


滝本 捨助(たきもと すてすけ)は、2004年に放送されたNHK大河ドラマ『新選組!』に登場する架空の人物である。中村獅童が演じた。脚本の三谷幸喜の創作による人物であり、主要人物の間を渡り歩く狂言廻し的な役割を果たす。天保5年(1835年)生。 慶応4年4月25日(1868年5月17日)没。新選組局長近藤勇と副長土方歳三の幼なじみで多摩の豪農滝本家の跡取り息子。名家の生まれを鼻にかけ、身勝手な振る舞いをするために、土方や近藤からあまり良く思われていない。しかし根本的にはお人よしのため、騙されやすい。滝本家を継ぐことを嫌がっており、目立った事がしたいと浪士組に参加したり、攘夷志士の手伝いをやろうとするが、元々苦労する事を知らないお坊ちゃんであり、人の下につく仕事は全く向かず、悉くへまをやらかしてしまう。しかし自身が危険に陥ると火事場の馬鹿力を発揮し、新選組隊士相手に怒涛の斬り合いを見せたことがあり(普段の捨助は剣術などの武芸の類は殆ど出来ない)斎藤一をして「できる」と言わしめたほど。実在した新選組協力者及び隊士の松本捨助に着想を得てはいるが、松本捨助の他、大河ドラマ『草燃える』の伊東祐之(演:滝田栄)、三谷幸喜脚本の舞台『彦馬がゆく』の神田陽一郎(演:伊原剛志)がモデルとされている。1857年(安政3年)、滝本家に盗賊が金をゆすりとろうと来たが捨助の父繁蔵はこれを追い返す。だが、捨助はこの時寝ており、後に事の顛末を聞いた勇から軽蔑される。報復の恐れがあるために、村役人の小島鹿之助と佐藤彦五郎は勇と歳三に滝本家の蔵の警護を依頼する。さらに沖田みつ(沖田総司の姉)も同行し、捨助が用心棒として雇った永倉新八(後の新選組二番組長)も警護に当たっていた。捨助は勇達や永倉を甲斐甲斐しく接待し、今夜は盗賊は来ないだろうと慢心して酒宴までも開くが、それが仇となり、深夜、勇達が寝入っている隙に盗賊達は滝本家の蔵に押し入り、交戦の末に勇は初めて人を斬る。この時、捨助も火縄銃を持って援護しようとしたが、脅えて撃つことができなかった(代わりにみつが火縄銃で応戦している)為に、勇が負傷し、盗賊の頭目には逃げられる事となり、永倉から叱り飛ばされてしまう。ちなみに、盗賊の一味には原田左之助(後の新選組十番組長)がいた。勇と松井つねとの婚礼の席に捨助は呼ばれていないのに現れた。やがて勇は天然理心流四代目を継ぎ、その襲名披露の野試合にも捨助は呼ばれていないのに現れている。1863年(文久3年)京に上洛する第14代将軍徳川家茂の警護の為、浪士組が結成されることになり、勇、歳三ら試衛館一門は参加を決める。捨助も参加しようとするが、滝本家の跡取であるため勇から断られる。諦めきれない捨助は歳三に相談し、歳三は捨助に50両用意すれば入隊できるとそそのかす。その50両は勇が浪士組で役付きになるために清河八郎に渡された。捨助は人気のないところで歳三に殴り倒され、捨助が気絶している間に浪士組は江戸を出立してしまう。捨助は絶叫して悔し涙を流した。京で勇たちが浪士組を離脱して壬生浪士組(後の新選組)を結成してまもなく、捨助は京にのぼり、壬生浪士組に入隊しようとするがまたもや断られてしまう。それでも諦めない捨助は壬生浪士組の屯所の近所で甘味屋を営むおまさの店で雇われる形で京に居座ろうとする。勇はなんとか捨助を多摩へ戻そうと再三説得するが、その都度捨助から50両の一件を蒸し返されてしまい、強く言えなかった。結局、使いもろくに出来ない上に、店の商品に勝手に手を出すなど、全く役に立たなかった為、おまさの甘味屋は程なくクビになった。だが、ちょうどその場に勇と共に居合わせていた佐久間象山から「的よけにちょうどいい」と目をつけられ、捨助は従者として雇われ、「般若」とあだ名を付けてもらう。こうして、なんとか京に留まる事ができた捨助であったが、人使いが荒く、小言が多い象山に辟易し、早々に音を上げてしまう。そこで、今度は長州藩の桂小五郎に取り入る事を考え、池田屋で同志を待っていた桂に雇ってくれるよう頼むが、あっさり断られる。さらにその際に、うっかり桂の膳をひっくり返してしまい、桂は着替えるため一旦藩邸へ戻ることになったが、その夜に新選組が池田屋を襲撃(池田屋事件)し、桂は危うく難を逃れ、捨助ははからずも歴史的に大きな役割を果たすことになってしまった。その後、象山が目の前で暗殺され、捨助はまたも職を失ってしまう。ホームレスになって京をうろついている所へ蛤御門の変が起こり、その混乱に乗じて、鷹司輔煕の屋敷に忍び込んで食料を盗み食いするが、そこで偶然にも鉢合わせた久坂玄瑞から遺髪を託され、それを桂に届ける。その縁と、桂が捨助の行動(前述の桂が結果的に難を逃れたこと)を、故意にやって助けたものと勘違いしたことから、捨助は京での桂の連絡役となり、姿を変えて潜伏する桂と会える唯一の人物となる。捨助は桂の虎の威を借りて尊攘浪士の間で我が物顔で振る舞い、浪士たちから「天狗」と呼ばれるようになる。その噂は新選組や京都見廻組の耳にも届き、勇達はその正体が捨助とも知らずに、謎の男「天狗」を追う。幾度か捕縛されそうになるが捨助は逃げ足だけは速かった。やがて、桂は長州へ帰ることになり、捨助は三度お役御免となる。やることのなくなった捨助は寺田屋女将お登勢のもとで下働きをするが、それが縁となって今度は坂本龍馬の下男となる。一方で捨助は寺田屋の女中おりょう(後の坂本龍馬の妻)に惚れ、夫婦になるよう頼むが、あっさり振られる。いじけた捨助が暴れた際に出火して、京で大火を引き起こしてしまう。その後、捨助は坂本を逃がすための囮に使われ、追ってきた新選組隊士大石鍬次郎に手ひどく蹴られる。その間に坂本は薩摩藩邸に入り、薩長同盟締結を無事成功させ、捨助はまたしても歴史的に大きな役割を担う事となった。一方、自分が坂本にいいように利用されただけだと知った捨助は泣いて口惜しがる(実際は捨助を囮にしたのは大久保一蔵で、坂本は後でそのことを知り唖然としていた)。怒った捨助は意図返しとして役人を手引きして寺田屋にいた坂本を襲わせる(寺田屋事件)が、坂本は辛くも脱出した。捨助は見廻組の佐々木只三郎に売り込み佐々木のもとで働くことになった。捨助は佐々木と共に新選組の屯所に現れ、ついこの間まで尊攘派についていたのに今度は見廻組に入った節操のなさに勇と歳三を呆れさせる。捨助は佐々木から龍馬探索を命じられ、龍馬を見つけて近づくが、見廻組の手下であることを見破られ万事休す。しかし、龍馬は捨助を見逃してやる。恩を感じた捨助は佐々木に龍馬は京を離れたと報告するが、薩摩から龍馬が近江屋に潜伏しているとの密書があり、佐々木は捨助を斬ろうとするが辛くも逃れる。捨助は新選組の屯所へ行き、勇に龍馬を助けるよう頼む。勇は龍馬を助けるため永倉と原田を近江屋へ行かせるが、一歩遅く、龍馬は佐々木によって暗殺されてしまった。捨助は、長州、見廻組からは「裏切り者」として、土佐からは「龍馬の仇」として、各方面から追われる事となり、歳三に助けを請うが、歳三は捨助が龍馬の事を勇に知らせたおかげで、新選組に龍馬暗殺の疑いがかかったと捨助の頼みをすげなくはねつけ、多摩へ帰る様に促すが、捨助は意地でも京に残る意思を示し、歳三が差し出した手切れ金代わりの旅費を怒りながら突き返すのだった。捨助はお登勢に頼み込み、再度寺田屋の下働きとしてやり直すことになったが、やがて王政復古そして鳥羽・伏見の戦いが勃発し、新選組は敗れて京を追われる事となった。その際、機密文書を焼却するため歳三と斎藤一、山崎烝が屯所へ戻る。その帰路、山崎が官軍の兵士に襲われて重傷を負う。そこに(油を売っていた)捨助が現れ、歳三たちを助けて寺田屋に匿った。捨助は歳三たちと勇のいる大坂城へ行き、そこで勇たちと江戸へ戻るよう誘われ、捨助も江戸に戻ることにした。ここで、捨助は晴れて正式に新選組の隊士となった。捨助は甲陽鎮撫隊(新選組から改名)に参加し、歳三から菜葉隊の援軍を呼ぶ役目を与えられる。甲府への進軍の途中、多摩で宴会を開いていた勇たちのもとへ菜葉隊の小松を連れてくるなど、勇の為に献身的に働いた。その一方で、捨助は家督も継がずに京で好き放題にやっていたが為に多摩の人たちから不興を買い、「親不孝者」と罵られる。その後、甲陽鎮撫隊は甲州勝沼の戦いで惨敗し、更に菜葉隊からは援軍の約束を反故にされ、捨助の努力は完全に無駄になってしまった。勝沼での敗戦後、勇たちは流山へ陣を移して新選組の再建を図るが、そこへ官軍が現れ、勇は官軍の陣に出頭して捕らえられてしまう。勇は斬首されることになった。捨助は勇の救出を強く主張するが、歳三たちは動けなかった。捨助は歳三たちを罵り、ひとり隊を離れて勇の救出へ向かう。捨助は官軍に捕らえられ勇と面会させられるが、勇はこの男は知らないし、新選組の隊士でもないと捨助を面罵する。捨助は放免され、勇から仲間はずれにされたと勘違いして泣くが、勇の死を見届けんと故郷から集ったつね、ふで、音五郎から、勇がそのような行動をとったのは、捨助の命を守るためであったと諭され、勇の想いと自分の勘違いに気づいた。そして、勇の処刑が近づく中、捨助は周囲の制止を振り切り、新選組の羽織を着て、風車を2本頭に刺し、勇を助けるべくひとり官軍の処刑場へ斬り込むも、奮闘空しく官軍の兵にめった斬りにされて倒れ、勇より先に死地に旅立った。捨助の最期の台詞は「かっちゃん、待ってろ…」であったが、結果としては勇よりも先に逝くことになった。様々な勢力を渡り歩き、幕末の歴史に図らずも大きな影響を与え続けるという数奇な運命を辿った捨助だったが、最後は念願だった新選組の隊士として、親友である勇に殉じて死んだのだった。
出典:wikipedia
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