『ダークシティ』（原題: "Dark City"）は、1998年にアメリカで製作されたアレックス・プロヤス監督、ルーファス・シーウェル主演のSFスリラー映画である。『アイ,ロボット』などで知られるオーストラリア出身のアレックス・プロヤスが監督したSF映画である本作。ティム・バートンが監督した『バットマン』に出てくるゴッサムシティを彷彿とさせるような、闇に閉ざされた世界観と斬新なビジュアルが随所に散りばめられており、謎を含ませたストーリー展開などの要素から多くの映画ファンから賞賛された。しかし、日本では当時ビデオ（DVDではない）発売の際に、ジャケットイメージが内容とほど遠く、多くのファンを逃し、後に面白さが口コミで広まった隠れた名作である。出演にマードック役のイギリス出身の演技派俳優ルーファス・シーウェルをはじめ、ジェニファー・コネリー、キーファー・サザーランド、ウィリアム・ハートなどの個性派俳優が顔を揃えている。決して近未来ものではなく、逆にとらえるとレトロな雰囲気の町づくりが、謎めくストーリーにかなりマッチしている。ストーリー上、町全体は太陽のない“闇”に支配されているため、全体の約80％は夜のシーンである。SF映画的な要素ではあるが、ラブ・ストーリー、サスペンス、アクションなど様々な要素が組み込まれているので、一概にジャンル分けするのは難しいが、どの要素においても非常に工夫されており、ラストの展開に賞賛するファンも少なくない。1998年の東京ファンタスティック映画祭に正式出品された。真夜中の安ホテルの一室。吊り照明が揺れる浴室のバスタブで男（ルーファス・シーウェル）が目を覚ます。しかし、目に触れる景色にも鏡に映る自分の顔にも覚えがない。おぼつかない足取りのまま着替えてリビングでクローゼットをあけると外套とトランクが。開けてみると絵葉書があり、そこには“シェル・ビーチ”と書かれていた。フラッシュバックする白いテラス。輝く青い海。突然、シュレーバー博士（キーファー・サザーランド）と名乗る男からの電話で、追手から逃げるように指示された彼はベッドの傍に若い女の死体を発見する。動転した男は階下に降りるが入れ違いに黒づくめの一団がフロアに入ってくる。男がホテルの受付カウンターの前を過ぎようとしたとき従業員からマードックさんと呼びかけられ、ダイナーで財布を落としたと知る。彼は三週間前からここに滞在していた。一方、家出したままのマードックを待っていた妻のエマ（ジェニファー・コネリー）は、夫の主治医と名乗るシュレーバーより呼び出され自身の浮気により夫が精神的に疲労して博士の治療を受けていたと説明をうける。そのあとの行方は博士も知らないという。またバムステッド警部（ウィリアム・ハート）は警察が連続娼婦殺人事件の犯人としてマードックを追いかけているとエマに伝える。黒づくめの三人組に追い詰められたマードックは不思議な能力を発動し敵を撃退。「彼もチューンを使える」と驚愕した襲撃者たちは仲間と相談し博士に治療を継続するように命じる。一方で財布の中にあった身分証の住所からアパートに向かったマードックは外套に入っていた鍵を使って部屋に入りエマと対面。しかし何も思い出せない。バムステッド警部の追跡を逃れたマードックはシュレーバーの名刺を落としていった。警部は医者をつついてみるが煙に巻かれてしまい、行き詰って友人のワレンスキを訪問する。警察内部でも奇矯な言動が白い目で見られていたワレンスキだが異様な模様を描く部屋で彼は叫ぶ。「It's all just a big joke! It's a joke!」。朝の来ない、12時にならないと人間も機械も動き出さないダークシティの秘密とは…。

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