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ギリシャの経済

ギリシャの経済(ギリシャのけいざい)では、ギリシャの経済に関する事項を扱う。ギリシャの失業率は2000年から2009年の期間では最悪でも11%で推移していた。EUに金銭支援を要請した2010年には12.8%に上昇、その2年後には24.4%にまで悪化してしまう。2014年には約26.5%となっている。この長期間の高失業率によって未来の経済成長率が低下することが懸念されている。IMFは2010年にギリシャ失業率の予測値を公表したが、それは極めて楽観的なものであった。2014年の一人当たりの名目GDPは22,317ドルであり、世界平均の2倍を越えている。バルカン半島の国家の中では経済的に最も豊かな国であり、一人当たりの名目GDPはルーマニアやトルコの2倍以上、アルバニアの約5倍である。2014年時のギリシャの実質国内総生産は2008年時の水準の約75%にまで低下している。IMFによる予測では2011年まで下げ基調で、以降ギリシャ経済は回復に向かうはずだった。この予測は現実と大きくかけ離れた。IMFは、緊縮財政政策がギリシャ経済に与える悪影響を過小評価していたことを認めた。農業では、オリーブ、綿、葉タバコなど商品作物の生産が活発であるが、主食である小麦の生産は国内需給量をまかなうことができない。2010年のギリシャの綿花生産量は欧州連合内最大で183.8千トンの生産量であった 。また、コメの生産量は同第2位の229.5千トン、オリーブの生産量も同第2位の147.5千トンであった。イチジクの生産量は同第3位の11千トン、スイカは578.4千トンであった。また、たばこの生産量は同第4位の22千トンであった 。国内総生産(GDP)に占める農業の割合は3.3%、労働人口の12%を占める。ギリシャは欧州連合の共通農業政策における便益を享受している国の一つである。ギリシャが欧州連合の前身である欧州共同体(EC)に参加する際に、農業のインフラを整備した結果、農業生産高は上昇した。2000年から2007年にかけてギリシャにおける有機農業の生産高は885%上昇し、欧州連合内で最も高い上昇率であった 。2007年のギリシャの地中海における漁獲生産高は85,493トンであり欧州連合内第3位で約19%を占める。また、地中海における漁船保有量は同第1位であり、全体の漁獲生産高は87,461千トンであり同11位である。鉱業では亜炭、褐炭、マグネシウム、鉄、ニッケル、ボーキサイト、原油、天然ガス、石材などの生産が行われている。工業では、一次産品を利用したオリーブ油などの食品加工業や綿を中心にした繊維業などが盛ん。造船業、製鉄、石油化学工業も発展を遂げている。数多くの古代ギリシャ時代や東ローマ帝国時代の遺跡・遺構、エーゲ海の風光明媚な島々などの観光資源も多く、観光も重要な産業となっている。2009年10月、ギリシャにおいて政権交代が行われ、ゲオルギオス・アンドレアス・パパンドレウ新政権(全ギリシャ社会主義運動)下で旧政権(新民主主義党)が行ってきた財政赤字の隠蔽が明らかになった。従来、ギリシャの財政赤字は、GDPの4%程度と発表していたが、実際は13%近くに膨らみ、債務残高も国内総生産の113%にのぼっていた。2010年1月12日、欧州委員会がギリシャの統計上の不備を指摘したことが報道され、ギリシャの財政状況の悪化が表面化。2010年1月15日、財政赤字を対GDP比2.8%以下にするなどとした3カ年財政健全化計画を閣議で発表するが楽観的な経済成長が前提であった。格付け会社は、相次いでギリシャ国債の格付けを引き下げ、債務不履行の不安からギリシャ国債が暴落した。株価も影響を受け、世界各国の平均株価が下落し、ユーロも多くの通貨との間で下落した。2010年4月23日にはギリシャが金融支援を要請した。欧州連合ではユーロ圏諸国に対して、ユーロ経済圏の秩序維持のために起債上限額を制限している(安定・成長協定)。ギリシャは、こうしたルールを破ることとなったため、欧州各国が協調して問題に取り組むこととなったが、ドイツなどとの間で足並みの乱れも見られた。欧州では、ギリシャのほか、スペインやポルトガルなども財政赤字の拡大に苦しんでおり、こうした国へ飛び火することも懸念されたためである。IMF、欧州委員会、ECBの3つはトロイカと呼ばれる。2010年からトロイカはギリシャに金銭支援を行っている。その中でもドイツの融資割合はもっとも高い。トロイカは金融支援の条件としてギリシャに緊縮財政政策をとるように要求している。2010年4月にユーロスタットが発表した財政赤字は2009年10月に発表された13%近くではなく13.6%であることが発表された。2010年2月から断続的にストライキ、デモが行われており2月と3月には追加の財政再建策撤回を求めてギリシャ労働総同盟・ギリシャ公務員連合が24時間のゼネラル・ストライキを行い275万人が参加した。メーデーのデモが行われデモ隊と警官隊が衝突、けが人が出る事態となる。5月5日に行われたデモでは火炎瓶が銀行に投げ入れられ銀行員に死者が出る事件となった。犯行は無政府主義者とされている。2011年7月25日、格付会社ムーディーズは既に投機的等級にあるギリシャの格付けをさらに3段階引き下げ、従来の「Caa1」を「Ca」とした。2011年9月28日、欧州委員会・国際通貨基金(IMF)・欧州中央銀行(ECB)の3機関(トロイカ)で構成される合同調査団はアテネに戻り、ギリシャがデフォルト(債務不履行)回避に必要な次回融資を受けるにふさわしいかを判断するため、同国政府が最近合意した新たな緊縮措置や民営化計画の進捗について綿密に調査する見通しとなった。2011年10月3日ギリシャ政府が、財政赤字削減目標未達となる見通しを発表したため、欧州金融市場は再び悪化した。これでギリシャが「ハード」デフォルト(債務不履行)となる可能性が高まった。2011年10月12日ECBのトリシェ総裁は、債務削減合意を順守すれば、ギリシャはデフォルト(債務不履行)を回避できると述べた。10月27日、欧州諸国は債務危機に対応するために、「ギリシャ債務の民間投資家の損失負担を50%とし、欧州金融安定ファシリティの融資能力を拡充するほか、2012年6月30日まで銀行の資本増強を決めた」ものの、パパンドレウ首相が11月1日に第2次支援策の受け入れについて国民投票を実施すると発言したために、金融市場は再び不安定化、内外での反発が強まった。11月2日にはアンゲラ・メルケル、ニコラ・サルコジの独仏首脳がパパンドレウ首相に対し、支援凍結とユーロ離脱をちらつかせながら圧力をかけ事態収拾に動いた。11月4日に国民投票を撤回、翌11月5日にはパパンドレウ内閣の信任投票で僅差ながらも信任されたものの、大連立交渉に失敗しパパンドレウは首相を辞任。11月11日、前欧州中央銀行副総裁のルーカス・パパデモスを首班とする大連立政権が発足した。このとき総選挙を2012年に繰り上げ実施することで連立政権内の合意ができていた。2012年5月ギリシャ議会総選挙では財政緊縮反対を掲げる左翼政党が大幅に躍進。連立交渉がまとまらず、翌月に再選挙(2012年6月ギリシャ議会総選挙)が行われることとなった。緊縮財政政策について政党により賛否がはっきりしているため、一連の選挙結果は欧州連合(EU)による金融支援を受けるのに不可欠である財政緊縮を堅持するか否かの動向に直結することから世界より注視されたが、6月の選挙では財政緊縮支持派の第1党が票を伸ばし連立政権の樹立に成功したことで、ようやく事態は沈静化へと向かうこととなった。この一連の経済危機とその対策の不手際により、ギリシャの実質的な国内総生産は2009年から2012年の間に17%減少した。2015年3月、ブラジル出身のPaulo Nogueira Batista IMF理事がテレビ出演し、ギリシャに対する融資がドイツとフランスの銀行を救済する目的だったことを理事たちが承知していた事実を漏らした。4月9日、ギリシャはIMF に4億6200万ユーロを返済した。放漫な財政運営が続いた理由について白井さゆりは以下のように指摘している。ギリシャ国民の納税意識については、様々な評論家等が言及を行っているが、2012年5月、国際通貨基金の専務理事が「ギリシャ人はみんな税金逃れをしようとしている」と発言した際には、ギリシャ国民から大きな反発を買っている。

出典:wikipedia

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