ウイグル料理(ウイグルりょうり)は、新疆ウイグル自治区を中心に生活するウイグル人の民族料理である。ウイグルの食文化は、オアシスの農耕と牧畜、およびテュルク(トルコ)系民族の歴史が基盤になっている。特に、地理的にも隣接するウズベク人やカザフ人と共通した料理が多い。また、食材、調味料、調理法などに、回族や漢族からの影響も見ることができる。ウイグル料理は清真料理(ムスリムの料理)であり、必ずハラールの食材を用いる。その意味で、中国料理の地域区分として、漢族やシベ族などのムスリムでない民族を含め、27にも及ぶ多民族の料理を内包する新疆料理(中国語「新疆菜」)とは、正確には異なる概念である。しかし、新疆ウイグル自治区の人口の46%を占め、最も比率が高いウイグル族の料理がその代表として取り上げられ、混同されることは少なくない。また、ウイグル料理の名称のいくつかは、漢語やペルシア語と共通し、あるいはそれらを語源としているが、必ずしも料理の発祥などの歴史を正確に示すものではない。また、語源が同じ言葉を使っていても、漢族の料理とは素材や風味が異なることも多い。ウイグル人の喫食は、一度にまとまった量を食べる「食事」のタマク (tamaq、تاماق) と、紅茶を中心にナンや果物、ナッツなどを軽く食べる「喫茶」のチャイ (chay、چاي) に大別される。主食は小麦と米で、トウモロコシなども補助的に食べる。肉類は羊肉が主に食され、牛肉や鶏肉もよく用いられる。地方によっては鹿肉や鳩などの野鳥も食用にされる。野菜も豊富に用いる。 トマト、ニンジン、タマネギ、大根、ナスなどがよく使われる。香辛料としては、トウガラシ、クミンが多用され、ショウガ、花椒、フェンネル、カルダモンなども用いる。同じテュルク系民族であるトルコのトルコ料理と比べると、味付けや調理法で類似点もあるが、トルコ料理のように魚介類をも多用することはなく、トルコよりも限られた種類の野菜や果物を工夫して用いるなどの違いもある。ウイグル人は、独自の経験的知識の積み重ねなどから得たウイグル医学という体系を持っており、これに基づいて、健康維持をするためによいと考えて食べる一種の薬膳料理も持っている。生薬を茶に加えて飲んだり、イチジクなどのジャムや各種のナッツを炒って作る粉状の食品を積極的に取って、栄養の偏りがないようにし、ヨーグルトや季節の果物をよく食べることで、長寿を得ている。なお、テュルク系のムスリムであるウイグルには酒の文化もあり、ザクロなどの果物を原材料とした酒類も醸造する。しかし、イスラム教のクルアーン(コーラン)で飲酒を禁じているため、禁酒するウイグル人も少なくなく、飲酒にも場所や作法などのマナーが見られる。テュルク系遊牧民であるウイグル(回紇、回鶻)は4世紀ごろから中国史上に現れ、唐代の745年にはモンゴル高原にウイグル可汗国(回鶻)を建国した。遊牧民族であるウイグルは家畜を主な食料とし、その乳から作る乳製品(酪や馬乳酒)も重要な食料であった。このような遊牧を基本とした食生活は、モンゴル高原から南下して甘粛省に移り住んだウイグルの子孫と考えられるユグル族にまだ見られる。840年にウイグル可汗国が崩壊すると、大多数のウイグル人は中央アジアや天山山脈北東に移動し、カラハン朝や天山ウイグル王国を築いた。この両国が数世紀にわたってタリム盆地を2分して支配したため、タリム盆地のテュルク化は一気に進んでいった。現在の東トルキスタン(新疆ウイグル自治区)は、南部のタリム川流域、ホータン周辺などの地域が肥沃であり、各種の果物が取れたことから、徐々に各地に定住するようになり、中東からもたらされていた小麦の他、粟、えんどう豆などの栽培をするようになった。6世紀ごろの干ばつでいったん廃墟となったホータン周辺であるが、もともとはオアシスがあって都市国家が繁栄していた。現在、石臼なども出土しているため、この頃までに小麦栽培が行われていたことが伺える。また、トルファン周辺などでは仏教に帰依する者もいたが、その場合は精進料理を受け入れたと考えられる。ウイグル人は1060年代にイスラム教を国教として受け入れ、コーランに示された規律にしたがって飲食を含む全ての生活を行うようになったが、この頃まで小麦粉を主食とし、羊肉や野菜を食べる農耕主体の生活に移っていた。1074年に完成した『テュルク語大辞典』には、小麦粉で作る各種のパンが13種記載されており、また、すいとん、麺類、きび飯、穀物と肉を使った腸詰なども食べられていたことが記述から分かっている。タリム盆地はシルクロードが通っている場所であることから、唐代以降東から伝えられた中国の各種食品、調味料、炒め物などの調理法の影響を受けて多様性を持ち、現在のウイグル料理、あるいはウイグル人の食生活の姿になったと考えられる。また、近年はキルギス共和国など、旧ソ連の一部となっていた地域から、間接的にロシアの食品も入って来ている。トルマル(turmal)カッテリマ(katlima)ヤップマナン(yapma nan)中国国内の中規模以上の都市には、ウイグル料理店(または新疆料理店)があることが多く、比較的普及度が高いエスニック料理といえる。ウイグル料理店では、店頭の窓口でナンの販売もしていることが多く、漢族も朝食用などによく買っている。店がない場合でも、屋台でジク・カワープを焼いて供する姿は各地で見ることができ、これだけは食べたことがあるという漢族も多い。日本国内では現在、埼玉県さいたま市桜区、東京都新宿区に専門店がある。2010年8月10日発売のアウトドア雑誌BE-PALでは、豚肉を羊肉の代用として用いた料理がウイグルのラグマンとして紹介されたが、同年10月10日に謝罪記事が掲載された。
出典:wikipedia
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