見えないレフト側から返球が来るケースなどに行われる。逆に、ライト側からの返球を受けるケースでは、捕手には本塁へ走ってくる走者が見えにくく、捕手が体を左へひねり無理な姿勢でタッグしにいった所へ走者が突入して来るため大きな怪我が起きることもある。大矢明彦は、怪我やミスは想定外のことが生じたケースで起きるため、本塁上のクロスプレーでは「いい返球は来ないと思え」と自著に記し、捕手は、俊敏なフットワーク、俊敏に走者にタッグする技術と共に、1点を争う切迫した状況でも、冷静な判断により想定外のことが起きても対応できるようにしておくことが必要であるとしている。捕手は野球の守備位置の中で唯一投手に正対し、グラウンド全体を見渡すことが出来る場所に居る。そのためボールカウントやアウトカウント、得点差などを考慮し、打者の意図を見抜き、味方野手へシフトや送球先を指示する役割を担っている。守備陣を指揮しチームの守りに責任を持つ捕手のこの役割は、アメリカでは、「フィールドのキャプテン」 “a captain of the field” や「フィールド上のリーダー」 “a leader on the field” とも呼ばれ、日本では、「守りの要」、「グラウンド上の監督」とも呼ばれる。野村克也は捕手の役割と機能を評して「キャッチャーは監督の分身」と語っており、さらに捕手は監督の分身としての役割を担うことと、投手をリードすることを通して他者を動かす術を学ぶために、捕手出身者は野球監督に向くとしている。実際にプロ野球の監督には捕手出身者が多い。MLBでは、コニー・マック、ヨギ・ベラ、ジョー・トーリ、ジョー・ジラルディなど捕手出身者が極めて多く、2010年のシーズンにおいては、メジャーリーグ30球団の監督のうち12人が元捕手である。NPBでも、野村、上田利治、森祇晶、などの監督が捕手出身であり、日本選手権シリーズの優勝監督(1950〜2010年)は、捕手出身の監督の優勝回数が最も多い。捕手がチーム全体の守備を指揮し統率する現在の捕手の役割を日本に初めて導入し浸透させたのは、読売巨人軍の監督を務めた川上哲治である。川上は、1961年に巨人の監督に就任するに当たり、メジャーリーグのロサンゼルス・ドジャースの戦法を導入することを決意し、アル・キャンパニス著『ドジャースの戦法』(“The Dodgers’ Way to Play Baseball” 1954, 邦訳は内村裕之, 1955〜1957年ベースボールマガジン連載、1957年出版)をチームの教科書に使用し、サインプレーや守備の連係プレイを日本に初めて導入した。1959年から巨人の正捕手を務めていた森昌彦(森祇晶)も、川上の指示により同書を読まされ、同書にある、「捕手として絶対に必要な条件は、守備陣を指揮する能力」であり「捕手は全守備陣を引き締める重要なネジである」とする記述に、森は、「目からうろこ」の思いであり、「頭の中で音が鳴るほどの発想の大逆転が起こった」と後年述べている。同書を教科書として、巨人はドジャース戦法の練習を何年間も積み重ねて身に付けた。その後、川上監督・牧野茂ヘッドコーチを中心に正捕手・森を「司令塔」とする巨人は優勝を重ねて常勝チームとなり、巨人の圧倒的な強さの秘訣はドジャース戦法にあるとするスポーツ記事が増加したことにより、1960年代後半から他の各チームも巨人の戦法を参考にするようになったため、日本のプロ野球の捕手は、投手を含む守備陣全体の指揮官・司令塔の役割を担当するポジションとなっていった。1960年代以降、NPBでは監督・コーチによるコーチ・ミーティングに、選手の中で捕手だけが参加し、対戦チームのデータの分析や、相手打者の攻略法と自チームの守備のフォーメーションなどの作戦の打合せに参画することが多い。「近代野球を考察すると、捕手とは、スピードへの欲求から頭脳的なプレーを余儀なくされ、必然的に進化を遂げたポジションだったことがわかる」と森は述べている。捕手は前述のとおり他の野手とは異なる守備技術が要求され、怪我の危険性も高いポジションであるため、比較的打撃力は重視されず、捕手は打撃よりも守りの役割および機能が重視され、攻撃時の捕手の打順は指名打者制なしでは8番打者か7番打者であるケースが多く、指名打者制ありでは8番打者か9番打者か7番打者であるケースが多い。そのため、プロの野球における捕手は年間打率.249以下、年間本塁打数1桁台、年間安打数2桁台、規定打席(それ以前は規定打数)に到達せずでもベストナインに選出される例も珍しくなく、中でも森昌彦は1963年に打率1割台であるがベストナインに選出されている。打撃ではさほど目立たないがリードなどの守りが評価され名捕手と呼ばれる選手は少なくなく土井淳、大矢明彦、梨田昌孝などがいる。プロの野球において打撃3部門(首位打者・本塁打王・打点王)のタイトルを獲得する捕手は比較的少ない。アメリカ大リーグでは打撃タイトルを獲得した捕手は、アーニー・ロンバルディ、ジョニー・ベンチ、ジョー・マウアーなど数人であり、日本プロ野球においても、1936年の創設以降、バッキー・ハリス、服部受弘、野村克也、田淵幸一、古田敦也、阿部慎之助のわずか6人のみである。捕手が1番打者を務めるケースは極めて異例である。理由は俊足の捕手が少ないためである。捕手の守備で俊足を要求される場面はほとんどなく、俊足である捕手はむしろ、その足や捕手で培った強肩を生かして外野手にコンバートする例が少なくない。関川浩一や飯田哲也がその例である。打撃の良い(または守備力の低い)捕手はしばしばその能力を生かすために内野手・外野手を兼任したり、捕手以外のポジションにコンバートされる。捕球技術に長けた者や足が遅い者は一塁手や三塁手を、足が速い者や遠投能力に長けた者は外野手をプレーする例が少なくない。田淵幸一、吉永幸一郎、小笠原道大、和田一浩、山崎武司、江藤智、北川博敏などは打撃力を買われ、プロ入り後に内野手・外野手に転向した。また、チームに守備に秀でた控え捕手が居る場合や、投手交代の際バッテリーごと交代する場合、故障明けの出場など、一塁手など他の守備位置を兼任する捕手もいる。城島健司、阿部慎之助、高橋信二、岡島豪郎などがその例である。このように、捕手は他の野手と異なり、試合における役割・機能が極めて多岐に渡る。前述のように、メジャーリーグでは、投手の配球を投手自身または監督・コーチが判断して決めることが多く捕手のリードはそれほど重要視されない傾向があるため、メジャーリーグの捕手は、キャッチング技術の他に、打撃力や肩の良さが重視される傾向があるのに対し、日本のプロ野球では、捕手が打者に対する配球を判断して投手と守備陣をリードし、チームの失点を防止するグラウンド上の守りの指揮者・責任者の役割を捕手が担当することが通常であり、打たれる責任は投手ではなく捕手の配球の責任としている監督やコーチが多いため、日本プロ野球の捕手は、打撃や肩よりも、キャッチングおよびリードの良い捕手が正捕手に起用されるケースが多い。野球における捕手特有の用具としては、守備中にヘルメットを着用しなくてはならないが、ほかにはルール上の特段の定めはない。しかし、その特殊性から様々な保護具や他の野手とは異なる用具を着用している。ソフトボールでは着用しなければならない保護具類が、ソフトピッチ、スローピッチの別、男女の別等に場合分けして、定められている。

出典:wikipedia

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