番号ポータビリティ(ばんごうポータビリティ)は、加入者移転、電気通信事業者や通信サービスを変更しても、電話番号は変更しないまま、継続して利用できる仕組みである。番号持ち運び制度とも言われる。ロケーションポータビリティは、加入者が移転しても同じ電話番号を利用できるものである。地理的番号の場合、同一番号で移転できる地域が限られている。また、事業者間で移転できる地域に違いがある場合もある。サービスポータビリティは、通信サービスを変更しても同じ電話番号を利用できるものである。加入電話・ISDN相互間などで行なわれている。事業者間ポータビリティは、契約している電気通信事業者を変更しても同じ電話番号を利用できるものである。固定電話については、LNP(')、携帯電話については、MNP(')と呼ばれる。利用者の電話番号による囲い込みの防止により、サービスの向上・料金の低減を目指すために行われる。運用を行うために、次のことを定める必要がある。ドナー型は、移転元事業者に申し込みを行なった後、移転先事業者に申し込みを行なうもの、移転元事業者主導型とも言う。レシピエント型は、移転先事業者のみに申し込みを行なうもの、移転先事業者主導型とも言う。次のような問題点も指摘されている。二重番号方式は、通常の電話番号計画で移転先に割り当てられた電話番号を接続に用いるもの。電話番号の消費が倍となる。ルーティング番号方式は、通常の電話番号計画と独立したルーティング専用の番号を用いるもの。電話番号の割り当てを節約できる。ルーティングに使用される番号としては、中継用として割り当てられた事業者識別番号・その事業者に割り当てられている市外局番+市内局番の形式・代表的な電話番号の全桁+付加番号などが使用され、それにより発信者がダイヤルした番号を通知すべき交換設備を選択する。日本では、携帯電話事業者間の双方向のものでの利用が2006年10月24日から実施されている。また、NTT東西の固定電話からの片方向のものが電話番号枯渇の解消のため2007年2月1日に変更された。電話番号と移転先とを関連付けるデータベースの管理法には次のようなものがある。接続操作を行なう網から、移転先への接続方式として次のようなものが有る。Onward Routingは、転送方式とも呼ばれる。電話番号を管理する交換機のみの改修でサービス可能であるが、冗長な接続経路となるため、回線使用料が高くなる場合が多い。Call Dropbackは、リダイレクション方式とも呼ばれる。発信元交換機と電話番号を管理する交換機との間で、電話番号取得などの仕組みの構築が必要である。最適化された接続経路となるため、回線使用料が安くなる。Query on Releaseは、番号データベースを用いるものである。電話番号データベースの構築・運用が必要である。All Call Query One Stepは、発信元が電話番号データベースへ問い合わせを行うものである。電話番号データベースの構築・運用が必要であり、少なくとも移転した番号への発信で番号問い合わせを行うためデータベースの負荷が高くなる。発信元交換機と番号データベースと移転先交換機との情報伝達のみで接続操作が可能である。固定電話の番号ポータビリティは、2001年3月から始まっている。が開始されている。※利用率=導入時から2004年までの累積の利用率アメリカ合衆国では、事業者の反対で数回延期されたが、2003年11月24日から固定電話-携帯電話・携帯電話-携帯電話相互間で義務化されている。同じ電話番号計画である固定電話から携帯電話への変更も多く行われている。ロシアでは、2013年12月から実施された。新興国では、手続きの煩雑さとプリペイドSIMカードが大量に流通しているので、番号ポータビリティは普及しにくい。日本では、2006年10月24日から携帯電話番号ポータビリティが実施された。通称はMNP(Mobile Number Portability)。Eメールアドレスや有料コンテンツは移転されない。また、諸手続きや切り替え費用の発生、ソフトバンクモバイルへの転入以外は他社へ切り替えることで長期継続割引の年数が切れることになる。これに先駆けて2005年10月1日付けでKDDI本体に吸収合併されたツーカーでは、10月11日よりツーカーから同じKDDIのauへの同番移行が可能となっている。MNP実施により携帯電話3社のシェア争いが激化した。2006年11月8日の報道では、10月24日から31日までの期間中のMNPを利用した移転件数は、KDDI(沖縄セルラー電話を含む)が98,300件増、NTTドコモは73,000件減、ソフトバンクモバイルが23,900件減となった。これは後述のソフトバンクモバイルの切り替え手続きの停止の影響を織り込んだ数字であり、MNP切り替えの緒戦はKDDI/沖縄セルラー電話(au)の一人勝ちとなった。ただし2007年夏 - 2009年夏ごろまでは事実上ソフトバンクモバイルの一人勝ち、それ以降は月により大きく異なるなど、年度により状況は大きく変化している。なお、NTTドコモ・ヴァーチュ・日本通信間、ソフトバンクモバイル・ディズニー・モバイル・ベネッセモバイルFREO間、KDDI/沖縄セルラー電話・ECナビケータイ・JALマイルフォン・Tigersケータイ・GIANTSケータイ間のように、MNO・MVNOの関係にある事業者間の移行を行う場合であっても、「携帯電話番号ポータビリティ」で移行する手続きが必要である。厳密な意味では、KDDIと沖縄セルラー電話間も同様で、同じau電話でも事業者が異なるため、同番で契約会社の変更を行う場合には必要であるが、両社のWebページには記されていない。かつてのドコモ地域会社間やアステル各社の契約移管の場合は番号変更が必要だった。いずれの場合も、既存回線への番号移管は不可能である。2012年6月21日より、PHS事業者であるウィルコムが、WX04Kの発売に合わせて3G回線での音声通話サービスの提供を開始したことに伴い、3G回線で使用される090または080の電話番号の携帯電話番号ポータビリティの転入・転出が可能となった。なお、PHSに関しては、ワイモバイル移行後の2014年10月より完全実施されている。その一方、番号ポータビリティによる競争で、各社ともMNP契約者に多額のキャッシュバックを出すようになった。しかし、この結果MNPで0円など超低価格の端末を契約したあと、再びMNPで別事業者と契約ということを繰り返し、多額のMNPキャッシュバックをもらおうとするユーザーが出始めた。例えば5万円のキャッシュバックがあると、違約金と転出手数料を引いても4万円弱残るためである。特に2013年度末にはMNPキャッシュバック競争が過激化し、1台当たり5万円以上や複数台同時契約で10万円以上などの超高額キャッシュバックが多数みられた。更にキャッシュバックにはこうした直接的なものの他に、端末代金や利用料の大幅割引などの間接的なものも見受けられた。なお、NTTドコモとソフトバンクモバイルは電話機購入を伴わない契約後の短期転出に対し、転出手数料を2,160円から5,400円へ引き上げている。一方、こうしたキャッシュバック目当てでMNPによる契約だけを目的に契約した、いわゆるMNP弾も見受けられる。こうした行為に対してNTTドコモは2015年9月1日から割引の適用回数に上限を設け、短期間にドコモが定める基準(非公開)を超えて端末の購入を繰り返すユーザーに対しては、割引施策の対象外となるルールを採用した。携帯電話会社の事業撤退の場合、MNP転出手数料の無料化や事業撤退後のMNP申し込み可などの措置が取られる場合もある一方、旧世代システムへの転入は新規加入受付終了以前であっても受け入れない場合がある。例えばツーカーは2008年3月31日のサービス終了後も、同年6月30日までau以外への転出を受け付けていた一方、SoftBank 6-2は新規加入申込を2008年3月31日まで受け付けていたが、MNPに限っては2008年3月31日以前であっても申し込み不可とされていた。携帯電話会社の移行に関しては、次のような問題点が指摘された。なお、プリペイド契約から他社に移行する場合、auのぷりペイドとプリモバイルのケースでは、キャリアショップでの手続きとその場で予約番号発行手数料を支払う必要がある。ぷりペイドでは、キャンセルないしは予約番号の有効期限切れに伴う失効があったとしても、手数料は返還されない。プリモバイルでは、キャンセル手続きを行うことで手数料が返還される。ポストペイ契約であれば、通常、移行前の最終請求に加算されるため、キャンセルや手続き忘れがあっても手数料は発生しない。2015年4月1日にソフトバンクモバイルがワイモバイルを吸収合併したため、SoftBankブランドとY!mobileブランドが同一企業から提供されることになり、両ブランド間の移行は、MNPではなく、同一企業間の契約変更の扱いとなったが、ユーザーの手続き上は、MNPと同様となっている(名称は違うが、MNP転出と同様の手数料は徴収される。ただし、キャンペーンなど、条件によっては無料の場合もある)。いずれも、音声契約を伴うものに限る。データ端末や組み込みモジュールなどは、ポートイン・アウトともにMNPの対象外となっている。MNP制度の開始直後の週末の10月28日、ソフトバンクモバイルで、新規加入、契約内容の変更、解約などの受け付けが全面的に停止した。翌10月29日にも切り替え手続きを停止した。当初、ソフトバンクモバイルは自社同士の通話料や電子メールを無料にする契約プラン(予想外割のゴールドプラン)が功を奏し、他社からの切り替えが殺到したものとアナウンスした。疑ってかかるような見方では、ソフトバンクモバイルからNTTドコモもしくはauへの転出が殺到したことが原因とするものがある。10月30日には孫正義社長が記者会見で謝罪した。原因として、家族割引が適用されている利用者の他社への転出手続き処理に時間がかかったことに加え、自社利用者の新契約プランへの変更など多くの処理が重なったためであると発表した。11月2日には総務省に対して再発防止策を報告した。10月30日より、MNPを処理するシステムを通常業務システムから分離するとともに通常業務システムの処理能力を増強したという。2006年12月17日、auのMNP転出入受付でシステムトラブルが発生し、午後4時頃よりMNPによる転出入の受付を停止した。ただし、MNPを利用しない新規契約等は通常通り受付された。業務終了の午後10時まで回復せず、翌日から通常通り受付業務が再開された。この件に関する報道によると、au 側のシステムの負荷分散の問題による障害とされている。ソフトバンクモバイルの障害発生の際と同じく、総務省より改善策などの報告がKDDIに対し求められた。また、2007年11月9日には、ツーカーの情報システム障害により一時的にMNPでの転出が不可能になったが、これは同日中に回復している。なお KDDIグループは、ツーカーからauへの同一番号移行についてもサービス開始当初に一時期手続きを停止したことがある。2009年5月18日と2010年1月26日にも、システムトラブルによりMNPの転出・転入が出来なくなった。KDDIグループのMNP関連のトラブルは通算4度目(グループ内移行も含めると5度目)で、2010年1月時点で、全事業者の中で最多である。2007年3月31日、19時40分ごろより業務終了まで、転出入受付を一時停止した。原因として各種受付処理件数の増大に伴う、ドコモ社のシステム処理能力不足を挙げている。翌日には通常通り受付を再開した。2011年2月19日、18時ごろ顧客情報を管理するコンピューターシステムに不具合が発生し、各種手続きやドコモから他の携帯電話会社への変更手続きができなくなった。約3時間後に復旧したが、手続きが次の日にずれ込む件数が相次いだ。システムの機械が故障したのが原因である。2013年11月1日に、それまでPHS専用だった「070」の内、「070-1〜4」および「070-7〜9」で始まる電話番号が一般の携帯電話に開放され、「070-5〜6」だけがPHS専用になった。それに合わせて、総務省は2013年10月2日に、携帯電話とPHS間にも番号ポータビリティーを導入する省令改正案(2014年10月1日開始の方針)を発表し、2014年10月1日より、PHSと携帯電話間相互の番号ポータビリティが開始された。なお、携帯電話に「070-AXXX」(A=1〜4、7〜9)番号が割り当てられると共に、携帯電話とPHSの間での番号ポータビリティも開始されているため、電話番号だけでは必ずしも携帯電話・PHSのいずれかが判別できなくなった。このためPHSに掛かった場合には特別な呼び出し音が鳴るようになっている。なお、ワイモバイルPHS(現在は、ソフトバンク・Y!mobileブランドのPHS)への同番移行に際しては、受け入れ先の端末をSMS対応端末に限定している(Y!mobileのPHSからの転出に際しては、音声端末であれば特段の制限はない)。なお、2015年9月末に新規加入を停止した、旧・ウィルコムのPHSと3G携帯電話のデュアルモードスマートフォン(Y!mobileブランドで契約した場合はタイプ3契約。ただし、Y!mobileブランドの端末は発売されなかった)の場合、メールサービスは3G側のみを利用する形になっていたため、3G側に転入することは可能であったが、PHS側に転入することはできなかった(3G番号、PHS共に、両方の転出自体は現在も可能であり、受付を行っている)。以前は、日本ではPHSは制度の対象外となっていた。携帯電話とは電話番号の番号帯(070)が違うため、ポータビリティの接続方式に難があるとされたためである。また、2008年1月7日にドコモPHSがサービスを終了して以降、日本国内では音声PHSの存続事業者はMVNOを除けばウィルコムと系列のウィルコム沖縄のみとなっており、PHS番号帯内での番号ポータビリティ検討の意味自体も無くなっていた。なお、制度としての番号ポータビリティではないが、アステル沖縄からウィルコム沖縄への事業承継の際には、番号帯も承継し、結果としてユーザーの同番移行が可能になった。ドコモPHSの2008年1月7日撤退に当たり、同じPHS電話番号を2008年1月8日以降、ウィルコム・ウィルコム沖縄に引継ぎが可能となった。いずれも結果的に同番移行が可能となった例である。
出典:wikipedia
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