シナンジュ("Sinanju")は、「ガンダムシリーズ」に登場する架空の兵器。有人操縦式の人型ロボット兵器「モビルスーツ(MS)」。初出は、2007年より発表された小説『機動戦士ガンダムUC』。作中に登場する軍事勢力「ネオ・ジオン軍」の残党「袖付き」の首魁「フル・フロンタル」の専用機。特殊能力者「ニュータイプ」の操縦を前提とした高性能MSで、赤い機体色に金色の装飾、背中に備えた翼状の推進器が特徴。元々は作品の主役MS「ユニコーンガンダム」のプロトタイプとして「地球連邦軍」が開発した機体だったが、裏取引の末「袖付き」の手に渡りフロンタル専用機として改修された。改修前の姿は「シナンジュ・スタイン」と呼ばれ外伝作品などに登場する。アニメ版の最終決戦などには、シナンジュをコア・ユニットとした巨大モビルアーマー(MA)「ネオ・ジオング」が登場する。メカニックデザインはカトキハジメが担当。地球連邦宇宙軍再編計画「UC計画」の一環として、アナハイム・エレクトロニクス社がサイコフレームの限界性能とデータ収集を目的に開発した試作MS「シナンジュ・スタイン」をネオ・ジオン残党軍「袖付き」が強奪し、これを改修し完全な実戦機体として完成させたものが本機体であるとされる。かつて同社が開発したMSN-04 サザビー、RX-93 νガンダムと同じく、機体の駆動式内骨格「ムーバブルフレーム」の一部にパイロットの脳波に反応する特殊構造材「サイコフレーム」を採用したニュータイプ専用機とされる。サザビーなどと比べてスマートな体形なのは、技術進歩によるサイコフレームの多用化の実現によってサイコミュ装置の小型化が可能となり、それに伴って機体サイズの小型化が成功した功績によるためと設定されている。ユニコーンガンダムの「NT-D」発動時(デストロイモード)の実験機としての側面も持っており、この機体(厳密には後述のスタイン)で検証されたデータを基にユニコーンガンダムが開発された経緯があり、そのことから同機とは言わば“兄弟機”の関係にあるが、宇宙世紀0094年にアナハイム社から「袖付き」に強奪(実際には強奪に偽装して譲渡)され、ユニコーンガンダムと刃を交えることとなる。強奪後は「袖付き」を象徴して率いるフラッグシップ機たるべく、全身の外装をジオン風に一新し、真紅の塗装と金色のエングレーブが施され、ネオ・ジオン軍のエンブレムをそのまま具現化したような姿となった。この装飾は「袖付き」の雑多な勢力の寄り合い所帯をまとめる意匠であると同時に、シナンジュや親衛隊機、その他のエース機の当該部分にはガンダリウム系の新合金が採用され、一般機より装甲が強化されていると設定されている。性能面でも、操縦者であるフル・フロンタルの操縦技術に合わせた操縦系統の改良や、更なる推力の強化が行われた。これらの「袖付き」独自の強化改修も相まって、MS単体の戦闘能力はユニコーンガンダムと互角にまで引き上げられ、フロンタルの卓越した技量を体現する性能を実現するに至り、作中では単機で戦況を左右するほどの戦闘力を見せ、完成機であるユニコーンガンダムとも互角以上の戦いを繰り広げた。ネオ・ジオン残党軍「袖付き」の首魁であるフル・フロンタルが搭乗し、真紅に染め上げられた機体が青い残光によって彗星の如く軌道を描きながら戦場を高速移動するその姿から、パイロットのフロンタルと共に「赤い彗星の再来」と渾名され、総帥シャア・アズナブルを失い士気の低下したネオ・ジオンの崇拝と士気高揚の対象となり、地球連邦軍からは脅威の対象として恐れられていたとされる。ファンネルなどの直接的な武装としてのサイコミュ兵装は持たないが、ニュータイプパイロットの思考波をMS内部のサイコフレームに感受させ、パイロットの脳内操縦イメージを機体の挙動へダイレクトに反映させるサイコミュ思考操縦システム「インテンション・オートマチック・システム」を搭載しており、MS単体の機体制動・追従性・機動性を極限にまで突き詰めて設計されており、通常の手動操作を凌駕する反応速度と動作精度を誇る。これによりサイコミュによる直接的な兵装なしに機動性のみで当代随一の機体として完成した。操縦補助以外にも、開発側が意図していなかった機能として、乗り手の意思を汲み取るこのシステムを搭載する「UC計画」によって誕生した3機(ユニコーン、バンシィ、シナンジュ)は、パイロットのニュータイプ能力に呼応し、サイコフレームが最大共振すると、第二次ネオ・ジオン抗争時のνガンダムと同様に、虹色の光の力場「サイコ・フィールド」を機体から発し、他のMSとは一線を画する超常的な力を見せた。元々はサイコフレームをメインフレームに据えたMSの、一般パイロットの操縦では計測不可能な限界値を取得するべく、機械上での試験運用を目的とした実験機で、驚異的な機動力と追従性を誇るも、発生する加速度(G負荷)によるパイロットへの肉体的負荷は殺人的なレベルで、なおかつインテンション・オートマチック・システム制御のサイコミュによる精神的負荷もあるため、並のパイロットにはまず乗りこなせない“極めて端的な”MSであったとされている。その限界値を突き詰めた設計ゆえ、人間が乗り込む機動兵器としては欠陥機とも言えるMSであったが、実際には人を超えた「ある者」に向けて造られていたとされる。強奪に偽装した譲渡という形でネオ・ジオン残党軍「袖付き」の手に渡り、「赤い彗星の再来」と渾名され、ニュータイプとしてもMSパイロットとしても高い能力を誇るフロンタルが操縦することで、あくまで理論上であったそのポテンシャルを、作中の戦闘にて遺憾なく発揮することとなった。バックパックと両脚脹脛の左右側面に備えたフレキシブル・スラスターと、全身に配された多数のスラスター群により、いかなる姿勢においても高い機動力を発揮する。背面の推力偏向スラスターは猛禽類の大きな翼を想起させるような形状になっており、最大出力時には羽ばたくような挙動を行う。背面の推力偏向スラスターの下部には、サザビーのものよりも大型のプロペラントタンクが配置されており、戦闘ではこれを意図的に切り離すことで囮としても利用した。その高機動性は、インダストリアル7から脱出したネェル・アーガマを攻撃する際、周囲の無数のスペースデブリをまったく意に介することなく高速移動しながら戦闘していることからも窺える。フレキシブル・スラスターの進化と可動域の拡大により機動性能は更なる強化を遂げ、スタインで実証テストを重ねた後に段階的に行う予定であった「超高機動モード」への移行を一足飛びに導入したシナンジュは、通常のMSには実現不能なアクロバティックな機動戦闘を行うに到った。本来スタインはあくまで実験機であったこともあり、装甲の耐弾性には不安があったが、シナンジュの装甲は耐ビーム・コーティングが一般的なMSの2層構造より3層も多い5層構造へと強化されている。ネオ・ジオン残党軍を実質的に牽引するフル・フロンタルがフラッグシップ機として搭乗することもあり、パイロットの生存性を高めるためコックピット・ブロックは全面をルナ・チタニウムX系の材料で覆ったことで、スタインより遥かに防御力は向上し実戦機として充分な強固な装甲を有した。また、シナンジュとその直属の親衛隊機やエース・パイロット機の、袖や襟のような装飾のエングレービング部分は、ルナ・チタニウムX製で一般機の装甲より強度が高く製作されている。原作者の福井晴敏は「ユニコーンガンダムが『可能性の獣』なら、シナンジュは現実を突き付けて絶望へと誘う『可能性の破壊者』です。乗っているフル・フロンタルからして、“シャアを彷彿とさせる仮面キャラが『ガンダム』に出る”という発想そのものがもう保守的でしょう。フロンタルはネオ・ジオンという改革派のトップであるに拘わらず、閉塞した世界を変えていこうとする主人公(バナージ)にとって、実は一番の障害になる存在です。そんな後ろ向きな大人に対して、主人公が組み伏せるのか、あるいは組み伏せられてしまうのか。その部分をユニコーンガンダムとシナンジュの対決に象徴させています」と、主人公が信じる可能性を否定せんと立ちはだかるライバル機体としての、作品における存在意義について語っている。小説版における、バナージ・リンクスの駆るユニコーンガンダムとの最終決戦では、フロンタルの高いニュータイプ能力にシナンジュのサイコフレームが呼応し、兄弟機であるユニコーンと同様に機体から虹色に輝く光を発する。対峙する2機から放たれる虹色のサイコ・フィールドのぶつかり合いによって、サイコフレームを搭載していないMSでは介入不可能なほどの力場を発生させるなど、超常的な戦闘を繰り広げた。更にその決戦の終盤では、巨大な亡霊のような禍々しいオーラでその身を包むまでに到り、ユニコーンとバンシィの2機を驚異させた。激闘の末、バナージに「亡霊は暗黒に帰れ!」と断じられながらユニコーンの両腕のビーム・トンファーで機体を貫かれ、数百メートルにも至る最大出力を超えた巨大な光刃により撃墜された。アニメ版では、映像化に際してこのオーラを巨大な機体として具現化したいとの案から、シナンジュをコア・ユニットとした巨大MA「ネオ・ジオング」が登場することとなったため、このシーンは無くなった。トレーディングカードゲーム『ガンダムウォーネグザ』では、アニメ版では見られなかった小説版の最終決戦におけるこの姿が、「シナンジュ(サイコ・フィールド)」としてイラストカード化されている。PlayStation 3専用ゲームソフト『機動戦士ガンダムUC』のダウンロードコンテンツ「episode 0:戦後の戦争」、および同ゲームソフトの特装版に同梱された原作者福井晴敏書き下ろしの小説『機動戦士ガンダムUC 戦後の戦争』に登場し『UC-MSV』に分類されているMS。「UC計画」におけるサイコフレームの強度・追従性の実験機として開発された試作MSで、シナンジュが「袖付き」でフロンタル専用機として改修される以前の姿。様々な限界性能を計測するため、人が直接搭乗しての操縦を想定していないはずの機体だったが、その実は人を超えた能力を持つ「ある者」に向けて開発されたとされる。開発コードは「スタイン01」で、名称の「スタイン/シュタイン(stein)」はドイツ語で「石」を指し、宝石の“原石”を意味している。本機が、あくまでシナンジュの“原石”でしかない、という開発者の揶揄によってつけられた。RX-93 νガンダムと、MSN-04 サザビーを開発したアナハイム・エレクトロニクス社の2つの別チームが統合された特別編成のチームで開発された。「袖付き」による改修後と比較して、本来「ユニコーンガンダム0号機」とでも呼べる出自の経緯もあり、連邦系MSの特徴とも言える直線的なシルエット、およびデュアルタイプのセンサー(アニメ版において、シナンジュがモノアイセンサーを損傷した際、スタインの頃にツインアイセンサーがあった位置にサブセンサーが作動している)など、いわゆるガンダムタイプに近い姿・顔立ちが確認できる。スタインにもガンダムタイプと同じくV字型の頭部アンテナの取り付けが予定されており、取り付け用ソケットが額部分に存在するが、試作が遅れ実現には至らなかった。取り付け時の姿は『モビルスーツアーカイブ MSN-06S シナンジュ』にイラストが掲載されている。中央情報局のカルロス・クレイグによれば「あの機体がネオ・ジオンの手に渡れば、戦力のバランスシートが狂って再び戦争が起こる」とまで危惧するほどのMSであり、カルロスは命懸けで当MSがネオ・ジオンの手に渡るのを阻止しようとした。それほどまでの性能を秘めるとされるMSではあるものの、あくまで実験機であり、ネオ・ジオンの領袖フル・フロンタルも強奪直後に操縦した際には「テスト機というだけあって操作系が硬い。磨く前の“原石”のようなもの」と評しており、彼の高いパイロット技能に伴った調整と更なる改良が必須とされた。外伝漫画『機動戦士ガンダムUC MSV 楔』では「袖付き」による強奪後、フロンタル専用機とするための強化改修の前に実施された、最終稼働確認と改修後(シナンジュ)の専用武装との適合試験が描かれた。その際「操縦に“クセ”がない」という理由から、テストパイロットに適任とされたワークラッハ・バナム少尉が搭乗した。この試験でワークラッハが搭乗した際は、通常の状態では過敏すぎて機体をデッキから出すことすらままならないため、操作系の反応レベルを大幅に落とした状態で運用された。ビーム・ライフル、ロケット・バズーカ、ビーム・アックス、シールドの適合試験を行なっている。この時インテンション・オートマチック・システムは切ってあると試験責任者のゴティはワークラッハに説明していたが、秘密裏にインテンション・オートマチック・システムの実証テストも行なっていた。それを知らないワークラッハだったが、その稼働試験中にワークラッハを妬むミノッコ中尉がワークラッハを不用意に煽ったことで、ワークラッハの感情の高まりにスタインのインテンション・オートマチック・システムが呼応、ワークラッハはトリガーを引いていないにも拘らずライフルを発射、ミノッコ中尉のギラ・ズールを撃墜してしまった。これを見ていたフロンタルは、ゴティがインテンション・オートマチック・システムのテストのため、こうなるように仕向けたことを見抜いていたが、彼女を責めることはなく、人命すら厭わないほどの彼女の探求心に対し「(シナンジュへの強化改修を)君に任せて正解だった」と告げた。この件はあくまで試験中の事故として処理された。アニメ版ではシナンジュによるネェル・アーガマ襲撃の際、アルベルト・ビストが提供したシナンジュの機体データ画像が登場するが、スタインともシナンジュともデザインが若干異なる。これは、アナハイム・エレクトロニクス社と地球連邦軍の情報部が作成した「改修された後を予測した仮定のデータ」に過ぎなかったためと言われている。OVAシリーズをテレビフォーマットに再編集したテレビシリーズ『機動戦士ガンダムUC RE:0096』の1stエンディングテーマ「Next 2 U -eUC-」での映像にも、このデータ画像が登場している。『モビルスーツアーカイブ MSN-06S シナンジュ』には、このデータ画像に基づいたカラーイラストも掲載されている。デザインしたカトキハジメによると、シナンジュとその改修前の当機はHi-νガンダムの機体レイアウトを意識してデザインしたとのこと。OVA版の最終章episode 7に初登場。「袖付き」がフル・フロンタルのために設計・開発した、シナンジュをコア・ユニットとする拠点攻略用巨大MA(モビルアーマー)。一年戦争での最終決戦の際にシャアが搭乗したMSジオングの名称と機体コンセプトを踏襲し、脚部を排除した純粋な宙域専用機として完成した。全高100mを超えるハル(外殻)・ユニットを組み合わせた独特な機体構成になっており、インテンション・オートマチック・システムを搭載したシナンジュを中枢に据える事で、多数の大型サイコミュ兵器を備えた規格外の巨体の運用をフロンタルの単独操縦で実現している。この独特な機体構成は、追従性など機動性能にのみ作用していたシナンジュのインテンション・オートマチック・システムとサイコフレームの力を最大限に引き出すための方策であり、いわばハル・ユニットは、シナンジュ専用に誂えられたサイコミュ増幅兵器であるとも言え、シナンジュの機能増幅装置としての側面が強い。アニメ劇中ではバナージを懐柔しようと、バナージとリディら挑みかかる若い二人を真っ向から“不動の構え”で迎え撃つ形の戦闘を操縦者のフロンタルが行ったため、あまり活用されなかったが、スカート内に備えたスラスターと全身34ヶ所に設けられた姿勢制御用バーニアによって、全高100mを超える巨大機動兵器でありながら高い機動性と運動性を持つ。シナンジュのサイコフレームを基点とした新技術のサイコミュ兵器や、巨大MA特有の大火力の多彩な兵装を多数備え、コア・ユニットのシナンジュだけでなく、そのパイロットであるフロンタルの驚異的なニュータイプ能力と卓越した操縦技術まで鑑みて造られた本機は、すべてが成立することで初めて“想像を絶する”力を生み出すことができる。機体の堅牢性も非常に高く、最終装甲のみならず肩部コンテナを展開させた際に露見する内部躯体も同様の高い防御力を誇り、並の兵器で本機を撃破することは極めて困難とされる。ユニコーンガンダムが発揮する超常的な力と同様の現象を人為的に引き起こせることから『機動戦士ガンダムUC メカニック&ワールドep7』では「他機体を掌握しイメージを具現化する最強のサイコミュマシン」と紹介されている。元々は連邦軍から強奪した機体であるシナンジュを技術基点とし、かつこれだけ巨大な機動兵器を「袖付き」の戦備状況で新たに用意できたことは、多くの矛盾を孕んでいるが、これは一部技術提供、生産をアナハイム・エレクトロニクス社側が行い、「UC計画」本来の目的遂行における障害を排除するためのカウンターパワーとして「袖付き」へ供給されたとの説がある、と設定されている。また他に、第二次ネオ・ジオン戦争に戦線投入を目指し宇宙世紀0093年3月には約60%まで完成していたという大型MAのβ・アジールを解体して本機開発の資材に流用したという説もあるともされている。その設計思想にはジオングやα・アジール以外にも、ノイエ・ジールやサイコガンダムMk-IIなどの過去のネオ・ジオンの大型機動兵器のデータも参考にされたとも言われている。作中では、立ちはだかったシルヴァ・バレトをその絶対的な力で圧倒し機能停止させた。その後も、その多彩かつ圧倒的な火力の武装を用い、ユニコーンガンダムとバンシィ・ノルンを2機同時に相手取り追い詰める。その最終決戦の最中、ユニコーンとネオ・ジオングのサイコフレームが共鳴し、一年戦争時のアムロ・レイやララァ・スンのように、バナージとフロンタルのニュータイプとしての認識能力を拡大させ、“刻”を形象として垣間見る、という人智を超えた現象まで引き起こした(実際にタイムトラベルした訳ではなく、“宇宙の記憶”を精神的イメージとしてフラッシュして垣間見たとの事)。最後は、“刻”の最果ての虚無の世界を目の当たりにしても「それでも…それでも!」と抗おうとするバナージの熱意に呼応したユニコーンが全身から発した“暖かな光”によって、ユニコーンを握り潰そうとしていたアームユニット4基を灰状に分解され、本体にもその“暖かな光”をユニコーンの「ソフトチェストタッチ」によって注ぎ込まれると、搭乗していたフロンタルの中の「残留思念」が浄化され、それに連動してネオ・ジオングも浄化されるように崩壊し灰塵となった。これは、バナージが自身の想いを言葉ではなく“熱”によってフロンタルに伝えようとして取った行動であったが、結果バナージの想いと、その想いを受け容れたフロンタルの心境の変化が、ネオ・ジオングの全身のサイコフレームに作用して、その機体を崩壊に到らしめる結果となった。この機体は、アニメ版の最終章オリジナルのサプライズ機体として初登場したため、小説版『UC』の最終決戦には登場しない。だが、原作者福井晴敏書き下ろしの外伝小説『機動戦士ガンダムUC 不死鳥狩り』にて、小説版の世界観でも「存在していたが、フロンタルの下に届かなかった」という設定が追加されることになった。前述の通り当機体は、その性能のすべてを完全に引き出すには、コア・ユニットにシナンジュを据えフル・フロンタルが操縦することを前提として開発された兵器だが、この作品ではフロンタルの下への運搬中に発生した戦闘にて、サイコミュ搭載機であるヤクト・ドーガ(アニメ版にも登場した黄土色の「袖付き」仕様)を、臨時のコア・ユニットに代用することで起動を成功させ、ユニコーンガンダム3号機「フェネクス」と交戦した。この時、ヤクト・ドーガには「袖付き」の強化人間パイロットが搭乗していたが、ネオ・ジオングの代用コアになってからは、その場にいないネオ・ジオングの本来の主であるフル・フロンタルの虚無を機体に投影させるための“装置”に成り果てた。作中、フェネクスにその意思を宿したリタ・ベルナルによると、ネオ・ジオングがその真の主の手に渡り真価を発揮すれば、“刻”を可視化するなど、やがては時空をも操り世界の理すら破壊しかねない危険性を秘めた「今の人の世界に存在してはならないもの」であるとまで断じており、幼馴染であった地球連邦軍シェザール隊のヨナ・バシュタ中尉に、フェネクスの力を用いてのネオ・ジオング本来の主の下に届く前の破壊、という使命を託した。まだ完全な状態ではないにもかかわらず、フロンタルの虚無を投影しフェネクスを圧倒するネオ・ジオングだったが、ヨナはリタの助力でサイコフレームを最大共振させ緑色に発光させるフェネクスで懐にまで接近、代用コアを担うヤクト・ドーガの胸部装甲に右の掌で接触し、波紋状のサイコ・フィールドをネオ・ジオングの隅々に伝搬させた。するとネオ・ジオングの巨躯は身悶えするような挙動を起こし、背後のサイコシャードが自壊し始めた。それらの破片はフェネクスに隷属するように背中に集積し、全長100メートルを超える巨大な虹色に輝く翼を形成、その翼にネオ・ジオングが全体を優しく包み込まれると、フロンタルの虚無は退散しネオ・ジオングはヤクト・ドーガと共に浄化されるように内側から瓦解し灰塵となった。本機体のデザインの発端は、福井晴敏によると、小説版の最終決戦ではシナンジュは亡霊のようなオーラで全身を包み、ユニコーンとバンシィの2機を驚異させたが、映像化に際してその巨大な亡霊のオーラを巨大な機体として具現化できないかとの案から。福井としては、シナンジュがスカートとスーツの追加装甲を装着したような通常のMSより一回り大きい程度のイメージで、ここまでの大きさは考えていなかった。だが、古橋一浩監督からの「作品の最後を飾る強敵として、挑みかかる若い二人を上から目線の“不動の構え”でいなす『仏様』のような“神々しい機体”にしたい」という案と、「ノイエ・ジールやα・アジールといった“ジオンの系譜”を考えると、これくらいの大きさは必要」というメカニックデザインのカトキハジメの案から、全高100mを超える規格外の巨体となった。このおかげで「ユニコーンとバンシィが2機がかりでも苦戦する構図がすんなり出来たことに加え、最終エピソードを象徴するサプライズ機体になったのでは」とカトキは作品完成後に語っている。監督の古橋一浩によると、バナージとフロンタルがアムロとララァのように“刻”を形象として垣間見るシーンは、初期稿では、実際にタイムトラベルする構想であったと後に語っている。初期稿のシナリオや絵コンテからもそれがうかがえ、万物の存在を許さぬ虚無の世界に到ったことが原因で、ユニコーンとネオ・ジオングの2機が崩壊していくシーンもあった。だが、原作者の福井晴敏に「実際にタイムトラベルしているのではなく、あくまで“宇宙の記憶”をフラッシュとして見ているような精神的なイメージに留めて欲しい」との指摘を受けたことで、決定稿では改訂された。この指摘について福井は「サイコフレームを便利に使いすぎて“本当に時空移動している”みたいなこともあったので、さすがにガンダムの世界でそれを出すのは難しいので、あくまでも“二人の精神的なもの”としてもらいました」と述べている。そのため、完成した作品ではユニコーンとネオ・ジオングが虚無の世界で崩壊していくシーンは削除され、ユニコーンの「ソフトチェストタッチ」によってバナージの“暖かな光”を注ぎ込まれたことで、フロンタルとネオ・ジオングが浄化されながら崩壊していく展開に変更されている。他にも初期稿には、ユニコーンがコロニーレーザーの相殺に挑んだ際、1回きりの奇跡であることをより強調するため、ネオ・ジオングのサイコフレームの残骸がユニコーンの周囲に集まり、サイコ・フィールドの発生を助ける構想もあったが、演出上うまく見せる方法が浮かばず不採用にしたことも後に語っている。こちらも初期稿の絵コンテには残っており、決定稿では不採用となった構図が見られる。設定協力の関西リョウジによると、この機体を「袖付き」のみで作れたはずがなく、ユニコーンガンダムへの抑止力としてアナハイムから譲渡されたイメージとしている。機体名は、当初シナンジュにドイツ語を合わせた案を考えていたが、シナリオ打ち合わせで脚本家のむとうやすゆきが仮称として書いた「ネオ・ジオング」が好評で、そのまま採用されたという。福井晴敏からの案で、ユニコーンとネオ・ジオングが虚無の世界を垣間見た後に現実へと帰還する際に、富野由悠季監督のアニメ作品『伝説巨神イデオン』の主人公メカ「イデオン」の兵器「イデオンソード」と同じ効果音が挿入されている。
出典:wikipedia
LINEスタンプ制作に興味がある場合は、
下記よりスタンプファクトリーのホームページをご覧ください。