ひりゆう(, FL-01)は、海上保安庁の消防船。本船は、昭和43年度計画で建造された「ひりゆう」の代船として設計された。双胴船体に背の高い放水塔を載せて、その上に伸縮式の放水銃を装備するというスタイルは、同船のものが踏襲されている。門型の放水塔は操舵室後方に配されており、伸縮式放水筒のほかに主機・補機の排ガス管も組み入れられている。外洋での堪航性能向上のため、乾舷を高く取って、胴間連結部下部への波浪衝撃緩和を図るとともに、シアも大きく取った。また造波抵抗軽減のため、船首部はバルバス・バウとされた。放水時の操船・船位保持性能確保のため、推進器としては旋回式可変ピッチ・プロペラを採用した。これは海上保安庁の船艇として初の試みであったが、横移動やその場回頭性能に優れ、操船性能の飛躍的な向上をもたらした。主機関としては、増速機付き中速ディーゼルエンジン(連続最大出力2,000馬力 / 1,470 kW)を搭載する。これはユニバーサル・ジョイントを介して旋回式可変ピッチ・プロペラを駆動するとともに、増速機を介して消防ポンプ(1,500m³/hr×1.5 MPa)2基も駆動する。なお主機関および推進器の制御は、操舵室の機関制御盤および操船スタンドで行う。主電源としてはディーゼル発電機(出力125 kVA)2基を搭載し、航海時には1基、出入港および消火活動時には2基で運転する。消防装置としては下記のような装備を有する。このうち、伸縮式放水塔は、最大伸張時には海面上約27メートルに達する。また自衛噴霧ノズルは船橋周りを重点として、居住区画を含む上部構造物全体を覆えるように配置されているが、消火活動時の視界確保のため、噴霧高さを高低2段に切り替え可能である。なお消火剤としては、泡原液を約22,000リットル、粉末消火剤を約5,100 kg搭載する。これらの消防操作は、操舵室の操作盤で使用する放水筒および消火剤を選択すれば、あとはポンプの起動から関係弁の開閉、消火剤放出までを自動で行えるようになっている。各放水筒の作動状況や、監視カメラを通じた火災状況は2面の船内モニターで監視可能となっている。また可燃性ガスや有毒ガスを検出するためのガス検知装置を装備しており、可燃性ガスに対しては赤外線式ガス分析計で5ヶ所の濃度を自動検出し、濃度の推移を表示することができる。また有毒ガスについては、全5ヶ所の捕集所のうち1ヶ所あたり3種のガスを同時検出可能となった。また炎上する大型タンカーを迅速に曳航するため、後部上甲板には40トンの曳航フックを備えている。なお作業の省力化および防爆性能向上のため、甲板機器は全て油圧作動とされた。運用実績は良好であり、先代のひりゆう型を更新するための同型船建造も検討されたが、巡視船の更新が優先されたために実現しなかった。仮に今後実現したとしても、多少の改設計を施した準同型船になると予測されている。2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震で、千葉県市原市にあるコスモ石油製油所のLPGタンクが爆発炎上した。発生時横浜にいたひりゆうと巡視艇あわなみが急行したが、ガスが漏れ続けている状態で消火すると、周辺地域・海域にガスが流れ出る恐れがあった。火がついたタンクは燃やしたまま、延焼を防ぐための冷却放水を行った。燃焼が安定してきたため、12日の夕方にひりゆうは放水から離れた。最終的な鎮火は21日であった。
出典:wikipedia
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