ファモチジン()は、ヒスタミンH2受容体拮抗薬(H2ブロッカー)の1つ。胃潰瘍・十二指腸潰瘍といった消化性潰瘍の治療に用いられる薬品である。1979年に山之内製薬(現・アステラス製薬)が開発。壁細胞のヒスタミンH受容体を遮断することにより胃酸分泌を抑制するため、胃酸抑制薬として使用される。近年、他のH2ブロッカーであるシメチジン同様に異所性石灰化に有効だという報告がなされており、シメチジンより副作用も少ないため、整形外科分野での治療効果が期待されている。ヒスタミンH受容体は人間の場合、胃壁の他、心筋等にも存在する。ヒスタミンH受容体拮抗薬は心筋の受容体にも影響を与えるため、不整脈等の心臓の異常を起こすことがある。特に心臓病の患者が摂取することは禁忌とされる。ファモチジンを含む市販薬では死亡例も確認されている。その他、低血圧、下痢、めまい、頭痛、発赤がみられることがある。シメチジンは抗アンドロゲン作用(性欲の低下、インポテンツ、女性化乳房)がみられることがあるが中止すると回復する。1983年より錠剤型が「ガスター(Gaster)」の名称で医療用医薬品として日本で発売開始された。同時期より流通していた海外製品のシメチジンやラニチジンと効能は同等であるが国内メーカーの製品であるため広く流通していた。散剤の「ガスター散」およびOD錠型の「ガスターD」と、重症者向けの「ガスター注」がある。1993年には内用薬が、1999年には注射剤が日本薬局方に指定されている。一時期山之内の主力製品となったが、米国では2000年に、日本では2001年に基本的な製造特許が満了し、2002年よりジェネリック医薬品が流通している。山之内のガスターはファモチジン結晶多形から製造していたが、1990年代にハンガリーのリヒターゲテオン社がファモチジン結晶多形にA型とB型が存在している事を突き止め、結晶多形B型での製造特許を取得した(ガスターおよび日本薬局方の成分では結晶多形A型とB型を混合していることになった)。そのためリヒターゲテオンは山之内が結晶多形B型に係る部分の特許侵害をしているとしたが、山之内は2000年に日本における発売製品について2007年まで同社と独占的な製造特許のライセンスを締結した。しかし、ファモチジンの特許切れに伴いジェネリック医薬品メーカー各社が同製剤を製造するにあたり、リヒターゲテオンは山之内と同じく特許を侵害しているとして、2001年に当該するジェネリック医薬品メーカー14社に対して不法行為に基づく損害賠償及び不当利得の返還を請求する訴訟を提起した。この時点でリヒターゲテオンの日本におけるパートナーは山之内のみであった事から、山之内 対 ジェネリック医薬品メーカーの代理戦争を呈していた。2003年に東京地裁および大阪地裁での判決は「純粋に結晶多形B型のみを使用して製造したものではない」と、特許侵害が認められないとして原告敗訴となり、控訴審でも棄却される結果となった。1997年に山之内はガスター(錠剤)をスイッチOTCした「ガスター10」(ガスター・テン)を発売開始。内用薬初のスイッチOTCであった。ガスター10は、元々「ガスター20」の名称で医療用医薬品として使用されていた物を一般用医薬品(大衆薬)として販売するためにファモチジンの含有量を10mgに抑えて開発した物である。現在でも医療用医薬品としてガスター20は広く使われている。当時は胃酸を抑える効果のあるアルミニウム・マグネシウムや胃粘膜を保護する成分(ロートエキス・スクラルファート等)・消化酵素(リパーゼ等)など古典的な成分を配合した胃腸薬のみ市販化されていたため、1回あたりの単価が高価であるにも関わらず胃痛・胸やけに即効性のあるガスター10は瞬く間にヒット商品となり、後に散・OD錠・内用液(医療用には無い)型も発売されるようになった。他の大衆薬メーカーも1998年からH2ブロッカー製品の市販に追従したが、2012年現在は余り流通していない。ただし、体質や既往歴によっては重篤な副作用が起こる可能性があることや、あくまで対症療法のため常用を続けると重篤な胃疾患(胃潰瘍・胃癌など)の症状を紛らわせて発見が遅れる場合もあるため、発売当初より「薬剤師に相談すること」を広告で周知している。2009年の改正薬事法施行により第一類医薬品となったため、薬剤師と対面しないと販売できなくなっている。なお、ガスター10にはファモチジン以外の主成分は含んでいないため、食べ過ぎによる消化促進などの効果はない。ガスター10は2004年にゼファーマへ移管され、後に第一三共ヘルスケアへ吸収された事から、同社(第一三共)の製品として発売されている。
出典:wikipedia
LINEスタンプ制作に興味がある場合は、
下記よりスタンプファクトリーのホームページをご覧ください。