『燃えろ!!プロ野球』(もえろ プロやきゅう)は、ジャレコより1987年6月26日に発売された、プロ野球を題材にしたファミリーコンピュータ用ゲームソフト。通称燃えプロ。開発元はトーセ。開発時の仮称は『リアルベースボール ペナントレース'87』。アメリカ版のタイトルはBases Loaded。ジャレコの代表作として、後年シリーズ化。(#作品リストを参照)。2015年現在、企業としてのジャレコは消滅してしまっているが、2016年4月8日に株式会社メビウスの制作・発売という形で、『燃えろ!!プロ野球』のPlayStation 4版が「完全新作」としてリリースされた。(これについても上記「作品リスト」を参照。)最大の特徴はTV中継さながらの、投手後方からのアングルによるリアルなプレイ画面であり、ファミコン野球ゲームとしては初めての試みであった。これによって、従来の野球ゲームにあった上方からのアングルと異なり、投手はボールを左右のみでなく上下に投げ分けることが可能となり、打者もそれに対応してバットを上下左右にコントロールすることで、臨場感あるプレーを楽しめるというのが売りだった。また、当時の他社の野球ゲームに比べると、「チーム数」と「各チームの選手数」が格段に多く(ファミコン用の野球ソフトで初めてセ・リーグ・パ・リーグ全球団が収録されたソフトである)、更に「選手名と背番号がほぼ一致していた」ため、プレイヤーはプロ野球チームの監督になったつもりで選手交代などの采配を奮うことが出来た。他にも、特徴のある選手の投球フォームや打撃フォームを表現している点、投手交代時やホームランの際の演出、合成音声の使用など、野球ファンの心をくすぐる仕様がふんだんに盛り込まれてあった。一方でゲームバランスの悪さも見受けられた。各チームに1人設定されている強打者であれば、バントの構え(外国人選手の場合、バントの構えが用意されていないのでハーフスイングで止める)をしているところにボールが当たるだけでホームラン性の打球が打てるという現象があり、バントホームランの通称で広く知られている珍現象が起きた。このバントホームランなどの超常現象は携帯電話のミニゲームにもなり人気を呼んだ。こうして、日本では158万本を出荷する大ヒットを記録したにもかかわらず、いわゆる「クソゲー」としての評価の声が多いが、それ以上に愛される「バカゲー」としての側面が強いといえる。大量の本数が流通したことにより中古市場での価格下落が激しく、特にファミコン時代が幕を閉じた後には一本10円で売られることすらあったという。そのため一人で大量に同ソフトを買い集め、その様子をインターネット上に公開する者まで現れた(外部リンク参照)。その後、シリーズが何本も発売された。1989年には業務用に『実力!!プロ野球』のタイトルで移植されたが、先に業務用移植されていた『プロ野球ワールドスタジアム』の二番煎じのようになってしまったうえ、操作性などにも問題があったため、低評価に終わった(ファミコン版の欠点は若干改善されている)。2004年には携帯電話ゲーム・ゲームボーイアドバンス(『燃えろ!!ジャレココレクション』に内包)で復刻版をそれぞれ配信開始・発売している。2007年9月11日からはWiiのバーチャルコンソールで、2013年5月15日からはニンテンドー3DSのバーチャルコンソールで、2014年10月22日からはWii Uのバーチャルコンソールで、それぞれ配信されている。なお、選手名は架空のものに変更されている(後述参照)。当時の野球ゲームでは珍しく、1人プレイの場合プレイヤーが後攻固定であった(2人対戦プレイ時は1Pが後攻で2Pが先攻)。「YS CLUB」チームの3番打者「ホーナー」は、当時ヤクルトスワローズに現役メジャーリーガーとして鳴り物入りで入団し、入団当初に桁外れの活躍をしたボブ・ホーナーをモデルとしている。ゲーム内でのホーナーの成績は打率4割6分7厘、本塁打60本に設定されている。またオープニングデモではホーナーがホームランを打つ場面が再現される。当時のプロデューサーでジャレコの社員だった関雅行は、雑誌『CONTINUE』(太田出版刊)Vol.14にて「ホーナーを柱にしなきゃいけないと思った…」と述懐していた。バントホームランが打てる強打者として設定されているのは、クロマテ(G)、アキヤマ(L)、ハ゛ース(T)、ランス(C)、ホ゜ンセ(W)、オチアイ(D)、ホーナー(S)、オク゛リ(Bu)、フ゛ーマ(Br)、リー(O)、Pトナム(F)、カト゛タ(H)、ミスタG(St)である。2Pでは、セ・パ12チームのほかにStというOB選手によるチームが使用できる。登場する野手はタカキ゛、コウシ゛、ハリモト、ミスタG、タフ゛チ、オオスキ、ヒロオカ、ノムラ、カワトウ、ナカニシ、トヨタ゛、ヤマウチ、イセ、ヒロセ、オウ、タカイ、オオヤ、ヤサ゛ワ。投手はムラヤマ、イナオ、ヒラマツ、カネタ゛、スス゛キ、エモト、アキヤマ、ホリウチ、オオトモ、エナツ、エイシ゛、コヤマ。登録選手の約9割は打率3割以上である。選手名は通常カタカナで4文字(濁点・半濁点は1文字として扱う、5文字以上の選手は短縮)までであるが、外国人選手の名前を表すためアルファベットも使用され、また変形表記もあった(湯上谷宏は「ユノカミ」、パットナムは「Pトナム」等)。審判員のコールや打撃音、観客の歓声などといった効果音の再生にはDPCMではなく外部音声機能を使用している。このため、一部のエミュレータやファミコン互換機では音声が再現されない。イベント発生時には球場のバックスクリーンに画面が切り替わる。たとえば投手交代の際にはリリーフカーに乗ってマウンドに移動する選手の姿、ホームランの際にはホームランを打たれた投手がマウンド上で崩れる姿(ソロと満塁でも異なる)、デッドボールの際には乱闘、といったアニメーションがオーロラビジョンに映し出される。これらの演出はスキップできない。タイトル画面には当時の人気選手であった江川卓を模したと思われる耳の大きなキャラクターが登場し、セレクトボタンを押してモードを切り替えるたびに首を振る。無死満塁のチャンスで三振に倒れると「アホ」という効果音が出る。音声機能を使うなど、先進的・野心的なゲームではあったが、『ファミスタ』と比較するとゲームとしての見劣りはどうしてもぬぐいきれなかった。バントホームランなどの笑える一面もあったが、それらのアラが真剣にゲームをプレイする気持を萎えさせたことは否定できない。発売時、大量に出回った初期版ではファウルのあとにはどこに投げてもストライクと判定されるという現象があった。さらに、表示される打率・ホームラン数も選手の能力に反映されていない場合が多く、「HT CLUB」のヤキ゛の走力がなぜか全選手中最高の10(他の選手の最高値は9)になっているという設定はその顕著な例であった。これらの問題から、ジャレコ本社には発売初日からクレームの電話が殺到したため、出回った製品を回収してデータを更新せざるを得なくなり、社員総出で徹夜で過酷なソフト改修作業を行ったという。今のようなデータのみの改修ではなく「パッケージを破壊して中のROMを差し替える」という荒っぽい作業だったためケガ人も多かったという。リアルなグラフィックを売り物にしたが、その反面、操作性が劣悪なものになっている。ピッチングとバッティングも操作が困難だったが、特に守備では、ボールがバットのどこに当たってもフライになり(バントホームランが発生するのもこのためである)どの野手が操作可能かもわかりづらく、球場が広いうえに移動速度も遅いためフライが捕球できず、ゴロ処理の送球も悪送球になりやすい、という野球ゲームにとって致命的な欠陥が曝け出された。1試合あたりの所要時間は、『ファミスタ』が通常20分程度で終わるのに対し、50分ほど掛かる。対コンピュータモードはペナントレースモードしかなく、11チーム相手(OBで構成されたStは除く)に1カード3連戦を戦い、132試合中80勝すると優勝=エンディングとなる長丁場である。そのため、あと1勝で優勝できるパスワードがゲーム雑誌の裏技面に載ったほどだった。今日のスポーツゲームにも見られる、ゲームとしてのテンポと表現のリアルさの対立がこのころから存在したことになる。このゲームでは赤いカートリッジのほかに黒いカートリッジのものも存在する。これは前述の改修作業で赤いカートリッジの大半を消費したあとにゲームが大ヒットして赤いカートリッジの在庫が尽きたため、急遽『妖怪倶楽部』に使用する予定のカートリッジを代用して生まれたものである。言い換えれば、黒いカートリッジは後期発売型という見方ができる。黒いカートリッジ以降は、ファウル後のストライクや異常な選手のデータ設定は修正が施されている。この節では、タイトルに「燃えろ」ないしは「燃え」が入る作品も扱う。
出典:wikipedia
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