ムスリムと非ムスリムとの婚姻（ムスリムとひムスリムとのこんいん）では、イスラム教徒と非イスラム教徒との結婚に関するイスラム法の規定と必ずしもそれにとらわれない幅広い実態を記述する。イスラム法によれば、ムスリムは基本的にムスリムとしか結婚できないとされている。ただしムスリム男性の場合は啓典の民に属する女性との結婚は推奨されないものの可能とされている。啓典の民の範囲は元来アブラハムの宗教を奉ずる者に限られているが、拡大解釈に依りそれ以外の宗教を信ずるものも啓典の民と同等と見做す場合もある。ムスリム女性にはこのような例外は認められず、イスラム教徒と結婚しなければならない。そのため、非ムスリム男性がムスリムの女性と結婚する場合、実質上、男性側のムスリムへの改宗が求められることになる。コーランの女性の婚姻に関する記載は、2章221節、60章10節であるが、そこには、ムスリム女性の啓典の民に関する婚姻についての記載はない。しかし非常に多くの多数派のムスリム法学者は、男性に与えられている許可を、女性に対しては明白に禁じている 。この解釈に賛同しないイスラム法学者やイマームの運動も広まっている現実におけるムスリムと非ムスリムとの婚姻は必ずしも上記規定どおりに行われるわけではなく、リベラルなイスラム教徒の場合は宗教を気にせずに結婚する場合も少なくない。インド、西ヨーロッパ、東北アジア、トルコを含むバルカン諸国などでは非ムスリム男性とムスリム女性の結婚すら稀ではない。それにもかかわらず、しかし、これは反します。2:221. 多神教の女とは，かの女が信者になるまでは結婚してはならない。仮令あなたがたが気に入っていても，多神教の女よりは信仰のある女奴隷が勝る。また多神教の男が信者になるまでは，あなたがたの女子をかれらに嫁がせてはならない。仮令あなたがたの気に入っていても，多神教の男よりは信仰ある奴隷の方が勝っている。これらの者は，信者を業火に誘う。だがアッラーは寛容に罪を許され，楽園に呼び入れられる。また人びとに，かれの印を明示される。恐らくかれらは反省するであろう。しかし保守的ムスリムが多数派を占める中東の大多数の国、とりわけイラン、アフガニスタン、サウディアラビアなどではイスラム教徒同士の結婚が強制されており、非ムスリムとムスリムが性的関係を持った場合、とりわけ非ムスリム男性がムスリム女性との関係を持った場合は石打ち刑を含む残忍な処罰が行われている。これは多くのリベラリストから人権侵害であると批判されているが、各国のムスリムの知識人は上記のイスラム法規定を持ち出しこの人権侵害を正当化している。日本国憲法では完全な信教の自由が保障されており、イスラム教徒であれ非イスラム教徒であれ、相手の宗教に関わりなく自由に恋愛を行い、結婚をする権利が保障されている。しかし現実には日本でもイスラム教徒が非イスラム教徒に結婚時に改宗を強制することがあり、問題となっている。これにはイスラムの多様な側面が日本において知られておらず、その教条的側面のみが広く知られているため非ムスリムの側が騙されてしまうことなども原因として指摘されている。上に記したとおり現在ではイスラム法の規定を厳格に守るべきとするムスリムは保守派に限られており、宗教の自由を擁護するムスリムも多いため交際相手がムスリムであるというだけで安易に改宗を選択するべきではなく、相手がイスラムの教義を口実に改宗を迫った場合毅然として自らの信仰の自由を主張するべきというアドバイスもある。

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