『地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン』(ちきゅうこうげきめいれい ゴジラたいガイガン)は、「東宝チャンピオンまつり」の一編として東宝が製作し、1972年(昭和47年)3月12日に公開した日本映画で、「ゴジラシリーズ」の第12作である。観客動員数は178万人。カラー、シネマスコープ。売れない劇画家の小高源吾は、マネージャー・友江トモ子が取ってきた、東京郊外で現在建設中の世界子供ランドの怪獣デザインの仕事にありつく。世界子供ランドは「絶対の平和」をうたう謎めいた非営利団体の運営によって、中心にそびえる「ゴジラ塔」の頭の部分に事務局が置かれていた。ゴジラ塔を訪ねた源吾だったが、妙な英語混じりの言葉を話す事務局長のクボタは何やら不思議な人物であった。彼らは子供ランド完成の暁には、「平和の敵」であるゴジラをはじめとする怪獣島の怪獣たちをすべて抹殺すると豪語する。そんな中、子供ランドの都内オフィスの前で、源吾はクボタたちに追われていた1人の女が落とした奇妙な磁気テープを拾う。その後、見たことない奇妙な電子機器が設置された部屋に迷い込んだ源吾は、子供ランドの会長と名乗る、まだ少年の須東文夫と出会った。その夜、源吾はテープを落とした女・志摩マチ子と、その友達のヒッピー・高杉正作の訪問を受ける。マチ子の兄でコンピューター技師の志摩武士は、子供ランドでゴジラ塔建設に従事していたが、3日前から行方不明だという。マチ子は兄が子供ランドに監禁されているとにらんでおり、テープが兄に繋がる手がかりになるかもしれないと考えた彼らは、テープを返してほしいと源吾に頼み込む。子供ランドに不審を感じていた源吾は、マチ子の話を受け、テープを再生してみた。しかしそのテープからは奇妙な電子音のみが流れ、一体何なのかはわからぬままだった。一方、ゴジラ塔ではテープの発信を捉え、慌てる文夫とクボタらの姿があった。怪獣島ではテープ「アクション2」の電子音に気付いたゴジラが異常を感じ、アンギラスを偵察に向かわせる。ゴジラの命を受け、怪獣島を出発し、洋上を一路日本へ向かうアンギラス。実は子供ランドの職員は、地球征服を狙うM宇宙ハンター星雲人だったのだ。事態を受けた星雲人らは計画の前倒しを決め、母星との連絡網をつなぐ。一方、源吾らは正作の提案で、会長と事務局長の身元の洗い出しにかかり、2人の本籍地が同じであることを知る。本籍地の山野市へ向かった源吾たちは、2人が地元の中学校の英語教師と元生徒であり、1年前にイカリ山で遭難死していることを知って驚く。その頃、アンギラスは相模湾に上陸したものの襲撃と誤認したメーサー車を主軸とする防衛隊の攻撃に追い返されてしまう。ゴジラ塔で武士の監禁を確認した源吾は職員に見つかり、口八丁で場をごまかして辛くも退散する。そんな源吾に会長の文夫は「我々の知らないタイプの人間だ」と興味を抱き始める。その夜、源吾たちはクボタらの襲撃を受けるが訪ねてきたトモ子の空手で撃退。しかしテープは奪還されてしまう。源吾らは子供ランドの実態を警察に訴えるも取り合ってもらえずにいる中、署内に警報が鳴り響き「ゴジラ、アンギラスの二怪獣が関東地方に出撃しつつあり」の一報が届く。地球怪獣もMハンター星雲人の異常な動きに感づき、行動を開始していた。子供ランドでは「アクション1」「アクション2」が起動。磁気テープの電子音は宇宙怪獣をコントロールする指令電波だったのだ。文夫はMハンター星雲からサイボーグ怪獣ガイガンと宇宙超怪獣キングギドラを呼び寄せる。ゴジラ塔へ乗り込んだ源吾とトモ子は監禁されていた武士と合流するが、罠にはまり拘束される。源吾を高く評価していた文夫は自身の正体、寿命が尽きかけた母星に酷似した地球を造り替えるという恐るべき「平和計画」を語った。そんな中、宇宙怪獣の地球侵入を察知した防衛隊司令部は未知の怪獣ガイガン襲来に騒然となり、迎撃体勢を取る。到着した二大宇宙怪獣は宇宙人の指令電波によって操られ、メーサー車の攻撃をものともせず、東京を中心に徹底的な破壊を始める。応援部隊の「ユニフォーム用」として監禁された源吾らだが、正作とマチ子の用意したワイヤーゴンドラで脱出に成功。月の瀬海岸の石油コンビナートを襲撃する宇宙怪獣の前に、遂にゴジラとアンギラスが上陸する。かくして、ゴジラ・アンギラス対ガイガン・キングギドラの壮絶な流血戦が開始された。戦いの場はやがて、ゴジラ塔のある世界子供ランドへと移っていく。ようやく防衛隊の協力を得て再びゴジラ塔へ向かった源吾一同は、科学を過信する宇宙人の虚を突き、爆薬をエレベーターに載せて最上階に運び、ゴジラ塔の破壊に成功。文夫たちは醜いゴキブリの正体をさらして断末魔をあげた。指令電波を失ったガイガンとキングギドラは、やみくもにゴジラとアンギラスに襲いかかる。ゴジラとアンギラスの地球怪獣軍と、ガイガン、キングギドラの宇宙怪獣軍の最後の決戦が始まった。本作は第二次怪獣ブームの真っ只中に製作され、「ゴジラが他怪獣と闘い、怪獣チャンピオンを競う」というチャンピオンまつり路線を確定させた。本作でのゴジラは「悪の怪獣」から地球を守る「正義の怪獣」という扱いとなっており、劇中には大映の「ガメラシリーズ」のようにヒーロー性を強調したゴジラのテーマソングも挿入されている。ゴジラとアンギラスが、アニメ処理による漫画の「ふきだし」で会話するシーンも存在し、公開当時から賛否両論となった。ドラマ面では、ウーマン・リブ、内ゲバ、ヒッピー、教育ママ、怪獣ブームなど、同時代を象徴する風俗も多々採り入れられている。公開時のキャッチコピーは、「宇宙のわるもの怪獣をやっつけろ!ゴジラがんばれ地球をまもれ!」。馬淵薫による準備稿台本では『ゴジラ対宇宙怪獣 地球防衛命令』と仮題され、登場怪獣はゴジラ、アンギラス、魔神ツール(新怪獣)、キングギドラ、ガイガン、メガロが予定された(メガロのみ次回作デビュー)。次の関沢新一による検討用台本は『キングギドラの大逆襲』と仮題され、登場怪獣はゴジラ、ラドン、バラン、キングギドラ、ガイガン、モグ(新宇宙怪獣)が予定された。その後、新しく書かれた検討用台本では『ゴジラ対ガイガン キングギドラの大逆襲!』となり、登場怪獣はゴジラ、アンギラス、モスラ幼虫、キングギドラ、ガイガン、メガロが予定された。この春興行前の冬の「東宝チャンピオンまつり」では、キングギドラが初登場する『三大怪獣 地球最大の決戦』の短縮再編集版が盛り込まれていた。これに続く本作も当初、公開時のタイトルが『ゴジラ対キングギドラ 地球攻撃命令』と予定されたが、東宝上層部による「新怪獣ガイガンをメインにしたほうがいい」との判断から現行のタイトルに変更された。科学万能主義に対するアンチテーゼがあり、M宇宙ハンター星雲人たちの断末魔の台詞に相対させた、主人公たちの「素朴の勝利」が強調されている。物語は、「科学が発達しすぎると平和は遠のいて行くかもしれない」という警句で締めくくられている。アメリカでは『GODZILLA ON MONSTER ISLAND』、その他の国では『GODZILLA vs GIGAN』のタイトルで公開された。ゴジラとアンギラスの会話シーンは吹き出しではなく、声優によるアフレコで処理されている。「チャンピオンまつり」に組み込まれてからのゴジラ映画の制作予算は、全盛期の3分の1以下と大幅に削減された。そのため、本編には主要俳優に出演料の安い新人が使われ、特撮では過去の作品から大量に映像が流用されている。また、過去作品では日中シーンである映像も、本作では劇中での夜間シーンに合わせてフィルターで夜景処理している。ゴジラとアンギラスが海を泳ぐ場面は巨大プールで撮影されているが、同年公開の20世紀フォックス作品『ポセイドン・アドベンチャー』も同じ方法で撮影された。1969年の『ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃』以来、撮影は本編版と特撮版を分けない一班体制で行われていたが、東宝の特殊技術スタッフが東宝映像の所属となったことにより、同社の制作協力という形で本編と特撮の二班体制が復活した。本作は、第1作『ゴジラ』(本多猪四郎監督、1954年)から一貫してゴジラを演じ続けてきた中島春雄による最後のゴジラ作品でもある。中島は前年に東宝をリストラされ、系列の撮影所横のボウリング場勤務となり、怪獣役は引退していた。そのため、前作『ゴジラ対ヘドラ』(坂野義光監督、1971年)と同様、本作のオファーを受けた際にも中島は一度はこれを固辞した。しかし、「中島以外にゴジラは演じられないから」という中野らからの懇願により引き受けたという。本作の音楽は、すべて伊福部昭の曲が過去の東宝特撮作品のみならず、一般映画『暗黒街の顔役』や、大阪万博の三菱未来館で用いられた「日本の自然と日本人の夢」からも流用されている。流用に当たっては、シリーズで監督助手などを勤めた所健二が伊福部の承諾のもと、選曲を行った。伊福部はオールラッシュやダビングに立ち会い、ダビング時に曲を足したりもしたという。当初の伊福部の構想では『宇宙大戦争』のオープニング曲をメインタイトルとして使用する予定だったが、ファンに聴きなじみがある曲なので「日本の自然と日本人の夢」の「火山」に変更した。これを監督の福田に聴かせたところ、とても気に入ったという。登場する怪獣はゴジラ、アンギラス、ガイガン、キングギドラ。「怪獣島の仲間」として、ラドン、モスラ(幼虫)、カマキラス、ゴロザウルス、クモンガ、ミニラが過去作品からの映像で登場した。人間の残像現象を固定化することで、外見を地球人に偽装しているが、正体は人間大のゴキブリのような生き物であり、非常灯の元ではゴキブリのシルエットが浮かび上がる。かつて彼らの星は地球と同様に人類が支配していたが、はるか昔に環境汚染で滅亡してしまった。やがてその環境でさえも生存可能な、知能を持ったゴキブリのような生物が君臨する。その末裔がM宇宙ハンター星雲人である。しかし、その星にも寿命が近づいて来たため、その移住先として地球に狙いを定めた。最期に正体をさらすシーンでは、本物のゴキブリが使われている。地球攻撃司令官は山で遭難した学生(須東文夫)と教師(クボタ)の姿を借りて「会長」および「事務局長」と呼ばれる人間に化け「世界子供ランド」なる施設を秘密基地にして地球征服を進める。一方で、自分達の秘密を知った技術者の志摩武士を監禁しており、世界子供ランドを調査していた武士の妹であるマチ子とその友達の高杉正作、そして彼等と偶然関わりあった小高源吾達によってガイガンとキングギドラを操るための磁気テープを奪われるが、後に奪還。そのテープからの電波で両怪獣を呼び寄せて人間世界への総攻撃を開始する。それを阻止にやってきたゴジラとアンギラスもガイガンとキングギドラの連携攻撃、そしてコントロールセンターであるゴジラ塔からのレーザー砲撃で苦しめるが、源吾達と防衛軍の活躍によってコントロールセンターを破壊されて全滅する。次回作『ゴジラ対メガロ』(福田純監督、1973年)には名前だけが登場し、友好関係である海底王国シートピアから応援を要請されたため、M宇宙ハンター星からガイガンを送り込む。特撮テレビ番組『ゴジラアイランド』(東宝、テレビ東京)にも登場している。世界子供ランドのシンボルでもあるM宇宙ハンター星雲人の侵略基地。Mハンター星雲人は地球人の能力に関して「データは検証済み」と結論づけており、防衛隊の戦力よりも地球怪獣の存在を危惧していた。そのため、塔内には怪獣島を監視するための設備が配置され、ゴジラ像の身体には対ゴジラ用の破壊光線を装備している。造形は安丸信行。石膏を素材に、張り付け・削り出しで作られた。もう1体のゴジラとも言えるこのゴジラ塔と「本物のゴジラ」との明確な違いは“手の指が3本”という点である。実物大の右目の窓の部分と足元部分も(後者はステージ)に作られた。準備稿台本『ゴジラ対宇宙怪獣 地球防衛命令』では地球人の作った施設として登場する。『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』(本多猪四郎監督、1966年)に登場した「メーサー殺獣光線車」が、大・小のミニチュアのうち3尺サイズの小型ミニチュア2台を流用して登場。牽引車なしで走行し、ダメージシーンのために油をかけて燃やされている。他に戦闘機隊や、『怪獣総進撃』の「ミサイル戦車」も登場した。「61式特車」はスチール写真と『モスラ対ゴジラ』の流用映像のみの登場となっている。※映画クレジット順
出典:wikipedia
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