東住吉事件(ひがしすみよしじけん)とは、1995年7月22日に大阪府大阪市東住吉区で発生した事件。民家で火災が発生し、内縁の夫により性的虐待を受けていた女児が死亡した。内縁の夫と女児の母親の犯行として無期懲役刑が確定した。その後、無罪を訴えていたが、再審の結果、2016年8月10日に大阪地裁で無罪判決が出た。検察は控訴権を放棄し、即日確定した。1995年7月22日、大阪府大阪市東住吉区の住宅の建物に組み込まれたシャッター付き駐車場で火災が発生し、住人である内縁の夫、母親、長男は屋外に脱出したが、駐車場に隣接する浴室で入浴中だった長女は焼死した。母親と内縁の夫は死亡した長女に死亡時支払金1500万円の生命保険契約をしていたこと、長女の死亡に対して保険金支払いを請求したこと、母親と内縁の夫に約200万円の借金があったことから、警察は借金返済のための保険金詐取目的の殺人との疑いを持ち、1995年9月10日に母親と内縁の夫を逮捕した。警察は、母親と内縁の夫が住宅の建物に組み込まれたシャッター付き駐車場(火災発生当時はシャッターを閉めた密閉空間状態)で、自動車の燃料タンクから、手動式ポンプでガソリンを吸引して駐車場の床に散布し、ライターで火をつけて火災を発生させ、その結果として住宅を全焼させ、入浴中の長女を殺害したと推定した。警察は母親と内縁の夫が長女を殺害したとして取調べ、連れ子保険金詐取目的で長女を殺害したとの供述調書を作成し、その旨を報道機関に公表した。これに対し、母親と内縁の夫はこの取調べの際に拷問による自白の強要があり、警察の推定に合致する供述をさせられたと主張している。母親と内縁の夫と弁護人・支援者が主張する、母親と内縁の夫の無実の根拠、検察が主張する証拠の不証明、動機の不自然性は下記のとおりである。裁判で母親と内縁の夫は、「捜査段階で警察に拷問され、虚偽の供述をさせられたが、自分はこの事件にいかなる関与もしていない、無実である」と主張した。裁判は下記のとおりの経過・結果になった。警察が母親と内縁の夫の犯行であるとして拷問により自白を強要し、供述調書を作成。物証の不証明と動機の不自然性という証拠も無視して起訴した結果、母親と内縁の夫に対して1995年9月10日から現在に至る身柄拘束、無期懲役判決と刑の執行、借金返済のために保険金詐取目的で長女を殺害したことにされている。2012年3月7日、大阪地裁は母親と内縁の夫の請求を認め、再審を開始する決定をした。科学的にみて被告の自白が不自然、不合理で信用性に欠けることが判断の要因の1つとなった。2012年3月29日、大阪地裁は職権で刑の執行停止を認めた。検察側は大阪高裁に抗告し、高裁は「執行を止めなければ正義に反するような状況ではない」として決定を取り消した。弁護側は最高裁に特別抗告したが、最高裁第3小法廷(大谷剛彦裁判長)は2012年9月18日に特別抗告を棄却し、執行停止を認めなかった高裁決定が確定した。2015年10月23日、大阪高裁は再審開始を認めた大阪地裁決定を支持し、検察側の即時抗告を棄却した。また、「拘束が20年に及ぶことに照らすと、刑の執行を今後も続けることは正義に反する」として刑の執行を10月26日午後2時で停止する決定を出した。これに対し、検察側は「誠に遺憾」として、刑の執行停止に対する異議申し立てを大阪高裁に行った。、10月26日に両受刑者は和歌山刑務所および大分刑務所から仮釈放された。再審の開始に関する高裁の決定に対しては、10月28日まで最高裁への特別抗告ができるが、10月27日に検察側は特別抗告を断念する方針を固めた。有罪を立証するに足る新証拠は発見されておらず、再審無罪判決となる可能性が高かった。2016年4月28日、内縁の夫の再審初公判が大阪地裁で始まった。内縁の夫による無罪の主張と弁護団による燃焼実験の結果が示された。検察側は「すべての証拠を検討した結果、有罪の主張・立証は行わない」と告げて「しかるべき判断」を裁判長に求めるのみとなった。2016年5月2日、母親の再審初公判が大阪地裁で始まった。内縁の夫と同様、無罪の主張が行われた。検察側は「有罪主張をしない。裁判所において、しかるべき判断を」とするのみとした。2016年8月10日、母親と内縁の夫に無罪が言い渡されて、検察は控訴権を放棄し、即日確定した。
出典:wikipedia
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