踏切(ふみきり)とは鉄道と道路が平面交差する場所。法律上は踏切道という場合もある(踏切道改良促進法など)。日本では列車の通行が優先される構造(遮断機はレールと平行)の踏切が殆どだが、日本国外では鉄路が遮断される構造(遮断機は道路と平行)の踏切も多く存在する。明治時代においては日本も同じ構造であった。現在、鉄路が遮断される形態の踏切は、阪神電気鉄道武庫川信号場(武庫川駅至近)から本線へ出る連絡線上にあるものや、東京メトロ銀座線上野検車区入り口付近に設置されているものなどが挙げられる。ただし、いずれも通過は列車優先である。日本の現行法令では、踏切道は踏切保安設備(踏切警報機と遮断機、または踏切警報機のみ)を設けたものでなければならないとされている。ただし、以前から存在するものについてまでその義務を新たに課したものではない。遮断機が完全に降りてから列車が到達するまでの時間は、日本では標準20秒、最短で15秒と定められている。大手私鉄のほとんどと、JRのATS-P設置路線の一部では、列車選別装置が設置され、列車種別に関わりなく列車の到達時間はこの程度となる。日本において、踏切道の数は2015年度で33,432か所である。現行法令では踏切の新設は厳しく制限され、2005年度から2015年度にかけて、一貫して減少傾向にある。その一方で、踏切が新設される場合もある。阪急電鉄では、2010年12月5日より西宮北口駅8号線上に、駅南側東西の往来を円滑にする目的で新たに踏切を設置した。この8号線は今津線車両の入出庫のみに使用される回送線であり、1日の列車の通過は早朝・夜間・深夜のみで10本にも満たない(2011年時点でのダイヤでは、1日4本のみ)ことから、設置が認められた。また、平成時代に開業した鉄道新線でも、土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線や、井原鉄道井原線には、踏切が設置されている所もある。このほか、可部線において廃線区間の一部を復活させる事業でも、踏切の新設が認められている。踏切の主な設備は次の通りである。踏切は保安設備により下記に分類される。現在一般的なのは第1種甲である。第3種は第1種甲に転換され数が減ってきている。信号機によって道路交通を規制する踏切は路面電車や比較的運行本数の少ない専用鉄道などで見られる。自動踏切警報機と自動遮断機を設置するか、踏切保安係を配置して、列車が通る際に道路の交通を遮断機によって遮断するもの。一部の時間帯のみ踏切保安係が遮断機を操作する踏切。つまり、踏切保安係のいない時間帯は第3種もしくは第4種と同じになる。遮断機作動の有無を示すため踏切保安係がいる時間が掲示されている。第1種などへの置き換えにより、現在は完全消滅している。1980年には20箇所存在した(国鉄はゼロ)が、1985年にはゼロになっていた。遮断機はないが踏切警報機が設置されているもの。後述する第4種とともに、注意を促すため「ふみきりちゅうい」の標識が立てられていることもある。第1種 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第3種に該当しないもの。踏切警報機や遮断機は設置されていない。地方ローカル線で多くみられ、特に自動車の通行できない小規模の道路に多い。踏切を模した木型や「とまれみよ」との標識などがたてられているのみで、実際に列車が接近していて危険ではないかの判断は通行者の目視等にゆだねられているため、事故が発生しやすい。また、信号機によって道路交通を規制する方式の踏切もこれに分類される。鉄道事業者によって認められた踏切のほかに、小さな路地やあぜ道、山道などのいわゆる「赤道(あかみち)」・里道と鉄道線路が交差している場所がある。このような場所は踏切ではなく、本来は一般の人の立ち入りは禁止されており線路を横切って人が通行することはできないが、実際には近隣の住民が勝手に通行しており、事実上の踏切となっている。一部のメディアではそのような場所を勝手踏切と呼んでいる。このような場所の中には、もともと近隣住民が利用していた道路が後から建設された線路によって分断された歴史的経緯がある場所もある。鉄道事業者側としてはあくまで線路内立ち入りを黙認しているという扱いで、線路内に立ち入らないよう注意書き看板などを設置している。踏切ではないので踏み板などもないが、鉄道事業者によっては非公認を前提としつつ踏み板を設置した例がある。また、このような場所を正式に踏切にすることは踏切を新設することになり、鉄道技術基準省令39条に抵触する。近鉄生駒鋼索線と近鉄西信貴鋼索線のケーブルカーでも踏切が設置されている。踏切部分のケーブルは露出したままとなっている。鉄道事業者による定義では、停車場構内にある道路と交差する踏切を指す。自動車が通過できる構内踏切も多数存在する。構内にあるため、列車通過以外に過走防護や入換車両のために遮断される回数が多く、開かずの踏切になりやすい特徴を持つ。地上駅の構内で駅舎やホーム間を行き来するために設けられた通路に存在する警報機などの存在する箇所を(一般的な呼称であり厳密には上記定義に該当しないが)構内踏切、もしくは渡線道・構内通路・旅客通路と称する場合もある。しかしあくまでも道路交通との交点ではなく(したがって踏切ではなく)、運輸局への届け出上では渡線路となっているのが通例である。跨線橋や地下道の整備、駅舎の橋上化や高架化などによって、このような渡線路は減少傾向にある。しかし、地方の駅ではバリアフリー化のため京福電気鉄道嵐山線帷子ノ辻駅や伊予鉄道高浜線古町駅、JR九州肥薩線人吉駅、日豊本線川南駅のように構内踏切を復活させた事例もある。以下の3種のいずれかが使用されている。これらの名称または番号は、踏切に記されている事が多い。番号を使う方式の場合、踏切が廃止されても番号は詰められず、欠番のままとなる。また、名前の由来となった事象が消滅した場合(町名変更など)も、基本的に名前の変更は行われない。公営・民営鉄道では、1956年に制定された「自動踏切遮断装置の構造基準」において、遮断装置動作反応灯を設けることと規定されており、第1種踏切の遮断機が正常に降下が完了していることを知らせる踏切動作反応灯を設置している。現在は設置義務はなく、JRから経営分離して民鉄となった路線では、新たに設置した会社も設置していない会社も存在する。踏切動作反応灯でも従来の白熱灯(電球)に変わり発光ダイオード (LED) が使用されるようになった。事業者により、その形状も異なる。一部の事業者は、特殊信号発光機と一体にしたものもある。日本の道路交通法では、自動車用の信号機付きの踏切(いわゆる踏切信号)で青信号が表示されている場合を除き、踏切の種類や列車の運行時間に関係なく踏切手前での一時停止と左右確認が義務付けられている。遮断機・警報機付きであっても例外でないのは、遮断機や警報機が故障している可能性があるためとされている。また、保線などに使用される保守用車は、信号機や踏切に無用な影響を与えないようにするため絶縁車輪を用いている関係で軌道回路で検知できないため、除雪車等、一部を除き線路上を走行しても遮断機・警報機が作動しないようにしている(詳しくは線路閉鎖、モーターカーを参照)。道路標識のひとつに「踏切あり」という警戒標識がある。1986年まで蒸気機関車のマークが踏切を意味していたが、観光やイベント目的以外での蒸気機関車牽引列車の営業運転が終了して久しくなったうえ、国鉄の民営化もあって、同年から電車のマークを表示した新しいデザインの標識に順次取り替えられている。しかしながら蒸気機関車マークの標識もまだ少なからず残っているため、自動車運転に関する教本などでは両方掲載されている。注意を強調するため、「踏切注意」や「注意」の補助標識を付加していることもある。そのほか、非電化区間の踏切用にパンタグラフを消して気動車を表したものや、走ってくる列車を色つきのイラストで描いたものも存在する。ただし非電化区間の踏切でも電車デザインの標識が設置されている場合が多い。昭文社発行の道路地図の中で「SiMAP」を採用した一部のシリーズにもこの踏切標識が掲載されているが、非電化線の踏切も電車のマークのデザインで掲載されている。さらに1万分の1・7千分の1・5千分の1の拡大図には、歩行者専用踏切を示すものとして、マークのデザインを電車から人間の足跡に代えたものを掲載されている(ただし、実際にはこのデザインの踏切標識は存在しない)。踏切は交通が錯綜することから事故が起こりやすく、渋滞の原因ともなる。特に列車本数や線路数が多い踏切では、朝ラッシュ時など時間帯によっては(ダイヤが乱れた場合も含む)、開いている時間が閉まっている時間よりも短く(1時間に数分しか開いていない踏切もある)、開かずの踏切となってしまっているものもある。そのため、特に交通量の多い箇所を中心に、道路や鉄道の高架化または地下化を目的とした連続立体交差事業によって踏切の除去が進められている。なお、踏切があいている時間は、列車がわずか数秒遅れる程度でも開かなくなることがある(対向列車及び同一方向の列車間隔が主な理由)ほか、ダイヤが乱れると列車間隔が短くなって開かなくなることもある。この時間は普段は通れるから、と安易な考えでいると実はダイヤが乱れていて、予想外の待ち時間になる場合がある。更に、渋滞原因の一つである自動車の踏切一時停止義務も、日本国外では警報機・遮断機つき(国によっては警報機のみの場合も)の場合はほとんど規制されていないことから、第1種踏切については日本の国会でも廃止すべきか検討されたことがある。しかし、2000年8月9日に秩父鉄道において、落雷により警報機が故障した踏切で電車と踏切に進入した自動車との事故が発生した。踏切信号機を設置した踏切で青信号が表示されている場合は一時停止が不要なため、交通量の多い一部の踏切では踏切信号機を設置し、一時停止義務をなくして交通の円滑化が図られている。だが、これにも弊害があり、踏切部分の道床の劣化が早まってしまう場合がある。福島交通飯坂線平野踏切では、交差する国道13号を重量のある大型車両が絶えず高速で通過するため、想定よりも道床からの打ち返しにより、レールの金属疲労が大きくなり、レールが破断する事態となった。その上、その踏切が線路のコーナー上に存在する場合、カントにより道路側に段差が生ずる。このような線路を複数またぐ踏切ともなれば路面が洗濯板状となってしまう。そのため、例えば交通バラエティ 日本の歩きかたで取り上げられたケースにおいては段差を越える際の振動により「自転車のカゴから荷物が落ちる」「積み荷が破損する」、段差そのものにより「自動車の底部や路面に傷ができる」「(開かずの踏切だった場合に急いで通過しようとして)バランスを崩したりローライダーの如くクルマが跳ねたりする」、などの弊害が発生していた。道路法および鉄道に関する技術上の基準を定める省令に道路と鉄道が交差する場合は原則として立体交差としなければならないと定められているため、新幹線や武蔵野線や湖西線など、新規に開業した多くの路線では、道路との交差地点はすべて立体交差とし、踏切を設けていない。例外的に踏切の新設が認められる場合として、停車場に近接した場所で道路と交差する場合で、立体交差とすることによって道路又は鉄道の効用が著しく阻害される場合などが道路法施行令で定められており、新設路線でも既設路線との接続駅付近に踏切が設置されている場合がある。→立体交差も参照特殊な踏切の例として、高速電車(路面電車でない普通の鉄道)が併用軌道を走行する際、手続き上は併用軌道でなく「専用軌道(一般の鉄道線路)上に長大な踏切が存在する」という扱いで敷設または指定された区間であるという鉄道愛好者が発信した都市伝説があった。実際には、鉄道側が運輸局に対して、特別認可の申請をし、10年間の特認が与えられている。該当区間は走行速度が低く設定されておいることが多く、ダイヤの設定の上で障害となっていた。さらに道路の交通量が増加し車の渋滞や車と鉄道車両との接触事故の原因となっていたことから、現在では大型の高速電車が併用軌道を走る区間はほぼ消滅している。しかしながら、江ノ島電鉄線、熊本電気鉄道藤崎線では依然としてこの形態が残っている。この両者は当初軌道法で敷設された後、鉄道線に切り替えたためにこの形態となったものである。しかし、鉄道事業法では併用軌道は認められていないため、この両者はあくまで国土交通省からの「特認」であり、10年ごとに申請をし認可を受けている。JR在来線:湖西線、海峡線、JR東西線、京葉線、武蔵野線、根岸線、大阪環状線、本四備讃線。私鉄(モノレール、新交通システム、地下鉄、JR区間)を除仙台空港鉄道仙台空港線、野岩鉄道会津鬼怒川線、東急田園都市線、京王相模原線、小田急多摩線、相鉄いずみ野線、首都圏新都市鉄道つくばエクスプレス、名鉄空港線、東海交通事業城北線、横浜高速鉄道みなとみらい21線、神戸電鉄公園都市線、南海空港線。以下の国では日本ほど列車運行本数が多くないため、遮断機や警報機がない踏切や、道路ではなく鉄路側が遮断される踏切、時間になると踏切警手が手動で操作するものが多い。また、日本の踏切は警戒色である黄色と黒の縞々のカラーリングがほとんどであるが、外国では白黒のカラーリングやきかんしゃトーマスでも見られる、門形の踏切などもある。警報・遮断機は自動、中には警報機だけのものもある。自動車は一時停止なしで通過できる。日本製の遮断機、警報機も存在する。自動化されたタイプと踏切警手の扱うタイプが混在している。踏切警手が遮断機の前まで出てくる場合もある。台湾鉄路管理局の踏切道の数は2015年度で458か所である。遮断棒の色は白と赤の縞。次の3種に分かれる。2014年現在で韓国国内に1,058か所あり、踏切のうち第1種が952か所、第2種が8か所、第3種が98か所である。遮断棒は赤白のカラーリングである。警報機や遮断棒は自動である。地元住民は警報機が鳴り響こうが列車が来るまで平気で遮断機をくぐる光景が度々目撃されている。踏切に接近する列車はその際、警笛を何度も鳴らす。日本と異なり、軌道側を遮断し車道を通過させる方式になっている。遮断機が上がっている場合、車両は進入してはならない。遮断棒の色は白と黒の縞。アメリカでは早くから色灯を組み合わせた警報(警鐘)機が採用されていた。これはウィグワグ ()と呼ばれるもので、振り子型のアームの先端に、赤い色灯を組み込んだ白い丸型の標識を取り付け、警報の鳴動と共に左右に振り視認性を確保する構造になっていた。日本ではアメリカ発の映画で度々目にすることが出来た。蒸気機関車牽引の列車が主流だった頃には問題なかったが、やがて鉄道・自動車の双方が高性能化するにつれ、遮断機がなく視認性も劣るという理由から、日本や欧州と同じく交差した板の標識に交互点滅の色灯を設けた、遮断機つきの警報機へと置換えが進んだ。しかし、一部の市民からは慣れ親しんだウィグワグを擁護する声も大きい。日本とは異なり、アメリカではほとんどの州で踏切前の一時停止を義務付けられていない(ただし大型車は徐行して通過する)。このため、不用意に一時停止すると追突されるおそれすらある。しかし、長距離トラックなどの踏切突破によって事故が起きるケースが増えるなど、問題もある。アメリカでは踏切に接近するたびごとに長・長・短・長の4回連続で警笛を鳴動させることが多くの鉄道で行われており、歩行者などへの注意喚起に努めている。小規模の飛行場や運河の可動橋でも鉄道用の踏切警報機・遮断機を設置している場合がある。変わり種としては山口県宇部市にある宇部興産専用道路と一般道路が交差する部分に鉄道用の踏切警報機・遮断機を設置しており、一般車両が専用道路を通過する大型トレーラーを通過待ちする光景が見られる。また、鉄道用の遮断機が設置されているものは、バス専用道路に例がある。また、道路を遮断する交通機関が鉄道ではない踏み切りも存在する。ジブラルタル国際空港では、飛行機対道路で踏切が設置されている。かつてはロンドン・ヒースロー空港にも存在したほか、日本国内でも2004年に廃港となった群馬県の大西飛行場には、滑走路中央付近を横断する道路に対して踏切が設置されていた。近畿日本鉄道の、シカと列車の衝突事故防止設備。防護ネットの一部に隙間を空け、そこに始発から終電までシカが嫌う超音波を流して線路への侵入を防止し、夜間には横断できる。試験で効果がみられ、今後は設置場所を広げる予定。
出典:wikipedia
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