警笛(けいてき)とは自動車や鉄道車両、船舶等において、自らが近づくことを音を使って他の通行対象に知らせるために使用する保安用具である。警音器(けいおんき)ともいう。また、この装備を応用し、自動車および二輪車の防犯・保安面に何らかの異変が起きていることを車外に告知する意味、および機構も本項で解説する。自動車ではクラクション (klaxon) やホーン (Horn) と呼ぶ物を指し、船舶は汽笛(きてき)、鉄道車両では蒸気で吹鳴するものを汽笛、圧縮空気で吹鳴するものは空気笛と称する。ちなみに「霧笛」とは、船舶の汽笛による霧中信号を指すこともあるが、正式には霧信号所による音波信号のことである。このほか、警察官が警告時などで用いるホイッスル(呼子笛)も警笛という(ホイッスル又は呼子笛を参照)。「クラクション」(Klaxon) という名は元は電気機械式ホーンの商品名である。鋼製の回転部品の衝突により「awooga」「ah-oo-gah」などと表現される独特の音を出す。自動車・オートバイ・鉄道車両・船舶・潜水艦などに使われたが、電子式ホーンに取って代わられた。クラクションの機構は、アメリカの発明家が1908年に特許を取得した。ニューアークの自動車部品メーカー が製品化し、その年のうちに自動車やオートバイに搭載された。その際、創業者でもある がギリシャ語の (甲高い声を出す)から と造語した。現在ではこの名は、日本を含む多くの国で、自動車用ホーン全般を意味する。自動車では「クラクション」または「ホーン」と呼ばれることがある。ホーンスイッチ部のトランペットマークから俗にラッパとも。警笛を鳴らすためには警笛用のスイッチを操作することになるが、大抵はステアリングのどこかに取り付けられている。警笛用のスイッチは、操作している間のみ通電し電気的・電磁的に音を発生させ続けるものが主流である。通常、取付位置はボンネット内先頭部に、高音と低音の2種を設け、不協和音を出すことにより危険を回避するものである。また、取り付け位置を大規模に衝突させたり、車両火災が発生した場合に回路が残存している場合、バッテリーが切れたり回路が焼け切れる、あるいは措置をするまで鳴動し続けることがある。本来は危険防止のために使用する警音器であるが、防犯上などのため安全装置の作動として警音器が鳴ることもある(後述)。警笛を鳴らす行為は騒音問題の原因となるため、日本では道路交通法によって警笛の使用についての制限が罰則付きで設けられており、警笛は道路標識などで指定された警笛区間や危険な場合に限り使用するものであって、その他の場合には使用が禁じられている。さらに、警笛の音量や音色についても道路運送車両法や保安基準によって規制がある(詳しくは法規制の項を参照)。自動車の場合、警笛に端を発するトラブルが発生することもあり、傷害事件や殺人事件に発展してしまった事例もある。後者としては1977年に東大阪市で相手に射殺される事件と、2011年に大阪市交通局の職員(クラクションを鳴らした運転手とは別人)が殺害された事件がある。近年では防犯面および、小児の車内放置死亡事故対策として、車両ドアロックを窃盗目的でこじ開けるなど不正解錠した場合や、ドアロックされた後に運転席以外の部分で車両の内部振動を感知した場合などや、車両機器の不正操作などを起こした場合などに、15秒ないし30秒間、断続的に鳴動する機構を備えた車両も増加している。また、箱型トラックの荷台に取り残され施錠されると、過失の有無にかかわらず脱出する術がなくなるため、安全対策として荷台後部にドアチャイム部品などの押しボタンを装備し、万一の取り残しの際に取り扱うと車両前部の警笛が鳴動する機構になっている。警笛について、日本では以下のような法規制がある。道路運送車両法第41条(自動車の装置)第14項にて、国土交通省令で定める基準に適合するものでなければ設置し使用することができない旨定められている。なお原動機付自転車においても、同法第44条7項(原動機付自転車の構造及び装置)にて自動車の場合と同様の取り決めがなされている。さらに、道路運送車両の保安基準第43条(警音器)の第1項において自動車(ただし、被牽引自動車は除く)は警音器を備えなければならないと規定されている。また、同条2項および3項にて警笛の音量や音色について規定されており、告示で定める基準に適合するものでなければならないとされている。道路交通法第54条(警音器の使用等)第2項で規定されている通り、道路交通法第54条第1項各号で示されている警笛区間を通行する際には必ず使用しなければならず、それ以外の場合においては危険を防止するためにやむをえない場合以外には使用してはならない。これに違反した場合の罰則が同法第121条第1項第6号で規定されており、2万円以下の罰金又は科料に処するとされている。警笛の無意味な使用はもちろんのこと、青信号などで前車の発進を促す時や低速走行の車に後車が警笛を鳴らす行為、後車が前車への抗議を表現するために警笛を鳴らす行為、車の到着を知らせるために警笛を鳴らす行為、いわゆるサンキューホーンなどは、上記の規制に違反し警笛の乱用(目的外使用)となるため違法である。ただし、例外として旅客自動車運送事業運輸規則第50条第2項第2号では、路線バスや観光バス等の運転者の遵守事項として「発車の直前に安全の確認ができた場合を除き警音器を吹鳴すること」と規定し、バス停等からの発車の際の吹鳴義務を定めている。日本においては、相手車両への感謝の気持ちなどを表すために警笛を軽く鳴らす、いわゆるサンキューホーン(サンキュークラクション)という行為があるが、サンキューホーンは警笛の目的外使用にあたり、道路交通法は警笛の目的外使用を禁じているため、このような使用方法は違法行為である。サンキューホーンと同様の意味合いを持つ行為としては、光(ハザードランプ)で謝意を示すサンキューハザードがある。サンキューハザードはサンキューホーンと同様に目的外使用にあたるが、サンキューホーンとは異なり、法律では明確に使用を禁じられてはいない。一部の自動車部品販売店では警笛にエコーがかかったり、圧縮空気や電気を使用して音楽を奏でる製品(ミュージックホーン)が販売されているが、保安基準により音調が変化する警笛の設置は禁じられており、乗用車でのそれを一般公道で使用することはできない。鉄道車両における警笛の概要を以下に述べる。一般に、エアタンクに蓄えた圧縮空気を送り込んで吹鳴する空気笛またはタイフォン(形状としてはラッパに似ており、「ファーン」という余韻を持つ音を発するものが主流)を用いるが、近年は環境(騒音)問題に配慮し、スピーカーから電気的に増幅させる電子音(カナ転写で「パーン」「ジャーン」「ボー」「コー」「リャーン」など、余韻を持たせる音が多い)を採用したり、変わったものとしては音楽を使用するものもある。そのうち、電子音の警笛を「電子警笛(電笛、電気笛、電子警報など)」、音楽を鳴らすものを主に「ミュージックホーン(音楽笛)」などという。同種の笛を複数(2タイフォン、2スピーカ)同時に吹鳴、または鳴動させる車両もある。113系電車、115系電車に代表される国鉄型近郊・急行・特急電車は、正面に大きな改造を施されていない限り、貫通路の左右横にそれぞれ1本ずつAW-5形タイフォンを持つ。加えて115系など勾配線区仕様車は屋根上または運転室床下にAW-2形ホイッスルを併設していて、AW-5形タイフォンと同時吹鳴する。JR九州が発注した特急車両のスカート部には、左右に1つずつ電子ホーンを装備している(またはスリットが開口している)ことが外見からも窺うことが可能であり、一般的な単数の電子ホーン鳴動と比較し重厚な音を奏でる。新幹線や名鉄特急、近畿日本鉄道の大半の車両などに代表される、華やかな2和音の空気笛(「ダブルホーン」)は、異なる音階の警笛を同時吹鳴する機構を持つ。また、事業者によっては鳴り分け可能として搭載する場合もある。加えて近鉄のほとんどの車両には、上記ダブルホーンとは別個に、通勤型車両・従来型特急専用車には自動車部品に類似した電気笛(「ビー」音。自動車のメーカー標準クラクション機能に近い)を2個、21000系以降の新造特急専用車などは、音階可変の電子ホーンを持つ。特殊な空気笛の例として、一部の地下鉄車両および路面電車などには、電気的なスピーカーに頼ることなく、まろやかな、あるいは若干かすれ気味の音色を吹鳴させるトロンボーン笛を搭載するものもある(東京メトロ10000系電車、東京メトロ1000系電車、札幌市電の項も参照、豊橋鉄道ではモ3200形なども装備、過去には静岡鉄道清水市内線65形など)。こちらの形状は、楽器としての笛により近い。蒸気機関車では、蒸気を送り込み、激しい走行音の中、構造上前方の視界が取りづらく、かつ制動まで時間を要する条件下でもより遠方まで確実に聞こえるよう、2-5和音の「ポー」や「ブォー」などという音を発する笛が使われている。他の鉄道車両よりも太く大きな重低音を発する。3和音(3室)はイギリス及び一部の日本の機関車で、5和音(5室)のものは日本の昭和初期以降製造の機関車で採用された。3和音の場合、基本的に単調で鳴らし始めの段階から甲高く、強く鳴らすと音が割れて上手く吹鳴できないことがほとんどだった。この問題点を改善したのが5和音である。3和音の笛を装備していた機関車は、一部が5和音の笛に取り替えられるなどの改良が行われた。5和音の笛は、気筒を回したり吹出バルブを回すなど隙間や蒸気量を調節することによって、吹鳴音階をある程度変えることが可能である。イベント列車用の動態保存として復活した機関車が多くなった現代では、それぞれに個性を持たせる目的で調律を行い、特徴的な音階を奏でる機関車もいる。現在、JR各社やJR貨物系列の貨物鉄道会社などが保有するほとんどの電気機関車及びディーゼル機関車、およびJR貨物M250系電車ではAW-2形ホイッスルを搭載し、空気を用いて二和音の「ポー」や「ピー」という音を発する。AW-2形は2本の気筒と吹出ノズルの隙間を調節したり、吹鳴気圧を調整することによって、吹鳴音階をある程度変えることが可能である(気圧が高いほど甲高くなり、気圧が低いと音階も低くなる)。なお、数は少ないが、機関車にタイフォンを装備、ホイッスルとタイフォンを併設する例もある(EF64、EF81、ED75および寒地向け派生系列であるED78、ED79など。これは、AW-2形ホイッスルもAW-5形タイフォンも発音部の空気吹出ノズルの隙間が1mm未満の精密構造であり、雪や水が侵入して凍結すると吹鳴不可能となってしまうので、温水ジャケットまたは電熱線入ジャケットを用いれば凍結防止が可能なAW-5形タイホンを併設したものである。通常ホイッスルは剥き出しだが、降雪の多い地域では上記と同じ理由で雪除けカバーを取り付ける。しかし、カバーを取り付けると空気の逃げ場が大幅に減るため、安全性を考慮し吹鳴気圧を高めに設定する。また、住宅地近隣に設けられた横浜羽沢駅に配属されたDE11形2000番台、製造初年が2010年のJR貨物HD300形には、入換作業時に警笛扱いが必須となるため、予め運用場所の周辺住民に配慮し、新製時からホイッスルと電気笛を併載している。事業者によっては、上り方と下り方の運転台の向きで意図的に空気笛の種類、音階を変えている路線、車両もある(例:京王電鉄京王線所属車。新宿方エンドが低音、八王子・高尾山口方エンドが高音であるが、環境対策として電子音を優先的に使用する傾向がある。また。同社の中古・改造車両を購入・運用する事業者、大井川鉄道ED90形電気機関車、過去には東武鉄道の空気笛など)。京阪電気鉄道京阪本線で運用される車両では、一貫して高音と低音、2種類の空気笛が搭載される(これはイギリス国鉄の警笛と全く同じものである)。また、電子警笛では、横浜市営地下鉄や、京阪京津線などのように、その土地のイメージに合う音(船の汽笛、寺院の鐘など)をイメージした、独特のものを採用している路線もある。南北緯度が大きく、多雪地帯も有する日本においては、国鉄時代に寒冷地へ投入された鉄道車両にはホイッスル、暖地で使用される車両にはタイフォン、広域に運用を持たせる車両(485系電車・165系電車など)には、双方を併設しているものもある。一般的にホイッスルは着雪に強く(ただし、降雪時に音が遠方まで届きやすいのはタイフォンとされる)、タイフォンはひとたび吹鳴部の中心が氷結すると機能を果たさないとされる。これを回避するため、車体およびスカートにタイフォンを装備した車両は、吹鳴時のみ開く蓋の装備を行ったり、警笛本体基部に温水を流す機構を持たせる、ホーン真正面に円形の鉄板を配する(南海電気鉄道の車両など)、空気笛本体や蓋の周囲に電熱線を用いた保温回路や保温器を設けるなど、蓋を含めて警笛の故障とならないよう配意がなされている車両もある。通常、電車および気動車の空気笛は、運転台の足元にあるペダルを踏むことによって吹鳴できる(左や中央にもペダルがある場合は右のペダル。左や中央のペダルは通常、前灯ディマースイッチ。空気弁の形状でなく、電気フットスイッチである場合は通常、ミュージックホーン・電気笛スイッチとして割り当てられている)。そのため、電子警笛またはミュージックホーンを装備した車両は、このペダルを浅く踏むと電子警笛またはミュージックホーン、強く踏み込むと電子警笛またはミュージックホーン+空気笛を吹鳴させることができる。変わったところでは、名古屋鉄道7000系「パノラマカー」では「空気笛」「電気笛」「音楽笛(ミュージックホーン)」にそれぞれ独立したペダルが割り当てられていた。阪急阪神ホールディングスに属する鉄道事業者が導入(建造)した近年の車両は、足元に空気笛ペダル、電子笛が手押しボタンという配置もある。また、東北本線上野駅 - 尾久車両センター間では 「北斗星」などの回送時に24系客車が先頭となる場合、推進運転を恒常的に実施するため可搬式警笛を用いる。詳細は尾久車両センター#推進回送の項も参照。自動列車運転装置(ATO)を搭載した車両などで自動運転を行う場合は、ペダル側を格納して手押しボタンのみを使用する事もある。蒸気機関車の場合は、車種によって異なる。幹線用の大型テンダー機関車(D51形やC57形など)は本務機関士側のみにペダルが装備され、機関助士側からはテコ棒によって鳴らす構造であり、大型以外の機関車はテコ棒によって鳴らす構造である。電気機関車とディーゼル機関車は概ね、レバーハンドル付笛弁のレバーハンドルを押下することで吹鳴できる。またTE装置を扱うことにより電磁弁から給気されて60秒間自動吹鳴される。警笛(汽笛)を鳴らす場面としては、次のような場合が挙げられる。※かつて盛んに行われた貨物駅(操車場)における貨車の入れ替え作業であるが、現在でも機関車が移動、停止、連結などを行う際の警笛(汽笛)の鳴らし方が規定されている。また、東北地方や名古屋鉄道、京阪本線、阪神電気鉄道などにも線区それぞれ独特の鳴らし方(踏み方)、規定(規則)、複数搭載された空気笛の使い分け方が存在するが、本項においてこれらはいずれも割愛する。旧・日本国有鉄道(国鉄)時代や、JR発足当初は駅での発車時に警笛(汽笛)を吹鳴することが多く、私鉄でも駅通過列車では恒常的に吹鳴していた。しかし、近年は騒音をなるべく発生させない方向で各社局とも運営しているため、上述の吹鳴場所その他危険防止のためやむを得ない場合を除き吹鳴しない事業者が増えている(特に関東地方)。一方、大阪市交通局と京都市交通局のように、駅入線時と発車時、駅間のトンネル内であってもカーブ進入する前など、運転取扱い上において吹鳴義務が存在する事業者、小湊鐵道、黒部峡谷鉄道など、駅発車時に警笛吹鳴を現在も必須義務として有する事業者、近鉄のように駅入線時に警笛を扱う事業者、阪急のように乗務員交替駅発車時に作動確認も含め吹鳴する事業者もある。また福岡市交通局の場合は、地下鉄に乗り入れるJR九州の103系に限って駅到着時に吹鳴している(かつては全ての車両が吹鳴していたが、ホームドアが取り付けられてからは旅客への安全面の問題が向上した為、103系以外の車両が鳴らすことは稀である)。鉄道発祥の地・イギリスの郊外列車・都市間列車・貨物列車で運用される車両においては、高音と低音のものが1本ずつ鳴り分け可能として装備されているのを耳にすることができる。同国の鉄道車両に範を得ているこの鳴り分け様式は日本でも京阪電気鉄道京阪本線系統の車両で採用例がある。中華人民共和国の鉄道においては、3和音(3連)の空気笛が主流。過去には、蒸気機関車にも3和音の空気笛(汽笛でなく、3連ホーン)を搭載するものが在籍した。香港MTRの鉄道線においては、上水以北のごく一部を除き他の交通との立体交差が実現済みであること、乗務員室と客室との仕切りは全面が窓なしの壁であること、TASCと類似のシステムが導入されている路線や車両もあり、始終着駅ホームであっても運転士(当地では「車長」)は、一般客ホーム先の柵・ガラス扉などで囲われた場所にて乗務開始、交替、引き上げを行う業務運行が確立しており、基本的に旅客への接遇・案内は行わないため、事実上「依頼警笛」が不可能なことに加え、ホームドアの設置も進捗していることから、香港域内を走行する電車の場合、警笛の取扱いは保線施工区間手前、ホームドアなし駅の混雑時などに限られ、旅行者が意識して耳にできる機会は多くない。いっぽう香港トラム・軽鉄はフートゴングも搭載し、軽めの警告には前者、危急時あるいはフートゴング鳴動にも無反応と判断した場合は、強い警告を警笛で―といった要領で、車長の裁量で使い分けを行っている。併用軌道を持つこれら軌道系電車線は、比較的頻繁に警笛類の取扱いを行う傾向にある。いずれも装備するものは電気笛で、日本のダンプカーのものと似通った甲高い警告音である。ミュージックホーンとは、複数の音色で音楽を奏でる警笛を指す。日本の鉄道車両においては、小田急ロマンスカーの3000形「SE」車に採用されたのが最初の例である。のちに名古屋鉄道の7000系「パノラマカー」や小田急電鉄の3100形「NSE」車以降の特急車の大半にも搭載されたほか、地方私鉄でも富山地方鉄道、遠州鉄道、静岡鉄道などで採用された。近年においては、事業者の方針によって空気笛の補助機能として新規に採用する例もある。なお、エンドレステープ式を採用した小田急「SE車」以外のミュージックホーンは「トランジスタ式」「IC式」の違いこそあれ、全て電子装置による演奏である。先駆けとなった3000形「SE」車ではエンドレステープを用いていた。なお、小田急電鉄では「ミュージックホーン」とは呼ばず「オルゴール」と称している。導入の経緯については「小田急3000形電車_(初代)#補助警報装置」も参照。同社では騒音問題に絡み、一度はオルゴール装置の使用停止・装置自体の取り外しが進められた(詳しくは「小田急ロマンスカー#SE・NSE時代」も参照)が、50000形「VSE」車で久々に復活した。2012年現在では、下記で述べる稼働中の搭載車両であれば、同社線および箱根登山線内の始発駅・停車駅・終着駅において、入線・発車時に、儀礼的な演奏(鳴動)を比較的よく耳にすることができる(旋律の2連奏が多い。60000形「MSE」車の場合、東京メトロ千代田線内での使用制限もない模様。無論、使用するか否かは、ハンドル扱いを行う運転士の裁量による)。1983年に大井川鉄道(現・大井川鐵道)に譲渡された3000形「SSE」車は、同社の産業遺産保存方針から小田急時代のサービスのほとんどを復活させ、オルゴールも復活させた。しかし、利用客は同様に産業遺産保存方針で運転されているSL急行に流れてしまったため、1989年に廃車され、1993年に解体された。ミュージックホーンという機構、着想について小田急に先を越された名鉄は、小田急のテープ式とは異なり、当時の先端技術であるトランジスタを採用した警笛であることを強調するため、ミュージックホーンを「トランジスタホーン」と謳い、大いに宣伝した。往年の名鉄では、高山本線直通列車用キハ8000系を間合いで使用していた名古屋本線豊橋方面行き特急列車がミュージックホーンを連続吹鳴しつつ、早朝の三河路を駆け抜けていたことから、沿線住人はキハ8000系が奏でるミュージックホーンを毎日の時報がわりにしていたという逸話が残っている。また、沿線の地元の学校ではドップラー効果の説明にミュージックホーンを使うことがあった。乗務員室の警笛類に関する機構は、「2連空気笛」(1000系列)または「電子ホーン+深踏みで2連空気笛」(2000系以降)の警笛ペダルと別個に、独立したミュージックホーンペダルが用意される。2000系およびそれ以降に就役した特急車両の場合は、ミュージックホーン演奏中に警笛ペダルを取り扱うと演奏キャンセル(鳴動中止)となる。これは、ミュージックホーンを演奏するスピーカーと電子ホーンの鳴動を行うそれを、1スピーカーから共用していることによる。名鉄のミュージックホーンには「どけよホーン」という愛称もある。これは「ミ♭・ド・ラ♭ ミ♭・ド・ラ♭ ミ♭・ド・ミ♭・ラ♭〜」というメロディが子供に「どーけーよーどーけーよー…」と聴こえるということで、呼ぶようになったものとされる。旋律の作者は、ミュージックホーンの製作を担当した小糸工業に依頼された作曲家であるとされる。名鉄は「旋律の著作権は自社にある」として具体的な氏名は伏せたままであるが、パノラマカーの開発に携わった名鉄OBによれば「相当有名な人物」であるという。また、中京競馬場で行われる名鉄杯(1600万下)で演奏されるファンファーレにもアレンジされている。また、常滑競艇場で行われた「名鉄杯争奪2007納涼お盆レース」の初日のドリーム戦(2007年8月10日)および優勝戦(2007年8月15日)のファンファーレに、ミュージックホーンがそのまま利用された。またかつてのCBCラジオの番組「おはようCBC」内のコーナーでは、名鉄の生CMの冒頭でこのミュージックホーンが使われていた。元々は、遮断機などの保安機器が未整備の踏切が多い中、列車の接近を遠方から告知する目的で、走行中は常に演奏させることを前提に採用されたミュージックホーンではあったが、近年の騒音問題に加え、前照灯を昼間点灯させることで、接近する列車の被視認性がある程度解決され必要性が薄くなったために、同社が保有する看板車両のシンボル的装備でありながら、主要ターミナル駅ホームへの進入、混雑した駅を高速で通過する必要がある場合などに限られつつある現状に加え、基幹駅の名鉄名古屋駅においても、かつては盛んに演奏を聞くことができたが、その後はその回数が減少、または演奏タイミングを早める(ホーム上にかからないよう、旋律を手前で演奏停止できるように取扱う)など、年を追うごとに使用する場面が減りゆく傾向にあり、上述のとおり通常の警笛とは独立したものとされている機構上、前述した小田急ロマンスカーの儀礼的演奏、後述の静岡鉄道の優等列車途中駅における使用および、他事業者の同様装備と比較すると「装備車両において必ず耳にすることができる」とは限らなくなってきており、使用の一切をハンドル扱いを行う運転士の裁量に任された、いわば特殊な警笛であるといえる。なお、装備車両においても、頭端駅構造の終着駅進入時に取り扱うことはまず無い、といった点が小田急ロマンスカーとは異にする。過去には2000年まで道路との併用区間であった犬山橋のある犬山線・犬山遊園駅 - 新鵜沼駅間で、比較的高い頻度かつ連続した演奏・使用を聞くことができた。基本的な旋律に関しては、7000系デビューでの装備以降変わらないものとなっている(編成により、いわゆる「個体差」も数多かった)。その後、8800系から1230系までは大型スピーカー機器からビブラートを効かせた、スローテンポなシンセサイザー調の旋律を奏でるものとなり、更に1600系以降は一般的な電子ホーン機器からオクターブの高いトランペット調の旋律を奏でるものとなった。それら変化を音源の収集および研究の対象とする愛好家・研究者が、ウェブ上含め一定数存在する。なお、前述のOBによると、ミュージックホーンを使用開始し10年ほど経ったころ、名鉄社内で「10年いちずでは時代遅れ」との意見があり、旋律を変更するよう指示され進軍ラッパ調の旋律に変更した。しかし、乗客や沿線住民らから「このような曲はけしからん」と苦情が殺到し、すぐに元の旋律に戻したという。また、名古屋鉄道創業100周年を記念して特別塗装を施した、1000系・1007編成「ブルーライナー」には、ミュージックホーンにも同社イメージソング『しなやかな風』の一節をアレンジした旋律が用いられ、通常運用では鳴動させることのない小駅(例:富貴など)を含む各駅への入線、発車加速時、駅間など、運転中における数多くの場面において、早朝・深夜以外は盛んに演奏の扱いをしていた(その後、特別塗装を解かれた際にミュージックホーンも同社特急車標準の旋律に戻されたが、後に同編成は廃車となっている)。ちなみに、平成28年1月14日付けでその旋律を「音」の商標として出願した。国鉄時代においては、四国総局に配置されたキハ58系気動車の一部に1963年から1969年頃まで、第4種踏切の事故対策として「ミュージックサイレン」を搭載していた。この「ミュージックサイレン」装備車は、識別のために車体前面にキハ82系に似た髭状の朱色の帯が塗装されていたが、装置の撤去後は塗装も元に戻された。2008年に四国でキハ58系が営業運行を終えるのを前に、残っていたキハ58の1両にこの「ヒゲ付塗装」が再現されている。JR東日本では、次のような車両に搭載されている。などの特急形車両・ジョイフルトレイン、に採用している。同社の電車型ジョイフルトレインも、251系ほかと同様の旋律を鳴動可能。これらの車両は「レ・ラ・ファ♯・レ・ラ・ファ♯・ラ・レ」の旋律を奏でる。この2つの車両は、「ファ・シ♭・レ・ファ・シ♭・レ・シ♭」の旋律を奏でる。いずれの機構も、乗務員室警笛ペダルの浅踏みで「ミュージックホーン演奏」、深く踏みこむと「ミュージックホーン+空気笛」。いずれの機構も、乗務員室警笛ペダルの浅踏みで「ミュージックホーン演奏」、深く踏みこむと「ミュージックホーン+空気笛」。なお、同社は内規で、同社線へ乗り入れあるいは線路の共用を行う他社車両の電気笛・ミュージックホーン(JR東日本・JR西日本・小田急電鉄・名古屋鉄道の車両)の鳴動を「警笛を取り扱った」とは認めていない(自社発注・自社管理の車両に、電子警笛・電気笛類の搭載が皆無なのはこのため)。名古屋鉄道の名古屋本線東端を運転する列車を例に取ると、JRとの共用区間である平井信号場以東でミュージックホーンや電子警笛を単独で扱うことは(誤用を除き)なく、作業中標識や列車見張員に警笛の使用を求められる場合は、空気笛が吹鳴するまで警笛ペダルを強く踏み込むのが正規の運転取扱いである。また、名鉄パノラマカー運用時は同車の構造上、運転席から先頭下部に死角ができるため、対策として発車時に電気笛を扱うことが義務付けられていたが、豊橋駅発車時は上述の内規に則り空気笛の吹鳴であった。首都圏電鉄、ソウルメトロで近年就役した車両、200000系ムグンファ形などに、日本でも耳にすることのできる一般的なAW-5(類似)空気笛などと併載した装備例がある。旋律となる原曲は、いずれも韓国童謡「自転車」。「タルルン、タルルン、ピキョガセヨ」、「チャジョンゴガ、ナガムニダ、タルルルルン」(日本語カナ転写歌詞)のすべてを鳴動させるもの、前半のみで後半部の鳴動は無い車両、テンポ違い、音階・音色違いなど、いくつかのバージョンが存在する。
出典:wikipedia
LINEスタンプ制作に興味がある場合は、
下記よりスタンプファクトリーのホームページをご覧ください。