領空侵犯(りょうくうしんぱん)とは、国家がその領空に対して有する権利を侵犯する行為のことであり、具体的には他国の航空機・飛行物体が当該国の許可を得ず、領空に侵入・通過する国際法上の不法行為を指す。領空侵犯に対して、当該国は対領空侵犯措置を取ることができる。対領空侵犯措置は以下のとおり段階的に定められている。国際法において、国家が領有している領土・領海の上に存在する大気の部分を領空(または空域)とし、領海と共にその国の海岸線から12海里までのエリアを領空と定義している。1967年発行の「月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家活動を律する原則に関する条約」(通称「宇宙条約」)第2条において、月その他の天体を含む宇宙空間は、主権の主張、使用若しくは占拠又はその他のいかなる手段によっても国家による取得の対象とはならない。としているため、領空は大気圏までとなっている。領空侵犯とは、この領域を許可なく侵す行為であり、国際法違反の行為となる。ただし、領空の範囲は大気圏に限られるため、高度100km以上の宇宙空間(衛星軌道など)を移動する人工衛星や国際宇宙ステーションなどは領空侵犯に当たらない。領空侵犯機に対しては、その国の空軍などが対処する場合が多い。戦闘機で目視確認がとれるまでは、航空用語で未確認飛行物体(UFO)とされる。「領空を侵犯していると警告し、速やかに領空外への退去を促す」という対応が一般的である。これに従わなかった場合は、強制着陸やミサイルなどによる撃墜といった措置が取られる。しかし、1983年の大韓航空機撃墜事件ではソ連軍機が適切な手順を踏まずに撃墜したことで、国際的な非難を浴びた。この事件を契機に、国際民間航空機関(ICAO)はシカゴ条約の改正議定書を1984年5月10日に採択し、同条約に「第3条の2」を追加した。これにより、各国が領空を飛行する不審な航空機に対しての強制着陸指示等の権利及び民間航空機はその指示に従うことの義務が確認され、同時に各国は民間航空機に対する要撃において、武器の使用を差し控え人命・航空機の安全を確保することが明示された。1958年から現在まで以下の通り日本国に対する領空侵犯が報告されている。これら不法行為に対し航空自衛隊が対応している。また、尖閣諸島周辺で領海領空を主張し、防空識別圏を設定(尖閣諸島防空識別圏問題)している中華人民共和国に対するスクランブル発進が、近年増加傾向にある。。日本においては自衛隊法第84条に基づき、領空侵犯に対しては航空自衛隊が対応している。防空識別圏における識別不明機に対する対応手順は以下の順となっている。ただし、自衛隊法第84条には「着陸させる」か「領空外へ退去させる」の二つしかなく、軍用機による侵犯行為であっても、それに対する攻撃について明確な記述はない。ただし、自機や国土に対する正当防衛の観点から、スクランブルの際に2機編成で対処中に1機が攻撃を受けた場合、もう1機が目標に対して攻撃を加えることは可能である。その一方で、侵犯機がスクランブル対処機以外の航空機や海上の護衛艦、地上の部隊等に攻撃を加えた場合、パイロットの判断でこれを撃墜することは難しい。冷戦下では一年間に944回スクランブル発進した年もあり、大半はソ連軍機であった。冷戦終結後は、150回前後まで減少したが、そのほとんどがロシア連邦軍機によるものである。その後、中国軍機を原因とするものが増加し2014年度には一年間に943回となった。2006年度には、ロシア軍機を原因としたスクランブル発進が196回、中国軍機を原因としたものが22回、台湾軍機を原因としたものが8回、その他、韓国軍機・米軍機などを原因としたものが13回行われている。2014年度には、ロシア軍機を原因としたスクランブル発進が473回、中国軍機を原因としたものが464回、台湾軍機を原因としたものが1回、その他を原因としたものが5回行われている。冷戦期には自衛隊・在日米軍の迎撃能力や周波数等の情報収集のために、ソ連機が頻繁に日本領空に接近していたほか、現在では中国軍機とみられる戦闘機が多くなっている。なお、スクランブル発進は領空侵犯する虞れがある場合に行うため、「スクランブルを行った回数 = すなわち領空侵犯の回数」とはならない。冷戦下のソ連軍機による領空侵犯は20回以上発生しているが、1987年(昭和62年)に発生したこの事例は陸・海・空の自衛隊が創設以来初めて警告射撃(信号射撃による警告)を行った事件として有名である。2012年12月13日、尖閣諸島上空で領空侵犯した中国国家海洋局所属の航空機(Y-12)を、海上保安庁の巡視船が視認した。航空無線機にて国外退去を要求し、さらに防衛省へ通報した。この事件は、領空侵犯した航空機を海上保安庁の巡視船が国外退去を促した初の事例である。
出典:wikipedia
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