超電荷(ちょうでんか、)は、素粒子の強い相互作用に関係する量子数である。なお、物理学者は日本語訳の「超電荷」では呼ぶことはほとんどなく、英語名のまま「ハイパーチャージ」と呼ぶ。超電荷はハドロンのSU(3)モデルに関係する量子数である。SU(3)モデルはアイソスピンのSU(2)モデルを拡張する概念である。ハドロンがまだ内部構造を持たない素粒子だと思われていた時代に、アイソスピンによって核子やパイ中間子は1つの多重項にまとめられたが、実験からK中間子やラムダ粒子などの新たなハドロンが発見されて既存の電荷とアイソスピンだけでは分類できなくなった。そこで新たな粒子を分類する量子数として超電荷が提唱された。電弱相互作用において類似する役割を持つ弱超電荷との混同に注意が必要である。超電荷の概念は、アイソスピンおよびフレーバーを単一のチャージに組み合わせ、統一する。また、ハドロンのSU(3)モデルは量子色力学のカラーSU(3)とは無関係である。核子やパイ中間子では、電荷 Q は、アイソスピン I と核子数 N により、と表されていた。これをK中間子やラムダ粒子に拡張する上で、核子数 N からと置き換えたものが超電荷 Y である。超電荷はの関係に縮尺されることもある。中野・西島・ゲルマンの法則においてバリオン数 B とストレンジネス S により、と表される。従って、超電荷はとなる。弱い相互作用が関わらない反応ではバリオン数とストレンジネスはそれぞれに保存し、超電荷も保存する。後にチャーム C、ボトムネス B'、トップネス T が発見され、中野・西島・ゲルマンの法則がと修正されるに従い、超電荷もと修正される。超電荷が保存するということは、フレーバーが保存することを示唆する。強い相互作用は超電荷を保存するが、弱い相互作用は保存しない。アイソスピンのSU(2)モデルは核子の陽子と中性子を同種粒子の異なる状態とみなし、とした。実験で新たな粒子が発見されるに従い、ストレンジネスという概念が導入され、SU(2)×U(1) という形になった。これを含む群として提唱されたものがハドロンのSU(3)モデルである。このSU(3)は、核子の二重項にラムダ粒子を加えたの三重項とした内部空間での回転の為す群である。クォークモデルによると、陽子はuud、中性子はudd、ラムダ粒子はudsであり、この三重項はクォークのを再現したものと解釈される。パイ中間子やK中間子はクォークと反クォークを合わせたものであり、SU(3)の表現の知識から随伴表現 (八重項)に対応し、3個のパイ中間子と4個のK中間子、そして1個のイータ中間子で八重項を形成する。なお、陽子や中性子、ラムダ粒子も、実際はシグマ粒子、グザイ粒子とともにSU(3)の下で八重項を形成しており、その一部を取り出した形となっている。SU(3)ウェイトダイアグラムは、二つの量子数、アイソスピンのz-成分"I"および超電荷"Y"(ストレンジネス"S"、チャーム"C"、ボトムネス"B"′、トップネス"T"、およびバリオン数"B"の和)を参照する二次元座標である。(を参照)超電荷は、"粒子の動物園"における粒子の集団を組織し、それらの観測に基づいた保存則を開発するために、1960年代に発展した概念である。クォークモデルの登場によって、(標準模型の六つのクォークのうちアップ、ダウンおよびストレンジクォークだけを考慮した場合)超電荷"Y"はアップ ("n") 、ダウン ("n")、およびストレンジクォーク ("n")の数の組合わせで、以下のように表せることが明らかとなった:現在は、ハドロンの相互作用を記述する場合、量子数の超電荷を計算するよりも、相互作用するバリオンおよび中間子を構成する個々のクォークをたどるファインマンダイアグラムを描くようになってきている。しかしながら、弱超電荷は電弱相互作用のさまざまな理論において実用的に使うことができる。
出典:wikipedia
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