7.5 cm PaK 40()とは、第二次世界大戦においてナチス・ドイツが使用した対戦車砲である。5cm PaK 38の拡大発展型として1939年にラインメタル社で開発へ着手されたが、独ソ戦前の優先順位は高く無かった。バルバロッサ作戦中に遭遇したT-34中戦車やKV-1及びKV-2重戦車との対戦車戦闘で、3.7cm PaK 36や5cm PaK 38が希少資源を用いたタングステン弾芯の高速徹甲弾でもなお装甲貫徹力不足であり、中距離以遠の正面撃破には8.8cm高射砲や10cm sK 18の徹甲榴弾を要する事が判明した結果、クルップ社の7.5cm PaK 41とともに実戦投入が急がれた。8.8cm高射砲は一部を除くと空軍管轄下で、10cm sK 18も大部は重砲大隊所属と、通常師団の装備火砲では無く数量・展開能力ともに不十分だったためもある。1941年11月に試作が完成し、1942年4月に量産が開始されて、大戦後半のドイツ軍の主力対戦車砲となった。1941年から1945年までに牽引砲型は23,500門、マルダー用は6,000門が生産されている。イタリアでは75/43 Mod. 40としてOTO社によるライセンス生産が計画されていた。輸出先はフィンランド、ルーマニア、ハンガリー、ブルガリアで、終戦後はノルウェー、チェコスロバキア、アルバニアも運用国に加わった。牽引車はハーフトラックのSd.Kfz.10やSd.Kfz.11、装輪車両のオペル・ブリッツやクルップ・プロッツェなどが用いられたが、サイズの大型化と軽合金素材の使用中止に伴う重量増加によって機動性が低下し、地面の状況次第では放棄せざるを得ない事態も生じた。撤退時のみならず陣地転換にも支障をきたした事から対策として、フランスで鹵獲したロレーヌ 37L装甲牽引車両を改造したマルダーI、II号戦車の車体を利用したマルダーII、38(t)戦車の車体を利用したマルダーIIIが登場し、主に師団直属の戦車猟兵大隊へ配属されて活躍した。7.5cm PaK 40は東部戦線のソ連製戦車に対抗するために運用されたが、北アフリカ戦線やイタリア戦線及び西部戦線(ノルマンディー上陸作戦後)でも使用され、ソ連製戦車よりも装甲が薄い傾向のある米英軍の戦車にも威力を発揮した。その後より大口径の8.8cm PaK 43や8.8cm PaK 43/41、野砲兼用の12.8cm PaK 44も開発されたが、機動性は劣悪で調達も振るわず、数的には終戦まで7.5cm PaK 40が戦車猟兵の主力であった。1943年11月になるとArtillerie-Pak-Abteilung(bodenständig)という通常より牽引車の少ない部隊が編制表に登場し、7.5cm PaK 40は砲兵部隊にも支給された。1944年には兼野砲としても配属される事になり、7.5cm FK 40と称して運用していた。しかし仰角の低さから射程が短く、10.5cm leFH 18/40の砲架に変更した7.5cm FK 7 M 85と改造で仰角を35度に増大した7.5cm K 7 M 59が登場する事になった。もっとも榴弾の威力などが問題視され、余り製造されなかった。ちなみに、FKはFeldkanoneで野砲、7は砲口直径、Mは運用上の形式、85と59は制式図面の番号とその部品番号を示している。上記以外の派生型として、約30口径に短砲身化して5cm PaK 38の台座に変更した軽量化版の7.5cm PaK 50や、車載用に薬莢長と砲架を変更した7.5cm KwK 40及び7.5cm StuK 40(L/48版は砲身長も延長)、航空機用としてガンポッド化された7.5cm PaK 40Lとその改良版であるBK 7.5cmを実用化している。この他に70口径へ長砲身化した7.5cm PaK 40/42がヘラー社によって試作され、7.5cm PaK 42の牽引砲型として1942年に253門製造されたともいわれている。一刻も早く強力な対戦車砲を要望した前線部隊の要求に応じるべく、7.5cm PaK 40が揃うまでのストップギャップとして鹵獲火砲改修の対戦車砲も製作している。フランス製M1897 75mm野砲の砲身に5cm PaK 38の砲架を組み合わせた7.5cm PaK 97/38(7.5cm PaK 40の砲架を流用した7.5cm PaK 97/40も存在した)と、ソ連製F-22 76mm野砲を改造した7.62cm PaK 36(r)やF-22USV 76mm野砲を同様に改造した7.62cm PaK 39(r)である。1942年に部隊配備及び実戦投入された。一部は北アフリカ戦線にも送られている。なお、7.62cm PaK 36(r)は僅かに口径が大きいことから不完全ではあったが7.5cm PaK 40用の砲弾も撃てるように作られていたために弾薬の互換性を持っていた(後にアダプタを取り付けて解決を図った砲弾が開発されている)のに対し、逆に7.5cm PaK 40で7.62cm PaK 36(r)用の砲弾を撃つのは砲弾が砲身内径より大きいために不可能という一方的な互換性であり、間違えて使用すると腔発等重大事故の原因となり危険であった。しかしそのままでは見た目はそっくりであり見分けが難しく、このため防止策として7.62cm PaK 36(r)用の砲弾を白く着色して見分けがつくようにしていた。7.62cm PaK 36(r)の様に薬室を改修して7.5cm PaK 40の砲弾を流用できるようにした例は他にもあり、ドイツ占領下の北イタリアで現地生産された自走砲であるSturmgeschütz M43 mit 75/46 852(i)(原型はセモヴェンテ M43 da 105/25)がそれに当たる。
出典:wikipedia
LINEスタンプ制作に興味がある場合は、
下記よりスタンプファクトリーのホームページをご覧ください。