An-225 ムリーヤ(ウクライナ語:)は、ソビエト連邦・ウクライナ共和国のアントノフ設計局(現ウクライナのANTK アントーノウ)が開発した6発の大型輸送機である。ウクライナでは、ウクライナ語で「夢」(睡眠中にみる方でなく、希望などを意味する方の「夢」)を意味するムリーヤ()の愛称で親しまれている。一方、NATOコードネームはコサック(Cossack)であった。1980年代後半のソ連では、宇宙往還機「ブラン」の開発が進められていた。ブランを輸送するための方法として計画されたのが始まりである。ちなみに、同じくブラン輸送のためにVM-T アトラントも製造された。2機が製造されていたが1機しか完成しなかったため、世界に1機しか存在しない。ソ連時代には、An-225に載せたMAKS・スペースプレーンを空中から打ち上げる構想もあった。最大離陸重量が600tと、世界一重い航空機であるほか、240ものギネス記録をもつ。2016年8月にアントノフ航空は中国空域産業集団(AICC)にAn-225の技術や設計図に亘る所有権を全て移転し、2019年に中華人民共和国の工場で再生産させる契約を交わしたと報じられた。ただし、AICCはまずウクライナで改良かつ再生産したAn-225の1機を中国に売却し、その後はライセンス生産で中国で量産する契約であり、報道にあるような所有権の移転はないと説明している。An-225が実際にブランを搭載して本来の任務を果たしたのは一回限りで、ブランが宇宙に行ったのも一度限りであった。その後はソ連崩壊に伴う混乱のために運用予算が打ち切られた。存在意義を失ったAn-225は、長い間ウクライナの工場の一角に放置され、An-124とAn-70の補修用部品取りとして次々と主要なパーツを失うなど、事実上のスクラップ扱いとなっていた。しかし、1999年になって、アントノフ航空などAn-124を使用した超大型貨物の運送ビジネスを行い、大成功を収めた実績から、An-225を商用として現役復帰させることを発表した。1年近い改修の末、デジタル化と機体の補修・強化を行い、An-225は再就役した。以来、大型/大重量貨物運送用として就役しており、主に欧州を中心とした大西洋方面で運用されている。2006年9月にはアントノフ設計局で、組み立て途中のままの2号機を完成させる計画が決定された。2号機は2008年に完成される予定であったが、遅延された。そして、2009年8月に2号機が未完成のまま計画は放棄された。2009年7月末には、3度目の塗装変更が行われ、機体は白地にウクライナの国旗を想起させる黄色と空色の緩やかなラインが入るデザインとなった。ただし、厳密にはこれはウクライナのナショナルカラーではない。機体は白地に上が黄色、下が空色のラインであるが、現在のウクライナの国旗は上が青(空色ではないと特に言及されている青色)、下が黄色であるためである。2010年2月9日、ハイチ大地震復興支援で使用する重機類100t以上を輸送する目的で防衛省がチャーターし、成田空港に初飛来した。An-225が日本に姿を見せたのはこれが初である。また、東日本大震災の際にフランス政府が150トンの救援物資を輸送するためチャーターしている。2010年6月21日にテクニカルランディングで中部国際空港にも飛来している。An-225は、開発期間を短くするために、機体の基本設計はAn-124 ルスラーンを基にしている。それでも、An-124からの変更箇所は多岐に渡り、胴体の延長のほか、ブランの搭載箇所を機体背面に設け、出力向上のためエンジン数を4基から6基に増やしている(An-124の翼の根元にエンジンを付けた翼を入れたような形になっている)。さらに、搭載したブランによって生ずる後流の影響を小さくするために、尾翼をH字型の双尾翼としている。搬入口は、機体前後にあるAn-124とは異なり、機体重量軽減のため、機体前方にしかない。なお、An-124は前部搬入口に傾斜台が設けられているが、当機では前脚を傾斜し前傾姿勢になることで、積載作業を簡易にしている。An-225の貨物搭載能力は、アメリカ空軍のC-5(122t)やAn-225の基となったAn-124(150t)を圧倒している。ペイロードは公称では250tであるが、これは安全を考慮しての値であり、最大離陸重量600t、空虚重量175tというスペックからして、燃料を満載量搭載したとしても300t以上のペイロードを持つ(無論、搭載する貨物の体積と貨物室の容積から来る搭載限界は別の問題であるが)。元来、機体上に宇宙機を搭載して運搬するために設計された機体であるため、胴体上部に250tまでの貨物を搭載することも可能である。ディスカバリーチャンネルで放映された特集番組での取材時には、VM-T アトラントの様に背面に貨物を搭載した際の空気抵抗を軽減するため、設計中のカプセル形カバーの三次元CAD図が放送された。貨物室は与圧されていないため、乗組員以外に搭乗できる人員は機体上部の客用人員区画の70名程度とされているが、仮に貨物室に座席を設置して旅客機に転用したならば、1,500-2,000人程度を収容できるほどの容積があるという。「世界一重い航空機」の肩書きを持つ程非常に大きな航空機であるが、H型尾翼の存在や反応の良いエンジン、主翼に取付けられた大型の前縁と後縁のフラップなどの基本性能の高さから、劣悪と言われたVM-T アトラントとは逆に「戦闘機なみの機動が可能」と操縦士に言わしめるほど機動性は高いという。事実、航空ショーなどでの飛行中の映像では、貨物を搭載していない状態ではあるものの、大きさの割に旋回性能が良いことが窺える。最大離陸重量の大きさが注目を集めることの多いAn-225だが、「一定重量のペイロードを搭載しての速度記録」といった数多くの世界記録を達成してもいる。2004年11月、FAI(; 国際航空連盟)は、240もの世界記録をギネス世界記録に登録した。現在でも、FAI公式サイトの「ジェットエンジン推進の陸上機で、最大離陸重量が500t以上のクラス」のページを見ると、すべてAn-225で占められている様子を見ることができる(#外部リンクを参照)。翼幅ではAn-225よりも長いH-4 ハーキュリーズは、その飛行が僅かに1回だけ、高度20mを1,600m飛行したのみのため、そのような記録は一切ない。
出典:wikipedia
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