近鉄600系電車(きんてつ600けいでんしゃ)は、近畿日本鉄道(近鉄)が同社養老線において運用する目的で、従来車各形式を改造して導入した一般車両(通勤型電車)である。養老鉄道発足に伴う養老線の同社への移管に際しては、近鉄の保有車両として養老鉄道へ貸与される形で運用された。その後2014年4月1日付で形式・車両番号はそのままに養老鉄道の保有車両となり、近鉄からは形式消滅した。本項では派生系列である610系、620系、625系についても記述する。近鉄各線で用いられている20m級4扉車体を持つ標準型通勤車のうち、比較的車齢の高い旧型の余剰車を、ローカル線である養老線の輸送改善向けに改造・改装して転用したグループであり、狭軌仕様への統一、比較的低速な養老線での運用に合わせた電動車比率の抑制(もしくはモーターの低出力型への変更)が行われている。当系列の導入に伴い、特殊狭軌線(内部線・八王子線)と鋼索線以外の近鉄線旅客用車両からは、吊り掛け駆動車と非冷房車が消滅した。転入時に車外スピーカーが設置された。また本線系の車両と異なり増結・解結は頻繁に行われないことから、ク530形使用時代のク510形を除いて貫通幌が撤去され、本線系の車両とは若干異なる顔つきになっている。2013年以降、養老鉄道養老線の新型ATS導入に伴い、2016年までに当系列では601F・602F・604F・606F・611F - 614F・621F・623F - 625Fに車上装置設置工事が行われた。近鉄時代から養老鉄道への運営移管当初は本線系列車と同じ塗装(アイボリー(白)とマルーン(赤)の塗り分け)であった。2008年7月6日に最後のツートンカラーである601Fがツートンカラー惜別イベントを実施し、ツートン車は姿を消した。ただし、後述のように、本線系統の登場時の塗装を再現した復刻塗装車として定期運用に就く車両もある。この系列の前身となる改造元車両の出自は以下のように雑多である。これらのほとんどが本線では増結用だった。中間に南大阪線用サ6150形改造のサ550形をはさんだ3両編成(Mc-T-Tc)と、2両編成(Mc-Tc)がある。転用改造完了後の編成は以下の通り。種車が製造時期の異なる様々な形式から捻出されたため、ロングシートの形状も微妙な差異があり、601F - 604Fと605F・606Fではひじ掛けの形状や背面高さが異なっている。3両編成は団体専用列車への充当を考慮してサ550形にトイレが設けられていたが、通常は閉鎖されていた。Mcの主電動機は6000系の電動車を電装解除して捻出したMB-3082形であり、出力は3両組が135kW、2両組が75kWであったが、現在は全車135kWに統一されている。養老線転属にあたってMcはKD-101形空気バネ台車を新製、Tcは6800系からの発生品を改造の上で流用したKD-39C形金属バネ台車を装着する。なお、シュリーレン式台車の新製はこのKD-101をもって最後となった。制御装置は1C4M制御のVMC形である。集電装置はMc車連結側に1基搭載、電動発電機はHG-634形(120kVA)をTcに、圧縮機はD-3-F形をMcとTに装備している。2008年11月から2013年12月にかけて601F・606F・602F・604Fの順にB更新(2回目の車体更新)が五位堂検修車庫で施工され、7020系に準じた車内デザインへの変更、側面窓の一部固定化とサ550形のトイレの撤去が実施され、トイレのあった場所は立席スペース化された。先に更新された後述の610系や625系と異なり、雨樋の形状が変更されている。2016年の検査出場編成から本系列のパンタグラフがシングルアーム式に交換されており、同年8月時点では601Fのパンタグラフが交換されている。2016年までに4両の除籍車両が発生しており、605Fは2001年6月に、603Fは2016年4月に廃車された。2016年4月現在は3両編成が2本、2両編成が2本の計10両が在籍している。2016年4月に廃車された603Fは2015年時点で在庫する600系列では最後まで旧仕様の内装デザインで残された唯一の編成であった。この編成は増結用先頭車であった種車のク1951とモ1658が1966年に落成して後に固定編成化され、1993年11月に養老線に転属して以降は車体塗装を除けば内装には特に手を加えられずに約23年もの間運用され続けていたが、2013年頃から養老線車両の新型ATS化に伴う運用離脱による代走が主となって予備車扱いとされていた。他編成が順次B更新工事が行われる中で603FのB更新は施工されることなく、603Fを除いた全車両の新型ATS化工事が完了した2016年になって引退が決定され、同年4月2日の「D03さよなら臨時列車」を最後に定期運用を終了し、同年4月6日から7日にかけて塩浜検修車庫に回送された後に同年4月8日付で車籍抹消の上で廃車となり、1600系・1800系時代から通算して約50年の活躍に幕を下ろした。名古屋線1800系1801F - 1804F及び南大阪線6800系モ6850形を養老線用に改造・改番して生じた形式である。大垣駅寄りからモ610形(旧モ1800形)+ク510形(旧ク1900形)の2両編成で4本在籍する。旧1800系は狭軌化改造の他、運転台寄りのパンタグラフ撤去などの改造がなされている。多客時にク510形にモ6850形を電装解除したク530形が増結され、3両編成でも使用されていた。その際にはク531は611Fに、ク532は612Fに増結と決められており、613F・614Fには増結されなかった。主電動機は600系に準じるが、制御器は元々1C4M制御であるため種車のものをそのまま搭載した。台車は全て金属バネ台車とされ、制御車はKD-39を、制御電動車はKD-48を装着しているが、後に編入されたサ571は空気バネ台車のKD-61Aを装着している。後述の625系転属に伴い、6037Fから外された旧6000系の中間車・元サ6109がサ571に改番の上で611Fに組み込まれ、3両固定編成にされている。611F - 614F・サ571形は2001年から2002年にかけてB更新が施工された。車体側面の乗降扉上部と乗務員室扉に雨樋を設置し、611F - 614Fでは車内内装材が5800系と同一のデザインに変更され、天井化粧板は青色に変更された。ただし、乗降扉床面のノンスリップ加工は省略され、サ571では乗降扉窓が複層ガラス化されているのに対して611F - 614Fでは単層ガラスのままとされた。後年、ク530形以外の全車に座席モケット交換が施工された。613F・614Fは電気検測車はかるくんの養老線運転時の控車となるためにク513・514は撤去していた幌座の再設置とクワ25との連結用のジャンパ栓設置等の対応改造を受けている。後述の625系の投入によってク530形は廃車された。2016年4月現在は2両編成3本と3両編成1本が現存している。1992年に南大阪線6000系6011F - 6017Fを養老線用に転属・改造して生じた系列である。大垣寄りからク520形+サ560形+モ620形の3両編成を組む。600系や610系とは異なり、桑名寄りがMc車となっている。後にはワンマン運転改造もなされた。また中間のサ560形は元電動車であり、電装解除された。トイレは当初から設置されていない。主電動機と台車は種車のものをそのまま搭載したが、付随車のサ560形は転属改造時にモ6000形の偶数番号車を電装解除したものであるためKD-61Hに変更されており、大垣寄りのパンタグラフは撤去されたが、桑名寄りのパンタグラフは残されている。Mc車の制御器は1C4M制御のMMC形に変更されている。2009年2月から2010年7月にかけて2回目の車体更新(B更新)工事が623F・621F・624Fの順に施工され、600系とほぼ同様の内装更新と側面窓の一部固定化が行われた。同時期に更新された600系と同様に、雨樋の形状が610系や625系と異なっている。2004年に622Fが塩浜検修車庫に回送された後に廃車解体されている。2016年4月現在は3両編成3本が現存する。2001年に南大阪線6020系6037Fを種車とする625Fが追加されたことで生じた系列。編成の向きは620系と同一で、大垣寄りからク525+サ565+モ625の3両編成を組む。種車の6020系が新製時ラインデリア搭載車であるため、屋根の高さ・形状、尾灯の形状、パンタグラフ等が621F - 624Fと異なっており、貫通扉幌枠は撤去されていないが、転属改造の内容は概ね620系に準じ、モ6020形の偶数番号車は電装解除されている。主要機器も種車のものがそのまま使われており、電装解除された付随車の台車はKD-61Hとなっている。また、外されたサ6109は610系611Fの3両固定編成化に転用された。転属時にB更新・ワンマン対応が施工されているため、登場から大きな改造は行われていないものの、旧仕様の内装デザインながらも乗降扉の窓ガラスは複層化され、乗降扉床面部分はノンスリップ加工が施されており、610系611Fの中間車に転用されたサ571を含めた4両は600系列では唯一の存在である。類似系列が大同小異の改造を行っており、文章形式ではわかりにくい部分もあるので、上記概要を表にまとめて掲載する。なお、系列番号の後につけた印は通過標識灯の形状で、■が角型二段、●印が丸角二段(前方後円墳型)であることを示す。
出典:wikipedia
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