『超光戦士シャンゼリオン』(ちょうこうせんしシャンゼリオン)は、1996年(平成8年)4月3日から12月25日までテレビ東京系列で毎週水曜18:00 - 18:30(JST)に全39話が放送された、東映制作の特撮テレビドラマ、および作中で主人公が変身するヒーローの名称。アルファベット表記は本来はフランス語表記の「Changéríon」だが、英語表記の「Changerion」で代用されることも多い。本作品は、東映制作の特撮テレビドラマとしては『兄弟拳バイクロッサー』以来11年ぶりとなる単発作品として制作された。破天荒な性格の主人公をはじめとする個性豊かな登場人物によって繰り広げられる型破りな物語が特徴となっている。東映特撮作品としては珍しくセガがメインスポンサーとして付いている。既に前年公開の映画『人造人間ハカイダー』でもセガとの共同制作が行われており、本作品はその第2弾という位置付けとなっている。当初は『人造人間ハカイダー』のテレビシリーズとして検討されたが、新しい番組枠であることからオリジナル作品で制作することとなった。その頃、東映プロデューサーの吉川進とレインボー造型企画から新素材によるヒーローを検討していたことから、透明なヒーローというコンセプトでの制作に至った。企画当時のネーミングは「マスカレイザー」で、1995年10月頃までタイトル案として用いられていたのが確認されている。企画時の案では完成作品に近い姿のマスカレイザーの他に四形態に変身するというもので、マスカレイザーは動かずにアクションは他の形態に任せるという想定であった。テレビ放映は、企画書では1年間の予定と記載されていたが、後に3クール(39話)に短縮され、敵を倒さないまま最終回を迎える結末となった。ただ敵を倒さないままの最終回については短縮が決定する以前から構想があったようで、東映の公式サイトでも「他の終わり方は考えられませんでした。」と、それを窺わせる記述が残されている。また1年放送すれば続編を制作する案もあり、赤いパワーアップしたシャンゼリオンであるガイアポロンのデザイン画がキャラクターデザインを務めた篠原保のサイト等で確認できる。本作品のメイン監督である長石多可男は、当初スーパー戦隊シリーズ(『激走戦隊カーレンジャー』)への参加でオファーを受けていたが急遽本作品へ参加することとなった。本作品の監督陣では長石の他に小中肇や蓑輪雅夫が担当。このうち蓑輪は本作品にて、東映特撮作品に監督として関わる最後の作品となった。そしてベテラン監督に混じり、現在は東映特撮演出陣の中心メンバーとして活躍する諸田敏が監督デビューを果たすこととなる。特撮監督には円谷プロで手腕を振るった佐川和夫が担当。本作品の役者やスタッフは平成仮面ライダーシリーズを始め、その後の特撮作品に何かと関わることが多い。その一方で、広瀬匠や高橋利道といった過去の特撮作品に出演した俳優も起用している。本作品は出演者のスケジュール調整やアクシデントに、スタッフが苦しんだ作品でもある。舞台の仕事との兼ね合いから、速水役の相澤一成は14話、宗方役の市山登は中盤エピソードの多くに未登場となった。また、朱美役の林美恵は学業との両立が困難となり、14話でレギュラー出演を途中降板している。学生のキャスティングについて東映では『有言実行三姉妹シュシュトリアン』でうまく乗り切った前例があるだけに、後年にスタッフの反省と後悔が語られている。その後を継いだ、るい役の松井友香も34・35話の収録期間中、交通事故に遭い降板を余儀なくされた。本作品に参加したスタッフは後の平成仮面ライダーシリーズのメインスタッフとなった人物が多い。主人公の人物像もあって、18時台の子供向け番組とはおおよそ思えない展開の多さも同シリーズの原型と見ることもできる。大きな特徴として挙げられるのは「透明素材によるヒーローの造形」である。これはかつて東映で企画され、後にOV作品『大予言/復活の巨神』の原型となった『スペクトロン』と呼ばれる作品でも試みられていた。同作品や前出の『ハカイダー』を手がけ、本作品にも企画段階で関わっていた吉川進プロデューサーを中心に高まっていた「今までにない新しい作品を作ろうという動き」と、東映特撮作品でヒーローや怪人のスーツ作成を手がけ、当時透明素材を使った造形物の実現に意欲を燃やしていたレインボー造型企画との思惑が一致した末の産物ともいえる。このスーツのデザインには東映特撮で数々のキャラクターデザインを手がけてきた篠原保が携わっており、「天使の衣を纏った鬼」というイメージの元にデザインされている。長年ヒーロー番組に携わってきたレインボー造型企画でも、内部が透けて見えるクリスタル状のボディという、それまでのヒーローとはまったく異なるコンセプトのスーツ製作に当たっては、透明度と強度の両立や着脱の際に必要な分割ラインの配置など課題が多く、造型は困難を極めたという。紆余曲折を経て完成したスーツは、通常アクション用ですら40kg超、アップ用に至っては100kg弱と言われ、かつてない重量となった。あまりの重さにJACのスタッフに「これを着て演技ができるのは(JACのメンバーでも)岡元次郎だけ。他の者では首の骨が折れる」とまで言われた。主演の萩野も1度着てみようとしたところ、「(重さに耐えられず)転んで壊されては困る」とスタッフに止められたという。またこれに関連して、エンディング映像の夕暮れを見つめるシャンゼリオンを航空カット撮影する際、岡元はアップ用スーツを着て浜松の中田島の浜辺で数時間立ちっぱなしにされた。岡元によれば、マスクに通信機が付けられなかったため、いつ撮影が終わるのか、動いていいのか、まだ撮っているのかどうかもまったく知らされないまま立っているうちに日が暮れていき、潮が満ちていったため「あの時は1人で取り残されて死ぬかと思った」「動くのも大変だったが、動かないのも大変だった」と回想している。本作品は映像・音声の両面で撮影方式の転機になった作品である。映像面では、それまで東映特撮では主流だったフィルム(16ミリ)ではなく、ビデオテープによるVTR(クリアビジョン)方式で制作されている。これは東映特撮作品では初めてのことである。超光騎士の発進・変形など特撮パートだけはフィルム撮影になっている。一方、音声はそれまでと変わらない東映特撮伝統のオールアフレコで録音された。これはVTR映像との相性が悪く、しばしば口の動きと声が合わずに違和感が生じている。以後、ビデオ撮影の作品ではオールアフレコが廃され、同時録音方式が採用されることになった。玩具はセガ・エンタープライゼスおよびセガ・ヨネザワから発売された。玩具でも透明素材を使用するとパーツ構成が複雑になるためコストを抑えるのが難しく、なりきりグッズを手堅くまとめることで全体の予算枠に収める形がとられた。久々にバンダイ以外から発売されるヒーロー玩具として注目されたが、商品購買層として想定していた低年齢層の反響が今ひとつであったため結果は芳しくなく、試作されていた新武器や大型ビークルなどが中止となった。しかしセガでは、この時のノウハウが『新世紀エヴァンゲリオン』や『電脳戦機バーチャロン』などで活かされており、玩具「VDバーチャロン」のパッケージを篠原保が担当するなど人脈の繋がりも継続された。「闇次元から人間の生体エネルギー『ラーム』を狙って侵攻して来た集団ダークザイドに対抗するため、政府の特務機関『SAIDOC』のエージェント・光の戦士シャンゼリオンが敢然と立ち向かう!!」……というのは全くの嘘ではないが、シャンゼリオンの力を手に入れてしまった私立探偵・涼村暁は正義感も何もないC調ノリのどうしようもないグータラ男だった! やたら調子に乗るわ、借金をしまくって遊び歩くわ…。暁の所業に翻弄され、本来シャンゼリオンになるはずだった速水克彦たちSAIDOCメンバーは受難続き。一方、人間社会に潜り込んでいるダークザイドも、ストレスで胃を傷めたり箸袋集めが趣味だったりヒーローオタクだったりの変な連中ばかり。ヒーローと悪の何とも奇妙な物語が始まった。暁曰く「何代も続く名門私立探偵」だが、暁の性分により閑古鳥が鳴き、あちこちに借金がある。都内某ビルに暁の住居兼事務所を構えている。ダークザイドの侵略を察知した宗方が設立した独立機関だが、ダークザイドの存在自体が一般に知られていないために非公式な組織と思われる。職員にはCG(シャンゼリオンの略)ペンと呼ばれる、ダークザイドと人間の識別や護身用のビームガンにも使える多機能なペン型通信機を携帯している。出資者は宗方である。元々は技術者がいたが、財政難(財政難からクウレツキら三体のコアのランクを下げる描写が存在する)と宗方の古巣からの引き抜きで、メンバーは3人しかいない。なお、暁はシャンゼリオンの力を手に入れたとは言えメンバーではなく、形式上は巻き込まれた一般人の協力者である。白倉プロデューサーによれば、当初の構想では組織的なスケールはかなりあったそうだが「予算が無い」という理由でボツになり、特撮では珍しい正義の組織の経済的背景が描かれる財政難な組織となった。CGペンは元々アメリカのTIGERが販売していた商品であり、セガ側の要望によりストーリーにも組み込まれた。元々は別世界・闇次元を住処としていたモンスター。闇次元が滅亡の危機に瀕したため、止むを得ずに人間の世界へと移住してきた。人間の姿に化けており、こちらの世界で生きるには人間の生命エネルギー・ラームが必要不可欠である。組織ではなく種族であるため、上下関係がそれほど強い訳ではなく、幹部に対して反抗的な態度を取る者もいる上に、各々が自分勝手にラームを捕食するために活動している。また人間を「食料」として見ているが思考・行動様式は人間と殆ど変わりがなく、多くがごく普通に人間社会に溶け込んでいる。そのため、従来の特撮怪人とは異なり人間を強く見下してはおらず、むしろガウザー/黒岩省吾のように人間に恋愛感情を抱く者もいる。中には人間界の生活に適合不全を起こした挙句ディープな趣味に走る者、人間関係に疲れて胃潰瘍になる者や、うつ病となって自殺する者さえいる。他方、種の存続のための「人知れず、密かに」を基にした規律は存在しており、それを破った者には幹部から制裁が下される。人間体でも常人をはるかにしのぐ身体能力の持ち主も多く、片手だけ本来の姿に戻ることも可能。一種の流行なのか、人間体で片耳にアクセサリーをしている者が幾人も登場している。人間体から闇生物に戻る際に決まった掛け声を発する者もいる。戦闘員の類は存在しないが、アトラクションのヒーローショーにのみオレンジと黒の衣装を着た戦闘員が登場している。涼村暁がシャンバイザーを介して光の粒子を集め、強化ボディスーツを纏った姿。この現象は「燦然(しゃんぜん)」と呼称され、宗方の長年の研究を元にS.A.I.D.O.Cが開発した「クリスタルパワー」を浴びることによって可能となる。当初は速水克彦がなる予定だったが、クリスタルパワーを運ぶトラックがダークザイドの襲撃を受けた煽りで暁がクリスタルパワーを浴びてしまったことにより、彼がシャンゼリオンとして戦うこととなった。またクリスタルパワーはラームに付着するため、暁と速水のラームが入れ替わった際には速水が燦然した。シャンゼリオンをサポートする目的でS.A.I.D.O.C.が開発したロボット。シャンゼリオンやS.A.I.D.O.C.メンバーの要請を受け、即座に駆けつける。いずれも高度な人工頭脳と人語による意思の疎通能力を有しており、戦闘のみならず暁の選挙活動のサポートまでこなしたこともある。三体ともシャンゼリオン並かそれ以上のパワーを有するが、敏捷性にやや難がある。施設の電力不足のために当初は起動できず、S.A.I.D.O.C.本部が闇生物の襲撃を受けた際の偶発的に発生した高圧電流を受けてようやく覚醒した。企画段階では超光騎士も透明にするという案もあったが、色味が乏しくなることから定番の三色になった。変形ギミックはスーパー戦隊シリーズとの差別化のためブロック構成にはせず、トランスフォーマーシリーズのような変形が意識されている。終盤より登場した第2のヒーロー。速水克彦が「バージョンアップ」の掛け声とともに変身し、高笑いと共に登場する。「命の闇の種」を食べたことにより図らずも変身能力を身につけたもので、その能力は梅干しを食べることによって、ごく短時間意識を失ってから発現する。基本カラーは緑で、マッチョな外見に相応しく格闘戦を得意とし、動きは俊敏。速水の真面目な性格が反映・助長され、市民レベルの些細な善行にも活躍し大人気となるが、そのために闇生物との戦いを放棄してしまうことも。変身のメカニズムおよび速水本人が変身していた事実を忘れる理由はナレーションで事細かに解説されるが、あまりに長すぎるため説明し終わるのはいつも戦闘終了直前であり、また一部省略されることもある。最終話の「もうひとつの世界」では速水は意識を失わず、ポーズを取るだけで変身している。速水克彦がザ・ブレイダーに変身することは企画当初から考えられており、当初「赤」のイメージで行われていたが超光戦士との兼ね合いもあり「緑」という案もあり、後者の案が採用された。デザインソースは『光戦隊マスクマン』のX1マスクで意識的に色分けも近づけている。カッコ内は登場話数すべて大津あきら作詞、ホリエアキラ作曲。なお、作曲のホリエは1996年7月に堀江顕から改名(読みは同じ)。それに伴い第14話からクレジットが変更された。主題歌のシングルと『超光戦士シャンゼリオン オリジナルサウンドトラック』は改名前に発売されたため旧名で表記されている。シングルとカップリング曲は「ソングコレクション」でバージョンが異なり、TVサイズはアルバムバージョンを元に作られている。怪人の名前のリンク先はモチーフとなった物。特記の無い限り、讀賣新聞 1996年5月22日 13面「第二回マルチメディア国際フォーラム 2日目」下段に掲載された、セガ・エンタープライゼスの『超光戦士シャンゼリオン』玩具広告より。
出典:wikipedia
LINEスタンプ制作に興味がある場合は、
下記よりスタンプファクトリーのホームページをご覧ください。