LINEスタンプ制作代行サービス・LINEスタンプの作り方!

お電話でのお問い合わせ:03-6869-8600

stampfactory大百科事典

ディーゼルエンジン

ディーゼルエンジン (英:Diesel engine) は、ディーゼル機関とも呼ばれる内燃機関であり、ドイツの技術者ルドルフ・ディーゼルが発明した往復ピストンエンジン(レシプロエンジン)である。1892年に発明され、1893年2月23日に特許を取得した。ディーゼルエンジンは「圧縮着火機関」に分類される。点火方法が「圧縮着火」である。ディーゼルエンジンがピストンを用い圧縮加熱した空気に、液体燃料を噴射することで着火させる。液体燃料は発火点を超えた圧縮空気内に噴射されるため自己発火する。単体の熱機関で最も効率に優れる種類のエンジンであり、また軽油・重油などの石油系の他にも、発火点が225℃程度の液体燃料であればスクワレン、エステル系など広範囲に使用可能である。汎用性が高く、小型高速機関から巨大な船舶用低速機関までさまざまなバリエーションが存在する。エンジン名称は発明者にちなむものであるが、日本語表記では一般的な「ディーゼル」のほか、かつては「ヂーゼル」「ジーゼル」「デイゼル」とも表記された。日本の自動車整備士国家試験ではジーゼルエンジンと呼称している。ディーゼルエンジンが液体燃料を圧縮着火させる。液体燃料は圧縮加熱された空気中で自己発火する。油滴の拡散燃焼が拡がり、燃焼ガスの膨張でピストンを押し出す「圧縮着火拡散燃焼機関」である。ディーゼルエンジンの本質は点火装置の不要な内燃機関である。ディーゼルエンジンは、4ストローク サイクルと、2ストローク サイクルに大別される。理論サイクルの分類では、低速のものがディーゼルサイクル(等圧サイクル)、高速のものはサバテサイクル(複合サイクル)として取り扱われる。ディーゼルエンジンは燃料噴射量だけで出力を制御する。スロットルバルブがないため、常時、吸入空気余剰の希薄域で運転される。不均一な拡散燃焼のため、全体では希薄燃焼であっても、部分的に燃え残りの粒子状物質(PM、Particulate matter)が発生する。燃料噴射装置が燃焼室に燃料を高圧で噴射する。燃焼室形状の違いで、単室の直接噴射式と副室式(予燃焼室式・渦流室式)に分かれる。1990年以降に燃料噴射圧を上げることが可能になったため直接噴射式が主流であり、副室式と渦流室式は低効率のため使われなくなった。今日ではディーゼル燃料で大型ガスエンジンを点火するときに副室式が用いられる。ディーゼルエンジンは圧縮着火のため高圧縮比となる。一般にピストンエンジンは圧縮比=膨張比であることから、高圧縮比、高膨張比エンジンとして熱効率が良い。圧縮比を上げることを気体の熱力学だけで解析すると、対数的に効率は上がり続けるものの圧縮比15を超えると伸び悩む。一方で高圧縮は摩擦損失と可動部品の重量増による慣性損失を増大させ、特に高回転で機械損失が急増する。また高圧縮になるほど着火しやすいが、むしろ早期着火により完全燃焼しにくくなり、適正な圧縮比は14台だといわれている。膨張比はより大きくても良い。但し、低温時や高地でのエンジン始動性のため圧縮比率は14より大きいことが多い。ディーゼルエンジンは高圧縮比エンジンなので発火点さえ確保できれば低精製の安価な燃料を使用できる。ただし、その実現には高価な前処理装置や特殊なエンジンオイルが必要になる。低燃費だがイニシャルコストが高い。稼動回転域はガソリンエンジンより低回転で狭いため、車両の発進には有利だが、より多段変速機が必要になる。拡散燃焼の特徴から気筒容積あたりの出力が低い代わりに、気筒容積に制限がなく、巨大なエンジンを実現できる。熱効率は良いので必要な出力が得られるまでエンジンを大型化することができる。ただし、大型ほど低速回転になる。空気だけを圧縮した中で燃料が自己発火するため、予混合燃焼ガソリンエンジンで問題となるノッキングやデトネーションが発生しない。そのため過給による吸入充填量の増加で気筒容積あたりの低出力を補うことが容易。特にスロットルバルブを持たず低速でも排気圧力が高いのでターボチャージャーにより排気エネルギーの一部を回収し、効率を維持したまま、排気量1L当たりの出力を100馬力程度にすることも可能。21世紀、現在の中速、高速ディーゼルエンジンには4ストローク機関が使われ、大型船舶や大型発電には、低速2ストローク・ユニフロー掃気ディーゼルエンジンが使われている。2ストロークエンジンで新気をシリンダーに送り込むためには、何らかの過給が必要となる。ガソリンエンジンでは安価なクランクケース圧縮が使われているが、ディーゼルエンジンでは過給機と頭上排気弁を併用するユニフロー掃気ディーゼルだけが生産中である。かつてはプランジャーポンプの一行程の加圧と吐出だけで一回の燃料噴射を実現する「ジャーク式」ポンプだったので、多段噴射できなかった。噴射量は機械制御によるプランジャーの有効ストローク量で決まった。従来のジャーク式ポンプはエンジン回転数や負荷によって燃料圧力と噴射量が変化する欠点がある。燃料噴射弁は燃料圧力の増減で従属的に自動開閉するものだった。いずれも噴射ポンプと噴射弁の間にある長い噴射管を毎回低圧に戻す影響のため、噴射圧が低く、近年では使われなくなってきた。1990年代後半から以下の方法で高圧燃料噴射を電子制御している。基本的にポンプで加圧だけを分担し、従属弁との間に配置した電子制御弁が噴射量とタイミングを分担する。ディーゼルエンジンではガソリンエンジンとは異なる特性に応じた装置が必要になるため、かなりの高コストになる。上記の燃料噴射装置や後段の排ガス対策用の後処理装置が代表例であるが、これら以外でも、原理的に振動と騒音が大きくなるため、ディーゼルエンジンでは2次バランサーを追加したり、防振ゴムによる固定に高度な技術が使用され、また大型車に圧縮開放ブレーキも使用される。燃料油清浄機はC重油から不純物を取り除く装置。1950年ごろ舶用大型ディーゼルエンジンで安価なC重油を使うために開発された燃料の前処理装置。それまではA重油までしか使えなかった。C重油は製油残渣といえる劣悪な燃料で、不純物の混入が前提となる。燃料油清浄機は残渣油を加熱して流動性を高めてから、水分や固形分を遠心分離機で取り除き、さらにフィルターで濾過して綺麗にする。安価を求める残渣油は軽質油を蒸留した残り物なので、製油技術が向上すると、より低質化し、一定品質に止まらないため、燃料油清浄機も高性能化を求められる。1970年以降に製油法の進展によって導入された接触触媒分解装置からアルミナ、シリカ微粒子が残渣油に混入するようになり、ピストンリング、シリンダーライナー、燃料ポンプを短時間で損傷する事故が多発するようになった。燃料油分析サービスと併用して事故の防止を図っている。火花点火のような着火機構を持たず、着火には空気の断熱圧縮による高温を利用しているため、寒冷地での長時間停車後など燃焼室が冷え切った冷間時の始動や、高標高地(空気密度が小さい)では、吸気が着火に必要な温度に達しないことがあり、「予熱」が必要となる。燃焼室内に頭部を露出させた「グロープラグ」で予熱を行ったり、場合によりインテークマニホールド直前に置かれた「インテークヒーター」で吸気を加熱する。マツダのSKYACTIV-Dでは始動にはグロープラグを用い、始動直後には可変排気弁の遅閉じによって高温の排気ガスを吸気管に吹き返して(内部EGR)、吸気を暖めている。小型ディーゼルエンジンの始動にはガソリンエンジンと同様にスターターモーターによってクランク軸を回転させ、燃焼サイクルを開始するが、圧縮比が高いため、同程度の排気量に対して2 - 3倍程度に大きな出力のスターターモーターを備える必要があり、自動車などでもバッテリーを2個直列にして電装系を24ボルトとするものがある。大型エンジンの始動には圧縮空気をシリンダ-内に吹き込み、ピストンを直接動かすための装置が必要となる。あらかじめ補助動力装置を起動して発電や圧搾空気を生成しておく場合が多い。ディーゼルエンジンは着火に電気を用いていないため、エンジンキーをオフの状態にし(バッテリーからの電源を断つ)ても停止しない。運転を停止させる方法には以下の3種類がある。エンジンオイル#ディーゼル車も参照。ディーゼルエンジンでは正しく添加剤が加えられたエンジンオイルでないと、シリンダー内の燃料の燃え残った微粒子が、ピストン側面のトップリング付近でエンジンオイルの主成分である鉱物油と結合して沈積物を作り、リングを固着する「リングスティック」という現象が起きる。これを防止する為に、エンジンオイルにはピストンリング付近に溜まる燃え残り、つまり「煤」や「スラッジ」を洗い流してエンジンオイル中に分散させる清浄分散剤が加えられる。また、排気 (EGR) やブローバイガスの還流で、それらに含まれる硫黄などによる酸でエンジンオイルが変質するのを防ぐ酸化防止剤や、腐蝕防止剤、粘度を適正に保つ粘度指数向上剤も加えられている。大量に硫黄分の残留するC重油を使う大型ディーゼルエンジンでは燃焼後に発生する硫酸成分を中和する為に塩基価(アルカリ価)の高い「高アルカリ価シリンダ油」が求められる。中和しないとエンジン内部がすぐに腐食してしまう。クロスヘッド機関でクランク室を潤滑する油はシステム油と呼び、最新のエンジンでは動弁系や燃料増圧用の油圧作動油としても利用されている。システム油はシリンダ油よりも低アルカリ価であり、ピストンの裏側に噴射されて冷却に使われるのもシステム油である。ディーゼルエンジンのエンジンオイルは、ガソリンエンジンのものに比べ、早期に多くの微粒子を取り込むため、オイル・フィルターは大型で高効率なものが使われる。一部エンジンでは、本来のオイル流路とは別に設けられた、遠心式や吸着式によるバイパス式フィルターで微粒子を取り除いてオイルパンに戻すものもある。燃焼残渣の多いC重油を使うクロスヘッド機関ではシリンダー部を潤滑した高アルカリ価シリンダ油は汚すぎてフィルタでも再利用できず廃油となる。その代わりクランク室はシリンダ室とは分離され独立のオイル経路で循環して潤滑される。ディーゼルエンジンは、スロットルバルブが不要なことや吸気脈動が大きいことなどで、ガソリンエンジンと比較してインテークマニホールドでの負圧生成には適していない。そのため、真空倍力式のブレーキブースターを用いるディーゼル車では、Vベルトやギヤで駆動する専用の真空ポンプと、負圧貯蔵タンクを備えている。このポンプの潤滑にはエンジンオイルが兼用される。大型低速であるほどディーゼルエンジンの長所が引き立ち、短所が目立たなくなる傾向にある。逆に小型高速ではガソリンエンジンが有利になる。このため小型車の動力はガソリンで大型車はディーゼルになることが多く、船舶、鉄道などはディーゼルの独擅場になっている。ガソリンエンジンは点火方式が「火花点火」、燃焼方式が「均一予混合燃焼」である。あらかじめ燃料を気化させた混合気をシリンダーに吸入、圧縮したのち、電気火花により点火する。均一混合気に満たされた燃焼室に火炎面伝播が発生し燃焼域が半球状に広がって間欠燃焼する。シリンダー直径が大きすぎると火炎伝播速度が間に合わずシリンダーの外周に近い混合気まで点火できなくなるので、シリンダ直径(ボア)に限界(自動車用の場合10cm、容積で800ccほど)がある。一方で予混合燃焼ではPMは発生しない。ただし圧縮行程で燃料噴射する直噴ガソリンエンジンは気化できない液滴の残る不均一な成層燃焼なので、PMが発生する。ディーゼルエンジンは拡散燃焼なので容積に制限はない。ただし、高圧下の拡散燃焼速度は遅いので大容積エンジンは低回転に限られる。これは、むしろ大型船舶やポンプ、発電機などの大出力エンジンにとって都合が良い。1万馬力を超える巨大出力の歯車減速機は信頼性に乏しいので、低速エンジンの直接出力が求められるため。ただし速度変化の激しい車両には多段変速機が必要になる。ガソリンエンジンは混合気の吸入量をスロットルバルブによって絞ることで出力を制御するのに対し、ディーゼルエンジンは燃料噴射量だけで出力制御するため、ポンピングロスが少なく、効率が良い。また同じ理由でディーゼルは負荷変動によって空燃比も変わり、全般的にも希薄燃焼であり、理想空燃比は実現できない。これは容積あたりの燃料の充填が少ないことを意味し、気筒容積あたりの出力が低い傾向にあるが、過給により補完できる。特にスロットルがないため低回転から排気量が多いのでターボチャージャーとの相性が良い。ただし、最近では両者の構成が近づいている。2012年に圧縮比を同じ14にした、高圧縮比ガソリンエンジンと低圧縮比ディーゼルエンジンがマツダから出荷されている。他社のガソリンエンジンでも吸気の可変バルブタイミング機構により吸入量を変えたり、低温多量EGRバルブにより排気と吸気の割合を変えて出力を調整するようになり、スロットルバルブは必須でなくなった。これらの改善のため近年ガソリンエンジンの効率が上昇し、ディーゼルとの差が縮まっている。さらに事実上、同じ点火、燃焼モードを持つエンジンが開発中である。まず、ガソリン燃料でありながら圧縮比14台で圧縮着火を目標としているHCCI (Homogeneous-Charge Compression Ignition:(均一)予混合圧縮着火) エンジンが開発中であり、通称ディゾットエンジンとも呼ばれる一方で、1995年にはディーゼルエンジンでありながら低負荷領域で予混合を用いる PCCI (Premixed Charged Compression Ignition:(不均一)予混合圧縮着火)が実用済みであるなど、ガソリンとディーゼルエンジンの区分けが曖昧になりつつある。圧縮比が高く、燃焼室内の空気過剰率が大きいため、作動ガスの比熱比が高く図示熱効率が高い(投入したエネルギーに対して燃焼ガスの温度上昇に使われる割合が高い)と言われている。ただし、これは大型低速エンジンの場合であり、高速エンジンでは損失も多い。2010年現在の大型舶用ディーゼルの熱効率が50%に達するのに対し自動車用ディーゼルの熱効率は40%、ガソリン機関の熱効率が30%程度、ガソリンアトキンソンサイクル機関の熱効率は30%台後半である。また重量、負荷変動、速度、変速の効率が加味される自動車の走行パターンを与えた場合には差が縮まる。以下に乗用車用エンジンのトップランナー方式の実効率の報告書の結果を示す。2005年の予備調査のときより2010年の結果のほうがTank to Wheel 効率の差は半分に縮まっている。同じ程度の排気規制を満たすために差が縮まったともいえる。この報告書の効率の算出方法について、まず燃料を比較すると、軽油はガソリンに比べ、密度が12%大きく、容積あたりの熱量も9%大きい、しかし質量あたりの熱量は5%小さい、熱量あたりの二酸化炭素(CO)発生量は2.5%多く、質量あたりのCO発生量は2%少ない、容積あたりのCO発生量は10%多い。このような燃料の異なるエンジンを燃料の容積や質量単位で比べられないので、生産エネルギーと消費エネルギーを比べている。このように補正したTank to Wheel 効率ではJC08モードでディーゼルはガソリンより3.5%しか良くない。ただし、10・15モードなら8.5%良い。 さらに Well to Wheel 総合効率のJC08モードの効率とCO排出量では 11% 良い。さらに Well to Wheel 総合効率の10・15モードのCO排出量では18% 良い。まとめると、自動車用ディーゼルは現在の厳しい排気規制の下でもJC08モードの Tank to Wheel 効率ではガソリンエンジンより3.5%エネルギー効率が良いが、軽油の熱量あたりのCO発生量は2.5%多いため、クルマ単体でのCOの排出量の差は、ほとんどない。ただし、Well to Wheel 総合効率のJC08モードのCO排出量で11%良い結論は変わらない。これはガソリンの精製に軽油よりもエネルギーを消費しているためである。車両用ディーゼルは高速道路の定速走行など負荷が一定の状態なら熱効率どおりにガソリンより3割ほど効率が良い。しかし常用回転域が狭いことから市街地走行のような負荷変動と加減速を含む走行パターンでは一気にガソリンとの差がなくなる。変速が単純な10・15モードの効率がJC08モードより良いことから伺える。ディーゼルエンジンには点火装置とスロットルバルブが不用であるため、構造が単純化でき、信頼性が高い。ディーゼルエンジンは拡散燃焼の範囲であれば圧縮時の筒内が空気だけなので、過給してもプレイグニッション・ノッキングやデトネーションがない。スロットルバルブがないため、低速でも排気が多く、ターボチャージャーとの相性が良く、容積あたりの低出力を補うことができる。更に大型エンジンでは排気エネルギーを出力軸に、より多く回収するターボコンパウンドも可能。ガソリンエンジンには点火時の火炎の伝播速度によりシリンダ直径に限界があるのに対し、ディーゼルエンジンには限界がないので大型化に適している。ガソリンエンジンでは、多気筒化で排気量を確保して高トルクを得るか、高回転化で出力を上げなければならないのに対し、ディーゼルエンジンでは気筒容積の拡大で可能となり、構造が単純化されフリクションロスも抑えられ、熱効率が高まる。大型エンジンほどディーゼルエンジンの利点が活きる。ディーゼル燃料の引火点はガソリンに比べて80℃ほど高いため、爆発・火災事故に対する余裕が大きい。特に被弾することを前提とした軍用車両で、このメリットが大きい。軍用車両のエンジンは航空燃料のJP-8等と併用することも考慮され、ディーゼル化を進めている。ガスタービン燃料は軽油よりも上質油であるが、燃料を共有することで有事の兵站が合理化される。自動車用ディーゼルエンジンの価格はガソリンエンジンの倍になる(国産車の車体価格差で40万-50万円高い)。スロットルと点火装置が要らない代わりに、高価な燃料噴射系と補機類が必要となりエンジン全体は高コストになる。ディーゼルエンジンの主たる短所は、大きく重く振動が激しいことである。エンジンの出力重量比が悪く、軽量化を要求される航空機ではほとんど採用されていない。圧縮着火のため高空(低温、低気圧)での始動性や信頼性に乏しい。拡散燃焼なので、黒煙やPMが発生しやすいうえに、燃焼室内が高温高圧かつ希薄燃焼域(軽負荷時は30:1から60:1)で酸素と窒素も過多であるためNOも発生しやすい。排気対策をするにも、排気中の残留酸素が多い酸化性雰囲気では三元触媒を使えないため、PMとNO対策に別々の後処理装置が必要となり高コスト化する。高圧縮比のため、ピストンリング面圧、軸受面圧と稼動部品の質量が大きい、高速回転させると摩擦損などでエネルギー損失が急増する。高圧縮比のため高回転まで回らず、常用回転域が狭いため、車両用には走行速度に応じた変速が必要で、最適な回転数をはずすと効率が低下する。この2点が調和しないため、自動車用ディーゼル機関は大型舶用ディーゼル機関より大幅に低効率となっている。ディーゼルエンジンでは燃料噴射装置が点火装置と出力制御装置を兼ねるため高価になり、燃焼制御も難しい。燃料噴射系がエンジンコストの半分を占める。高圧縮比であるため、吸排気系の脈動も大きく、こちらの振動や騒音も大きい。船舶用、コジェネレーション用では脈動を抑える為、アキュムレータを備えた物もある。シリンダーヘッド、シリンダーブロック、ピストン、コネクティングロッド、クランクシャフトに高い強度と剛性が求められ重量が嵩む。車両には大トルク用の多段変速機が必要となる。副変速込みで18段や24段の手動変速機では、操作が煩雑すぎる。優秀な自動変速機が必要になり、更に重く、高コスト化する。吸気管負圧を得にくいため、自動車において、ブレーキブースターを別の経路からとる必要がある。高コストの原因となる。寒冷地では燃料中のパラフィンが析出して燃料フィルターで目詰まりする場合がある。温暖な地域の軽油を入れて寒冷地に移動して駐車していると燃料が流れなくなって始動しなくなる。ディーゼルエンジンの容積あたりの低出力を過給、ターボチャージャー、ターボコンパウンドなどで補うと、点火装置の単純さが相殺され、高コストになる。乗用車用ディーゼル機関では振動軽減のため小排気量なのに多気筒化する例があり、気筒容積拡大で大型化できる利点を生かせない。高コストになる。定置型の内燃力発電やポンプなどの動力。水上船舶、潜水艦などの舶用動力。トラックやバスといった大型自動車や、戦車のような軍用車両、建設機械、農業機械などの大型特殊自動車ディーゼル機関車や気動車などの鉄道車両に使用される。発電、ポンプなどはディーゼルが主流であるが、排ガス規制によるLPG、CNGなどのガス燃料の制限がある場合は電気点火のガスエンジンまたはディーゼル燃料で点火するガスエンジンとなる。大出力を生み出す大型舶用エンジンと、そこから派生した定置発電用エンジンは、ディーゼル機関の独壇場と言える用途である。大型に適するディーゼルエンジンゆえ、世界中で大型自動車(商用車、トラック、バス※1、※2)や大型特殊自動車、建設機械に用いられている。日本では軽油の小売価格がレギュラーガソリンよりも1割強ほど安いので、経済性を優先する商用車では小型のライトバンでもディーゼルの比率が高い。欧州では、小型の乗用車でも新車販売台数の約43%がディーゼル車(2006年)である。米国では、乗用車市場におけるディーゼル車のシェアは0.5%(2005年)である。モータースポーツでのディーゼルエンジンの登場は古く1952年のインディ500でカミンズ製のディーゼルエンジンを搭載した車がポールポジションを獲得している。2006年には、ディーゼルエンジンを搭載したアウディ・R10 TDIがル・マン24時間レースに出場し初優勝した。WTCCでもディーゼルエンジン車は活躍しており、セアトのレオンはレースでの優勝に加え、シーズン総合優勝も達成している。2000年ごろには9-16L級の中型エンジンでは直列6気筒とインタークーラー・ターボ過給が採用されて500hp程度の出力であり、16-30Lの大型では自然吸気V形8気筒以上の配列が採用されていた。高速定速走行の頻度が高い高速バスや輸送用トラックには中型ターボチャージャーが適し、低ミュー路や走行抵抗の大きい悪路での微・低速走行の機会の多いダンプトラックには、レスポンスに優れ扱いやすい大型のV型8気筒ノンターボエンジンが好まれてきたからである。しかし、次第に厳しくなる排ガス規制の前に、各社とも2010年までに排気量を11-13L程度まで落とし、有害排気の低減装置と親和性が高い直列6気筒エンジンに生産を絞り込んだため、排気量の大きなV型自然吸気エンジンは姿を消した。自動車用4ストロークエンジンでは過給機による高圧化が進み、すでに筒内最高圧力 (Pmax) の上昇限界のために圧縮比は低下傾向にある。排気量2-5L程度の小型ディーゼルエンジンの多くが乗用車用なので、静粛性や排ガス対策を中大型エンジンよりも強く求められ、コモンレールによる直接噴射式となっている。欧州に比べ日本では、COの削減メリットよりNOやPMに対する法規制が優先されたため、2000年頃から小型ディーゼルエンジン搭載の乗用車は減少した。しかしポスト新長期規制と呼ばれる厳しい基準群に対応するクリーンディーゼル乗用車が2010年以降に発売され、再び徐々に増加している。装軌車両においては、単なる過給機との組み合わせでなく、タービン機関との複合機関(ターボコンパウンド機関)とされる例(ルクレール)がある。インドでは古くからディーゼル二輪車が生産、販売されていた(例:富士重工業製の井戸ポンプ用ディーゼルエンジンを搭載したエンフィールド=ロビン・D-R400D)。近年、イギリス陸軍がカワサキ製オフロードバイクにディーゼルエンジンを搭載し運用開始した。これにより陸軍車両燃料の軽油への統一化を完了した。同様の車輛が、HDT M1030-M2 JP8(680cc)として市販されている。飛行船においては1920年代から1930年代に開発されたLZ129ヒンデンブルクやLZ130は、逆回転可能なディーゼルエンジン(ダイムラー・ベンツ・DB 602)により、プロペラを駆動していた。カムシャフト上のギアを変えることにより回転方向を変えることができる。全出力からエンジン停止、逆回転させて全出力までの時間は60秒以下であった。これはまさに船舶用エンジンと同じ機能である。1929年に完成したR101飛行船には直列8気筒のビアドモア製トルネードエンジンが5基搭載された。鉄道用の4気筒エンジンを2つ組み合わせて高出力、軽量化したものであった。気温の高くなるインド航路での利用が多く見込まれたため、引火点の低いガソリンでの火災事故の懸念からディーゼルが選択された。飛行船は固定翼航空機と異なり、連続運転を要求されず、中速クラスの可逆回転ディーゼル機関を流用できたが、1930年代末期の硬式飛行船そのものの衰退で、それ以上の発展を見なかった。固定翼機において、最初にディーゼルエンジンが試されたのは1920年代から1930年代にかけてであり、1928年9月18日にパッカード製ディーゼルエンジンを搭載したスチンソン(機体番号X7654)が初飛行に成功している。代表的なものとしてはパッカードの空冷星型エンジン(黒煙排出や強度面の欠陥により早期に市場から淘汰された)や、対向ピストン式のユモ205などがあり、特に後者は一定の成功を収めた。ソ連では第二次世界大戦中チャロムスキー Ach-30ディーゼルエンジンがイェモラーエフ Yer-2やペトリャコフ Pe-8などの爆撃機に搭載された。フランスではブロック(Bloch)がMB.203爆撃機に製の星型ディーゼルエンジンを搭載した。ロイヤル・エアクラフト・エスタブリッシュメントでは1932年にを圧縮着火式エンジンに改造して、に搭載してテストした。このように多くのメーカーがエンジン開発を試みたが、第二次世界大戦においてディーゼルエンジンは軍事航空機用途には適さないと判断され、主流とはなり得なかった。大戦後のユニークな提案としては複雑なターボコンパウンド機関の燃焼にディーゼルを利用するネイピア ノーマッドエンジンがあるが、これも実用化には至らなかった。航空機用ガソリンエンジンの進化が止まり、環境に悪影響を及ぼす有鉛の航空用ガソリンも非常に高価なので、ヨーロッパでは1980年代以降、定員数名以下の小型プロペラ機向けの低燃費ディーゼルへの関心が復活した。この結果、少数の航空機用ディーゼルエンジンの実用例と、開発の模索が続いている。大きく、重く、振動が大きいという欠点を改善するため、「エアロディーゼル」と呼ばれる軽量化されたエンジンの開発が試みられている。一例としてイギリスのDair2ストロークディーゼルが挙げられる。これは重たいシリンダヘッドを使わず2つの対向ピストンで一つの燃焼室を形成する対向ピストン式エンジンの現代版である。しかし、-5 ℃ 以下での始動が保証されない、着火と燃焼が安定しないので高空で使えない、など、この形式の性能や信頼性は決して高くない。ディーゼルの適用は低空で使用する小型飛行機とヘリコプターと飛行船に限られており、発展性は少ない。2001年ドイツのティーラート社が、ディーゼルエンジンでは第二次世界大戦後初めてJAA(による認証を取得した。2002年に認証を取得したCenturion 1.7(TAE 125)エンジンとその後のCenturion2.0エンジンはそれぞれメルセデス・ベンツ・Aクラスに搭載されたOM668、OM640エンジンをベースにしており、オーストリアののやなどの小型機に採用された。2010年までに合計3000基以上が生産されている。Thielert社は2008年に倒産した後管財人の元で再建が行われ、2013年に中国航空工業集団公司(AVIC)傘下のコンチネンタル・モータースに買収された。2010年にはEADSによってディーゼル発電機を使った高効率を謳う電動ハイブリッドヘリコプターのコンセプトが発表された。EcoMotors社の対向ピストンエンジンが採用されている。2015年現在NASAによって電動のVTOL機やドローンに小型のディーゼル発電機を組み合わせ、航続時間を延ばす研究もおこなわれている。2015年11月6日にはエアバス・ヘリコプターズがV型8気筒4.6リットル直噴ターボディーゼルを搭載したH120の飛行に成功した。European Clean Sky initiativeの一環として開発された。これにより、チュルボメカ アリウスを搭載した同型機よりも燃料の消費が50%低減され、航続距離が2倍近くになり、高温高地での運用性が向上するとされる。また、国内では免許取得の容易な単発レシプロ回転翼機の事業用免許で運行できるので運行経費の削減に寄与することが期待される。ガソリンエンジンより熱効率の高いディーゼルエンジンは、COの発生量では環境への負荷が少なくて済む。しかしPMやNOの発生量はガソリンエンジンより大量で問題を含んでいる。気体だけを燃やす予混合燃焼と異なり、燃料を液滴のまま燃やす噴霧燃焼の原理上、液滴の燃え残りとして、PMや黒煙を発生しやすいことが欠点である。またディーゼルエンジンはガソリンエンジンよりも高温高圧で、余分に空気を取り込む内燃機関なので、窒素酸化物 (NO)の生成量も多くなってしまう。ディーゼル機関の低負荷時の空燃比は30:1から60:1もの希薄に見えるが、均一予混合燃焼ではないので、低温燃焼によるNOx低下は無い。むしろディーゼル機関は液滴付近の空気だけを消費する不均一な拡散燃焼のため、燃焼温度が高いまま多量の余剰空気を加熱し、行程あたり高負荷時よりも大量のNOxを生成する。ディーゼル機関は排気も酸素過多となるので、ガソリン機関で多用されている排気浄化用の三元触媒を使えない。三元触媒は理論空燃比の元でだけ、炭化水素 (HC)・窒素酸化物 (NOx)・一酸化炭素 (CO) を同時に浄化できる。ディーゼルエンジンの排気ガスの発がん性について、WHOの下部機関である国際がん研究機関(IARC)は長らく「グループ2Aの発がん性」=「人に対する発がん性がおそらく(probably)ある」としてきたが、2012年6月、アメリカ国立がん研究所/国立労働安全衛生研究所の大規模疫学調査から、最高の危険度を示す「グループ1」=「人に対する発がん性がある」と格上げした。ディーゼル燃料に硫黄が残留していると排気に有害な硫黄酸化物 (SO) が含まれる。また硫黄は酸化力が大きいので排気浄化用の酸化触媒や還元触媒とも先に反応して無効にしてしまう。そのため自動車用エンジンへの対応はもっぱら燃料の脱硫に頼っている。従来、欧州の軽油が低硫黄分の北海産原油から作られるのに対し、日本の軽油は高硫黄分の中東産原油から作られるため低硫黄化が難しいと言われていた。しかし日本の脱硫に関しても2004年末、自動車排出ガス規制に関連する「自動車燃料品質規制値」の変更が行われ、軽油に含まれる硫黄の許容限界は、従来の0.01%質量以下から0.005%質量以下へと改められ、欧州と同じ時期に同じレベルに低減している。硫黄分には潤滑作用があるため、脱硫後の燃料油には潤滑剤が添加される。大型舶用エンジンには3%ほどの硫黄分の多い粗悪な燃料が使われるため海水スクラバー装置(海水を吸収剤とする排煙脱硫装置)などの後処理で排気からSOを除去しようとしている。湿式スクラバーの後段でNO低減触媒も使えるようになるが、排気温度が低下しすぎているので難しい。2012年現在、欧州で排気温を下げすぎない乾式スクラバーと#SCRの組み合わせが開発中である。排ガス中のNOと黒煙とは、二律背反の関係にあり、しかも自動車の走行条件は、どちらの状態もあるので2000年代のPM、NO対策では2つの後処理装置が必要になる。高圧噴射で少量の燃料を完全燃焼させ黒煙の発生を防ごうとしても、高温高圧下の窒素と酸素(空気)により、NOが生成されてしまう。このため、低負荷時にはEGRを増やし燃焼温度を下げてNOを低下させる。EGRを増やすと完全燃焼しにくくなり黒煙が増えるため、高負荷時にEGRは使えない。またEGRをなくしても高温高圧下で燃料噴射量が増えると、不均一な燃料が早期に発火して、PMが発生する。1990年代にコモンレール方式で多段噴射が使えるようになると、欧州自動車メーカーは発生したPMを多段噴射による後燃焼で完全燃焼しようとした。しかしNOxには無効だった。結局、PM対策とNO対策のために、別々の後処理装置が使われた。2012年に発売されたマツダSKYACTIV-Dの低圧縮比ディーゼルによって初めて高負荷時のNOが低減され、NOの後処理装置が不用になった。大型舶用エンジンには硫黄分の多いC重油が使われるため、NO浄化触媒は容易に使えない。また粗悪な重油を着火するため圧縮比も低下できない。派生型の内燃発電では水添加燃焼により燃焼温度を下げてNOを低減している。水の気化熱で燃焼ガス温度は低下し、水蒸気は作用気体となる。熱効率は2-3%低下するだけでNOを50%低下する。さらに多層水添加という高度な技を使えば熱効率を維持して60%のNO低減が可能となる。日米欧の各地では、ディーゼル自動車に対する環境規制が行われている。国際海事機関(IMO)は海洋汚染防止条約付属書VI(MARPOL73/78 ANNEX VI)を1997年に採択し、批准国が定数に達すると発効するという手順で、2000年からSOの規制を発効し始め、定期的に規制を強化する方針である。NOについては全海域に適用される2005年に発効した第一次規制、2011年に発効した第二次規制に続き、2016年にはECA(排出規制海域)だけに極端に厳しい第三次規制が掛けられる予定である。排出ガス処理技術は、できるだけ低温・低圧で燃焼させることでNOの発生を少なく抑え、酸化触媒やDPFによりPM、CO、HCを処理する方法と、できるだけ高温で完全燃焼させることでCO、HCの生成を抑え、その結果増加するNOを窒素に還元するNO還元触媒の2つを併用する方法が主流。NO還元触媒に従来型の三元触媒から派生したものと、SCRと呼ばれるものの2つがある。また常時同じようにNOを浄化する「尿素SCRシステム」と、リーン燃焼中にNOを吸蔵し、リッチ燃焼以降に浄化作用を進める「吸蔵触媒」の2つがあり、それぞれ組み合わせられる。そのほか、燃料の改質によりNOを減らす構想があり、ジメチルエーテル混入、水エマルジョン燃料などの研究が舶用エンジンの分野を中心に進んでいるが、供給体制の整備や、使用者が補給を怠った場合の対策などの問題があり、実用化は進んでいない。なお、NOとPMの排出量は前述の通り二律背反であり、基本的に燃焼のセッティングによって多く排出される物質の処理に適した処理装置を搭載する方式が基本なのだが、使用状況などによってはメーカーの意図した通りの作用をしなくなってしまうこともある(たとえば、尿素SCRシステムを採用した車両において、何らかの理由で燃焼が低温もしくは低圧になってしまい黒煙を多く排出することがある。逆に、DPFを装備した車種において、メーカーの想定以上の低温・低圧などによりPMがDPFの処理能力以上に排出され燃料が原因ではないフィルターの目詰まりを引き起こすことがある)。また、後述のようにDPFの強制再生は燃料の消費が多く(=燃費が悪い)、尿素SCRシステムでも構造上燃費の悪化は無視できるほどに小さくとも一方で尿素水の消費量はそのシステムを搭載することの多いトラック・バスにおいては莫大なものとなる。これらの事態を軽減するために2010年代に入りDPFと尿素SCRシステムを併用した浄化システムが普及しはじめた(例:ダイムラーグループが採用するBlueTec等)。併用する場合燃焼のセッティングを低温低圧または高温高圧の一方に振る必要がなく、またそれによりPMの発生量がDPFのみの車種のものより減ることで強制再生の機会が減り燃費が改善される。一方NOの発生量も尿素SCRシステムのみの車種の場合よりは少ないため尿素水の消費も抑えることができる。排ガスの一部を吸気系へ導入する排気再循環 (Exhaust Gas Recirculation, EGR) によって、吸気中の酸素量を減らしてピークの燃焼温度を下げ、NOの発生を抑制する。ディーゼルエンジンにはスロットルバルブはないため、低負荷時に極端な空気過多の希薄燃焼になるところにEGRを導入し、NO低下に利用する。乗用車の場合は高負荷時にEGRは行われないが、トラックなどは高負荷時にもEGRを利用しているケースがある。また、EGRには燃焼時の騒音を低下させるメリットもある(酸素濃度を低減でき、急激な燃焼を抑えることができる)。ディーゼル排気に含まれる粒子状物質 (PM, Particulate matter) は、多くの場合「DPF」(Diesel Particulate Filter、ディーゼル微粒子フィルター)と呼ばれるセラミック製のフィルターで捕らえて燃焼処分されるようになっている。DPFは排気管の途中に挿入され、内部に詰められた多孔質セラミックの微細な間隙に排気を通過させスス状のPMを捕集する。多孔質の表面には白金などの金属触媒が塗布してあり、300℃以上の雰囲気中でPMが触媒によって排気と化学反応を起こし、HOとCOの無害な気体に酸化され排出される。エンジンからの排気温度が低い状態が続く場合には、「強制再生」といって、手動で燃料過多の排気を作り出し、定期的に高温状態を作り出してDPFに溜まったPMを無害化して取り除く。触媒の多くは硫黄に弱く、フィルターの目詰まりの原因となるため、低硫黄化された軽油以外(不正軽油など)の使用はできないが、フィルターにセラミックを使わず、金網と炭化珪素繊維を用いた製品もあり、こちらは低硫黄軽油以外も使用可能である。SCR(Selective Catalytic Reduction)とは選択的な触媒による還元作用のことで、排ガス対策の場合はNOだけを選択して還元剤のアンモニアと反応させ窒素と水に還元する浄化触媒作用である。アンモニア還元剤を用いるため従来のNO還元触媒よりも高性能である。アンモニアを得る方法で2つに分かれる。排ガス中のNOをリーン燃焼時に取り込み、その後にリッチ燃焼で還元させる触媒のことである。NO還元に上記のSCRを使わないもので、還元剤はHCとCOとHになり、三元触媒にNO吸蔵層を追加したものと言える。ガソリン直噴エンジンで使われてきたものであり、ディーゼルには一部で使われている。乗用ディーゼルエンジン用としては、欧州仕様アベンシスで採用されているDPFと一体化しPMとNOを同時に還元するトヨタのDPNRがある。NOを還元するのにリッチ燃焼が必要な事と、軽油内の硫黄分が触媒の機能を奪うのが欠点である。ディーゼルエンジンの燃料は発火点が225℃程度であれば多様なものが使用できる。一般的には灯油、軽油、重油が使われる。ディーゼルエンジンに誤ってガソリンを給油すると、発火点が約300℃と高いため点火できずにエンジンは止まる。給油配管と噴射ポンプからガソリンを除くことで復旧できるが、潤滑性のないガソリンによって噴射ポンプを傷める可能性がある。一方で軽油の引火点は約50℃であるのに対して、ガソリンの引火点は約−40℃となり、ガソリンを危険なものにしている。ガソリンは−40℃以上で火に近づけるだけで危険なのに、50℃以下の軽油に火を近づけても、すぐには燃えない。それにも関わらず、火がない環境でこれら2つの温度を上げてゆくと、先に自ら火が着くのは軽油である。この軽油の発火点の低さがディーゼルエンジンでの使用を容易にしている。軍用では燃料をジェット燃料と統一できるメリット(流通の一元化)、引火点が高いことから被弾時の火災リスクが低いといったメリットがあり、軍用車両とディーゼルエンジンとは相性がよい。エミッション低減の足かせとなる鉱物油由来の天然燃料に代わり、次世代のディーゼル燃料として注目されているのが、GTL(Gas To Liquid、ガス・トゥー・リキッド)、BTL(Biomass To Liquid、バイオマス・トゥー・リキッド)、CTL(Coal To Liquid、コール・トゥー・リキッド)等の合成油である。これらの燃料は、単体で、あるいは軽油に混合してディーゼルエンジンに使用することで、排ガスでは低公害化が期待できる。GTL燃料の原料は天然ガス、CTL燃料は石炭であり、軽油に比べセタン価が高く、SOの原因となる硫黄分やPMを発生させるベンゼン・キシレンなどの芳香族炭化水素をほとんど含まない。CNGや水素とは異なり常温でも液体のため、現在の燃料販売ルートになじみやすい。ただし、加工時のエネルギー分のCO排出量がそのまま燃焼させるより増加するために、地球環境には優しくない。また、硫黄が含まれないことから、潤滑作用の点で軽油に劣るため、添加剤で対応する必要がある。BTL燃料は、植物を原料とし液体燃料として合成したもので、GTL・CTL燃料と同様に硫黄や芳香族炭化水素を含まず、燃焼時に排出されるCOは植物が生長する際に吸収したCO量に等しくなる、などの特徴がある。これらの合成油は、高セタン価燃料であるため、単体専用ディーゼルエンジンとしてなら圧縮比を13–15へと低圧縮比化でき、エネルギー効率を上げ低燃費化できるのも利点である。これらは、生産量が増加すれば価格も下がっていくと見られており、今後のディーゼル燃料の主流として期待されている。ジメチルエーテル (DME) をディーゼル燃料として使う事も実用化されつつある。メタノールを脱水縮合反応合成してエネルギー密度を上げる方法ではなく、合成ガスからの直接合成による低純度低価格な大量生産が確立しつつある。原料として天然ガス、石炭、植物など合成ガス化できるものなら良く、有酸素燃料でガス由来の合成油より合成エネルギー損失が少ないのが利点である。DME燃料は軽油と同等のセタン価で、硫黄分や芳香族炭化水素を含まない。機械式燃料噴射では低圧で体積変化するため噴射量制御が難しかったが、コモンレールで高圧化された事により噴射量制御が正確になり、適した燃料となった。また、重油とDMEを混合することで、排気ガスの浄化が望まれることも明らかになりつつある。A重油と混合した場合、NO,COもボリュームパーセントでは低下する。植物油をエステル交換(メタノリシス)してグリセリンを除去し脂肪酸メチルエステル (FAME) とした燃料 (Bio Diesel Fuel; BDF) である。油脂を水素化処理技術を応用して分解して作る水素化処理油 (Bio Hydrofined Diesel ; BHD) である。1885年、イギリス人の発明家ハーバート・アクロイド・スチュアートがパラフィンを使ったエンジンの可能性について調査し始めた。これはガソリンと違いキャブレターで蒸発させるのが難しかった。彼の発明した焼玉エンジンは1891年にリチャード・ホーンスビー・アンド・サンズ社にて製造された。これは世界初の加圧式燃料噴射装置を使った内燃機関であった。このホーンスビー・アクロイド式機関は比較的に低圧縮比で、圧縮加熱による燃料の着火には温度は不十分であった。現代的なディーゼルエンジンは直接噴射と圧縮着火のを組み込んだものであり、この2つのアイディアはアクロイド・スチュアートとチャールズ・リチャード・ビニー(Charles Richard Binney)によって1890年5月に特許が取得されている。1890年10月8日には、燃料と空気を分けてエンジンに供給する完全なエンジンの基本的な働きを詳しく述べたもうひとつの特許がとられた。アクロイドのエンジンと現代のディーゼルエンジンの違いは冷間始動時にシリンダーに特別に熱を供給する必要がどうかである。1892年、ディーゼルエンジンが発明される1年前にアクロイドスチュアートは追加の熱源を必要としない改良版を作り出した。1892年、アクロイド・スチュアートは圧縮比の向上を可能にするウォータージャケット気化器の特許を取得した。同年にトーマス・ヘンリー・バートンが実験的に気化器をなくし、シリンダーヘッドに置き換えた高圧縮比版を制作した。それ故、高い圧縮比を通して着火し、空気の予備加熱に頼らなくなった。ルドルフ・ディーゼルはアクロイドエンジンを発展させ、1892年にドイツ、スイス、イギリス、アメリカで特許を取得した。1893年にアクロイドはエンジン開発をやめている。2010年現在。韓国欧米では複数メーカを買収した持ち株会社を丸ごと別の持ち株会社が買収するなど大規模な再編が進行中であり、かつ消滅したメーカーも多い。ドイツフランススウェーデンフィンランドイギリスその他

出典:wikipedia

LINEスタンプ制作に興味がある場合は、
下記よりスタンプファクトリーのホームページをご覧ください。