土星の衛星と環(どせいのえいせいとわ)では、土星の衛星と環について述べる。2009年10月までに、土星には64個の衛星(うち3個は不確実)および12本の環(不確実)と6本の隙間が発見されており、2009年5月までに衛星のうち53個が命名されている。土星の衛星は、地上観測により19世紀までに9個が発見されていたが、その他の多くの衛星が発見されたのはごく最近である。なお、1861年にヘルマン・ゴルトシュミットがキロンを、1905年にウィリアム・ヘンリー・ピッカリングがテミスを“発見”したと報告したが、どちらもそれ以降観測されることはなく、幻の衛星となった。内側の衛星群はギリシア神話のティーターン(巨神族)やギガース(巨人族)にちなんで命名されている。外側の衛星群では、逆行しているものは北欧神話、離心率の大きなものはガリア人の神話、それ以外はイヌイットの神話にちなんだ命名がされている。一部、境界が曖昧な点があるが土星の衛星は8群に分けることができる。羊飼い衛星は 土星の環の周囲、又は間隙の中を周回し、その重力によって土星の環の内外縁や間隙、空隙を維持しているものと考えられている。この群にはパン、ダフニス、アトラス、プロメテウス、パンドラが属する。S/2004 S 3、S/2004 S 4、S/2004 S 6 は衛星かF環の一部か現在調査中であり、確定済み衛星数には含まれていない。ヤヌスとエピメテウスは共有軌道衛星である。両者ともほぼ同じ衛星の直径を持ち、数キロメートルしか差のない軌道を公転している。公転周期の差により両者の衛星の距離は次第に近づいていくが、衝突はせずにある位置関係で、引力の相互作用により約4年毎に互いの軌道を交換する。詳細はエピメテウスの項目を参照。内側の大衛星群はE環の内側に軌道を持つ。この群にはミマス、エンケラドゥス、テティス、ディオネが属する。内大衛星群の中にある小衛星のグループ。アイガイオン、メトネ、アンテ、パレネの4個が発見されている。トロヤ衛星はもう一種の共有軌道である。先述の共有軌道と同じく土星系特有であり、2009年現在、他の惑星系の衛星には同様の衛星軌道は見つかっていない。小惑星のトロヤ群と同じように、テティスにはテレストとカリプソが、ディオネにはヘレネとポリデウケスが各大衛星の前後に60°離れたラグランジュ点にそれぞれ一つずつ存在し、土星を周回している。土星の最大級の衛星はE環の外側を周回し、別個の衛星群として考える事ができる。この群にはレア、タイタン、ヒペリオン(他と比較すると少々小さく、自転や形状がかなり不規則である)、イアペトゥスが属する。内軌道の5群の正規衛星と比較し、外軌道の3群は全て軌道が特殊である。小惑星や太陽系外縁天体等の土星系外の天体が捕獲されたとの説もある。右図は土星の不規則衛星の軌道をグラフに表したものである。Y軸に軌道の傾斜角を単位度で表す。グラフの上部が順行、下部が逆行衛星である。X軸は土星からの距離を表し、土星のヒル球(土星重力圏)の範囲(直径65Gm以内)を示す。各衛星の線は近土点距離、遠土点距離を結んだもので、線の長さが概ね離心率を表す。名称の確定している衛星は黄色、仮名称の衛星は白、2005年以降に発表された衛星は灰色で示す。イヌイット群は順行軌道を持ち、各軌道要素が充分類似している(低離心率、高(40 - 50度)軌道傾斜角)衛星からなる群である。この群にはキビウク、イジラク、パーリアク、シャルナク、タルクェクが属する。北欧群は土星の外周部を公転する逆行軌道を持つ衛星群である。この群にはフェーベ、グレイプ、ヤールンサクサ、ムンディルファリ、スットゥングル、ハティ、スリュムル、エーギル、フェンリル、スルト、ユミル、ロゲ、フォルニョート。他に仮符号の衛星としてS/2004 S 13、S/2004 S 17、S/2004 S 12、S/2004 S 7などがある。他に後述のスカジ群、ナルヴィ群を含む。スカジ群とナルヴィ群は単独の群ではなく、北欧群の中にある比較的軌道傾斜角の大きい衛星群(副群)である。2006年の新発見の衛星をあわせて軌道要素ごとに比較しても、特に軌道傾斜角において差が大きいようである。スカジ群にはスカジ、スコル、ヒュロッキン、S/2006 S 1、ベルゲルミル、ファールバウティ、S/2006 S 3、カーリが属する。ナルヴィ群は他の逆行衛星と比較しても傾斜角が大きく(黄道面から140度程度、土星の赤道面から110度程度)、スカジ群とは別に扱われている。ナルヴィ、ベストラが属する。ガリア群は順行軌道を持ち、各軌道要素が充分類似している(高離心率、中(35度)軌道傾斜角)4つの衛星からなる群である。この群にはアルビオリックス、ベビォン、エリアポ、タルヴォスが属する。2009年10月現在、12本の環が確認されている。地球からは、A, B, Cの環だけが目視することができる。2006年9月15日に撮影された写真の解像によって同20日に見つかった環は、一つはF環とG環の間、一つはE環より外側にあり、それぞれ小さな衛星の軌道とほぼ一致している。2009年10月7日にNASAが存在を発表した12本目の環は、土星表面から約600万から1200万kmの空間に広がり、幅は約600万kmであり、太陽系で最大の環である。密度が小さいため、地球から肉眼で見ることはできないが、仮に見ることができれば満月の倍の大きさに見える。また、環には "division" または "gap" と呼ばれる隙間が6本見つかっている。division, gap のどちらも、日本語では「間隙」または「空隙」と区別なく訳されているので、以下、本項目では "division" を「間隙」、"gap" を「空隙」とした。間隙や空隙の中に、大きな衛星との軌道共鳴によって「リングレット」と呼ばれるごくかすかな環ができていることもある。2012年に、F環から氷の粒が引きずり出されて、細長い尾のように見える「ミニジェット」が多数発見された。
出典:wikipedia
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