世界銀行(せかいぎんこう、)は、各国の中央政府または同政府から債務保証を受けた機関に対し融資を行う国際機関。当初は国際復興開発銀行を指したが、1960年に設立された国際開発協会とあわせて世界銀行と呼ぶ。国際通貨基金と共に、第二次世界大戦後の金融秩序制度の中心を担う。本部はアメリカ合衆国ワシントンD.C.。加盟国は184ヶ国。1944年7月、ブレトン・ウッズ会議において国際通貨基金とともに国際復興開発銀行の設立が決定され、国際復興開発銀行は1946年6月から業務を開始した。設立当初、国際通貨基金は国際収支の危機に際しての短期資金供給、世界銀行は第二次世界大戦後の先進国の復興と発展途上国の開発を目的として、主に社会インフラ建設など開発プロジェクトごとに長期資金の供給を行う機関とされ、両者は相互に補完しあうよう設立された。ソヴィエト連邦は決定には賛成したものの条約を批准せず、出資金を払い込まなかったために加盟できず、冷戦終結にいたるまで世界銀行の社会主義圏における活動は低調なものとなった。このころの世界銀行の主要貸し出し国のひとつは日本であった。1952年に世界銀行に加盟した後、1953年から日本の借り入れが始まり、合計8億6,000万ドルを借り入れ、その資金は東海道新幹線などのインフラの整備に充てられた。やがて、1967年には経済成長によって投資適格国から卒業し、1971年には日本は5大出資国の1つとなって、1990年7月には世界銀行からの借金を全額返済することとなった。やがて、第二次世界大戦後の先進国復興が完了し復興資金需要がなくなるのに伴い、世界銀行は開発資金援助に特化した。また、国際通貨基金も1970年代以降為替変動相場制を採用する国が増加したのに伴い加盟国の国際収支から国内金融秩序安定へその監視助言業務の比重を次第に移した。この動きを積極的に進めたのが、1968年に第5代世界銀行総裁に就任したロバート・マクナマラである。彼は1968年の総会で融資の額を69年からの5年間で以前の5年間の倍にすると表明し、彼の元で世界銀行は急速に貸付を拡大し、大きな影響力を持つようになった。それまでの財源の中心であった各国の拠出金に変わり、マクナマラは世界銀行債を積極的に発行することで市場から資金を調達することに成功し、以後世界銀行の独立性は高くなった。1980年代以降、開発途上国で債務問題がしばしば発生し、また旧社会主義諸国が次々と市場経済制度に移行するに至り、開発途上国の金融制度に関する分野ではその業務に一部重複も見られるようになった。開発途上国の債務問題に関しては、世界銀行は1980年からIMFと共同で経済危機に陥った途上国に対し、経済支援の条件として構造調整政策の実施を行うよう求めた。これは、肥大化した公的セクターの縮小や各種補助金や公務員の給与の削減によって支出の削減を行うとともに、経済を自由化させて自由競争の下で経済を成長させようというものだった。しかし、公的部門の縮小によって失業が増大し、教育や医療などの質的低下によって社会不安が増大するなどといった悪影響が大きく、特にアフリカにおいては多くの国で構造調整後も経済の沈滞は悪化する一方で、政策は必ずしも成果を挙げていない。世界銀行の規模が大きくなるにつれ、それを補完する機関が必要となっていき、その結果、1956年には世界銀行では融資できない民間企業に融資を行う国際金融公社が設立され、ついで1960年には世界銀行からの借り入れもできない貧しい発展途上国向け融資を目的とした国際開発協会ができ、さらに発展途上国と外国投資家との紛争を仲裁する国際投資紛争解決センターが1966年に、最後に途上国への投資に対し保証を与え、さらにサービスや助言をも与える多国間投資保証機関が1988年に設立されて、現在の世界銀行グループが形成された。国際機関は5つあり、それを総称して世界銀行グループと呼ばれている。世界銀行グループを形成する機関は、以下の5つである。世界銀行の意思決定機関は、総務会である。総務会はすべての加盟国から総務1人と代理1人が参加する。総務と代理には、各国の蔵相や中央銀行総裁が選ばれることが多い。各国は出資比率にもとづき、保有する世界銀行株1株につき1票の投票権を持つ。2010年、もっとも票数が多いのはアメリカ合衆国で、総票数の15.85%を持つ。次いで票数が多いのは日本で6.84%を占め、以下、中国4.42%、ドイツ4.00%、イギリス3.75%、フランス3.75%、インド2.91%、ロシア2.77%、サウジアラビア2.77%、イタリア2.64%の順となっている。総務会は、国際復興開発銀行と国際開発協会、それに国際金融公社をまとめたものがひとつと、多国間投資保証機関のみを統括するものがひとつある。なお、各機構への出資額が違うため、同じ総務会でも機構ごとに各国の所持する票数は異なる。総務会はIMFとともに年に一度総会を行い、ここで各種決定を行う。総会は3回のうち2回はIMFおよび世界銀行の所在地であるワシントンDCで行われ、1回、3年に1度はそれ以外の加盟国で行われるのが慣例となっている。2012年度の総会は開催されるはずであったエジプトでアラブの春による政情不安が起き開催を返上したため、東日本大震災からの復興をアピールするために日本が立候補し、2011年6月6日に日本開催が決定された。こうして、2012年の10月12日から10月14日にかけて東京で総会が行われることとなった。総務会は、権限のかなりを理事会に委任している。理事会は、最大出資国5カ国(2010年までは、アメリカ、日本、ドイツ、イギリス、フランス)から1人ずつと、そのほかの国から選ばれた19人のあわせて24人で構成される。この19人は加盟国を主に地域別にまとめた選挙区から選出される。中国やロシア、サウジアラビアといった拠出額の大きな国は単独の選挙区を持っているが、英語圏アフリカとフランス語圏アフリカはそれぞれひとつの選挙区となっているなど、出資額の少ない多くの国は大きな選挙区に属している。世界銀行には各国が出資金を払い込んでいるが、実際には世界銀行は開発資金のほとんどすべてを金融市場にて世界銀行債を発行することで調達している。総裁は、理事会によって選出される。総裁は世界銀行グループ5社のすべての総裁を兼任し、グループの実務をつかさどる。世界銀行の「(総裁)」には米国出身者、国際通貨基金の専務理事には欧州出身者が選出されるのが暗黙の了解になっている。世界銀行の副総裁には日本人の服部正也(日本人初)、西水美恵子が選ばれたことがある。次の表は、国際復興開発銀行(IBRD)、国際金融公社(IFC )、国際開発協会(IDA)、および多国間投資保証機関(MIGA)のそれぞれの機関において、2014年12月または2015年3月の時点での票数の多い20か国を示したものである。各国は資本への出資金によってまず最低250票を与えられ、次いで出資率に応じ票数を割り当てられている応じ票数を割り当てられている。
出典:wikipedia
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