『ゴジラ対メカゴジラ』(ゴジラたいメカゴジラ)は1974年(昭和49年)3月21日に「東宝チャンピオンまつり」の一編として、東宝の製作・配給のもと東宝映像が制作し、公開された日本の特撮映画。「ゴジラシリーズ」の第14作。カラー、シネマスコープ。上映時間は84分。観客動員数は133万人。ゴジラ誕生20周年記念映画。翌1975年開催予定の沖縄国際海洋博覧会に絡め、沖縄本島を舞台として製作された。沖縄県は2年前の1972年に日本へ返還されたばかりであり、ひときわ注目を集めていた時期に当たる。公開時のキャッチコピーは、「宇宙をとびミサイルを撃ち込む! 全身が武器の凄いゴジラが現れた!」。本作の原型となった『大怪獣沖縄に集合!残波岬の大決斗』ではメカゴジラが登場しない内容になっており、その時点ではゴジラ、モスラ、アンギラス、新怪獣の「機械怪獣ガルガン」と「ガルガ星人」が登場予定で、キングシーサーを眠りから呼び覚ます「那美」がこの脚本に初登場しており、設定はそれぞれキングシーサーやメカゴジラに受け継がれた。メカゴジラの登場が決まった検討用台本時のタイトルは『残波岬の大決斗 ゴジラ対メカゴジラ』では、侵略者R星人の尖兵のガイガンとメカゴジラにゴジラがキングバルカン(キングシーサー)とともに立ち向かうという内容だった。本作では日本が舞台にもかかわらず、怪獣作品で恒例の逃げる人々や兵器車両はおろか、自衛隊をはじめ防衛軍や防衛隊の類も一切登場しない。また、在日米軍も一切登場しない。中野昭慶の回想によると、沖縄が日本に返還されたばかりという事情を踏まえ、自衛隊や在日米軍を出すのを避けたという。検討用台本では防衛軍と在日米軍が出動する描写があった。特撮スタッフは中野昭慶が特技監督を務めるほか、『流星人間ゾーン』などテレビ作品の仕事を終えた川北紘一が『ゴジラ対ヘドラ』以来3作ぶりに復帰した。特大ヒットとなった『日本沈没』の後だけに、川北も「熱が入った」と語っており、「『日本沈没』で中野特撮を観たお客さんが多数来るはずだから、チンケなものは出来ないはずだ」と中野に進言し、スタッフに加わっている。川北は新怪獣「メカゴジラ」の設定全般を担当したほか、本編班と特撮班を掛け持ちして本作を支えている。川北によれば、特撮美術の予算は『ゴジラ対ヘドラ』とほぼ同額で、主だったセット以外にミニチュアを組む余裕がなかったという。本編に目を向けると、沖縄ロケはすべてタイアップであり、この部分に東宝は予算を負担していない。フェリーでのアクション撮影に至っては沖縄へ向かう途中の船上で行っており、「予算ばかりか時間もない」(川北談)という製作状況だった。だが、この川北の発言とは逆に特技監督の中野昭慶は、「『日本沈没』の大ヒットを受けて、前2作よりもかなり予算を上積みしてもらえた」とたびたびコメントしている。このように必ずしも潤沢とは言えない状況下で制作されたが、川北は「カラフルな光線技と中野監督による派手な爆発で、『ゴジラ対ヘドラ』と同額予算での製作には見えない迫力は出せたと思う」と評している。各方面とのタイアップに裏打ちされ、主人公たちが滞在する那覇東急ホテルや九州・沖縄航路の豪華フェリーなど、当時の沖縄観光の各種風物が記録され、画面に彩りを添えた。また、「軽く触る」程度ではあるが、国頭天願の台詞を通じてウチナンチュ(沖縄人)の日本本土に対する複雑な感情にも触れられている。演出面では、アクション映画に実績のあった監督の福田純によって国際警察の様々な小道具も登場する、スパイ映画風味のサスペンスドラマに仕上げられている。『流星人間ゾーン』や前作『ゴジラ対メガロ』で多々見られた「子供向け」のコミカルな描写はやや影を潜めている。逆に、『ゴジラ対ヘドラ』(坂野義光監督、1971年)以降に増加した残虐、過激な描写はさらにエスカレートし、円谷英二が決して描かなかった流血シーンや、メカゴジラの猛攻の前にゴジラが絶命したのではないかと思わせる場面まで描かれた。ゴジラが沖縄に上陸する場面では、「丘の稜線からゴジラの巨大な頭部が徐々に姿を現す」という、第1作『ゴジラ』(本多猪四郎監督、1954年)での大戸島上陸シーンを思わせる構図も見られ、演出・アクション面では前作までと一線を画している。当時のゴジラシリーズには珍しく子役のキャラクターが全く登場しない一方、平田昭彦、小泉博、佐原健二、睦五郎、岸田森といった往年のゴジラシリーズや特撮作品の常連俳優が多数出演するなど、「原点回帰」とも言えるキャスティングも成された。劇中音楽は佐藤勝が担当。ジャズ調の軽快なメカゴジラのテーマや沖縄音楽を基にしたBGMが、映画を盛り上げている。中野特技監督によると、録音時にフィルムを観た佐藤はゴジラとメカゴジラの闘いの映像のパワフルさに驚き、映像に負けないようにとその場でスコアを書き直したそうである。和倉博士邸でのアクションシーンや決戦場面では、それぞれ同じ佐藤による『姿三四郎』(内川清一郎監督、1965年)、『怪獣島の決戦 ゴジラの息子』(福田純監督、1967年)の劇伴音楽が流用された。伊豆大島の椿まつりに御神火茶屋前でゴジラ(スーツアクター:図師勲)、メカゴジラ(スーツアクター:久須美護)とベルベラ・リーンが映画のPRをした。沖縄海洋博会場建設技師の清水敬介は、弟・正彦と安豆味城跡を訪れる。そこで観光客を相手に伝統歌謡・仲里節を実演していた国頭那美(くにがみ なみ)は、怪獣が街を焼き払う啓示 を受けて倒れる。続いて沖縄玉泉洞を訪ねた正彦は、洞内で不思議な金属を発見する。一方、会場予定地の建設現場で、壁画が描かれた洞穴が発見される。首里大学の考古学者・金城冴子(かなぐすく さえこ)は、壁画から「大空に黒い山が現れる時、大いなる怪獣が現れ、この世を滅ぼさんとする。しかし赤い月が沈み、西から日が昇る時、2頭の怪獣が現れ人々を救う」という予言を読み解く。冴子は洞穴内に安置されていたシーサーの置物を携え、敬介と向かった東京で彼の叔父である城北大学の考古学の権威・和倉博士の元を訪れるが、その途中の飛行機内で「黒い山のような雲」を目撃していた。その頃、正彦は玉泉洞で拾った金属片を物理学の権威である宮島博士の元へ持ち込む。宮島博士はこれを地球上に存在しない宇宙金属・スペースチタニウムであると断定する。その晩、和倉博士宅は謎の男(R1号)の襲撃を受け、あわや置物を盗まれそうになるが、敬介の活躍によって事なきを得る。時を同じくして、富士山が噴火して巨大な岩石が飛び出し、その中からゴジラが出現する。しかし鳴き声が違うそのゴジラは、盟友であるはずのアンギラスを撃退する。その現場で、敬介も奇妙な金属片を拾う。宮島博士は、正彦が玉泉洞で拾った金属とこれが同じものと分析し、敬介とともにゴジラの後を追うことにする。一方、ゴジラは東京湾で石油コンビナートを襲撃し、黄色い放射火炎を吐いてコンビナート地帯を破壊する。そのゴジラの前に、工場の建物の中からもう1頭のゴジラが出現した。敬介たちの目の前で繰り広げられる激闘の中、先に現れたゴジラの皮膚が破け、その下から白銀色に光り輝く金属部分が露出した。それを見た宮島博士は、偽物のゴジラの正体が全身をスペースチタニウムで構成されたロボット怪獣・メカゴジラであると看破する。偽物のゴジラに撃退されたアンギラスは、本物のゴジラを呼ぶために現れたのだった。全身が露わとなったメカゴジラを相手に、ゴジラは戦闘を開始するが、放射火炎がメカゴジラの光線との激突で爆発したゴジラは海に消え、頭部のコントロールマシンにトラブルが発生したメカゴジラは空へ飛び去る。事件の裏に宇宙人の陰謀を確信した宮島博士は娘の郁子や、正彦らとともに翌日に沖縄へ飛び、正彦が拾ったというスペースチタニウムを手掛かりに玉泉洞を探査するが、待ち受けていた宇宙人たちによって、洞内に作られた基地内に連行されてしまう。娘たちを人質に取られた宮島博士は黒沼司令に脅迫され、心ならずもメカゴジラのヘッドコントロールマシンの修理に手を貸す。その頃、和倉博士はついに置物の文様の謎を解読し、「西から日が昇る時、この置物を安豆味城の石のほこらの上に置け」との一文を読み出す。置物は、沖縄の守護神である伝説の怪獣「キングシーサー」の眠りを解くアイテムだったのだ。しかしこれを恐れていた宇宙人は、再びR1号を向かわせる。敬介と冴子はフェリーさんふらわあからクイーンコーラルを乗り継ぎ、敬介が船上で猿人の正体をさらしたR1号を撃退し、宇宙人の裏をかいてシーサーの置物を沖縄へ持ち込む。そのころ、洋上の孤島には落雷を浴び続けるゴジラの姿があった。冴子をホテルに待たせ、単身玉泉洞へ向かった敬介は宇宙人に襲われるが、インターポールの南原によって救われる。半年前から宇宙人の陰謀を察知していたインターポールは敬介をマークしており、船上でR1号を倒したのも実は南原だった。敬介たちは南原の力を借り、処刑室で蒸し殺されかけていた宮島博士らを助け出す。そのころ、夜空には「赤い月が沈み」つつあった。再び基地の破壊に向かう南原に、正彦と責任を感じた宮島博士も同行する。一方、敬介と冴子たちも置物を持って安豆味城跡へ急ぐが、すでに宇宙人たちの手が回り、那美とその祖父・天願が人質になっていた。置物との交換を要求する宇宙人たちに、天願は「ヤマトンチューのせいでこうなった」と、敬介らをなじる。絶体絶命かと思われたその時、インターポールの田村が助けに入る。こうしてほこらに置物が設置されると、予言通りに蜃気楼によって「西から昇った」朝日の光は、彼らの目の前で置物によって増幅され、万座岬の岩山を撃つ。大爆発で崩落した岩肌からはキングシーサーが姿を現すが、まだ深い眠りに落ちたままだった。宇宙人基地ではキングシーサーを始末すべく、黒沼司令が修理の完了したメカゴジラを再起動させる。基地に潜入した南原と宮島博士、正彦はまたも宇宙人に捕縛され、コントロール室に連行されてこれを見守ることとなってしまう。玉泉洞地下から発進したメカゴジラが万座岬へ迫ったとき、意を決して万座毛の浜辺に走り出した那美を見て、天願は一同に「キングシーサーを目覚めさせる者は、安豆味王族の継承者、那美しかいない」と告げる。まもなく、那美が捧げた「ミヤラビの祈り 」によってキングシーサーは目を覚まし、咆哮をあげるとメカゴジラに向かっていく。メカゴジラの破壊光線をキングシーサーは両目のプリズムアイで反射して猛然と立ち向かうが、メカゴジラの圧倒的な火力の前に苦戦するようになっていく。キングシーサーが最大のピンチに瀕した時、落雷を浴び続けたことで全身に磁力を帯びたゴジラが、古代人の予言に導かれたかのように海から現れる。宇宙人のコントロール室では宮島博士と南原が、メカゴジラのコントロールマシンを再び破壊するべく、形勢逆転のチャンスをうかがっていた。メカゴジラの圧倒的な攻撃にゴジラとキングシーサーは苦戦するが、ゴジラは磁力でメカゴジラを引き寄せて首をもぎ取り勝利し、南原は宮島博士の指示で宇宙人がメカゴジラの敗北で呆然としている隙にコントロールマシンの破壊に成功し、崩壊する基地から逃走する。戦い終えたゴジラは海へ去り、キングシーサーは再び眠りにつくのだった。登場怪獣はゴジラ、メカゴジラ(偽ゴジラ)、キングシーサー、アンギラス。地球征服を狙う宇宙人で、地球人に変装しているが正体はゴリラのような顔をしており、死ぬと猿人の顔に戻る。全員の顔にはトゲのようなものが付いており、司令官の黒沼の正体のみ一面に付いている。沖縄本島の玉泉洞地下に建造した基地を拠点として地球侵略を遂行し、地球で最強の怪獣であるゴジラを倒すため、それを元に建造したメカゴジラをゴジラに差し向ける。沖縄の守護怪獣であるキングシーサーの存在も把握しており、その復活を阻止するため、復活の重要なアイテムであるシーサーの置物を奪おうと、スパイ「R1号」を暗躍させる。銀一色のコスチュームを別とすれば、変装後の姿は地球人と区別がつかない。特に司令官の黒沼は、コントロールルームで葉巻をくゆらせたりブランデーをたしなむなど、地球の犯罪組織のボスを思わせる立ち居振る舞いを見せる。R1号も光線銃などのSF的兵器は使わず、地球製のサイレンサー装備の自動式拳銃やナイフを使用するうえ、宇宙船も登場しない(次作では登場)など、宇宙人らしからぬ面が目立つ。次作『メカゴジラの逆襲』に登場するムガール指令の顔が黒沼と同じなのは、ムガールに憧れていた黒沼が勝手にムガールと同じ面を使用していたためである。次作にも引き続き登場し、メカゴジラの改修機であるメカゴジラIIをチタノザウルスと共に差し向け、再び地球侵攻を企む。猿面の造形物は、市販のゴムマスクの流用。特技監督の中野いわく、猿人の顔という設定は、R1号を演じた草野大悟のイメージによるものだそうである。衣装はメカゴジラの体色と共通する銀色となっており、次作にも流用された。※映画クレジット順※以下ノンクレジットアメリカでは、シネマ・シュアーズ社の配給で『Godzilla vs the Cosmic Monster』の題で公開された。当初は『Godzilla vs The Bionic Monster』の予定だったが、ユニバーサル・ピクチャーズから「題名が『バイオニック・ジェミー(原題は『The Bionic Woman』)』と『600万ドルの男(原題は『The Six Million Dollar Man』)』の著作権侵害だ。」との抗議があったために変更された。原題どおり『Godzilla vs Mechagodzilla』となったのは1988年にビデオソフトが発売されたときである。
出典:wikipedia
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