第72回東京箱根間往復大学駅伝競走(だい72かいとうきょうはこねかんおうふくだいがくえきでんきょうそう)とは、1996年1月2日から1月3日までに開催された第72回目の東京箱根間往復大学駅伝競走である。大会前は前哨戦となった前年の出雲駅伝、全日本大学駅伝でいずれも上位を占めた中央大学、早稲田大学、山梨学院大学、神奈川大学が優勝候補に挙げられ、4強として注目された。往路1区では、過去数大会で見られた大逃げが見られず集団が中々崩れず混戦模様となる。その状況の中で、予選会1位でゴールした亜細亜大学のビズネ・ヤエ・トゥーラが混戦から抜け出し区間賞を獲得し、大学史上初めて鶴見中継所をトップで襷をつないだ。2位には駒澤大学の1年藤田敦史、3位には順天堂大学の1年三代直樹が入った。一方、優勝候補と目された4校は、早稲田大学の梅木蔵雄が区間9位、中央大学の石本文人が区間11位、神奈川大学の中野幹生が区間14位、3連覇を目指す山梨学院大学は1年生里内正幸が最下位といずれも出遅れる。2区では9位で襷を受けた早大の渡辺康幸が序盤で一気に8人を抜いて2.4キロ過ぎでトップに立つと、そのまま独走して区間賞を獲得。前年に自身が出した区間記録の更新はならなかったものの、2年連続の1時間6分台を記録した。また、11位で襷を受けた中央大の松田和宏も9人抜きの快走で2位にまで順位を上げた。最下位で襷を受けた山梨学院大は、ステファン・マヤカが9人抜きの快走を見せ、一時6位にまで浮上するが、終盤に失速して、最後の上り坂で1度は抜いた駒澤大学の山下秀人、専修大学の三瓶智に抜き返されると、戸塚中継所手前では序盤に抜いた神大の市川大輔にも交わされて、9位で襷を渡した。また、日本大学の水田貴士が足首を痛め、16.4キロ付近で一度立ち止まり、16.5キロ付近で二度立ち止まり、19.6キロ付近でまた立ち止まったが、再び走り出した。1位の早大と10分以上の差が付いてしまったため、無念の繰り上げスタートとなってしまったが、これはまだ波乱の序章に過ぎなかった。3区では早大が無難にトップを守り、2年連続トップでタスキリレー。後方では8位で襷を受けた神大の高津智一が区間賞を獲得、高津と1秒差の9位で襷を受けた山梨学院大の中馬大輔も1秒差の区間2位の力走で、それぞれ2位、3位にまで順位を上げた。4区では山梨学院大の中村祐二が、序盤の2キロ付近より足を引き摺り、どんどんと失速していく。ところが、中村より先に神大の高嶋康二が足を止めてしまい、6.3km過ぎで大後栄治コーチが高嶋を止め、途中棄権となった。中村は、その後も足を引き摺りながら走り続けたが、8.5キロ地点で一度立ち止まったが、監督の静止を振り切り再び走り出したが、10キロ手前で再び歩き出した。中村は涙をぬぐいながら、再び走り出したが、12.4kmで上田誠仁監督が中村を止め、途中棄権となり、山梨学院大の3連覇は成らなかった。1大会で複数の大学が棄権したのは史上初であり、山梨学院大は前年優勝校としては大会史上初のシード落ちとなった。なお、1つの区間で複数の大学が途中棄権となったのも史上初であり、同様の事例は第89回で発生している(往路5区で城西大と中央大が途中棄権)。大会前4強と評された、山梨学院大学、神奈川大学が揃って途中棄権となる波乱の4区となった。結局、4区では中央大の榎木和貴が3年連続の区間賞を獲得し、2位に浮上、1位の早大に32秒差まで詰めた。5区では前回4区で区間新記録を樹立した早大の小林雅幸が、奈良修の持つ区間記録を47秒更新する区間新記録を樹立、そのまま早大が2位の中央大に2分15秒差をつけて2年連続12回目の往路優勝を果たした。途中棄権した神大の近藤重勝が区間2位と健闘した。復路6区では中央大の工藤利寿が残り1.4kmで早大を逆転し、15秒差をつけて区間賞を獲得し、1位で襷を繋いだ。7区では中央大の前田敬寿と早大の山﨑慎治という高校時代の先輩後輩が対決し、一時は15秒差を縮めた山﨑がリードするが、終盤に前田が再逆転し、2位に5秒差で8区に繋いだ。途中棄権した神大の渡邊聡が区間賞を獲得した。8区では中央大の川波貴臣が序盤から一気に飛ばして早大を突き放し、1時間05分48秒の区間新記録を樹立し、早大との差を2分21秒に広げた。9区、10区でも中央大が危なげなくトップを守り、32年ぶりの総合優勝を飾った。4分以上差のついた2位には早大が入り、3年連続の2位に終わり、3年ぶりの総合優勝は果たせなかった。そして、往路で途中棄権した神大が9区でも重田真孝が区間賞を獲得するなど、復路2位の成績で3番目に入り、山梨学院大も10区で渡辺高志が区間賞を獲得するなど、復路3位の成績で4番目に入った。シード権争いは9区の時点で専修大学が日本体育大学を記録上では2分32秒上回り、見た目では3秒遅れていたが、日体大の宇野淳が区間4位の走りで専修大を一気に突き放した。日体大は6区で一斉繰り上げスタートとなっていたため、専修大がどのくらいのタイムでゴールするかが注目されたが、最終的には24秒差で日体大がシード権を獲得した。往路4区でそれぞれ有力校だった山梨学院大学、神奈川大学が途中棄権した。1大会で複数の大学が棄権したのは初めてであった。また、山梨学院大は前年優勝校としては大会史上初のシード落ちとなり(完走しての前年優勝校のシード落ちは、2009年の駒澤大学が初)、逆に神奈川大は翌年に初の予選会出場校としての優勝を達成している(完走してのシード落ちからの予選会出場校としての優勝は、2013年の日本体育大学が初)。
出典:wikipedia
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