敗血症(はいけつしょう、)とは、感染に対する制御不能な生体反応に起因する、生命を脅かすような臓器障害のことで、感染が疑われSOFAが2点以上増加するものを指す。細菌感染症の全身に波及したもので非常に重篤な状態であり、無治療ではショック、DIC、多臓器不全などから早晩死に至る。元々の体力低下を背景としていることが多く、治療成績も決して良好ではない。これに対し、傷口などから細菌が血液中に侵入しただけの状態は菌血症と呼ばれ区別される。また、敗血症とSIRSは似た概念だが、SIRSは感染によらない全身性の炎症をも含む概念である。悪寒、全身の炎症を反映して著しい発熱、倦怠感、鈍痛、認識力の低下を示す。末梢血管の拡張の結果、末梢組織に十分な栄養と酸素が届かず、臓器障害や臓器灌流異常、血圧低下が出現する。進行すれば錯乱などの意識障害を来たす。DICを合併すると血栓が生じるために多臓器が障害(多臓器不全)され、また血小板が消費されて出血傾向となる。起炎菌が大腸菌などのグラム陰性菌であると、菌の産生した内毒素(エンドトキシン)によってエンドトキシンショックが引き起こされる。また代謝性アシドーシスと呼吸性アルカローシスの混合性酸塩基平衡異常をきたす。敗血症性ショック症状を起こすと患者の25%は死亡する。肺炎や腹膜炎をはじめとした重症細菌感染症の進行した場合にみられる。また、糖尿病や悪性腫瘍の化学療法によって免疫力が低下した場合に合併することがある。この場合は、主な感染源はセラチア菌などの腸内細菌であると言われる。各種感染症検査の他、プレセプシン, エンドトキシンやプロカルシトニンの測定がおこなわれる。ショックの確認のために収縮期血圧(90mmHg)や血漿乳酸値(4mmol/L)などを確認する。全身性炎症反応症候群の診断には下記項目の測定が必要である。下記の4項目のうち2項目を満たした場合、全身性炎症反応症候群と診断される。全身性炎症反応症候群のうち、感染を基盤とする全身性炎症反応症候群が敗血症である。言いかえると敗血症は感染を基盤として発症する急性循環不全である。初期には血液分布異常性ショックを呈する。血管内皮細胞の障害が深くかかわると考えられており脳の血管内皮が障害されれば脳浮腫が起こり、肺の血管内皮が障害されれば急性呼吸窮迫症候群が起こり、四肢の血管内皮細胞が障害されれば浮腫が起こると考えられている。初期には高心拍出量性ショックをしめすが、血管内皮細胞障害が進行すると低心拍出量ショックに移行する。適切な輸液負荷を行っても低血圧が持続する場合もある。Surviving Sepsis Campaign Guideline(SSCG)という診断と治療に関するガイドラインがある。(SSCG2008)では循環管理だけではなく感染対策、続発する臓器不全や周辺病態に対しての集中治療が示されている。内容としては初期蘇生、感染症治療、急性呼吸障害や腎障害の管理、血糖管理、その他に分かれている。特に初期蘇生の循環管理がearly goal-direct therapy(EGDT)として纏められている。初期治療の第1選択は、輸液負荷を行いバイタルサインや臨床症状の推移を見極める。近年の研究から、体温を冷却しながら治療を行った方が、冷却しない場合に比べて死亡率が低かったという結果が得られている。初期蘇生の循環管理(early goal-direct therapy)の略。敗血症では適切な抗菌薬を1時間以内に投与することを推奨している。これは1時間投与が遅れると7.6%ずつ予後が悪化するとされているからである。この場合は広域な抗菌薬を使用する。そして速やかに大量輸液を行う。目標値としては中心静脈圧を8~12mmHgとなる輸液管理および平均血圧>65mmHg、尿量>0.5ml/Kg/h、中心静脈酸素飽和度あるいは混合静脈血酸素飽和度>70%を目指す。通常最初の6時間で6~10lの輸液が必要となる。人工呼吸器管理をしている場合は胸腔内圧が高くなるので中心静脈圧を12~15mmHgを目標とする。中心静脈圧を保っても平均血圧が65mmHgを下回るのならば昇圧剤の投与を開始する。ノルアドレナリンやドパミンが用いられる場合が多い。平均血圧が90mmHg以上となった場合は硝酸薬(ニトログリセリン)を併用する。平均血圧が保てれば中心静脈酸素飽和度あるいは混合静脈血酸素飽和度を確認し、ヘマトクリット値が30%以下ならば輸血を行い、それでも30%以上を保てなければドブタミンを使用する。なおEGDTを行う場合は大量輸液によって肺の酸素化が障害される場合がおおく、人工呼吸器管理となることが多い。急性肺障害(ALI)に基づいて呼吸管理する場合が多い。
出典:wikipedia
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