新幹線E955形電車(しんかんせんE955けいでんしゃ)は、2006年3月に落成した東日本旅客鉄道(JR東日本)の新幹線直行特急用高速試験電車。愛称は「FASTECH 360 Z」(ファステック 360 ゼット)。「FASTECH 360」シリーズの第2編成であり、末尾のZは在来線のローマ字表記 (Zairaisen) の頭文字から取っている。アルミニウム合金を使用したダブルスキン構造である。在来線区間である山形新幹線・秋田新幹線での走行(新在直通)を考慮した車両であるため、E954形より一回り小さい。車高をE954形と同等の3,650 mmまで下げるため、空調機器は床下に搭載される。E955-1からE955-6までの6両編成で、先頭車は両方ともE954-8と同じ「アローライン」形状だが、先端部分の長さがE955-1は13mなのに対し、E955-6は16mになっている。これは長さによるトンネル微気圧波の影響を検証する目的で与えられた差である。また11号車は最初から増解結が可能な仕様になっているが、16号車はその準備工事が施されただけの状態であった。E954形とやや形状は違うが、やはり猫耳に似た形の空気抵抗増加装置(空力ブレーキ)を13号車以外の各車両に1列2枚ずつ搭載している。架線からの単相交流20/25kVを主変圧器で降圧した上で、主変換装置で直流に整流、その後三相交流に変換して主電動機を制御するVVVFインバータ制御方式である。全車が電動車(両先頭車については編成中央よりの台車のみ電動)である。電動車は3両でユニットを組むため、E954形のように先頭車だけの入れ替えは不可能である。各ユニットの力行・回生ブレーキ特性は同一である。高速でカーブを通過すると、車両外側に向かって働く遠心力が増加する。それを乗客に感じさせないために車体傾斜装置を搭載したボルスタレス台車を採用する。振り子式とは異なり、空気ばねによる車体傾斜となっている。高速走行での安定性を重視したため、過去の新在直通車両用台車から軸距を2,500mmまで拡大した。在来線区間走行時の横圧軽減と新幹線区間の高速安定性とを両立させるため、ヨーダンパの減衰力を切替えることができるようにしている。集電装置は、在来線区間での走行に対応するため、「くの字」型のシングルアームパンタグラフが採用された。E954形のPS9037をベースに、碍子の配置を見直したPS9037A(E955-5)とPS9037B(E955-2)が搭載される。遮音板は、在来線の車両限界に対応するよう、車体内に自動格納される構造になっていた。車内の遮音板格納部分はトイレや洗面所等のサニタリースペースとされていた。当初は側面から見た形状が長方形だったが、後に走行テストや風洞実験などの結果を踏まえ、30度の傾斜角を持たせた台形のものに交換された。後に、それぞれ形状の異なる新型集電装置が搭載されている。架線へ柔軟に追随するために開発された、すり板を10分割したうえでおのおのをシリコンゴム板上に配置、ばねで支える多分割すり板付舟体である。また、落成時にはZ字断面形状をした遮音板が集電装置の両脇に装着されていたが、2006年以降に両端が30度となる平板形状の遮音板に変更された。E955-2はグリーン車、E955-3は普通車であり、E955-5の一部には喫煙室のほか、「ミーティングスペース」と称するビュッフェ的な区画が準備されている。E955-5の残りの部分と他の車両には計測機器が搭載されている。東北新幹線仙台駅 - 北上駅間、秋田新幹線盛岡駅 - 秋田駅間などでの走行試験の他、E954形との連結走行や高速すれ違いなどの試験が行われた。2006年度は暖冬のため、予定されていた秋田新幹線区間での耐雪試験を消化できなかった。2008年夏に空気抵抗増加装置を撤去した。2008年10月に当初予定されていたテストを終了し、新幹線総合車両センターに留置された後、同年12月12日付で廃車された。JR東日本は2013年(2012年度末)に「こまち」用の新型車両(E6系)を導入し、盛岡以南で「はやぶさ」用新型車両(E5系)と併結して最高速度300km/hで営業運転している。また、2014年(2013年度末)からは最高速度320km/hでの営業運転を開始した。
出典:wikipedia
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