『海がきこえる』(うみがきこえる)は、氷室冴子による小説。また、それを原作として1993年にスタジオジブリが制作したアニメーション作品及び1995年にテレビ朝日系列で放映されたテレビドラマ。地元を出たことの無い高校生・杜崎拓が東京からの転校生・武藤里伽子に恋をする物語で高知市を主な舞台としている。氷室冴子による原作の小説は、徳間書店『月刊アニメージュ』に1990年2月号から1992年1月号まで(1991年2月号は未連載)連載された。懐かしさやノスタルジーを感じさせる作風や、挿絵をスタジオジブリの近藤勝也(のちのアニメ化の際には作画監督を務めた)が担当したことも話題になり、若い世代を中心にじわじわと人気を得た。連載は、当時の『アニメージュ』編集部が「アニメ絡みでない、メジャーな作家さんの作品を載せたい」と考えたのがきっかけで、その後コバルト文庫の第一人者である原作者と密に連絡を取り合い始めた。そして、スタジオジブリの『魔女の宅急便』の試写会の際に「この映画と同じようなエンディングの作品を書きたい」と原作者が感想を述べたことで、連載がほぼ方向づけられた。連載で用いられた挿絵は、原作者の構想メモをもとに近藤勝也が描いた。原作者は近藤の挿絵に触発されたため、独特の雰囲気ある作品ができたのだという。1993年の単行本化の際には、作者による編集が加えられ、拓と里伽子が高知城前でキスするシーン、拓と里伽子、松野と知沙が四万十川へ泳ぎに行くシーンなどが省かれた。1999年の文庫本化の際には、時の流れによるヒット曲などの変遷(例えばWinkから安室奈美恵へ)により現実と小説にギャップが生じたため、当時の状況に合わせて作者による修正が加えられた。1995年、続編として『海がきこえるII〜アイがあるから〜』が単行本として出版された。こちらは雑誌連載ではなく、同年テレビ放映された武田真治主演のドラマに先駆けて執筆された、原作者による書き下ろしである。全くの続編であるこちらも近藤が挿絵を担当しており、さらに1999年には『海がきこえる』と共に文庫本化(徳間文庫)された。この際、『海がきこえる』の解説は宮台真司、『海がきこえるII〜アイがあるから〜』の解説は岡田惠和が担当している。単行本文庫本イラスト集日本テレビ開局40周年記念番組として1993年5月5日にテレビアニメとして日本テレビで放送され、その後も5月8日 - 7月14日まで一部の日本テレビ系列局(計13局)で順次放映。芸術文化振興基金助成事業の一環として制作された、スペシャルアニメ作品である。原作の挿絵を担当した作画監督の近藤勝也をはじめとした、スタジオジブリ内の若手作家を育成する目的で制作され、宮崎駿や高畑勲が全く関わらない初めての作品となった。また東小金井に移されたスタジオジブリ新社屋で制作された初めての作品にもなった。挿絵自体のキャラクターによって、原作とは若干違うストーリーを展開した。日本テレビでは夕方4時から放映されたが、この時間帯では異例の視聴率17.4%を記録した。72分間(当初予定では50分間程度)という枠であるが故に作品の主な舞台が高知での中高一貫校時代に限定され、大学進学後の話はアニメの冒頭とエンディングのみでしか描かれず(しかも原作とはかなり異なる構成である)、そのために津村知沙など大学で出会う人物が一切登場せず、また原作には掲載されているキスシーンが描かれていないなどの点で、原作とアニメとでは大きく異なっている。歴代スタジオジブリ作品の中で、男性の専業声優(飛田展男)が主人公の声を演じている唯一の作品である。またキャストのほとんどが専業声優で占められていることも、スタジオジブリ制作の作品では例外的である。制作当初、主題歌は中島みゆきの『傷ついた翼』が検討されていたが楽曲使用料の問題で、里伽子の声優を務める坂本洋子の「海になれたら」が使用された。方言指導は、高知県出身の声優、島本須美と渡部猛が務めた。(原作とは細部の設定が異なる)高知の進学校から東京の大学に入学した杜崎拓は、東京都武蔵野市の吉祥寺駅のホームで武藤里伽子に似た女性を見かける。その後、はじめての夏休みに同窓会のために故郷・高知へと帰省する道中、拓はその高校時代を思い起こす。季節外れに東京から転校して来た里伽子との出会い、ハワイへの修学旅行、里伽子と2人だけの東京旅行、親友と喧嘩別れした文化祭。ほろ苦い記憶をたどりながら、拓は里伽子の存在を振り返っていく。『海がきこえる〜アイがあるから〜』は、1995年12月25日の月曜日20:00 - 21:48にテレビ朝日系列でクリスマスドラマスペシャルとして放映された。同年に出版された『海がきこえるII〜アイがあるから〜』が原作。主演には『海がきこえる』のファンで、この作品がテレビドラマ初主演となる武田真治が起用された。原作『海がきこえる』をベースとしたドラマの企画段階で「22歳(放映当時)の武田真治が中高生を演じることに無理がある」という大きな壁が立ちはだかったが、続編『海がきこえるII〜アイがあるから〜』出版により、続編の内容をベースとし、大学進学後の話をメインとすることでこれを克服した。当初、里伽子役となる女優は未定であった。さらには「里伽子脇役論」も出るなど混乱していたが、当時20回目を迎えたホリプロタレントスカウトキャラバン(TSC)で、TSC史上初の試みとなる「コンテスト兼ドラマヒロインの選考」として、里伽子役を公募するに至った。TSC史上最多(当時)の応募総数となる43723人が、書類審査を経て約4000人に、さらには地方予選を経て候補者は14人に絞られた。14人は千葉県長生郡一宮町での厳しい合宿を経て、6人が最終候補として残った。そして厳正なる審査の結果、佐藤仁美がグランプリを獲得し、里伽子役に抜擢された。なお、このときの審査員特別賞は新山千春が受賞した。ロケーションには出演者見たさに多数のギャラリーが殺到し、撮影が思うようにいかないこともあった。テレビ放映後にビデオ化(1996年)されたが、DVD化はされていない。(原作とは大きく設定が異なる)東京の大学に進学を決めた拓は、路面電車のホームで松野豊に「お前な絶対女で苦労するタイプや」と告げられて見送られた。東京での慣れない一人暮らしを送るなか、駅のホームで偶然にも里伽子を見かける。その後、拓は里伽子が東京方面に進学したことを松野から電話口で知らされた。拓は里伽子との高校時代の思い出を振り返りながら、田坂や知沙に出会い、そして里伽子と再会し、彼らとの関係に悩まされながらも大学生活を送る。ここでは原作やアニメの構想、ドラマの撮影で使われた主な場所を挙げている。特記なき場合はすべて高知市内。
出典:wikipedia
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