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ポアンカレの回帰定理

ポアンカレの回帰定理(ぽあんかれのかいき、)、または単に回帰定理とは、アンリ・ポアンカレ(H.Poincaré,1854-1912)により証明された力学系の定理である。ポアンカレの再帰定理とも呼ばれる。力学系のある状態を出発点としたときに、その時間発展は出発点といくらでも近い状態に無限回戻ってくることを主張する。ポアンカレは天体力学の三体問題の研究の中でこの定理に至り、1890年に発表した。解析力学では力学系のひとつの状態は相空間(例えば質点の位置と運動量を座標とする空間)上の点で表され、その点の近傍はその状態に近い状態の集まりを表し、回帰定理はこの相空間上の力学系に関する定理である。簡単には、「力学系は、ある種の条件が満たされれば、その任意の初期状態に有限時間内にほぼ回帰する」、「ほとんどすべての軌道が出発点の任意の近傍に無限回もどってくる」、「与えられた初期条件に、いくらでも近づき、かつそれを何回でも繰返すことができる」と表現される。ここである条件、つまり回帰定理の成り立つ条件とは、広く一般的にいえば力学系が保測的(相空間内の点集合の体積が保存されること)で、その軌道が有限領域に限られていることである。例えばニュートン力学の成り立つ系で等エネルギー面を動く軌道(エネルギーが保存される状態の軌道)では回帰定理が成り立つ。つまり通常現実的に考え得るエネルギーの出入りのない系では回帰定理が成り立つと考えられる。回帰定理が孤立系の現象の厳密な繰り返しを示したと解釈する人もいる。だがこの解釈には2つの意味での誤解がある。第一に、力学系は初期状態の近傍に戻るだけであり、初期状態そのものに戻るとは限らない。第二に、近傍に戻る時刻(時点)の分布は特別な場合を除けば不規則であり、一定の周期は持たない。ポアンカレが示したように多体問題の解の軌道はカオスになることが多く、その場合は運動が周期的繰り返しにはならないのである。ポアンカレの回帰定理の主張は、ハミルトン力学における相空間上の点の時間発展を数学的に抽象化した測度空間上の保測変換の満たす性質として、定式化される。ハミルトン力学では、一般化座標formula_1と正準共役な正準運動量formula_1の組からなる正準変数formula_3によって、系の状態が記述される。formula_3で指定される状態は相空間上の点であり、その時間発展は相空間の軌道formula_5として、表現される。formula_5の時間発展は、ハミルトンの正準方程式で記述される。但し、formula_9は系のハミルトニアンである。この時間発展によってを与える写像formula_11が定まる。写像formula_12は性質を満たしており、その集合formula_15は流れ(flow)と呼ばれる。リュービルの定理によれば、相空間上の体積要素は、formula_15による時間発展に対して、不変である。これは、formula_15が測度を不変に保つ保測変換であることを意味する。ハミルトニアンformula_19が時間に陽に依存しない場合、エネルギーformula_20は保存量であり、軌道formula_5はで与えられる相空間内の等エネルギー面formula_23内に留まることとなる。この等エネルギー面formula_23内の領域formula_25の面積は、formula_26で与えられる。ここで、formula_27はformula_23の面積要素、formula_29は勾配ベクトルである。すなわち、formula_23(とその完全加法族formula_31)に測度formula_32が導入される。ポアンカレの回帰定理では、formula_23の面積が有限であるという仮定が置かれる。これは、一般化座標formula_35や正準運動量formula_36が無限に増大することがないという仮定に相当する。集合formula_37に対し、formula_31をformula_37上の完全加法族、formula_32を測度とする測度空間formula_41を考える。ここでformula_37は有限formula_43であると仮定する。また、写像formula_44を任意のformula_45について、formula_46を満たす保測変換とする。formula_45がformula_48であるとすると、ほとんど至るところの点formula_49に対し、半軌道formula_50は無限回formula_25に戻ってくる。負の方の半軌道formula_52についても同様である。測度が0となる零集合formula_53を除いて、formula_25の点formula_55がformula_25に再帰することを示す。formula_57がformula_58であるとする。もし任意のformula_59がすべてのformula_60について、formula_61であるとすると、formula_62である。任意のformula_63でformula_64であるから、formula_65は互いに交わらない加算無限列である。よって、である。formula_67より両辺は有限であるが、保測性とformula_58の仮定により、右辺は有限性に矛盾する。ゆえに測度が0となる集合formula_69を除いたformula_70に対し、あるformula_60が存在し、formula_72となる。前述のformula_25の零集合formula_53に対し、formula_75と定めると、formula_76であるから、任意のformula_77に対し、あるformula_60が存在し、formula_79となる。したがって、この論法を繰り返すことができ、formula_77に対し、formula_81は無限回formula_82に戻ってくることがわかる。ボルツマンは熱力学第二法則を原子論で説明することを試み、H定理を発表した。これに対してエルンスト・ツェルメロ(E.Zermelo)は、1896年にポアンカレの回帰定理を根拠とする、再帰パラドックス(recurrence paradox)を発表して批判した。古典力学におけるポアンカレの回帰定理に対し、その量子力学版といえる量子回帰定理が存在する。この定理によれば、離散的なエネルギー固有値のみをもつ量子系は、時間発展により、初期状態のいくらでも近くに戻ってくる。日本語の文献では再帰定理となっている場合と回帰定理となっている場合とがあるので注意すること。

出典:wikipedia

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