283系電車(283けいでんしゃ)は、西日本旅客鉄道(JR西日本)の直流特急形車両である。京都・大阪から南紀方面への特急「くろしお」「スーパーくろしお」には381系が使用されていたが、高速道路の整備が進められ、その対抗上、質の高いサービスの提供とさらなるスピードアップなどにより競争力の増強のため、観光列車にふさわしい車両として設計され、川崎重工業・近畿車輛・日立製作所で製造された。オーシャンアロー (Ocean Arrow) の車両愛称があり、当時は「海と太陽が大好きな列車」のキャッチフレーズがあった。南紀地方は、関西でも有数のリゾートエリアで観光資源も多くあるため、「リゾート」と「スピード感」を反映させ、JR西日本の車両のグランドコンセプトである「明るく、静かで快適な車両」を基本コンセプトに、以下のデザインコンセプトも取れ入れられた。本系列は振り子式車両で、曲線通過時の振子角度5度を考慮して車体高および車体幅が若干縮小され、丸みを帯びた形状となっている。基本的に普通鋼を使用しているが、腐食を考慮して、屋根と床板にはステンレスが使用されている。また、車体および機器は耐寒・耐雪構造となっている。基本編成の新宮向き先頭車両と付属編成のうち1本(A931編成)の京都向き先頭車両は非貫通のパノラマ型グリーン車で、そのほかの先頭車両については貫通型となっており、幌は収納式としている。最高速度は130km/hで、設計上の曲線通過速度については本則+35km/hを目標としていたが、営業運転では最大で本則+30km/hである。紀勢本線(きのくに線)の半径400mのカーブが連続する区間を100km/hで走行することが可能である。130km/h運転は東海道本線(JR京都線)外側線と紀勢本線の一部区間で実施されている。種別(列車名)・行先表示器は221系以来の標準である、種別(列車名)は幕式、行先はLED式となっている。車体塗装は、南紀の海の色をイメージしたオーシャングリーンと、砂浜を連想させるビーチホワイトで、側面にはイルカをイメージしたシンボルマークがある。681系と同じ旋律のミュージックホーンが引き続き採用された。振り子車両による車両の低重心化、左右の重量均等化および床下機器艤装スペースの関係から、電動車両に車両制御装置と補助電源装置、隣接する付随車に空気圧縮機を搭載するM+Tユニットを構成している。車両制御装置は、223系1000番台 (WPC7)をベースとした、IGBT素子を使用した3レベル電圧形PWMインバータ WPC8 である。1基の装置中にインバータを5基(主回路部4基+補助電源部1基)搭載し、主回路部はインバータ1基で1台の主電動機を制御する1C1M制御方式を採用している。補助電源部は三相交流 440V 60Hz、130 kVA の容量を有し、主回路部と同じくIGBTを用いた3レベル電圧形PWMインバータをCVCF制御している。補助電源部が故障した際には主回路用インバータ第4群をCVCF制御することで補助電源のバックアップとしている。空気圧縮機は、車両制御装置補助電源部出力の三相交流440V 60Hzを電源とする往復単動式 WMH3093-WTC2000D をサハ283形・クハ282形に搭載するが、すべての付随車両に空気圧縮機と除湿装置が搭載できるように考慮されている。集電装置にはJR西日本の在来線電車では初めてシングルアーム式パンタグラフ WPS28 が採用され、モハ283形後位寄りに1基搭載される。台車は振子機能を搭載しており、電動車両は WDT57 を、付随車両は WTR241 を装着している。乗り心地の改善を図るために、381系電車に倣って振り子式車両として設計されているが、制御式自然振り子機構により曲線形状や曲線通過速度に応じた振子機能の制御が行われているため、乗り心地は381系より改善されている。コロよりも転がり抵抗が半分程度となるベアリングをガイドに使用し、動作をスムーズに行えるようにしている。軸ばね支持は、円筒積層ゴムとコイルばねの併用、基礎ブレーキは、WDT57がユニットブレーキ、WTR241が1軸あたり2枚のディスクブレーキとした。保守の容易化の観点から、けん引装置は1本リンク方式を採用している。乗り心地改善のため、ヨーダンパおよびアンチローリング装置を備えている。座席2列あたり窓1枚のレイアウトを採用している。各車両の両端にはLED式の車内案内表示装置が設置されている。普通車は座席配列は2列+2列でシートピッチは970mmとなっている。回転式リクライニングシートを装備し、座席モケットはパープル系統とブルー系統の2種類がある。基本編成の3号車には、太平洋の景色が見渡せるよう、座席が西側向きに固定されたフリースペースの展望ラウンジが設置されており、海側には1人掛けの座席が4席、山側には2人掛けのソファーが2つ設置され、自動販売機もある。このため、3号車の4号車寄りには乗降用ドアがない。グリーン車座席配列は1列+2列とし、シートピッチは1,160mmで681系・281系と同等である。普通車と同じく回転式リクライニングシートを装備する。ブラウン系統でまとめられており、枕を装備する。肘掛部分にはテーブルが収納されており、引き出して使用することが可能である。床の絨毯には「OCEAN ARROW」と記された模様がある。製造当初は、グリーン車中間に喫煙席と禁煙席を分離する仕切りがあり、乗務員室側を喫煙席、デッキ側を禁煙席として使用する予定であったが、苦情があったため、グリーン車は全席禁煙とした。これにより1998年10月から12月にかけて仕切りは撤去された。仕切りがあった時期は喫煙席と禁煙席の座席配列が1列+2列と2列+1列で異なっており、この名残で仕切り撤去後も車両中央部分で座席の配列が左右入れ替わっているが、振り子車両であることから車体のバランスを均等にする目的でこのような配列を採用している。現在、公衆電話は全て撤去されており、自動販売機もモハ283形300番台しか残っていない。2012年4月1日現在、基本編成である6両編成2本(計12両)と、付属編成の3両編成2本(計6両)の計18両が吹田総合車両所日根野支所に所属している。1996年7月31日に特急「スーパーくろしお(オーシャンアロー)」として営業運転を開始し、1997年3月8日のダイヤ改正から「オーシャンアロー」として、京都駅・新大阪駅 - 新宮駅間で運用された。通常は基本編成の6両で、多客期にはこれに付属編成を1本連結した9両編成での運転となっている。また検査時などまれに付属編成を2本連結した6両編成で運転する場合がある。また、各線のダイヤ乱れの影響により、急遽「くろしお」「スーパーくろしお」として本系列が運用される場合があり、「オーシャンアロー」に381系を充当し運用する場合があった。2012年3月17日のダイヤ改正で「くろしお」、「スーパーくろしお」、「オーシャンアロー」はすべて「くろしお」に統一され、同日より「くろしお」として運用されている(ただし、「オーシャンアロー」の名は時刻表などで車両を区別する上で、現在も残っており、車体に貼られているシンボルマークもそのままとなっている)。9両編成で運転する場合、貫通型先頭車同士が向き合うが2011年3月のダイヤ改正以降は幌の連結はしていない。従って6号車と7号車の通り抜けはできない。
出典:wikipedia
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