根抵当権(ねていとうけん)とは、一定の範囲内の不特定の債権を極度額の範囲内において担保するために不動産上に設定された担保物権のことである。(第1項)これに対し、通常の抵当権(これを根抵当権と対比して普通抵当権と呼ぶことがある。)は特定の債権を被担保債権とする。根抵当権は特定の債権を担保するものではないため付従性(附従性)がなく、継続的な取引関係にある当事者間に生じる債権を担保することに向いている。例えばB会社と取引のあるA銀行が、B会社に融資することによって生じる金銭債権に、担保権の設定を受けておきたいと考えたとする。普通抵当権の設定を受けた場合、被担保債権は特定の債権なので、新たな融資債権が生じた場合には、別の抵当権の設定を受けなければならなくなる。これでは抵当権を設定するための登記費用もばかにならないし、手間もかかる。また抵当不動産に後順位抵当権が設定されていた場合には、新たな抵当権は当該抵当権に劣後することになり、担保としての実効性にもとぼしい。この点根抵当権であれば、根抵当権設定登記において、AB間の銀行取引によって生じるAの債権を被担保債権としておきさえすれば極度額の範囲内で、全ての融資債権が根抵当権によって担保されるから、普通抵当権のような問題は生じない。抵当権の規定は根抵当権に規定なき事柄について適用される。根抵当権の行使額を限定するための数値を極度額という()。その変更については、利害関係者の承諾が必要である()。極度額は通常は債権極度額のことをいう。債権極度額は極度額の範囲内で元本・利息損害金が担保される。根抵当権が民法で法制化される前には、元本極度額(極度額の範囲の元本を担保するとともに、その元本極度額の利息損害金まで担保する。)を設定している根抵当権もあったが、根抵当権法制化後は債権極度額のみ認められ、元本極度額の設定ができなくなったので、現存する元本極度額設定の根抵当権はわずかとなってきている。"「根抵当権の処分の登記」も参照。"元本確定前においては、根抵当権者は、同一の債務者に対する他の債権者の利益のために次の処分はできない(、反対解釈として確定後は抵当権と同じように(抵当権の処分)が適用されるので、次の処分ができる。)。但し、この場合、その根抵当権を目的とする権利は、譲り渡した根抵当権について消滅するので(398条の12第2項後段)、根抵当権を目的とする権利を有する者の承諾を得なければならない(398条の12第3項)。根抵当権消滅請求(ねていとうけんしょうめつせいきゅう)とは、元本確定後に、現に存する債務の額が根抵当権の極度額を超える時に、が、その極度額に相当する金額を払い渡し又は供託して、その根抵当権の消滅を請求できる制度のことをいう(第1項)。この場合、その払い渡し又は供託は、弁済の効力がある。根抵当権消滅請求は、平成15年(2003年)法律第134号による民法の改正により、従来の滌除(てきじょ)に代わるものとして創設された制度である。従来の滌除では、第三取得者からの申し出金額を受け入れられないときは根抵当権者は増価競売をしなければならず、担保物件処分の妨害に悪用されるケースが多く発生したため、滌除は廃止され、民事再生法や、会社更生法で採用された(根)抵当権消滅請求の制度の一般法制化を行ったものである。根抵当権消滅請求は、第三取得者を保護するための制度であるから、主たる債務者、保証人及びこれらの者の承継人は、根抵当権消滅請求をすることができず(第3項でを準用)、また、根抵当権者の地位の安定のため、根抵当不動産の停止条件付第三取得者は。その停止条件の成否が未定である間は、根抵当権消滅請求をすることができない(398条の22第3項でを準用)とされる。共同根抵当権の登記がされている根抵当権の場合、1個の不動産について根抵当権消滅請求があれば、根抵当権は消滅する(398条の22第2項)。根抵当権消滅請求の手続きとしては、明文の規定はないが、抵当権消滅請求と同様、登記をした各債権者に対し、次の書面を送付する必要がある()。根抵当権消滅請求の時期的限界については、明文の規定はないが、抵当権消滅請求が抵当権の実行としての競売による差押えの効力が発生する前に抵当権消滅の請求をしなければならないとされている()ので、根抵当権の実行としての競売による差押えの効力が発生する前に根抵当権消滅の請求をしなければならないと考えられる。共同根抵当の登記がされている根抵当権の担保すべき元本は、一個の不動産についてのみ確定すべき事由が生じた場合においても、確定する(第397条の17第2項)。
出典:wikipedia
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