PZL P.24は1930年代中盤にワルシャワのPZL工場にて開発されたポーランドの戦闘機である。複数の国へ輸出されたが、ポーランド国内での使用はほぼ皆無であった。PZL P.24は、ズィグムント・プワフスキによってデザインされ、1931年のプワフスキの墜落事故死後、ウズィウォロッド・ジャキミュークによって完成に至ったガル翼が特徴のP.11を輸出用として並行開発された全金属製単葉戦闘機である。元となったP.11はポーランド国内でライセンス生産されたブリストル社製マーキュリーエンジンを動力としていたが、契約上輸出が禁止されていた為、フランスのノーム・エ・ローヌ社が自社のエンジンをP.11に搭載してフランス空軍に売り込むことを提案し、これが採用された。プロトタイプの初号機となるP.24/Iは760馬力のノーム・エ・ローヌ14kdsエンジンを搭載し、1933年の5月に初飛行を行った。”スーパーP.24”と命名された二号機となるP.24/IIは星型エンジンを動力とした戦闘機として、ボレスワフ・オルリンスキによる操縦のもと、当時の世界最高速記録(時速414km)を打ち立てた。この機体は1934年のパリ航空ショーで展示され、当時として最速であると共に戦闘機として世界で初めて機関砲を装備していた為、大きな話題となった反面、当初の目的であったフランス空軍への売り込みはフランス国内メーカーからの強い反発があり、失敗に終わった。その後、同時期にポーランド空軍が自国運用を踏まえたP.11の新型であるP.11cを開発していた為、パイロットの視界を確保する為に星型エンジンの搭載位置をやや下へずらすなどといった胴体の改修がP.24にも施され、胴体後部に関してはP.11cと同一になるなど、併行開発の恩恵をフルに受けていた。また、P11cとは異なり、930馬力のノーム・エ・ローヌ14kfsを搭載、全天候型の密閉されたコックピット、20mm機関砲2丁と機関銃2丁が装備されるなど、より実践的な機体として熟成されていった。この機体は"スーパーP.24bis"と命名されたプロトタイプ三号機P.24/IIIとして1936年に初飛行し、飛行実験をベースとした改修がされた後にP.24Aとして生産が開始された。また、機関銃を4丁装備したP.24B、機関銃4丁と50kg爆弾2個を装備したP.24Cが追って生産された。P.24Dはハンガリー空軍からの発注を踏まえた機体であったが、トリアノン条約上、ハンガリーに対して第一次世界大戦後の軍備に関する厳しい制限が設けられていた点を加味して1935年にハンガリーからのライセンス購入要望をポーランド政府は見送っており、後にハンガリー空軍がイタリアのフィアット CR.32を購入した為、開発は中止された。P.24EはIAR P.24EとしてルーマニアのIARによってルーマニア国内にてライセンス生産された。最後に生産された2機種はP.24FとP.24Gで、1937年からノーム・エ・ローヌ14N07エンジンを搭載して生産された。両機種とも爆装が可能であったが、P.24Eは機関銃を4丁装備していたのに対し、P.24Fは機関砲と機関銃を各2丁ずつ装備していた。机上論で終わったP.24Hは、自国への販売を目論み、機関砲を4丁、もしくは機関砲と機関銃を各2丁装備し、1100馬力のノーム・エ・ローヌ14N21エンジンを搭載するはずであった。しかし、すでに運用が開始されていたPZL P.11との兼ね合いや、理論上はより高性能とされていたP.50の開発が開始されていた為、開発は一時中止となり、第二次世界大戦の勃発と伴って再開は実現しなかった。自国の空軍が運用したP.11と比較して様々な面で性能上位であったにも関わらず、ドイツによるポーランド侵攻の国土制圧が予想以上に速かった点も多分に影響し、確認されている限り自国外のみで、ましてや連合国と枢軸国の両陣営において戦果を挙げた珍しい機体と言える。ただし、当初から輸出を踏まえて開発されていた点からすると忠実にその役目を果しており、武器輸出による国内経済活性化を試みた当時のポーランド政府の先進性が伺える。機体のレイアウトは至って一般的な高翼機であり、全金属製であった。良好な視界を確保するため、主翼はガル翼で胴体に近づくにつれて薄く作られていた。この構成はズィグムント・プワフスキによって開発され、「プワフスキ翼」または「ポーランド翼」と称された。プロトタイプ以外のキャノピーは全てクローズドで、火災時に投下が可能な360リットル内蔵燃料タンクを装備していた。降着装置は固定式で、尾脚は車輪で無く、スキッドであった。固定武装は主翼に収められたエリコンFF 20 mm 機関砲とコルト・ブローニング7.92mm 機関銃の組合せであった。爆装はP.24A、P.24Bが12.5kg爆弾x4発、P.24C、P.24F、P.24Gが50kg爆弾x2発。現存する唯一のP.24はトルコの博物館にて展示されている機体だが、一般に公開されている写真からは複数のシリアル番号(2015、2017、2147)が確認でき、撮影場所も立地的に離れている為(イスタンブールとアンカラ)、現存する機体が複数あると推測されがちである。しかし、イスタンブール航空博物館にて保存展示されている機体が再塗装された際に何度か異なるシリアル番号を塗装されていた点と、ファイバーグラス製の原寸レプリカが少なくとも1機、トルコ国内の博物館で転々と展示されていた点から生まれた誤解で、実際には1機現存するのみとされている。ポーランドの模型メーカー数社が製品化している。1/48スケールでは特にミラージュ・ホビーのキットが決定版とされているが、ミックスメディアキットであるため、制作にはある程度の熟練度が必要であり、上級者向けと言える。1/72スケールではEncore製のものが多いとされている。しかし、両スケールにおいても人気が高い機体とは言い難く、どちらかと言うとかなりマニアックな部類に入る。
出典:wikipedia
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